「風営法違反は初犯でも逮捕される?」
「風営法違反の初犯で起訴された場合の量刑相場はどのくらい?」
「風営法違反の初犯で弁護士に依頼するメリットとは?」
風営法違反の逮捕率が約54%、起訴率が約48%であることから、風営法違反で検挙された事件のうち約半数が逮捕・起訴されていることになる。起訴されてしまうと99%以上の事件が有罪になるため、キャバクラ、ホストクラブ、ガールズバー、スナックなど風俗営業店や、ソープ・デリヘルなどの性風俗店など経営者の方は、どのくらいの刑罰が科されるのかが気になるところだろう。
風営法違反の量刑相場は、初犯であれば罰金刑で済む可能性が高く、適切な弁護活動をすることで不起訴処分を目指すことも可能である。それには風営法に強い弁護士によるサポートが不可欠であるため、早期に風営法に強い弁護士に相談すべきだ。
本記事では、
・風営法違反の逮捕率、勾留率、起訴率
・風営法違反の罰金刑の量刑相場
・風営法違反の初犯で弁護士に依頼するメリット
などについてわかりやすく解説する。
風営法違反で逮捕されてしまったときは、弁護士による対応により処分内容が変わってきますので、すぐに弁護士に相談することをおすすめする。
風営法違反は、初犯であっても逮捕される可能性はある。以下では、実際の統計に基づいて風営法違反の逮捕率、勾留率、起訴率をみていこう。
2023年検察統計によると風営法で検挙された事件は1304件あり、そのうち逮捕された事件は709件である。逮捕率でいうと約54%であることから、約半数の事件が逮捕されていることがわかる。
風営法違反の事実が明らかであってもすべてが逮捕されるわけではなく、逮捕されるのは逃亡のおそれまたは証拠隠滅のおそれが認められるケースである。
風営法違反の初犯であれば逃亡のおそれが低いと考えられるものの、証拠隠滅のおそれは初犯であっても前科があってもかわらないため、風営法違反の初犯でも逮捕される可能性はあるといえる。
2023年検察統計(※検察統計23-00-41)によると風営法違反で逮捕された事件のうち検察官による勾留請求がなされた事件が653件で、そのうち勾留が許可された事件は625件である。勾留率でいうと約96%であることから、勾留請求されるとほとんどの事件が勾留になっていることがわかる。
逮捕による身柄拘束は最長72時間であるのに対して、勾留による身柄拘束は、延長を含めて最長20日間にも及ぶ。そのため、勾留請求されてしまうと、長期間の身柄拘束を覚悟しなければならない。これは風営法違反の初犯であっても同様である。
2023年検察統計(※検察統計23-00-08)よると風営法違反で起訴された事件は697件、不起訴になった事件は748件だった。起訴率でいうと約48%になることから、風営法違反の事件の約半数が起訴されていることがわかる。
初犯という事情は、不起訴処分の判断に傾く事情になるため、風営法違反の初犯であればこの数値よりも起訴率は低いと考えられるが、必ず不起訴になるというわけではないため、初犯であっても起訴される可能性は十分にあるだろう。
2023年検察統計によると風営法違反で起訴された事件の内訳は、以下のようになっている。
・公判請求……90件
・略式命令請求……607件
このことから起訴された事件の約87%が略式命令請求になっていることがわかる。
略式命令請求とは、正式な裁判を経ずに書面審理により罰金や科料を命じる手続きである。風営法違反の事案で略式命令請求が多いということは、ほとんどの事件が罰金刑で終わっているということである。
すなわち、風営法違反の初犯であれば罰金刑の可能性が大きいといえるだろう。
風営法違反といっても具体的な違反行為によって法定刑が異なり、違反行為に応じて罰金刑の量刑相場も変わってくる。具体的な違反行為ごとの罰金刑の量刑相場を示すと以下のとおりである。
・客引き……20~50万円程度
・無許可営業……80~100万円程度
・名義貸し……80〜100万円程度
