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SODLANDが風営法違反(無許可営業)で逮捕・摘発!適法に営業再開する方法も解説

弁護士 若林翔 2023/03/16更新

SODLAND

AV制作会社「ソフト・オン・デマンド(SOD)」が経営する新宿歌舞伎町の飲食店「SODLAND(SODランド)」が風営法違反・無許可営業で摘発され、SODLANDの店長とSODの社長が同罪で逮捕された。

「SODLAND」は、「AV女優と逢える」「おとなのテーマパーク」をコンセプトにしており、AV女優や風俗嬢とお酒を飲んで会話ができるガールズバー、コンセプトカフェのようなお店だ。

今回は、「SODLAND」の従業員であるAV女優などが「接待」をしたとして、風営法の無許可営業で逮捕・摘発されている。

ガールズバーやコンカフェが、「接待」をしたとして風営法違反(無許可営業)で逮捕・摘発される事例は多い。

風営法上、キャバクラなどのようにキャストが客を「接待」する場合には、許可が必要だ。

ガールズバーやコンカフェは、この風営法の許可を取らずに、通常のバーなどと同様の深夜酒類提供飲食店営業の届出を出して営業している店舗が多く、そうであるにもかかわらず、「接待」をしてしまうと無許可営業で逮捕・摘発されてしまうのだ。

今回の「SODLAND」についても同様の構造だろう。

「SODLAND」は、AV女優や風俗嬢と逢える、話ができることを売りにしており、「接待」をしていると評価されるのはやむを得ないだろう。

今後については、キャバクラと同様、風営法の許可を取れば、適法に営業を再開することが可能だ。

風営法の許可を取るデメリットとしては、深夜営業ができなくなることや、店舗の構造に制限があることが考えられるが、「SODLAND」は深夜営業もしていなかった。

今後は、店舗構造についても考慮し、風営法の許可を取って、適法に営業を再開して欲しい。

 

SODLANDが風営法違反(無許可営業)で逮捕・摘発されたニュース

「AV女優と飲める」ガールズバーで無許可で接待営業 大手AV制作会社代表の男ら2人逮捕 客が哺乳瓶で酒飲み女性キャストが母親役で接待

「AV女優と飲める大人のテーマパーク」をコンセプトにしたガールズバーで無許可で接待営業をしていたとして大手アダルトビデオ制作会社代表の男ら2人が逮捕されました。

SOD(ソフト・オン・デマンド)の代表の〇〇容疑者(40)ら2人はおととい東京・歌舞伎町のガールズバー「SODLAND(エスオーディランド)」の3階で無許可で女性従業員に客の接待をさせた疑いがもたれています。

警視庁によりますと店には600人のキャストが在籍していて、数百円から5000円で客がエプロンをつけて哺乳瓶で酒を飲み女性従業員が母親役として接待するなどしていたということです。

2020年10月から2年5カ月の間におよそ6億円を売り上げていたとみられます。

〇〇容疑者は取り調べに容疑を認めています。

警視庁は今後、運営会社も書類送検する方針です。

テレ朝ニュース3/16(木) https://news.yahoo.co.jp/articles/3481a0067cc1d5f8f4084d8bc05e21a640ffa3ae

 

風営法の「接待」とは

風営法「接待」の基本的な考え方

「接待」とは、歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことをいう。

風営法の「接待」に当たるかどうかの解釈の基本的な考え方は、以下の通りだ。

・キャバクラやホストクラブっぽい営業をしている場合は「接待」に当たり違法

・普通の居酒屋やバーっぽい営業をしていれば「接待」に当たらず適法

この「接待」には、いくつかの類型があるのだが、今回の「SODLAND」で問題となるのは、キャストであるAV女優との会話や談笑だろう。

会話や談笑が「接待」にあたるかについては、以下の基準で解釈されている。

談笑・会話が風営法「接待」に該当する基準

特定少数の客の近くにはべり、継続して、談笑の相手となったり、酒等の飲食物を提供したりする行為は「接待」に該当する。

談笑・会話やお酌といったサービスの全てが「接待」に該当するわけではない。

「接待」に該当する談笑・会話、お酌には、以下の要素が必要だ

・特定少数の客
・客と近くで
・継続して

今回の「SODLAND」のケースでも、特定の客に対して、客の近くで、継続しての会話や談笑がなされていたものであると考えられる。

風営法の「接待」の定義や解釈の詳細は、以下の記事を参照して欲しい。

風営法の接待とは?ガールズバー逮捕の分かれ目となる3つの解釈基準

 

「SODLAND」は摘発前に警察から注意・指導がされていた?

風営法違反での逮捕・摘発事例は多いが、「接待」をしての無許可営業については、逮捕・摘発前に警察から事前の注意・指導が入ることが多い。

過去の摘発事例でも、事前の注意や指導が先行しているケースが多いのだ。

今回の「SODLAND」でも、過去の警察からの注意・行政指導がなされていたようだ。

「SODLAND」側でも、警察の指導に従い、客とキャストとの距離を遠ざけるように席の配置などを変更するなどの対応をしていたようだ。

しかし、そもそもの法解釈の問題として、「SODLAND」のコンセプトや営業形態からして「接待」をしないで営業するのは不可能に近いのではないと考えている。

そうだとすれば、警察の指導の内容にも問題があったように思う。

「SODLAND」のコンセプトや営業形態からすれば、はじめから風営法の許可を取って営業をすべきだろう。

 

風営法違反(無許可営業)では売上も没収されるリスクがある

SODの社長とSODLANDの店長が風営法違反(無許可営業)で逮捕された。

この無許可営業には罰則がある。

二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金又はこの併科だ。

風営法違反の罰則の中では最も重い。

初犯であれば、罰金で終わることが多い。

また、風営法の無許可営業では、売上が没収されるケースが散見される。

組織犯罪処罰法という、組織的な犯罪に対する刑罰の加重、マネー・ローンダリングの処罰、犯罪収益の没収・追徴などについて定めた法律に基づくものだ。

組織犯罪処罰法は、「犯罪収益」というものを定義しており、その犯罪収益には、風営法上の無許可営業による収益も含まれると記載されているからだ。

過去にも、風営法の無許可営業で数千万円単位の没収・追徴がなされた事例があるのだ。

風営法の無許可営業や組織犯罪処罰法については、以下の記事も参照して欲しい。

無許可営業・名義貸し(風営法違反)でキャバクラ経営者が逮捕される理由!

組織犯罪処罰法と風営法について。無許可営業で水商売経営者逮捕された事例に照らして

 

まとめ

「ソフト・オン・デマンド(SOD)」が経営するAV女優と逢えるおとなのテーマパークである「SODLAND」は、風営法違反・無許可営業で逮捕・摘発された。

これは、キャバクラなどのように「接待」をする飲食店に必要な風営法の許可をとらずに営業をしていたからだ。

「接待」とは、歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことをいい、特定の客に対して、近い距離で、継続的に話をしているようなケースでは、「接待」に該当する。

「SODLAND」のコンセプトからすれば、接待をせざるを得ないだろうから、今後は、風営法の許可を取得して、営業を再開して欲しい。

また、今後の罰則については、100万円程度の罰金刑になることが予測されるが、合わせて、組織犯罪処罰法に基づき、売上を犯罪収益として没収・追徴されるリスクがあるため、その点についても、注目されるところだ。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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