「みなし残業代をもらっているけど、実際の残業時間のほうが長い。
追加で残業代を請求できればいいのに……」
このように “モヤモヤした気持ち” を抱えながら、諦めている方が非常に多くいます。
しかし、みなし残業代を受け取っていても、追加請求は可能です。
この記事を読めば、みなし残業代に隠されている問題点を把握し、適切に追加の残業代を請求するための知識が身につきます。
具体的には、追加の残業代を請求できる6つのケースを紹介し、実際に請求する流れも解説します。
みなし残業代の仕組みを正しく理解し、自身の権利を守ることが重要です。長時間労働による健康被害を防ぎつつ、正当な報酬を得られるようにしていきましょう。
目次
みなし残業代を受け取っていても追加請求は可能
みなし残業代を受け取っているからといって、それですべての残業代が支払われたわけではありません。
最初に、「みなし残業代(固定残業代)」の概要と、残業代を支払う会社の義務について、簡単に確認しておきましょう。
そもそも「みなし残業代(固定残業代)」とは?
みなし残業代とは、実際の残業時間にかかわらず、あらかじめ一定額の残業代を給与に含めて支払う制度のことをいいます。
法律に明文規定はありませんが、厚生労働省のサイトでは、以下のとおり説明されています。
(略)これは、定額残業制と呼ばれているものです。また、固定残業制、みなし割増賃金制とも呼ばれることもあります。定額残業制は、法律に明文規定はありませんが、法定時間外労働、法定休日労働、深夜労働に対する割増賃金をあらかじめ定額の手当等の名目で、あるいは基本給の一部として支給する制度をいいます。
たとえば、月給30万円のうち5万円をみなし残業代として支給する場合、残業の有無にかかわらず毎月5万円が支払われます。
※補足:みなし残業代は、「固定残業代」や「定額残業代」とも呼ばれます。本記事中では基本的に「みなし残業代」と表記しますが、公的資料の引用部分などで、ほかの表記が混在する部分があります。意味は同じです。
みなし残業代をめぐるトラブルが増えている
厚生労働省の資料では、
〈近年、募集要項や求人票の「固定残業代」を含めた賃金表示をめぐるトラブルが見受けられます〉
と指摘されています。
以下のとおり、「賃金に関すること (固定残業代を含む)」の苦情や申出が突出しています。
出典:厚生労働省「固定残業代を賃金に含める場合は、 適切な表示をお願いします」
残業代の支払いは会社の法的義務
トラブルが増えている現状において、従業員として働く方々が、まず知っておくべきことがあります。
それは、「法律で定められた残業代を支払ったり、法定労働時間を超えて働かせないよう管理したりすることは、企業の法的義務」ということです。
職場によっては、長時間労働やサービス残業が常態化しているケースもあります。自主的に残業する従業員もいるなか、自分だけ声を上げる勇気を持てずに、泣き寝入りしている方もいるでしょう。
しかし、疑問を感じながら、迎合する必要はありません。
従業員を管理監督して適正な労働時間内に収めることや、労働の対価として残業代を支払う必要性は、雇用する使用者(企業)側は、当然の義務として知っていることだからです。
以下では、より具体的に、みなし残業代に追加分を請求できるケースをご紹介します。あなたの会社が適切な対応をしているかどうか、確認してみてください。
みなし残業代に追加分を請求できる6つのケース
みなし残業代をもらっていても、残業代請求できるケースとして、以下が挙げられます。
- 1,実際の残業時間がみなし残業時間を超過している
- 2,時間外・休日・深夜の割増賃金が支払われていない
- 3,就業規則や雇用契約書での詳細の周知がされていない
- 4,基本給が最低賃金を下回っている
- 5,実労働時間を会社が管理していない(給与明細に残業時間の記載がない)
- 6,管理職との理由で追加残業代が支払われていない
それぞれ、以下で詳しく見ていきましょう。
実際の残業時間がみなし残業時間を超過している
1つめのケースは「実際の残業時間がみなし残業時間を超過している」です。
たとえば、月20時間分のみなし残業代が支給されており、実際の残業時間が月35時間に及んだ場合、超過した15時間分の残業代を請求できます。
みなし残業時間を超える労働に対して、追加の残業代が支払われることは、募集要項や求人票などに明記するよう定められています。
たとえば、以下のように表記されているはずですので、確認してみてください。
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月給 24万円~
上記額にはみなし残業代(月20時間分、3.2万円分)を含みます。 ※超過分は全額支給します。
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時間外・休日・深夜の割増賃金が支払われていない
2つめのケースは「時間外・休日・深夜の割増賃金が支払われていない」です。
労働基準法では、法定労働時間を超える労働や、法定休日の労働、深夜労働(22時から翌朝5時まで)について、割増賃金の支払いを義務付けています。
出典:東京労働局「しっかりマスター労働基準法 割増賃金編」
みなし残業代にこれらの割増分が含まれていない場合、別途、割増賃金を請求できます。
たとえば、「みなし残業代(月20時間分、3.2万円分)」の場合で、この金額に割増分が含まれていないとします。
