「残業代請求をしようと考えているけど、勝率はどのくらいなのだろうか?」
「残業代請求の勝率を上げるためにできることはある?」
「どのようなケースであれば残業代請求の勝率が高いの?」
残業代請求を検討している方が気になるのが、残業代請求の勝率です。時間と労力をかけて残業代請求をしても負けてしまっては意味がありません。
実際には、残業代に関する証拠がそろっているのであれば、残業代請求の勝率は高いといえますので、しっかりと請求していくようにしましょう。
また、残業代請求の勝率を上げるためのポイントを踏まえて行動することで、未払い残業代を回収できる可能性がさらに高くなりますので、こちらもしっかりと押さえておきましょう。
本記事では、
・残業代請求の勝率はどのくらいか
・残業代請求の勝率が高い5つのケース
・残業代請求の勝率を上げるための3つのポイント
などについてわかりやすく解説します。
残業代請求の勝率を高めるには、弁護士のアドバイスやサポートが不可欠です。特に残業代トラブルに強い弁護士に相談・依頼することで残業代請求の勝率は高くなりますので、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
目次
残業代請求の勝率はどのくらい?
そもそも残業代請求の勝率はどのくらいなのでしょうか。
証拠などがそろっていれば勝率は高い!
残業代請求における勝率とは、残業代請求事案全体に占める残業代の全部または一部が支払われた事案の割合をいいます。
残業代請求の事案では、残業代に関する証拠がそろっていれば、残業代が支払われる可能性が高くなりますので、基本的には、残業代請求の勝率は高いといえるでしょう。
ただし、具体的な勝率は、実際の事案によって異なってきますので、まずは弁護士に相談することをおすすめします。弁護士であれば、手持ちの証拠などからおおよその勝率などが見えますので、リスク等を適切に伝えることができます。弁護士からのアドバイスを踏まえて残業代請求をするか判断するようにしましょう。
なお、残業代請求によるリスクとその対処法については、こちらの記事をご参照ください。
残業代の請求金額・解決金額の平均
厚生労働省が公表している「労働審判事件等における解決金額等に関する調査に係る主な統計表」によると、残業代の請求金額・解決金額の平均は、以下のようになっています。
【残業代の請求金額】
これによると、労働審判での残業代の請求金額の平均値は219万7814円、中央値は102万8327円で、訴訟での残業代の請求金額の平均値は332万3515円、中央値は200万532円となっています。
【解決金額】
この統計には残業代以外にも含まれていますが、労働審判での残業代の請求金額の平均値は285万2637円、中央値は150万円で、訴訟での残業代の請求金額の平均値は613万4219円、中央値は300万円となっています。
残業代請求の勝率が高い5つのケース
以下のようなケースに該当する場合には、残業代請求の勝率が高いといえます。
十分な証拠がそろっているケース
残業代を請求するのは、残業をした労働者の当然の権利です。そのため、残業をしたことおよび残業代が未払いであることを立証できる十分な証拠がそろっているケースであれば、基本的には残業代の勝率が高いといえるでしょう。
会社が任意に残業代の支払いに応じなかったとしても、裁判になれば未払い残業代の支払いを命じてもらえる可能性が高いといえます。
名ばかり管理職に該当するケース
労働基準法では、経営者と一体的な立場にある労働者のことを「管理監督者」と定め、残業代の支払いを不要としています。
しかし、管理監督者に該当するかどうかは、重要な職務と権限を有しているか、労働時間に裁量が与えられているか、地位に相応しい待遇であるかなど実態に即して判断します。そのため、単に「課長」や「マネージャー」といった肩書だけで管理監督者として扱われている方は、「名ばかり管理職」にあたり、残業代請求の勝率が高いといえます。
なお、管理職の残業代・管理監督者該当性の詳細は、以下の記事をご参照ください。
みなし残業時間を超える残業をしているケース
みなし残業制度とは、あらかじめ一定時間分の残業代を基本給に含めて支払う制度です。
みなし残業制度が導入されている場合、みなし残業時間分の残業代はすでに支払い済みとなっていますが、みなし残業時間を超えて残業をした場合には、みなし残業代とは別に残業代を請求することができます。
みなし残業時間を超える残業をしているにもかかわらず、みなし残業代以外支払われていないようなケースでは、残業代請求の勝率が高いといえます。
なお、みなし残業代(固定残業代)制度でも残業代請求ができるケースについての詳細は、以下の記事をご参照ください。
労働時間にあたるのに残業代が支払われていないケース
労働時間とは、使用者による指揮命令下に置かれている時間をいいます。実際に作業をしている時間が労働時間にあたるのは当然ですが、以下のような時間も労働時間に該当する可能性があります。
・手待ち時間
・始業前の準備時間や終業後の片づけ時間
・研修や教育訓練の受講時間
・宿直勤務における仮眠時間
