「仲良くなった風俗嬢から騙されているのではないかと不安」
「借金があるから風俗を辞められない」
「将来結婚するためにお金が必要」
「学費や奨学金を支払わなければならない」
「病気になってしまって治療費や生活費が必要」
「風俗店から脅されて多額のお金を払わなければいけない」
などと風俗嬢から言われて多額のお金を貸したり、贈与したりしてしまった。
「もしかして詐欺なのでは?」
「自分は騙されているのでは?」
と不安になっていることでしょう。
風俗嬢にお金を渡すために自らの大事なお金を使ってしまった。
借金をしてまでお金を渡してしまった。
風俗嬢に渡してしまったお金は返金されるか不安。
そんな方もいるでしょう。
厳しいことを言えば、風俗嬢から詐欺の被害にあっている可能性が高いです。
しかし、諦める必要はありません。
法律的にきちんと対処すれば、返金を勝ち取ることは決して難しくないからです。
この記事では、風俗嬢詐欺師の手口や風俗嬢詐欺師から返金するための方法などについて、弁護士が解説をします。
この章では、風俗嬢詐欺師の手口について解説します。
風俗嬢詐欺師は、男性客の恋愛感情を利用して、言葉巧みにお金を騙し取ろうとしてきます。うっかり騙されてしまわないためには、恋愛感情を抱いてしまう前に、風俗嬢詐欺師の代表的な手口を理解しておくことが重要です。
今回は、以下の3つの手口について紹介します。
それぞれ見ていきましょう。
1つ目は、「色恋営業」による手口です。
「色恋営業」とは、お客さんと恋愛関係があるかのような「疑似恋愛」を感じさせる営業・接客手法のことをいいます。
もちろん、「色恋営業」の全てが違法行為なわけではありません。
しかし、「色恋営業」による詐欺の手口では、お客さんが「色恋営業」であることを理解していないケースが大多数です。心の底から「本気の恋愛」だと信じてお金を支払ってしまうため、詐欺に該当する可能性が出てくるのです。
色恋営業による手口の例としては、例えば「風俗嬢と店舗外で出会ったケース」が挙げられます。
SNS等の店舗外で風俗嬢と知り合い、色恋営業であることを知らないまま、恋愛が成就すると信じて風俗店に通ってしまうようなケースです。
このようなケースでは、やり取りの内容や証拠の状況によっては、詐欺にあたる可能性があります。
刑法上の「詐欺罪」とまではならない場合でも、民事上の「不法行為」や「不当利得」として返還請求できる可能性は高いです。心当たりがある場合は、弁護士に相談してみましょう。
2つ目は、「結婚詐欺」による手口です。
「結婚詐欺」とは、一般に、結婚する意思がないにもかかわらず、結婚を餌にして異性に近づき、相手を騙して金品を巻き上げたり、返済の意思もないのに金品を借りたりする詐欺行為をいいます。
例えば、結婚を匂わせつつ、以下のような言葉でお金を要求してきた場合、風俗嬢詐欺師の手口である可能性が高いです。
【風俗嬢詐欺師にありがちなセリフ】
いざお金を受け取って、結婚話が進み始めると、急に会う頻度が減ったり、連絡が取れなくなったりして、最終的に音信不通になるのが通例です。
3つ目は、「病気・学費・借金など嘘の理由で同情を誘う」手口です。
「親が大きな病気にかかってしまい手術が必要」
「弟が多額の借金を抱えており、返済してあげたい」
「夢を叶えるために学費が必要」
このような嘘の理由で同情を誘い、男性客の優しさに漬け込んで、お金を騙し取るのが典型例です。
もっとも、前述した風俗嬢詐欺師の行為の全てが「詐欺罪」に該当するわけではありません。
風俗嬢の行為が「詐欺罪」に該当するには、刑法上の詐欺罪(刑法246条)の構成要件を満たす必要があるからです。
刑法上の詐欺罪(刑法246条)の構成要件
これを、例えば風俗嬢詐欺師の「結婚詐欺」に当てはめると
となります。
そのため、例えば以下のようなケースでは、「詐欺罪」に該当しない可能性があります。
・あなたが結婚できると勝手に思い込んでいた場合
→風俗嬢は嘘をついていないため、「①欺罔行為」がない
・あなたが相手の言葉が嘘であると見抜けていた場合
→あなたが騙されていないため「②錯誤」に陥っていない