20時間の残業を深夜(22時〜朝5時)に行った場合、25%以上の割増率が適用され、以下の割増分を請求できます。
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3.2万円(月20時間分) × 25%(深夜手当の割増率) = 8千円
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就業規則や雇用契約書での詳細の周知がされていない
3つめのケースは「就業規則や雇用契約書での詳細の周知がされていない」です。
ここまでを読みながら、
「自分はどんな雇用契約になっているのか、よくわからないから、計算できない」
と感じた方は、このケースに当てはまるかもしれません。
みなし残業代制度を導入するには、求人票や就業規則、雇用契約書・労働条件通知書などに詳細を明記し、労働者に周知することが義務付けられています。
出典:厚生労働省「労働条件をめぐる悩みや不安・疑問は労働条件相談ほっとラインへ」
具体的には、以下の内容を明示する必要があります。
(1)固定残業代を除いた基 本給の額
(2)固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法
(3)固定残業時間を超える時間外労働、休日労働および深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨
出典:厚生労働省「固定残業代を賃金に含める場合は、 適切な表示をお願いします」
これらの内容を、働く方自身が把握できていない場合、みなし残業代の有効性が否定され、実際の残業時間に基づく割増賃金の支払いを求められる可能性があります。
基本給が最低賃金を下回っている
4つめのケースは「基本給が最低賃金を下回っている」です。
使用者(企業)は、最低賃金法で定められた最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない、と定められています。
みなし残業代を受け取っている場合に注意したいのは、最低賃金の対象となる賃金に、みなし残業代は含まないことです。
【最低賃金の対象となる賃金】
最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金です。具体的には、実際に支払われる賃金から次の賃金を除外したものが最低賃金の対象となります。
(1)臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
(2)1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
(3)所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
(4)所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
(5)午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
(6)精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
月給制の場合、計算式は以下のとおりです。
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月給(最低賃金の対象となる賃金のみ) ÷ 1か月平均所定労働時間※ ≧ 最低賃金時間額
※年間所定労働時間を12か月で割った、1か月あたりの平均の所定労働時間
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最低賃金額は地域によって異なり、随時改訂されます。最新の情報を、厚生労働省のサイト「地域別最低賃金の全国一覧 」にて確認しましょう。
たとえば、本記事執筆時点での東京都の最低賃金時間額は1,113円(発効年月日 令和5年10月1日)です。
以下は計算例です。
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・1年間の所定労働日数260日、1日の所定労働時間8時間
・基本給18万円 + みなし残業代5万円=23万円の月額給与
・1か月の平均所定労働時間:260日×8時間÷12か月=173.33時間
18万円(最低賃金の対象となる賃金) ÷ 173.33時間(1か月平均所定労働時間)=1,015円
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東京都であれば、1,015円は最低賃金の1,113円を下回りますので、上記は違法となります。
最低賃金を超える基本給の請求に加えて、適法の基本給に基づいたみなし残業代金額の請求が可能です。
実労働時間を会社が管理していない(給与明細に残業時間の記載がない)
5つめのケースは「実労働時間を会社が管理していない(給与明細に残業時間の記載がない)」です。
みなし残業代を採用している場合でも、会社は労働者の実労働時間を適正に把握する義務があります。
【参考:労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置】
・始業・終業時刻の確認・記録:使用者は、労働時間を適正に管理するため、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録すること。
