残業代請求で労働者が負ける6つのケースと負けを防ぐ4つの対策

残業代請求で労働者が負けるケースっと負けを防ぐ対策

「会社に対して未払いの残業代を請求したいが、負けるのが怖い」

「残業代請求で負けてしまうとどのようなリスクがあるのだろうか?」

「残業代請求で負けないようにするためにはどのような対処法があるの?」

残業時間に応じた残業代を請求することができるというのは、労働者として当然の権利です。未払いの残業代がある場合には、しっかりと会社に対して請求していくことが大切です。

 

しかし、労働者の中には、残業代請求で負けることが心配でなかなか行動に移せない方もいるでしょう。

そのような不安や心配は、残業代請求で労働者が負けるケースをきちんと理解しておけば解消されるはずです。

 

日本の労働基準法などの法律は、労働者に有利にできていますので、残業代請求で負けるリスクは高くはありません

 

本記事では、

  • 残業代請求で労働者が負ける6つのケース
  • 残業代請求で負けるのを回避するためにできる4つの対策
  • 残業代請求を弁護士に依頼するメリット

 

などについてわかりやすく解説します。

残業代請求は、弁護士に依頼することで負けるリスクを減らすことができますので、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

 

労働者が残業代請求で負ける可能性は低い!

労働者が残業代請求で負ける可能性は低い

残業代請求をしたくても「負けるのが怖い」などの理由から残業代請求を躊躇してしまう方もします。しかし、後述する6つのケースを除き、残業代請求で労働者側が負ける可能性は低いため、残業代請求を諦める必要はありません。

なぜなら、残業時間に応じて残業代を支払うのが会社の当然の義務であり、裁判の見通しは、タイムカードなどの証拠などからある程度明確に立てることができるからです。

そのため、未払いの残業代が発生している可能性がある場合には、すぐに弁護士に相談するようにしましょう。

 

残業代請求で労働者が負ける6つのケース

残業代請求は、労働者側が負ける可能性が低いとはいっても、以下のようなケースについては、労働者側が負ける可能性があります。そのため、これらのケースに該当するかどうかが、残業代請求を行うかどうかの一つのメルクマールとなります。

残業代請求で労働者が負ける6つのケース

 

残業代に関する証拠が不十分

会社に対して残業代請求をする場合、労働者の側で残業の事実を立証をしていかなければなりません。

残業代に関する証拠が不十分な状態だと、会社と交渉をしても支払いに応じてもらえず、裁判でも残業に関する立証がないとして請求を棄却される可能性が高いです。

そのため、残業代請求をするならしっかりと証拠を集めてから行わなければなりません。

 

残業代請求権の時効が成立していた

残業代請求には、時効がありますので、時効期間が経過して会社側から時効の援用をされてしまうと、残業代請求ができなくなってしまいます。

残業代の時効は、各月の給料日から3年(2020年3月31日以前の残業代は2年)とされています。時間が経てば経つほど未払いの残業代は時効によって消滅していきますので、未払いの残業代がある場合には、早めに請求していくことが大切です。

残業代請求の時効や時効を阻止する方法についての詳細は、以下の記事もご参照ください。

残業代の時効は3年!時効を阻止する方法と残業代請求の流れを解説

 

労働基準法上の管理監督者に該当する

労働基準法上の管理監督者とは、労働条件その他の労務管理について経営者と一体的な立場にある人のことをいいます。

管理監督者に該当する場合には、労働基準法上の労働時間・休憩・休日に関する規定が適用されないため、残業代の支払いが不要になります。

そのため、管理監督者から残業代請求をしても基本的には認められず、負けてしまいます。

ただし、管理監督者は、肩書などの形式的な地位ではなく、以下のような実態に基づいて判断するという点に注意が必要です。

  • 事業主の経営上の決定に参画して、労務管理上の決定権限を有しているか
  • 自己の労働時間について裁量があるか
  • 地位に相応しい待遇を受けているか

いわゆる名ばかり管理職に該当する場合には、上記の要素を満たしませんので、残業代請求は可能です。「店長」や「課長」などの肩書きがあったとしても、管理監督者ではないと判断されるケースも多いので、弁護士に確認しましょう。