これらの時間が使用者による指揮命令下に置かれている時間と評価できるようであれば、残業代請求の勝率は高いといえます。
なお、労働時間と休憩時間のルールについての詳細は、以下の記事をご参照ください。
残業代を1分単位で計算していないケース
残業代は、本来は1分単位で計算しなければなりません。会社によっては、15分単位や30分単位で残業時間を管理しており、端数については切り捨てているところも少なくありません。
このような端数処理は、基本的には違法となりますので、端数分の残業代請求の勝率は高いといえるでしょう。
なお、残業時間の端数処理についての詳細は、以下の記事をご参照ください。
残業代請求の勝率が低い4つのケース
残業代請求の勝率が高い5つのケースを紹介しましたが、反対に、以下のようなケースについては残業代請求の勝率が低くなりますので注意が必要です。
証拠が不十分なケース
残業代請求をする際には、労働者の側で残業をしたことおよび残業代が未払いになっていることを証明しなければなりません。
これらを立証するための証拠が乏しいまたは不十分だと、会社から残業代を支払ってもらうことができず、裁判で争っても負けてしまう可能性が高いでしょう。
労働者に該当するかどうか争いがあるケース
残業代を請求できるのは、労働基準法上の「労働者」のみです。会社と業務委託契約を締結している個人事業主やフリーランスについては、基本的には労働者には該当しませんので、残業をしたとしても残業代を請求することはできません。
ただし、労働者性は、雇用契約や業務委託契約といった契約の名称ではなく、指揮監督下の労働であるか、報酬の労務対償性があるかなどを踏まえて実質的に判断します。そのため、会社と業務委託契約を締結して働いている方であっても残業代請求ができる可能性があります。
このように、労働者に該当するか微妙なケースや疑義があるケースでは、残業代請求の勝率が低くなることもあります。
なお、労働者と業務委託の判断基準についての詳細は、以下の記事をご参照ください。
残業が禁止されているのに勝手に残業をしていたケース
残業をする際には、事前に会社に申請をし、承認を得てから行うといった残業許可制が導入されている会社もあります。このような会社では、会社の承認を得ることなく勝手に残業をしたとしても、基本的には労働時間として認められず、残業代を請求することはできません。
ただし、以下のような事情がある場合には、例外的に残業代請求ができる可能性があります。
- ・残業をしなければ処理できないような業務量だった
- ・残業をしなければ納期に間に合わない状況だった
- ・残業をしていることを会社側が黙認していた
残業代請求権の時効が完成しているケース
残業代請求権には、時効がありますので、一定期間権利行使がないと時効により残業代を請求する権利が消滅してしまいます。具体的な残業代請求権の時効は、残業代の発生時期に応じて以下のように決められています。
- ・2020年3月31日以前に発生した残業代……2年
- ・2020年4月1日以降に発生した残業代……3年
残業代請求権の時効期間が経過してしまうと、十分な証拠がそろっている事案であっても残業代請求は認められません。
なお、残業代請求に負ける可能性のあるケースについては、こちらの記事もご参照ください。
残業代請求の勝率を上げるための3つのポイント
残業代請求の勝率を上げるためにも、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
残業代請求に必要な証拠をしっかりと集める
残業代請求の勝率は、証拠の有無によって左右されるといっても過言ではありません。十分な証拠がそろっていれば、基本的には残業代請求は認められるといえますので、まずは、しっかりと証拠を集めることが重要です。
残業代請求に必要となる証拠は、実際の事案に異なりますのが、代表的な証拠を挙げると以下のようなものがあります。
【残業代の未払いを立証するための証拠】
- ・雇用契約書
- ・就業規則
- ・賃金規程
- ・給与明細
- ・賃金台帳
【残業時間を立証するための証拠】
- ・タイムカード
- ・勤怠管理システムのデータ
- ・業務日報
- ・業務上のメール、LINE、チャットなどの履歴
- ・オフィスの入退室記録
- ・パソコンのログイン、ログアウト履歴
- ・残業時間を記載した手書きのメモ
なお、残業代請求に有効な証拠についての詳細は、以下の記事をご参照ください。
時効になる前に残業代請求を行う
残業代の時効期間は、各月の給料日ごとに進行しますので、長期間未払い残業代の請求をせずに放置していると、1か月ごとに残業代が失われてしまいます。時間が経てば経つほど請求できる残業代が減ってしまいますので、少しでも多くの残業代を請求するためにも時効になる前に残業代請求を行うことが大切です。
時効の完成が迫っているという場合には、内容証明郵便を利用して残業代請求をすることで、6か月間時効の完成を猶予することができます。一時的な措置になりますが、時効の完成を阻止する有効な手段となりますので、ぜひ利用してみるとよいでしょう。
残業代請求に強い弁護士に依頼する