・始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法:使用者が始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、原則として次のいずれかの方法によること。
(ア)使用者が、自ら現認することにより確認し、記録すること。
(イ)タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録すること。
給与明細に残業時間の記載がない場合は、残業時間の管理が適切に行われていない可能性があるといえるでしょう。
適切に管理した結果、実労働時間がみなし残業代分の労働時間を超過すれば、追加の残業代を請求できます。
なお、注意したいのが「みなし労働時間」と「みなし残業代」の混同です。みなし労働時間とみなし残業代は、まったく別の制度ですので、整理しておきましょう。
みなし労働時間では、会社は実労働時間を把握する必要はありません。そもそも、それが難しい場合に採用される制度です。
しかし、本記事の主題である「みなし残業代」では、企業は従業員の実労働時間を把握しなければなりません。みなし残業代の残業時間を超える分について、追加の残業代を支払う必要があります。
管理職との理由で追加残業代が支払われていない
6つめのケースは「管理職との理由で追加残業代が支払われていない」です。
「管理職になると残業代がもらえない」というのは大きな誤解ですので、認識をあらためておきましょう。
たしかに、労働者を保護する目的で制定されている労働基準法では、
「労働条件の決定その他の労務管理について、経営者と一体的な立場にある者(=管理監督者)」
を、時間外手当(残業代)や労働時間などに関する規定の適用除外としています。
その理由は、自らの労働時間を自らの裁量で決定でき、なおかつ、相応の待遇を受けられるためです。
出典:日本労働組合総連合会「Q&A労働基準法の「管理監督者」とは?」より作成
一方、経営者と一体的な立場にないのに、社内規定上の「管理職」であるという理由だけで、労働基準法の保護から除外するのは、違法です。
職場で管理職と呼ばれる役職でも、「管理監督者」にあてはまらなければ、一般の従業員と同じく労働基準法の規定が適用されます。管理監督者の判断としては、以下のような判断基準が用いられます。
出典:日本労働組合総連合会「Q&A労働基準法の「管理監督者」とは?」より作成
管理職の残業問題については、以下の記事で詳しく取り上げました。あわせてご覧ください。
以上、追加の残業代を請求できる6つのケースについて解説しました。
- 1,実際の残業時間がみなし残業時間を超過している
- 2,時間外・休日・深夜の割増賃金が支払われていない
- 3,就業規則や雇用契約書での詳細の周知がされていない
- 4,基本給が最低賃金を下回っている
- 5,実労働時間を会社が管理していない(給与明細に残業時間の記載がない)
- 6,管理職との理由で追加残業代が支払われていない
自身の労働条件を適切に把握し、不当な扱いを受けていないか確認することが大切です。
もし問題があれば、上司や人事部門、労働基準監督署などに相談し、適切な対応を求めていくことが重要です。具体的なステップについては、次章でご紹介します。
みなし残業代に追加の残業代を請求する際の流れ
みなし残業代の請求を検討している方は、以下のステップに沿って準備を進めましょう。
- (1) 証拠を残しておく
- (2) 自身の労働条件を確認する
- (3) 会社に相談する
- (4) 労働基準監督署に相談する
- (5) 弁護士に相談し法的手段を検討する
以下でそれぞれ解説します。
証拠を残しておく
1つめのステップは「証拠を残しておく」です。
追加の残業代を請求する際は、残業時間や業務内容の証拠を残しておくことが重要です。
会社側との交渉や、法的手続きを行う場合に、客観的な証拠がなければ、請求が認められない可能性があります。日頃から残業時間を証明する資料を収集し、整理しておきましょう。
【残業時間を証明する資料の例】
・タイムカードの記録:出退勤時刻を記録するタイムカードは、残業時間を証明する有力な証拠となります。
・パソコンのログ:社内のパソコンを使用している場合、ログオン・ログオフの時刻が記録されています。この記録は、残業時間を裏付ける証拠となります。
・業務日報:日々の業務内容や時間を記録した業務日報は、残業時間だけでなく、業務内容も証明できる重要な資料です。
・メールやチャットの記録:送信時間のほか、上司や同僚とのメールやチャットのやり取りの中に、残業を指示された内容や残業時間に関する記述がある場合は、証拠として活用できます。
・会議や打ち合わせの記録:残業時間に及ぶ会議や打ち合わせに参加した場合は、議事録や参加者リスト、配布資料などを保管しておくと、証拠として使えます。会議室の予約記録や、会議に関するメールのやり取りも、状況を裏付ける資料となります。
自身の労働条件を確認する
2つめのステップは「自身の労働条件を確認する」です。
自分がどのような条件で働いているのか、明確に理解していなければ、適切な請求ができません。
就業規則や雇用契約書・労働条件通知書、給与明細などを確認し、みなし残業代の内容や適用範囲、金額などを把握することから始めます。
【労働条件の確認ポイント】