管理監督者の該当性や管理職の残業代の詳細は、以下の記事もご参照ください。

「管理職の残業代は出ない」は間違い!違法なケースや請求方法を解説

 

固定残業代により残業代が支払われている

固定残業代(みなし残業代)とは、あらかじめ一定時間分の残業代を固定残業代として支給する制度です。

残業をしたとしても、固定残業代として設定されている残業時間の範囲内であった場合には、すでに残業代が支払われていますので、別途残業代を請求することができず、負けることがあります。

ただし、固定残業代が有効要件を満たさないような場合固定残業代で設定されている残業時間を上回っている場合には、別途残業代請求をすることができます

固定残業代(みなし残業代)の詳細は、追加で残業代を請求できるケースについては、以下の記事をご参照ください。

みなし残業代(固定残業代)に追加の残業代を請求できる6つのケース

 

労働時間とは認められなかった

残業代を請求するには、残業をした時間が「労働時間」といえなければなりません。

労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間をいいます。会社からの明確な残業指示がなかったとしても、会社が残業を知りながら放置していた、残業をしなければ終わらないような過大な業務を指示されたなど黙示の残業指示があったと認められれば、残業代請求は可能です。

しかし、会社から残業を禁止されている状況で残業をしていたようなケースでは、労働時間に該当しないと判断される可能性があります。このようなケースで残業代を請求しても負ける可能性が高いでしょう。

 

労働者性が否定された

会社に対して残業代を請求できるのは、労働基準法上の「労働者」に該当する場合に限られます。請負業務委託により働いている方は、労働基準法上の労働者には該当しませんので、残業代請求をすることはできません。

ただし、請負や業務委託に該当するかどうかは、単に契約の名称という形式面ではなく、実態に即して判断するという点に注意が必要です。具体的には、以下のような要素を踏まえて判断します。

労働者性が強い弱いの図

【業務遂行上の指揮監督】

指揮命令を受けて作業をしている場合には、労働者性が強く、自己の判断で作業ができるようであれば労働者性は弱い。

 

【時間的、場所的拘束性】

就業時間が決まっている、指定された場所で作業をするような場合には労働者性が強く、出勤時間や勤務場所が自由であれば労働者性は弱い。

 

【仕事の依頼や業務指示に対する諾否の自由】

与えられた仕事を断ることができなければ、労働者性が強く、自由に断ることができるのであれば労働者性は弱い。

 

【労務提供の代替性】

本人に代わって他の人が労務を提供することが認められていたり、本人の判断で補助者を使うことが認められている場合には、労働者性は弱い。

 

【報酬の性質】

報酬が時間給を基礎として計算されている場合や欠勤した場合に控除されるような場合には、労働者性が強く、出来高払いとなっている場合には労働者性は弱い

 

残業代請求で負けることを回避するための4つの対策

残業代請求で負けるkとを回避するための4つの対策

残業代請求で負けるのを回避するためには、以下の4つの対策が有効です。

 

事前に十分な証拠を収集する

残業代請求で負けるのを回避するために特に重要になるのが、残業代に関する十分な証拠を集めるという点です。裁判は、証拠の有無によって結論が決まるといっても過言ではありませんので、あらかじめ十分な証拠を確保しておくことができれば、裁判で負ける可能性を低くすることができます。

残業に関する代表的な証拠としては、タイムカードが挙げられますが、タイムカードがなかったとしても、以下のような証拠によって残業を立証することができます。

  • 残業を指示するメールやチャット
  • パソコンのログ記録
  • 労働時間が記録された業務日報
  • 入退室記録
  • 残業時間を記録したメモ

 

時効の完成を阻止するための措置を講じる

残業代が時効になってしまえば、十分な証拠がそろっていたとしても、負けてしまいます。時効の完成が迫っているという場合には、以下のような措置を講じることで残業代の時効期間の進行をストップまたはリセットすることができます。

  • 内容証明郵便を利用して会社に残業代請求をする
  • 労働審判を申し立てる
  • 訴訟を提起する


すぐに労働審判や訴訟を提起できないときは、
内容証明郵便を送ることで、時効期間の進行をストップさせて、6か月間時効の完成を猶予することができます。そのため、まずは内容証明郵便の送付を行うようにしましょう。

