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風営法違反(無許可営業)で有罪・無罪になった判例を弁護士が解説

弁護士 若林翔 2025/04/25更新

風営法違反(無許可営業)で無罪となった判例

「風営法違反で有罪・無罪になった判例の内容が知りたい」

「判例を踏まえると風営法違反の量刑はどのくらいになる?」

「風営法違反を犯してしまったときに弁護士を依頼するメリットとは?」

風営法違反を犯して起訴されると、99%以上の事件が有罪になるため、無罪判決を獲得するのは至難の業である。もっとも、少ないながらも風営法違反で無罪になった判例もあるため、冤罪であればしっかりと争っていくことが重要だ。

また、風営法上の許可を得ずに風俗店の営業をするなどの無許可営業は、風営法違反のよくある類型の一つであるため、判例でどのような判断がなされているのかをみることも風営法違反を予防する観点からは有益である。

風営法違反の判例に触れる機会はほとんどないかもしれないが、この機会に目を通してみてほしい。

本記事では、

・風営法違反(無免許営業)で無罪となった判例

・風営法違反(無免許営業)で有罪となった判例

・判例を踏まえた風営法違反(無免許営業)の量刑相場

についてわかりやすく解説する。

万が一風営法違反をしてしまったときは、風営法に強い弁護士によるサポートが必要になるため、すぐに弁護士に依頼するようにしてもらいたい。

風営法違反・無許可営業についての詳細や二つの類型、逮捕事例などについては、以下の記事も参照してほしい。

【罰金3億円?】風営法・無許可営業の最新リスクと回避方法

 

風営法違反(無許可営業)で無罪となった判例

風営法違反(無許可営業)で無罪となった判例

無許可営業で起訴されたものの、無罪となった判例には以下のようなものがある。これは最高裁まで争われて無罪が確定した事案である。

 

事案の概要

被告人は、大阪市北区において、設備を設けて客にダンスをさせ、かつ、客に飲食をさせるクラブ『A』を経営する者であるが、B、Cらと共謀の上、大阪府公安委員会から風俗営業(第3号営業)の許可を受けないで、平成24年4月4日午後9時43分頃、同店内において、ダンスフロア等の設備を設け、不特定の来店客であるDらにダンスをさせ、かつ、酒類等を提供して飲食させ、許可を受けないで風俗営業を営んだという無許可営業の罪で起訴された。

本件事案では、被告人が上記の日時・場所で風営法の3号営業を営んだといえるかどうかが主な争点になっている。

 

一審|大阪地裁平成26年4月25日判決

一審の大阪地裁では、以下のような事実認定および理由により、被告人に無罪の判決を言い渡した。

本件イベントにおいて客がしていたダンスは、流れていた音楽のリズムに合わせてステップを踏んだり、それに合わせて手や首を動かすというものが大半であり、比較的動きの激しいものでもボックスステップを踏んだり腰をひねったりするという程度で、客同士で体を触れ合わせて踊っていたこともない。したがって、客のしていたダンスそれ自体が性風俗秩序の乱れにつながるような態様のものであったとはいえない。

また、DJブースやモニターがあったフロアでは、DJが英国のロック音楽を大音量で流すとともにこれに合わせてモニターに映像が流され、客を盛り上げるような演出を行っていたこと、その結果、フロアにいた客はDJブースの側により多く集まり、近いところでは客同士が30cm程度の距離にあったことが認められるが、客同士が接触するような状態には至っておらず、フロアでもその時々によって椅子に座って音楽を聞いている客もいたというのであるから、単に音楽や映像によって盛り上がりを見せていたという域を超えていたとは認めることができない。

そのほか、本件イベントにおいて、来店する客に露出度の高い服装の着用を促すなど、殊更にわいせつな行為をあおるような演出がされていたなどの事実は認められない。

以上の事実を総合すると、酒類が提供されており、フロアが相当程度暗い状況にあったことを踏まえても、本件当日、本件店舗において、歓楽的、享楽的な雰囲気を過度に醸成し、わいせつな行為の発生を招くなど、性風俗秩序の乱れにつながるおそれが実質的に認められる営業が行われていたとは、証拠上認めることができない。