残業代請求の勝率を上げるには、労働者個人で対応するのではなく残業代請求に強い弁護士に依頼するべきです。
残業代請求をするにあたっては、法的知識や経験が不可欠となります。十分な知識のない状態で残業代請求を行っても、不利な条件での和解になってしまったり、本来勝てるはずに裁判に負けてしまうなど勝率を下げるリスクが高くなってしまいます。残業代請求に強い弁護士のサポートがあれば、そのようなリスクを回避し、残業代請求の勝率を上げることができるといえるでしょう。
なお、残業代請求をしたことにより予想される会社からの報復とその対処法については、こちらの記事をご参照ください。
残業代請求の勝率を下げる可能性の3つの行動
以下のような行動は、残業代請求の勝率を下げる可能性がありますので注意が必要です。
証拠を処分してしまう
残業代請求の証拠というとタイムカードを思い浮かべる方が多いと思います。しかし、実際には、タイムカード以外にもさまざまなものが残業代請求の証拠となり得ます。
自分では「こんなものは証拠にはならないだろう」、「もう会社を辞めるからいらないものは処分してしまおう」などと考え、実は大事な証拠を処分してしまっているケースも少なくありません。
証拠がなければ残業代請求の勝率は大幅に減少しますので、自分の判断で証拠の取捨選択をするのは非常に危険です。些細な資料やデータであっても重要な証拠になる可能性もありますので、すべて保管しておくのが安全といえるでしょう。
不利な条件で和解に応じてしまう
会社に対して残業代請求を行うと、会社から和解案が提示されることがあります。残業代請求が認められたことで舞い上がって、会社の和解案にすぐに応じるのは禁物です。
なぜなら、会社から提示された和解案は、労働者にとって有利な内容であるとは限らないからです。多くのケースでは労働者の無知につけ込んで不利な内容の和解案になっていることがありますので、内容をしっかりと精査してから和解に応じるようにしましょう。
会社と和解が成立すると不利な内容であったとしても、後から和解をやり直すことはできませんので注意が必要です。
自分だけで対応してしまう
残業代請求には、専門的な知識や経験が不可欠になります。労働者個人で残業代請求ができないわけではありませんが、勝率を下げてしまう一因となります。そのため、会社に対して残業代請求をお考えの方は、できる限り専門家である弁護士のサポートを受けながら進めていくようにしましょう。
勝率を上げるなら残業代請求に強いグラディアトル法律事務所にお任せください
残業代請求の勝率を少しでも上げたいという場合には、残業代請求に強いグラディアトル法律事務所にお任せください。
残業代請求に関する豊富な実績と経験
残業代請求の勝率を上げるためには、残業代請求に強い弁護士に依頼することが重要になります。
グラディアトル法律事務所では、残業代請求に関する豊富な実績と経験がありますので、さまざまな事案に対応することができます。ご自身では難しいと感じるときは、まずは当事務所までご相談ください。
事案に応じて適切な証拠収集をサポート
残業代請求の勝率を上げるには、事前にしっかりと証拠を集める必要があります。しかし、どのような証拠が必要になるかは、具体的な事案によって変わってきますので、知識や経験がなければ適切な証拠収集は困難です。
グラディアトル法律事務所では、豊富な知識と経験に基づき、事案に応じた適切な証拠を収集し、取捨選択することができます。証拠の有無によって残業代請求の勝率は大きく変わりますので、事案に応じた適切な証拠収集をサポートできる当事務所までご相談ください。
会社側の反論を封じる熟練の交渉術
会社に対して残業代請求をしても、簡単に支払いに応じてくれることはありません。会社側は、さまざまな理屈で残業代の支払いを拒んだり、少しでも支払いを少なくしようとしてきます。
知識や経験がないと会社側の言い分に納得してしまい、不利な条件で和解に応じてしまうリスクが高くなりますので、会社との交渉は弁護士に任せるべきでしょう。グラディアトル法律事務所の弁護士は、豊富な知識や経験に基づいて会社側の反論を封じる熟練の交渉術を身につけています。会社との交渉が不安な方は、当事務所の弁護士にお任せください。
労働審判や訴訟対応のポイントを熟知
会社との交渉が決裂した場合には、労働審判の申立てや訴訟の提起が必要になります。
このような法的手続きが必要になると、一般の方では対応は困難ですので、弁護士のサポートが不可欠です。
グラディアトル法律事務所では、数多くの残業代請求の事案を扱っておりますので、労働審判や訴訟になった場合の判断のポイントを熟知しています。相手からの反論を踏まえた効果的な対応を行うことができますので、残業代請求の勝率を高めることが可能です。
まとめ
残業代請求の勝率は、事案によって異なりますが、一般的には十分な証拠がそろっているのであれば、勝率は高いといえます。残業代請求の勝率を高めるには、残業代請求に強い弁護士のサポートが必要になりますので、早めに弁護士に相談するのがおすすめです。
グラディアトル法律事務所では、残業代請求に関する相談については相談料無料で対応しております。会社への残業代請求をお考えの方は、当事務所までお気軽にご相談ください。