「客引きで逮捕されるケースとは?」
「違法な客引きをして逮捕されたらどうなる」
「客引きで逮捕されたときに弁護士ができることとは?」
客引きは、風営法や都道府県の迷惑防止条例で規制されている違法な行為であるため、キャバクラ・ホストクラブ・スナックなどの風俗店やガールズバー・居酒屋など深夜営業の飲食店の経営者は、従業員に違法な客引きをさせないようにしっかりと指導していかなければならない。
客引きをしているところを警察官に目撃されたり、通報やタレコミがあると客引きで逮捕・起訴される可能性もあるため注意が必要だ。
もっとも、客引きで逮捕・起訴されたとしても、略式命令請求による罰金刑で済むケースが多い。
ただし、常習性のある客引きであったり、他にも風営法違反の余罪がある場合には、公判請求となり、罰金刑ではなく懲役刑が科されることもある。罰金刑であっても前科であることに変わりないため、安易な気持ちで客引きをしないことが大切である。
万が一、逮捕されてしまったときは、早期釈放や不起訴処分を獲得するためにもすぐに弁護士に相談してもらいたい。
本記事では、
・客引きで逮捕されるケース
・客引きで逮捕された後の流れ
・客引きで逮捕されたときに弁護士ができること
などについてわかりやすく解説する。
違法な客引きで逮捕されるのを防ぐには、顧問弁護士の利用が有効な対策となるため、風営法に強い弁護士に顧問を依頼するべきである。
規制内容 | 詳細 |
---|---|
風営法 | ホストクラブ、キャバクラなど風俗店や深夜営業飲食店での客引き行為を禁止。違反時、6か月以下の懲役または100万円以下の罰金。 |
都道府県の迷惑防止条例 | 各都道府県の迷惑防止条例で、風俗営業以外の業種でも客引き行為が禁止。 違反者には罰金や拘留、科料が科される。 |
ぼったくり防止条例 | 実際の料金より安いと誤解させるような客引き行為を禁止。違反時、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金。 |
電波法 | 無線のインカムを使って客引きを行う「リレー方式」に違反した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金。 |
客引きに関しては、主に風営法と都道府県の迷惑防止条例により規制が行われているが、具体的な態様によっては、ぼったくり防止条例や電波法で処罰される可能性もある。
以下では、客引きを規制する法律と条例について説明する。
風営法とは、正式名称を「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」という。
風営法では、ホストクラブ・キャバクラ・スナックなどの風俗店、ガールズバー・居酒屋など深夜営業の飲食店を対象に、以下の客引き行為を禁止している。
・営業に関し客引きをすること
・営業に関し客引きをするために道路などで立ちふさがりまたはつきまとうこと
ただし、ガールズバーや居酒屋などの深夜営業の飲食店は、午前0時以降の客引き行為が規制対象となる。
風営法に違反する客引きをすると、6か月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金またはこれらが併科される。
各都道府県の「迷惑防止条例」では、客引き行為を規制している。具体的な規制内容は、都道府県により異なるが、たとえば東京都だと以下のような客引き行為が禁止されている。
・性風俗店や接待飲食店への客引き
・人の身体又は衣服をとらえ、所持品を取りあげ、進路に立ちふさがり、身辺につきまとう等執拗に客引きをすること
迷惑防止条例と風営法の主な違いは、規制対象となる業種の制限の有無である。迷惑防止条例では、規制対象となる業種に制限がないため、風俗営業や深夜酒類提供飲食店営業以外の業種でも客引きが禁止されている。
迷惑防止条例違反の客引きをすると、客引きをした従業員には50万円以下の罰金または拘留もしくは科料が科され、客引きをさせた使用者には100万円以下の罰金が科される。
ぼったくり防止条例とは、正式名称を「性風俗営業等に係る不当な勧誘、料金の取立て等及び性関連禁止営業への場所の提供の規制に関する条例」という。
ぼったくり防止条例では、実際の料金よりも安いと誤解させるような表示または言葉により客を勧誘する客引き行為が禁止されている。対象となる業種は、都道府県公安委員会が規則で定めた区域内で営業する以下の業態である。
・酒類提供営業……バーやキャバクラなど客に酒類を提供し、接待をする営業
・性風俗営業……ファッションヘルスやエステなど店舗を設けて性的サービスを提供する営業
ぼったくり防止条例違反となる客引きをすると、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される。
電波法とは、電波の公平かつ能率的な利用を確保することによって、公共の福祉を増進することを目的とする法律である。