そうすると、被告人が、本件公訴事実記載の日時場所において、本件各規定の構成要件に該当する行為、すなわち3号営業を無許可で営んだということはできないというべきである。

 

二審|大阪高裁平成27年1月21日判決

検察官は一審の無罪判決に対して控訴をしたものの、二審の大阪高裁も以下の理由から控訴を棄却し、一審の判断を維持した。

①風営法2条1項3号の「ダンスの意義」について風営法2条1項3号にいう「ダンス」とは、男女が組になり、かつ、身体を接触して踊るのが通常の形態とされているダンスを指し、風営法が3号営業として規制する営業は、設備を設け、このようなダンスを客にさせ、かつ、客に飲食をさせる営業であると解するのが相当である。

②本件営業の3号営業該当性について

被告人が本件店舗において、ステージ、フロア、DJブースなど、客にダンスをさせるための設備を設け、客に飲食をさせる営業を行っていたことは明らかである。

しかし、平成24年4月4日午後9時43分頃、警察官が本件店舗での営業を確認した際には、男女合計約20人の客が音楽に合わせて踊っていたが、客同士で身体を接触して踊る様子は見られず、平成23年3月26日及び平成24年3月30日に警察官が本件店舗の営業を確認した際にも、そのようなダンスが行われている様子は見られなかったのであり(原審証人D、同E、同F)、その他の機会においても、同様であったと認めてよい(原審被告人38、67頁)。

そうすると、本件の証拠関係からは、被告人が本件店舗において、男女が組になり、かつ、身体を接触して踊るのが通常の形態とされているダンスを客にさせる営業を行っていた事実を認定することはできない。

 

最高裁|最高裁平成28年6月7日決定

検察官は、二審の無罪判決に対して上告をしたものの、最高裁は以下のような理由から上告を棄却し、被告人の無罪判決が確定した。

検察官の上告趣意のうち、憲法の解釈の誤りをいう点は、原判決が所論のような憲法の解釈を示したものとはいえないから、前提を欠き、最高裁昭和43年(行ツ)第120号同50年4月30日大法廷判決・民集29巻4号572頁を引用して判例違反をいう点は、同判例は事案を異にし、本件に適切でなく、福岡高裁宮崎支部昭和54年(う)第21号同年7月17日判決を引用して判例違反をいう点は、同判例が所論のような趣旨の法律判断まで示したものではないから、前提を欠き、その余は、単なる法令違反の主張であって、刑訴法405条の上告理由に当たらない。

 

風営法違反(無許可営業)で有罪となった判例

風営法違反(無許可営業)で有罪となった判例

次は、風営法の無許可営業により起訴され有罪となった判例を紹介する。

 

無許可営業で執行猶予(懲役6月・執行猶予3年)となった判例|東京地裁令和3年9月8日判決

【事案の概要】

被告人は、

①東京都G区において、客席等の設備を設けて営業を営む飲食店「F」を経営するものであるが、東京都公安委員会の風俗営業の許可を受けないで、同店において、不特定多数の客に対し、同店従業員らに、談笑の相手をさせるとともに、酒類等を提供して飲食させるなどの接待をして遊興飲食をさせ、

②同区において、客席等の設備を設けて営業を営む飲食店「H」を経営するものであるが、東京都公安委員会の風俗営業の許可を受けないで、同店において、不特定多数の客に対し、同店従業員らに、談笑の相手をさせるとともに、酒類等を提供して飲食させるなどの接待をして遊興飲食させ、

もって無許可で設備を設けて客の接待をして客に遊興及び飲食をさせる営業を営んだという無許可営業の罪で起訴された。

 

【裁判所の判断】

被告人は、相当期間にわたり、所要の許可を得ることなく、他者の名義を借りてキャバクラ店2店舗を経営し、大きな利益を上げていたもので、大胆、悪質な犯行である。

もっとも、被告人は前科がなく、反省の態度を示していることから、懲役6月執行猶予3年および罰金100万円の判決が言い渡された。

なお、本件では、クレジットカード売上未払い債権113万2797円が没収され、4034万8615円が追徴されている。

 