あなたと風俗嬢のやり取りが、上記の条件を満たしているかチェックしてみましょう。
結婚詐欺についての詳細は、こちらの記事もご一読ください。
風俗嬢の行為が詐欺に該当しない場合でも、諦める必要はありません。
詐欺に該当しなくても、風俗嬢に貸したお金であれば、返金請求ができるからです。
ただし、風俗嬢に貸したお金の返金請求をする場合は、以下の点に注意する必要があります。
順番に説明します。
風俗嬢に貸したお金の返金を請求するためには、お金を貸した証拠が何より重要です。
本当にお金を貸していたとしても、貸主の側で、それを客観的に証明できなければ、裁判でお金の貸し借りが無かったと判断されてしまう場合があるからです。
お金を貸した客観的な証拠としては、以下のようなものがあります。
なお、「借用書」以外の場合、単体では、証拠として不十分な場合が多いです。
「借用書」が無い場合、例えば
等、いくつかの証拠を積み重ねて証明する必要があることに、注意してください。
あなたが風俗嬢詐欺師に渡したお金が、「贈与」にあたる場合、残念ながら返金請求はできません。
参考 民法(贈与)
第五百四十九条 贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。
「贈与」とは、要するに「プレゼント」のことです。
例えば、風俗嬢にプレゼントとして「10万円」を贈与していたというケースを考えてみましょう。
プレゼント後に、風俗嬢があなたに何らかの嘘をついていたことが発覚したとしても、原則として、プレゼントとして渡した10万円の返金を請求することはできません。お金を貸した場合と異なり、「贈与」には返還義務が無いからです。
ただし、例えば結婚詐欺のようなケースで、「相手も自分と結婚するつもりがある」と勘違いして、「結婚するため」ということを相手に伝えた上で、お金を渡していた場合は、贈与でも返金を請求できる場合があります。
このケースでは、民法上の「錯誤(第95条)」が成立する可能性があるからです。
参考 民法(錯誤)
第九十五条 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
2 前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。
心当たりがある場合は、弁護士に相談してみましょう。
売春の対価としてお金を渡した場合は、詐欺であっても返金を請求することはできません。
そもそも、売春自体が公序良俗に反しており、「不法原因給付」にあたるからです。
参考 民法(不法原因給付)
第七百八条 不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。
「不法原因給付」とは、要するに「売春等による違法な給付の返還を認めると、国家が違法に手を貸すことになるから、それは認めない」ということです。
そのため、売春の対価としてお金を支払った場合、それが嘘であったとしても、お金の返金を請求することはできません。
この章では、風俗嬢詐欺で返金する方法について解説します。
風俗嬢詐欺で返金を勝ち取るには、次の4つの方法があります。
それぞれ説明します。
1つ目の方法は、「内容証明郵便の送付」です。
風俗嬢の住所が分かっている場合は、内容証明郵便を送付して、相手に返金を請求しましょう。
「内容証明郵便」とは、送付した文書の宛先や内容について、郵便局が証明してくれるサービスです。
内容証明郵便を送ることで、「相手に返金を請求した」という事実を、裁判で証明することができます。さらに、相手からの返信内容によっては「お金を貸したこと」の証明ができる場合もあります。
これだけで返金を実現できる可能性は低いものの、相手にプレッシャーを与える効果もあるため、返金を勝ち取るための第一歩として、まずは内容証明郵便を送付してみましょう。
2つ目の方法は、「交渉」です。
相手と連絡が取れる場合、粘り強く交渉することで、返金してもらえる可能性はゼロではありません。特に、内容証明郵便を送付した後であれば、裁判に発展することを防ぐため、返金に応じてくれる可能性も高くなります。