・禁止区域営業……80〜100万円程度
風営法違反の初犯であれば、上記の罰金刑の相場のうち下限に近い金額になる可能性が高いだろう。
ホストクラブの女性客が高額な料金を請求され、その返済のために売春などを強要される「悪質ホストクラブ問題」を受けて、2025年3月7日、風営法の改正案が閣議決定された。
この改正風営法の概要は以下のとおりである。
①接待飲食店営業の遵守事項の追加
・料金の虚偽説明の禁止
・恋愛感情を利用した色恋営業の一部禁止
・注文していないドリンクなどの提供禁止
②接待飲食店営業の禁止行為の追加【罰金刑の新設】
・売掛金を支払わせる目的で威迫、困惑させる行為の禁止
・威迫等をして料金支払いのための買春、風俗、AV出演等の要求の禁止
→6月以下の拘禁刑、100万円以下の罰金刑
③性風俗店のスカウトバックの支払い禁止【罰金刑の新設】
6月以下の拘禁刑、100万円以下の罰金刑
④無許可営業、名義貸し、メンエス禁止区域営業等の罰則強化【罰則強化】
・【改正前】2年以下の懲役→【改正後】5年以下の拘禁
・【改正前】200万円以下の罰金→【改正後】1000万円以下の罰金
・【改正前】法人の罰則 200万円以下の罰金→【改正後】3億円以下の罰金
⑤風俗営業の欠格事由の範囲拡大【欠格事由の追加】
・親会社等が許可を取り消された法人
・警察による立入調査後に許可証の返納(処分逃れ)をした者
・暴力的不法行為等を行うおそれがある者がその事業活動に支配的な影響力を有する者
政府は、2025年の通常国会での改正風営法の成立を目指しており、成立した場合、交付から1か月後に施行となる見込みである。そうなると、今後は風営法違反の罰則が厳罰化されるため、初犯であっても重い刑罰が科される可能性がある。
以下では、風営法違反の初犯で起訴され、有罪になった裁判例を紹介する。
【事案の概要】
被告人は、
①東京都G区において、客席等の設備を設けて営業を営む飲食店「F」を経営するものであるが、東京都公安委員会の風俗営業の許可を受けないで、同店において、不特定多数の客に対し、同店従業員らに、談笑の相手をさせるとともに、酒類等を提供して飲食させるなどの接待をして遊興飲食をさせ、
②同区において、客席等の設備を設けて営業を営む飲食店「H」を経営するものであるが、東京都公安委員会の風俗営業の許可を受けないで、同店において、不特定多数の客に対し、同店従業員らに、談笑の相手をさせるとともに、酒類等を提供して飲食させるなどの接待をして遊興飲食させ、
もって無許可で設備を設けて客の接待をして客に遊興及び飲食をさせる営業を営んだという無許可営業の罪で起訴された。
【裁判所の判断】
被告人は、相当期間にわたり、所要の許可を得ることなく、他者の名義を借りてキャバクラ店2店舗を経営し、大きな利益を上げていたもので、大胆、悪質な犯行である。
もっとも、被告人は前科がなく、反省の態度を示していることから、懲役6月執行猶予3年および罰金100万円の判決が言い渡された。
なお、本件では、クレジットカード売上未払い債権113万2797円が没収され、4034万8615円が追徴されている。
【事案の概要】
被告人は、
①和歌山県公安委員会から風俗営業の許可を受けて、A市(省略)C102号室において社交飲食店「D」を営んでいたものであるが、同店店長E及び同店従業員Fと共謀の上、被告人の前記営業に関し、令和2年1月24日午後11時34分頃、前記C南側通路において、同所を通行していたGらに対し、同店の客とするため、前記Fが、「よかったらどうですか。お店決まっています。今日、女の子15人いてるんで、今いけますよ。一応80分5000円で消費税かかるんで、全部別で。3人付きます。」などと言って誘い、もって当該営業に関し客引きをし、