警察は、複数の客引きが客を引き継ぐ「リレー方式」を摘発するために、電波法という法律を用いることがある。これは無線のインカムを使っていることが、電波法の「無線局の開設」にあたり、無免許でそれを行っているのが違法であるという理屈である。
電波法に違反すると1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される。
極めてレアなケースといえるが、電波法により検挙・摘発されるケースがあることも覚えておくとよいだろう。
客引きで逮捕されるケースとしては、「現行犯逮捕されるケース」と「通常逮捕されるケース」の2つが考えられる。以下では、それぞれのケースについて説明する。
客引きで逮捕されるケースの1つ目は、警戒中の警察官に違法な客引きをして現行犯逮捕されるケースである。
繁華街では風営法や迷惑防止条例違反となる行為を検挙・摘発するために、私服警官による定期的な捜査が行われている。私服警官であるとは知らずに、警察官に対して違法な客引きをしてしまうと、風営法違反または迷惑防止条例違反で現行犯逮捕となる。
私服警官か一般の客かは、外見だけでは判断できないため、大々的に客引き行為をすると逮捕のリスクを高めることになってしまうだろう。
客引きで逮捕されるケースの2つ目は、通報やタレコミによる内偵捜査の結果、通常逮捕されるケースである。
違法な客引きを受けた通行人が警察に通報したり、同業者からのタレコミにより違法な客引きがバレてしまうことがある。このような通報やタレコミがあると警察では、内偵捜査を実施し、その結果、違法な客引きをしていることが明らかになれば、通常逮捕となる。
客引きで逮捕されるケースとしては、現行犯逮捕されるケースが多いが、通常逮捕されるケースもあるため注意が必要だ。
以下では、客引きで逮捕された実際の事例を紹介する。
静岡県藤枝市の駅前で客引き行為をしたとして、社交飲食店従業員の男が逮捕された。
風営法違反容疑の現行犯で逮捕されたのは、藤枝市瀬戸ノ谷に住む社交飲食店従業員の男(33)である。
警察によると、男は午後9時ごろ藤枝市の駅前で、「キャバクラどうですか」などと声をかけ、取り締まり警戒中の私服警察官に客引きをした疑いが持たれている。
藤枝駅周辺で客引きをしている人がいると近所に住む人から相談を受け、警察官が警戒にあたっていたということである。
警察は男の余罪について調べを進めている。
(引用:静岡朝日テレビ)
「キャバクラどうですか」私服警察官に客引き行為をしたとしてクラブの従業員を現行犯逮捕 静岡・藤枝市
東京・赤坂で違法な客引きをするなどした疑いで、男9人が逮捕された。
容疑者の男(35)は、港区赤坂で「キャバクラどうですか」「4000円でいいです」などと声をかけ、違法な客引きをした疑いが持たれている。
また、登坂容疑者が連れてきた客を店に入れた疑いで、キャバクラ店従業員の男も逮捕されるなど、赤坂での違法な客引きの関連で合わせて9人が逮捕されている。調べに対し容疑者は、概ね容疑を認めている。
警視庁によると、赤坂では2024年、客引きをめぐる110番通報と相談があわせて100件近くあった。
(引用:FNNプライムオンライン)
「キャバクラどうですか」「4000円でいいです」東京・赤坂でキャバクラの“違法客引き”か 通報と相談は約100件にも
神戸・三宮の繁華街で客引き行為をしたとして兵庫県警生田署は、県迷惑防止条例違反の疑いで、スナック店従業員の女(49)を逮捕した。調べに「何も答えられない」と否認しているという。
逮捕容疑は、神戸市中央区の東門街で、50代の男性会社員に「飲みに来て」と声をかけ、勤務するスナックの前まで腕をつかんで引っ張るなどした疑い。署によると、その3日後、男性から「迷惑だった」と相談があって発覚したという。
(引用:神戸新聞)
「飲みに来て」男性をつかみスナックまで引っ張った疑い 三宮の繁華街、客引きの女逮捕
以下では、客引きで逮捕された後の刑事事件の流れを説明する。
客引きで逮捕されると警察署に連行され、警察官による取り調べを受けることになる。
必要な取り調べを終えると、被疑者の身柄は、逮捕から48時間以内に検察官に送致される。この手続きを一般的に「送検」と呼ぶ。
検察官は、被疑者に対する取り調べを行い、引き続き身柄後続を行うかどうかを検討する。
検察官が逃亡または証拠隠滅のおそれがあり勾留の必要があると判断した場合、送致から24時間以内かつ逮捕から72時間以内に裁判官に勾留請求をしなければならない。
裁判官は、勾留の要件を満たしていると判断すると勾留を決定する。勾留が決定となれば、10日間の身柄拘束が継続し、さらに捜査のため必要がある場合は10日間を限度として勾留期間を延長することが可能だ。
すなわち、逮捕・勾留された場合、最長で23日間にも及び身柄拘束を受けることになる。
検察官は、勾留期間中に捜査を行い、起訴または不起訴の判断をしなければならない。
起訴された事件の99%以上が有罪になるため、前科を回避するには不起訴処分を獲得することが重要なポイントになる。それには、風営法に強い弁護士のサポートが必要になるため、早めに弁護士に相談・依頼するべきである。