ただし、交渉は自己判断で行わず、弁護士に依頼することを強くおすすめします。
法律的に筋道を立てて返金を請求しないと、いつまで経っても堂々巡りになる可能性が高いからです。
さらに、風俗嬢詐欺では、そもそもが恋愛感情に起因してトラブルになっているケースが大多数です。下手に自分で接触してしまうと、逆にストーカー扱いされてしまう等、二次的なトラブルにも発展しかねません。
スムーズに返金を勝ち取るためにも、交渉は弁護士に依頼して行いましょう。
3つ目の方法は、「裁判」です。
裁判所に訴訟を提起して、返還請求を行う方法です。
裁判を利用するメリットは、
「勝訴すれば、強制的に支払いをさせることができる」
ことです。
ただし「裁判」を利用する場合は、「交渉」以上に手間と時間がかかることを覚悟してください。
なお、裁判は自分で提起することもできますが、一人で訴訟を進めることは現実的ではありません。法律的な知識や経験が必要になる上、証拠が不足していれば、逆に「お金の貸し借りが無かった」と裁判所に判断されてしまうリスクもあるからです。
裁判を利用する場合も、弁護士に相談することをおすすめします。
4つ目の方法は、「刑事告訴・被害届からの示談交渉」です。
警察に被害届や告訴状を提出し、捜査を開始してもらうことで、示談金として返金を勝ち取るための交渉が進めやすくなります。
といったメリットがある一方で、証拠が不十分だと、警察が告訴状や被害届を受理してくれない可能性もあるため、注意が必要です。
結局のところ、風俗嬢詐欺で返金を実現するためには、とにかく証拠が重要です。
いくら弁護士に依頼しても、証拠がなければ、風俗嬢詐欺で返金を実現することはできないからです。
逆に、証拠さえ揃っていれば、風俗嬢詐欺師から、返金を勝ち取れる可能性は格段に高くなります。風俗嬢詐欺だと感じたら、一つでも多くの証拠をかき集めましょう。
ここでは、風俗嬢詐欺で有力な証拠についてまとめたので、必ずチェックしてください。
最後に、風俗嬢詐欺師の実際の逮捕事例を紹介します。
2023年8月、元祖「頂き女子」としてパパ活界隈で有名な”りりちゃん”こと東京都新宿区歌舞伎町のソープ嬢・渡辺真衣容疑者(25)が詐欺ほう助の疑いで逮捕されました。
「頂き」とは恋愛感情を利用して女性に対して免疫がない男性から現金を騙し取る手法のことで、渡辺容疑者が生み出したものです。
彼女が作成した『りりちゃん魔法完全攻略マニュアル』など数万円する複数のマニュアルがホストにハマっている女性などを中心に広まっています。
今回はその”りりちゃん信者”の1人がこのマニュアルを利用して詐欺行為を行い2人の男性から1062万円の現金を騙し取って逮捕されました。マニュアル作成者の渡辺容疑者も芋づる式に逮捕された形です。
参考 Yahoo! JAPANニュース
http://news.yahoo.co.jp/articles/2289d27a6464ad26dfdf9ac8140bb6dad885d953
他にも、渡辺真衣容疑者(りりちゃん)は、男性の恋愛感情を利用して、自分でも男性2人から現金1億5000万円以上をだまし取ったとして、詐欺罪にも問われています。
このように、詐欺の手法に関するマニュアルまで出回ってきている等、男性の恋愛感情を利用した詐欺被害の手口は、どんどん巧妙になってきています。
「もしかして…」と感じたら、一人で抱え込まずに、すぐに弁護士に相談することが必要です。
グラディアトル法律事務所では、
など、一般には難しいと思われる案件についても、解決してきた実績があります。
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この記事では、
について解説しました。
風俗嬢詐欺にあった場合、詐欺被害の証拠をかき集めた上で、速やかに弁護士に相談することが重要です。
詐欺被害から時間が経つほど、
といったリスクも高くなってしまうからです。
グラディアトル法律事務所では、24時間365日全国対応可能な体制を整備しています。
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