無許可営業で罰金刑(罰金80万円)となった判例|和歌山地裁令和2年7月22日判決

【事案の概要】

被告人は、

①和歌山県公安委員会から風俗営業の許可を受けて、A市(省略)C102号室において社交飲食店「D」を営んでいたものであるが、同店店長E及び同店従業員Fと共謀の上、被告人の前記営業に関し、令和2年1月24日午後11時34分頃、前記C南側通路において、同所を通行していたGらに対し、同店の客とするため、前記Fが、「よかったらどうですか。お店決まっています。今日、女の子15人いてるんで、今いけますよ。一応80分5000円で消費税かかるんで、全部別で。3人付きます。」などと言って誘い、もって当該営業に関し客引きをし、

②同市(省略)H11号室において社交飲食店「D」を営んでいたものであるが、前記Eと共謀の上、和歌山県公安委員会から風俗営業の許可を受けないで、同年2月3日から同月7日までの間、同店において、客席等の設備を設けて、客であるIらに対し、同店従業員Jらに客席に同席させて談笑させるなどして接待をさせるとともに、酒類を提供して飲食をさせ、もって無許可で風俗営業を営んだ

という客引きおよび無許可営業の罪で起訴された。

 

【裁判所の判断】

被告人は、平成31年4月に和歌山県公安委員会に宛てて従業員に客引きをさせず許可を受けるまで風俗営業をしない旨の誓約書を提出していたにもかかわらず、自己の経営する店の売上を上げるためという安易かつ自己中心的な動機で判示各犯行を主導したもので、法軽視の態度が著しく、客引きは常習的であるが、移転先の店舗における無許可営業の期間は比較的短い。

以上に加え、被告人が判示各犯行をいずれも認めるに至って二度と犯罪をしないと誓っていること、被告人には過失犯による罰金前科1犯があるものの他に前科はないこと、被告人の父親が出廷して被告人の監督を約束したことなども考慮すると、被告人に対しては、罰金刑を選択の上、主文の刑に処するのが相当であるとして、罰金80万円の判決が言い渡された。

 

無許可営業で略式命令(罰金100万円・50万円)となった判例|東京簡裁平成30年2月16日略命

被告人Aは、東京都(以下略)Aビル2ないし4階において飲食店「B」を営む株式会社Cの代表取締役、被告人Bは、同店店長であるが、同会社の営業に関し、同店従業員であるCと共謀の上、東京都公安委員会から特定遊興飲食店営業の許可を受けないで、平成30年1月28日午前2時17分頃、同店において、DJブース及びバーカウンター等の設備を設け、DJであるDらをして音楽をかけさせるとともにミラーボールによる演出等を行って、Eら不特定の客に、ダンスをさせ、かつ、酒類を提供して飲食をさせ、もって深夜において無許可で設備を設けて客に遊興をさせ、かつ、客に飲食をさせる営業を営んだという無許可営業の罪で略式命令請求となり、被告人Aに対して罰金100万円、被告人Bに対して罰金50万円が言い渡された。

 

判例を踏まえた風営法違反(無許可営業)の量刑相場

判例を踏まえた風営法違反(無許可営業)の量刑相場

検察統計によると風営法違反で起訴された事件の約87%が略式命令請求となっている。このことから、風営法違反で起訴された事件の大半は罰金刑であるといえる。

無許可営業で有罪になった場合の罰金刑の量刑は、被告人がどのような立場にあったのか、無許可営業を営んでいた期間はどのくらいかなどの要素によって変わってくるが、80~100万円程度が相場といえるだろう。

なお、風営法の無許可営業に関しては、2025年3月7日に閣議決定された改正風営法により罰則が大幅に強化されている点に注意が必要である。

改正前の風営法では、無許可営業に対して「2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金またはこれらの併科」という罰則であったものが、改正風営法では、「5年以下の拘禁刑もしくは1000万円以下の罰金または併科」となり、懲役(拘禁刑)の上限および罰金刑の金額がそれぞれ引き上げられた。

