「風営法の警察の立ち入り調査はどのようなタイミングで行われる?」
「風営法の警察の立ち入り調査ではどのような事項が確認される」
「警察の立ち入り調査で風営法違反が確認されたらどうなる?」
キャバクラ、ホストクラブ、ガールズバー、スナックなど風俗営業店や、ソープ・デリヘルなどの性風俗点などの風営法関連業種では、警察による抜き打ちの立ち入り調査が行われることがある。これは、風俗営業店が必要な許可をとって営業しているのか、営業所の設備・構造が営業許可を受けたときの基準を維持しているのかなどの風営法上のルールが守られているかどうかをチェックするのが目的である。
風営法を遵守して営業をしていれば特に問題はないが、法令違反などが認められると、営業許可の取消や営業停止処分になることもあるため注意しなければならない。
本記事では、
・風営法における警察の立ち入り調査とは?
・風営法の警察の立ち入り調査が行われるタイミング、状況、確認事項
・風営法の警察の立ち入り調査があったときの対応方法
・風営法の警察官の立ち入り調査を拒否した場合の罰則
などについてわかりやすく解説する。
風営法の立ち入り調査を乗り切るには、風営法に強い弁護士のアドバイスやサポートが有効であるため、普段から風営法に強い弁護士を顧問弁護士にして相談しておくべきだろう。
風営法では、キャバクラ、ホストクラブ、ガールズバー、スナックや、ソープ・デリヘルなどの性風俗店などの風営法関連業種などについて、立ち入り調査や資料の提供を求めることができると規定している(風営法37条)。これが風営法における「警察の立ち入り調査」である。
警察の立ち入り調査は、主に、風俗営業店が必要な許可をとって営業しているのか、営業所の設備・構造が営業許可を受けたときの基準を維持しているのかなどの風営法上のルールが守られているかどうかをチェックする目的で行われる。
警察の立ち入り調査が行われるとお店の営業に大きな支障が生じることから、風営法の解釈運用基準では、法の目的の範囲内で必要最小限度で行わなければならないと定められている。つまり、犯罪捜査の目的やその他の行政目的のために行うことはできないということを覚えておくべきである。
警察の立ち入りというと、いわゆる「ガサ」と呼ばれる捜索差押をイメージする方も多いと思うが、風営法の立ち入り調査と捜索(ガサ)とはまったくの別物である。
風営法の立ち入り調査は、健全な営業活動をしているかどうかの確認のために行われるものであるのに対して、捜索(ガサ)は、犯罪捜査の目的で行われるものである。そのため、お店に警察がやってきたとしても、それが風営法の立ち入り調査であれば、そこまで慌てる必要はないが、捜索であった場合、風営法などの法令違反が強く疑われている状態であるためそのまま逮捕されてしまう可能性もある点に注意が必要である。
風営法の警察の立ち入り調査は、どのようなタイミングで行われるのだろうか。以下では、風営法の立ち入り調査が行われるタイミングについて説明する。
同業者・近隣住民・管理会社などからの通報、従業員や客からの密告があると、警察では、当該風俗営業店が風営法上のルールを遵守しているかどうか確認する必要が生じるため、立ち入り調査が行われる可能性がある。
通報や密告があったかどうかは、風俗営業店の経営者には把握しようがないため、警察による立ち入り調査がどのタイミングで行われるのかを予想することは困難である。
風営法の警察の立ち入り調査は、繁華街のキャバクラやホストクラブなどを対象に一斉調査が行われることもある。
最近では、悪質なホストクラブに通う女性が高額な借金を背負わされ、売春を強いられる事案などが問題視されており、ホストクラブに対する大規模な一斉調査も行われているようである。
一斉調査も事前に情報がもれることはないため、風俗営業者の経営者は、立ち入り調査のタイミングを把握するのは困難である。
風営法の警察の立ち入り調査が行われる店の特徴としては、主に以下の2つが挙げられる。
同業者・近隣住民・管理会社などからの通報、従業員や客からの密告があった店は、警察による立ち入り調査の対象になりやすい。
立ち入り調査を回避したいなら、健全な経営に努めることが重要だといえるだろう。
過去に風営法違反があった店も警察による立ち入り調査の対象になりやすい。
このような店は、再び風営法のルールに違反した経営をしている可能性が高いといえるからである。再び警察による立ち入り調査があってもいいように、以前に警察から指摘された点はしっかりと改善しておくことが重要である。
風営法の警察の立ち入り調査で確認される主な項目としては、以下の4つが挙げられる。
風営法では、風俗営業店や深夜酒類提供飲食店を営む事業者に対して、従業員名簿を作成し、営業所に備え付けることが義務付けられている。
警察による立ち入り調査でも従業員名簿の有無・内容は、よく確認される事項であるため、風営法のルールに従って、しっかりと整備・管理しておくようにしたい。
風営法の警察の立ち入り調査では、お店の構造や設備についても確認される。
風俗営業許可申請の際に提出した図面通りのレイアウトになっているかどうか、当初の図面から変更されている場合には変更手続きがとられているかなどがチェックされることになる。
許可なく客席にパーテーションなどを設置すると風営法違反になるため注意が必要だ。
店舗内の見やすい場所に風俗営業許可証を掲示されているかどうかが確認される。