②同市(省略)H11号室において社交飲食店「D」を営んでいたものであるが、前記Eと共謀の上、和歌山県公安委員会から風俗営業の許可を受けないで、同年2月3日から同月7日までの間、同店において、客席等の設備を設けて、客であるIらに対し、同店従業員Jらに客席に同席させて談笑させるなどして接待をさせるとともに、酒類を提供して飲食をさせ、もって無許可で風俗営業を営んだ
という客引きおよび無許可営業の罪で起訴された。
【裁判所の判断】
被告人は、平成31年4月に和歌山県公安委員会に宛てて従業員に客引きをさせず許可を受けるまで風俗営業をしない旨の誓約書を提出していたにもかかわらず、自己の経営する店の売上を上げるためという安易かつ自己中心的な動機で判示各犯行を主導したもので、法軽視の態度が著しく、客引きは常習的であるが、移転先の店舗における無許可営業の期間は比較的短い。
以上に加え、被告人が判示各犯行をいずれも認めるに至って二度と犯罪をしないと誓っていること、被告人には過失犯による罰金前科1犯があるものの他に前科はないこと、被告人の父親が出廷して被告人の監督を約束したことなども考慮すると、被告人に対しては、罰金刑を選択の上、主文の刑に処するのが相当であるとして、罰金80万円の判決が言い渡された。
風営法違反の初犯であれば、以下のようなメリットがあるため、すぐに弁護士に依頼するのがおすすめである。
風営法違反の逮捕率は約54%であるが、風営法違反の初犯であれば逃亡のおそれがないため、身元引受人を付けて今後の出頭を約束することで逮捕を回避できる可能性がある。
逮捕前に弁護士に相談をすれば、身元引受人の確保や捜査機関への働きかけなどにより逮捕を回避できるようサポートしてもらうことができる。逮捕・勾留されると最長で23日間にも及ぶ身柄拘束を受けることになるため、身柄拘束による不利益を回避するなら弁護士に依頼する必要があるだろう。
風営法違反で逮捕されてしまったとしても諦める必要はない。逮捕後勾留を阻止することができれば、最長でも72時間の身柄拘束で済ませることが可能だ。
風営法の初犯であれば適切な弁護活動を行うことで勾留を阻止できる可能性もあるため、すぐに風営法に強い弁護士に相談するようにしてほしい。逮捕が72時間の弁護活動がポイントになるため、より充実した弁護活動をしてもらうためにも一刻も早い弁護士への依頼が重要である。
風営法違反の初犯であれば罰金刑で済む可能性が高いが、罰金刑も前科であるため、前科を回避するなら不起訴処分の獲得を狙う必要がある。
風営法違反の初犯なら不起訴処分を狙うことも不可能ではないため、身柄拘束からの早期釈放のときと同様にすぐに風営法に強い弁護士に依頼すべきである。風営法に強い弁護士に依頼することで不起訴処分の可能性を高めることが可能だ。
風営法違反は被害者のいない犯罪であるため、被害者との示談により不起訴処分を目指すことができないという特殊性がある。そのため、風営法違反で早期釈放や不起訴処分を目指すなら風営法に強い弁護士への依頼が必須である。
グラディアトル法律事務所は、東京と大阪の2拠点を中心に活動しており、ナイトビジネス業界で全国1000件以上の解決実績がある。また、500店舗以上の風俗店の顧問弁護士を担当しており、ナイトビジネス業界に特化した弁護士事務所といえる。風営法違反の刑事弁護の経験も豊富で、早期釈放や不起訴処分を獲得した実績も多くあるため、風営法違反を犯してしまったときはすぐに当事務所まで相談してもらいたい。
当事務所では、24時間365日受付をしているため、深夜の営業中に逮捕されたという場合でも対応が可能だ。刑事事件はスピード勝負といわれるように初動対応の早さがポイントになるため、一刻も早く当事務所まで連絡してほしい。
風営法違反の初犯であっても逮捕、起訴される可能性はある。しかし、早い段階から弁護士を付けて適切な弁護活動を行うことで逮捕の回避、早期釈放、不起訴処分の可能性を高めることが可能だ。少しでも有利な処分を獲得したいなら風営法に強い弁護士に依頼すべきである。
風営法違反で逮捕されてしまったという方は、一刻も早くグラディアトル法律事務所まで相談してもらいたい。