また、法人への両罰規定についても改正前の風営法では「200万円以下の罰金」だったものが改正風営法では「3億円以下の罰金」へと大幅に引き上げられた。

改正風営法施行後は、無許可営業で有罪になった場合の罰金刑の量刑相場も引き上げられることが予想されるため注意が必要である。

※関連コラム「風営法改正案【2025年】の内容を弁護士が条文に照らして徹底解説!」

 

風営法違反(無許可営業)で逮捕されたときに弁護士を依頼するメリット

 

無許可営業により逮捕されてしまったときは、以下のような理由からすぐに弁護士に相談すべきである。

 

身柄拘束からの早期釈放を実現できる

無許可営業の罪で逮捕されると最長72時間の身柄拘束となり、勾留が許可されると延長も含めて最長20日間の身柄拘束となる。つまり、逮捕・勾留による身柄拘束は、最長で23日間にも及ぶということである。身柄拘束期間が長くなればなるほど被疑者本人の負担は大きくなるため、早期の身柄解放を実現することが重要である。

弁護士に相談をすれば逮捕されたとしてもすぐに捜査機関や裁判官への働きかけを行い、勾留を阻止するための活動をすることができる。勾留が阻止できれば、最長でも72時間の身柄拘束で済むため、被疑者本人の不利益を最小限に抑えることが可能だ。

 

不起訴処分を獲得して前科を回避できる

無許可営業で起訴されても多くの事件が罰金刑で終わるはずである。しかし、罰金刑も前科であるため、前科が付くことで今後の生活に支障が生じる可能性も否定できないだろう。

前科を回避するには不起訴処分を獲得することが必要になるが、それには風営法に強い弁護士によるサポートが不可欠である。なぜなら、無許可営業の罪は、被害者がいない犯罪であるため被害者との示談により不起訴処分を目指すことができないという特殊性があるからである。

風営法に強い弁護士であれば不起訴処分獲得のポイントを熟知しているため、効果的な弁護活動により不起訴処分の可能性を高めることが可能だ。

※関連コラム「風営法に強い弁護士4つの特徴とは?メリット・費用など完全まとめ」

風営法違反の弁護は経験豊富なグラディアトル法律事務所にお任せください

風営法違反の弁護は経験豊富なグラディアトル法律事務所にお任せください

風営法違反は被害者のいない犯罪であるため、被害者との示談により不起訴処分を目指すことができないという特殊性がある。そのため、風営法違反で早期釈放や不起訴処分を目指すなら風営法に強い弁護士への依頼が必須である。

グラディアトル法律事務所は、東京と大阪の2拠点を中心に活動しており、ナイトビジネス業界で全国1000件以上の解決実績がある。また、500店舗以上の風俗店の顧問弁護士を担当しており、ナイトビジネス業界に特化した弁護士事務所といえる。風営法違反の刑事弁護の経験も豊富で、早期釈放や不起訴処分を獲得した実績も多くあるため、風営法違反を犯してしまったときはすぐに当事務所まで相談してもらいたい。

当事務所では、24時間365日受付をしているため、深夜の営業中に逮捕されたという場合でも対応が可能だ。刑事事件はスピード勝負といわれるように初動対応の早さがポイントになるため、一刻も早く当事務所まで連絡してほしい。

 

まとめ

風営法違反で起訴されるとほとんどの事件が有罪となり、罰金刑が科されることになる。しかし、風営法の規定は非常に抽象的な内容であるため、専門家であっても違法かどうかの判断が分かれることがある。無許可営業の罪で無罪になった判例があるように、しっかりと争っていくことが無罪判決を獲得できる可能性もあるということを覚えておいてもらいたい。

もっとも、それには風営法に強い弁護士によるサポートが不可欠であるため、風営法違反の罪を犯してしまったときは、すぐにグラディアトル法律事務所に相談してほしい。



弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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