客引きで逮捕・起訴されたとしても、略式命令請求による罰金刑で済むケースが多い。
ただし、常習性のある客引きであったり、他にも風営法違反の余罪がある場合には、公判請求となり、罰金刑ではなく懲役刑が科されることもある。
なお、罰金刑であっても前科であることに変わりないため、安易な気持ちで客引きをしないことが大切である。
客引きで逮捕されてしまったときは、すぐに弁護士に相談・依頼してもらいたい。なぜなら、弁護士に依頼することで以下のようなサポートを受けることができるからだ。
違法な客引きをして逮捕・勾留されると最長で23日間にも及ぶ身柄拘束を受けることになる。当然、その間は仕事を休まざるを得ず、学生だったら学校にも行くことができなくなる。身柄拘束期間が長くなればなるほど不利益は大きくなるため、早期の釈放が重要といえる。
逮捕後すぐに弁護士に依頼すれば、検察官に対して勾留請求をしないよう働きかけたり、裁判官に対して勾留請求を却下するよう働きかけることができる。勾留を阻止できれば身柄拘束期間は大幅に短縮されるため、早期に弁護士に依頼することが重要である。
違法な客引きにより逮捕されたとしても、不起訴処分を獲得できれば、その時点で釈放され、前科が付くこともない。
弁護士に依頼すれば、事件の悪質性が低いこと、再犯の可能性が低いこと、家族などによる適切な監督が期待できることなどを検察官に主張して、不起訴処分の獲得を目指すことができる。そのままでは起訴されてしまう可能性がある事件でも、弁護士が関与することで不起訴処分を獲得できる可能性を高めることができるため、早めに依頼することが重要である。
違法な客引きで公判請求されてしまった場合、実刑になるリスクがある。実刑になると刑務所に収監されてしまうため、これまでのような社会生活を送ることができなくなる。それを回避するには執行猶予付きの判決を獲得することが不可欠である。
有罪判決が避けられない状況であっても、弁護士がいれば再犯防止のための具体的な取り組み、更生のための環境整備などに取り組むことで、執行猶予の可能性を高めることが可能である。
警察官による積極的な介入により客引き行為をしてしまったようなケースでは、冤罪を主張することで無罪になる可能性もある。
それには、弁護士が早期に逮捕された被疑者と面会し、無罪を主張するために必要な証拠収集などを行っていかなければならない。早期に依頼することで充実した弁護活動を行うことができるため、無罪を主張する場合にも早期の依頼が重要となる。
以下では、客引きによる逮捕に関するよくある質問とその回答を紹介する
違法な客引き行為をした場合、実際に客引き行為をした従業員だけではなく、お店の経営者や客引き行為を命じた使用者も逮捕される可能性がある。
客引きで逮捕された場合、罰金刑になるケースが多いものの、常習性があり、他にも風営法違反の余罪があるケースだと実刑になる可能性もある。
客引きで逮捕されてしまったときは、風営法に強い弁護士によるサポートが不可欠になるため、すぐにグラディアトル法律事務所に相談してもらいたい。
グラディアトル法律事務所は、東京と大阪の2拠点を中心に活動しており、ナイトビジネス業界で全国1000件以上の解決実績がある。
違法な客引きに関する刑事弁護の経験も豊富であるため、逮捕の回避・早期釈放・不起訴処分の獲得などを希望するなら、すぐに当事務所まで相談してほしい。
経験豊富な弁護士がすぐに対応し、有利な処分の獲得に向けて全力でサポートする。
グラディアトル法律事務所では、500店舗以上の風俗店の顧問弁護士を担当しており、ナイトビジネス業界に特化した弁護士事務所といえるだろう。トラブル対応だけではなくトラブル予防にも力をいれているため、実際にトラブルが生じていなくても気軽に相談してもらいたい。
違法な客引きにあたるかどうかの判断は、風営法に詳しい弁護士でなければ難しいため、顧問弁護士として継続的に風俗店の経営に関わってもらうことが重要だ。それにより違法な客引きを抑止することが可能である。
ナイトビジネス業界は、主に夜の時間帯に活動するため、トラブルも当然夜の時間帯に発生することになる。
グラディアトル法律事務所では、24時間365日受付をしているため、夜がメインのナイトビジネス業界の顧問弁護士には最適である。予約なしでも当日弁護士が空いていれば、その場で対応することも可能だ。
深夜に客引きで逮捕されたとしても、弁護士が起きていればすぐに駆けつけて対応することもできるため、まずは当事務所まで連絡してほしい。
違法な客引きにより逮捕されてしまったときはすぐに弁護士に相談すべきである。
逮捕・勾留されると最長23日間の身柄拘束を受け、起訴されると前科が付いてしまう。それを回避するには、早期に弁護士に依頼して身柄解放や不起訴処分の獲得を目指して弁護活動をしてもらうことが重要だ。
もし万が一違法な呼び込みで逮捕されてしまった場合には、すぐに弁護士が対応する必要があるため、風営法に強いグラディアトル法律事務所まで早めに連絡してほしい。