・就業規則の確認:就業規則には、労働時間や残業、休日出勤など、労働条件に関する基本的なルールが定められています。みなし残業代に関する規定があるか、どのような内容か、しっかりとチェックしましょう。就業規則は、入社時に交付されるものですが、最新版を人事部などに請求することもできます。
・雇用契約書の確認:雇用契約書は、労働者個人の労働条件を定めたものです。就業規則よりも具体的に、みなし残業代の適用範囲や金額などが記載されているはずです。自分が署名・捺印した雇用契約書の内容を、改めて確認してみましょう。
・給与明細の確認:給与明細は、毎月の給与の内訳を示したものです。基本給とは別に、みなし残業代が支給されているか、金額はいくらか、残業時間の記載はあるかなど、詳細に確認します。
・シフト表やタイムカードとの照合:自分の実際の労働時間を把握するために、シフト表やタイムカードを確認することも大切です。残業が発生している日や時間帯、休日出勤の頻度などを明らかにし、みなし残業代の範囲内に収まっているかを確かめます。日々の労働時間を記録しておくと、より正確な状況把握につながります。
・労使協定の確認:労使協定とは労使(労働者と使用者)間で結ぶ協定のことです。残業や休日出勤は協定で定められた範囲内でしか行えません。自社の労使協定の内容を確認し、みなし残業代の適用範囲と整合しているかをチェックしましょう。
会社に相談する
3つめのステップは「会社に相談する」です。
みなし残業代に追加の残業代を請求する必要があると判断した場合、まず会社に相談し、建設的な対話を通じた解決を目指しましょう。
この際、つい攻撃的な態度を取ってしまうことがあります。正当な権利を主張することは大切ですが、不必要な対立は、その後の職場環境を悪化させかねません。
まずは、円滑なコミュニケーションを心掛けることが、問題解決の近道となります。
上司や人事部門に対しては、冷静さを保ちつつ、丁寧に現状を説明するよう心がけましょう。感情的にならず、客観的な事実に基づいて、現状を報告することが肝要です。
そのうえで、会社の出方を見極め、その後の対応を考えます。たとえ、失望するような対応をされたとしても、静かに次の一手を考えるのが賢明です。
労働基準監督署に相談する
4つめのステップは「労働基準監督署に相談する」です。
会社との直接交渉で解決の糸口が見えない場合、労働基準監督署に相談するという選択肢があります。
労働基準監督署は、労働基準法に違反する企業への指導や、賃金の未払い・労働災害の相談などを行っている、厚生労働省所轄の部署です。
出典:厚生労働省「労働局」より作成
全国の労働基準監督署は、厚生労働省サイトの「全国労働基準監督署の所在案内」から確認できます。
労働基準監督署への相談は、直接訪問や電話、メールなど、さまざまな方法で行うことができます。
状況に応じて、適切な相談方法を選択しましょう。
また、「労働基準関係情報メール窓口」より、匿名で情報提供することもできます。
留意点としては、法律に基づいて使用者(会社)に適切な対応を求めるのが、労働基準監督署の役割です。会社へ是正勧告や指導を行う権限を持っていますが、個別の労働紛争を直接解決する権限はありません。
個別の対応は、次のステップでご紹介する弁護士への相談をご検討ください。
弁護士に相談し法的手段を検討する
5つめのステップは「弁護士に相談し法的手段を検討する」です。
会社との交渉や労働基準監督署への相談でも解決しない場合には、弁護士へ相談する流れとなります。
弁護士は、労働問題や訴訟手続きに精通した専門家であり、個別の事案に応じたきめ細やかなアドバイスを提供してくれます。
単に法律の解釈や適用だけでなく、交渉術や訴訟戦略など、実践的な観点からも的確な助言が得られるでしょう。
会社との交渉が難航しているケースや、多額の未払い残業代が発生しているケースなどでは、弁護士に相談することを強くおすすめします。
弁護士に相談する際のポイントは、労働問題に強い弁護士を選ぶことです。
たとえば、グラディアトル法律事務所は、残業代請求・不動解雇・退職代行など、労働問題に強い事務所として、無料相談を受け付けています。
弁護士への相談は、みなし残業代の問題解決に向けた最後の切り札ともいえます。法的知識と交渉力を兼ね備えた心強い味方を得ることで、交渉を優位に進めていきましょう。
まとめ
本記事では「みなし残業代(固定残業代)」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。
みなし残業代に追加分を請求できる6つのケースとして、以下をご紹介しました。
- 1,実際の残業時間がみなし残業時間を超過している
- 2,時間外・休日・深夜の割増賃金が支払われていない
- 3,就業規則や雇用契約書での詳細の周知がされていない
- 4,基本給が最低賃金を下回っている
- 5,実労働時間を会社が管理していない(給与明細に残業時間の記載がない)
- 6,管理職との理由で追加残業代が支払われていない
みなし残業代に追加の残業代を請求する際の流れは、以下のとおりです。
- (1) 証拠を残しておく
- (2) 自身の労働条件を確認する
- (3) 会社に相談する
- (4) 労働基準監督署に相談する
- (5) 弁護士に相談し法的手段を検討する
みなし残業代は、違法な運用がなされていないか、正当な残業代が支払われているか確認することが大切です。
不足分がある場合は、追加の残業代を請求する権利があります。心身ともに健全な働き方を実現できるよう、行動を起こしていきましょう。