 

会社側の反論を想定して準備をする

労働者側の残業代請求に対しては、以下のような反論が会社側から出てくる可能性があります。

  • 残業指示をしていない
  • 固定残業代を支払っている
  • 管理職だから残業代は出ない

このような反論が出てきたとしても十分対応できるだけの証拠を集めておけば、負ける可能性は低くなります。残業代請求には、さまざまな争点がありますので、事前に会社側の反論を想定して準備を行うことが大切です。

 

弁護士に相談する

時効の問題や会社側の反論を想定して準備をするには、労働問題に関する知識や経験が欠かせません。労働者個人では適切な対応が難しいことも多いため、残業代請求を考えている方は、まずは弁護士に相談するのがおすすめです。

労働問題に詳しい弁護士であれば、残業代請求の見通しをしっかりと立てたうえで、適正なアドバイスやサポートをしてくれるはずです。

 

残業代請求を弁護士に依頼するメリット

残業代請求を弁護士に依頼するメリット

未払いの残業代請求を弁護士に依頼すると、以下のようなメリットが得られます。

 

残業代請求に必要な証拠収集をサポートしてもらえる

残業代請求を成功させるためには事前の証拠収集が非常に重要になります。

弁護士に依頼すれば、残業代請求にどのような証拠を必要になるかアドバイスしてもらうことができ、必要な証拠収集をサポートしてもらうことができます。労働者自身では集めることが難しい証拠であっても、会社に対する任意の開示請求や裁判所の証拠保全手続きなどを利用することで、証拠を集めることが可能です。

「この証拠で残業代請求できるのだろうか」などのお悩みは、弁護士に相談することで解決できますので、まずは弁護士にご相談ください。

 

会社との交渉や裁判手続きを任せることができる

労働者個人で会社と交渉をしても、まともに取り合ってくれなかったり、不利な条件での示談を迫られるリスクがあります。

このようなリスクを回避するためにも、残業代請求は弁護士に任せるべきです。弁護士であれば、労働者の代わりに会社との交渉を行うことができますので、労働者の負担を最小限に抑えることができます。また、交渉が決裂したとしても引き続き労働審判や訴訟の対応を任せることができます。

 

完全成功報酬制なら負けた場合のリスクも小さい

残業代請求で負けると、弁護士に支払った費用が無駄になってしまうことも、残業代請求を躊躇する理由の一つです。

しかし、弁護士は、証拠関係に基づいて残業代請求に関する見通しをある程度立ててくれますので、そもそも負ける可能性が濃厚な事案については、事前に弁護士から説明があるはずです。弁護士に依頼するかどうかは、残業代請求の見通しを踏まえて判断できますので、費用倒れになるリスクは小さいといえます。

それでも不安な場合には、完全成功報酬制を採用している弁護士に依頼するとよいでしょう。完全成功報酬制であれば、弁護士に依頼する際に必要になる着手金の支払いがありませんので、費用倒れのリスクを最小限に抑えることができます。

 

残業代請求はグラディアトル法律事務所にお任せください!

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グラディアトル法律事務所では、残業代に関するトラブルなどの労働問題について豊富な解決実績があります。

また、当事務所では初回法律相談無料、着手金0円からの完全成功報酬制(※タイムカードなど証拠の有無により変動あり)を採用していますので、弁護士費用の不安なくご相談にお越しいただけます。

未払い残業代などが横行する悪質な企業で苦しんでいる人を助けたいという思いから、当事務所では親身になってお話をお伺いしますので、まずはお気軽に当事務所までご相談ください。

 

まとめ

残業代請求では、十分な証拠がそろっていれば、労働者側が負ける可能性は低いです。しかし、残業代請求に関する証拠をそろえるには、労働者個人で対応できる範囲には限りがありますので、専門家である弁護士によるサポートが必要です。

労働問題の解決実績豊富な弁護士であれば、証拠収集、残業代計算、会社との交渉、裁判手続きなどを迅速かつ適切に進めていくことができます。残業代請求で負けるリスクを少なくするためにも、残業代請求は労働問題の解説実績豊富なグラディアトル法律事務所までご相談ください。



弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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