店名が変わっている場合、昔の店名のままの営業許可証になっていないかどうかチェックしておくべきである。
風営法では、風俗営業を行う店舗では原則として18歳未満の未成年者の立ち入りが禁止されている。風俗営業を行う店舗は、18歳未満の立ち入りを禁止する旨の掲示をする義務があるため、それが行われているかどうかが確認される。
経営者としては、普段から未成年者と思われる客が入店した際は、身分証の提示を求めるなどして確認しておくべきである。
風営法の警察の立ち入り調査があった場合、以下のような方法で対応すべできである。
立ち入り調査を実施する職員は、身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示する義務がある。
これは警察手帳ではなく、風営法施行規則で定められた証明書のことをいう。
立ち入り調査にやってきた警察官が身分証を提示しない、携帯していないときは立ち入り調査を拒否することも可能である。また、警察官が身分証を提示したときは、それを確認し、内容を記録しておくべきである。
風営法では、調査の方法として「報告または資料の提出」と「立ち入り」という2種類がある。
風営法の解釈運用基準では、報告または資料の提出で目的が十分に達することができれば、立ち入りは行わないと定められている。そのため、報告または資料の提出を求められることなく、いきなり立ち入り調査が行われた場合には、立ち入り調査の前に報告または資料の提出による調査を求めるべきである。
風営法の解釈運用基準では、経営状態の把握のために会計帳簿や経理書類等の提出を求めることは認められないと定められている。
そのため、会計帳簿や経理書類等の提出を求められたとしても、それを拒否することは可能である。
風営法の解釈運用基準では、原則として営業者、従業者など営業者側の者に対して質問をし、客に対する質問は営業者側への質問では目的が達成できない例外的な場合のみ認められる旨定められている。
そのため、警察官から店の客に対して質問がなされたときは、客への質問をしないよう求めるべきである。
風営法の警察の立ち入り調査を拒否するとどうなるのだろうか。以下では、立ち入り調査を拒否した場合の罰則と逮捕されたケースを紹介する。
風営法の立ち入り調査を拒否すると、100万円以下の罰金が科される。
また、次に述べるように立ち入り調査を拒否すると逮捕されるリスクもあるため注意が必要である。
時間外営業に関する警察の立ち入り調査に応じなかったとして、北海道の札幌・すすきので風俗店の店長の男が逮捕された。警察による立ち入りの一部始終をカメラが捉えた。
午前2時ごろ、札幌・すすきのにあるビル内に響くシャッターをたたく音。時間外営業に関する立ち入り調査に応じない風俗店に対し、10分以上警告を続ける。そして――鍵が開き、警察官が侵入。警察官の店舗への立ち入りを拒否したとして警察は店長の◯◯容疑者(22)を現行犯逮捕した。また、同様の容疑で他の2つの風俗店でも2人が逮捕されている。
北海道警によると立ち入り拒否の疑いで逮捕者が出るのは北海道内で初めてだという。
引用:http://www.news24.jp/articles/2017/09/29/07373889.html
警察官の店舗への立ち入りを拒否したとして警視庁保安課は風営法違反(立ち入り拒否)の現行犯で、東京都台東区上野のキャバクラ「◯◯◯」責任者、◯◯◯容疑者=豊島区西池袋=と、同「◯◯◯」経営者、◯◯◯容疑者=荒川区南千住=ら男8人を逮捕した。1人を除き「間違いありません」などと容疑を認めている。
逮捕容疑は今月9日、警察官らが両店の時間外営業に関して行政指導を行う目的で店舗に立ち入ろうとした際、出入り口ドアに鍵をかけたり、エレベーターを操作したりして妨げたとしている。
同課によると、両店はいずれも今春から営業を開始し、それぞれ3カ月で約6千万円を売り上げていたという。これまでにも複数回立ち入りを試みたが、拒否されたため逮捕に踏み切った。
引用:http://www.sankei.com/affairs/news/170710/afr1707100019-n1.html
警察の立ち入り調査で風営法違反が確認されると、行政処分や刑事処分の対象になる可能性がある。
風営法違反が確認された場合の行政処分には、「指示処分」「営業停止」「許可取り消し」の3種類がある。
・指示処分……違法行為を改善するための指示
・営業停止……営業の全部または一部の停止を命じる処分
・許可取り消し……許可が取り消され、今後5年間新たに許可を受けられない
風営法違反が確認されたとしても、いきなり営業停止や許可の取り消し処分がなされるのではなく、通常は指示処分が行われる。指示処分に従い、違法状態を改善すればそれ以上重い処分が下されることはないが、改善がなく違法状態を継続していると営業停止や許可取り消しを受ける可能性がある。
営業停止や許可の取り消しによりお店の営業ができなくなると、経営上のダメージが大きいため、できる限り指示処分の段階で対応しておくべきである。
風営法に違反すると、違反行為の内容に応じて以下のような刑事処分が科されます。
違反行為 | 法定刑 |
無許可営業 | 2年以下の懲役または200万円以下の罰金(併科あり) |
名義貸し | 2年以下の懲役または200万円以下の罰金(併科あり) |
18歳未満の者による接待行為 | 1年以下の懲役または100万円以下の罰金(併科あり) |
客引き | 6月以下の懲役または100万円以下の罰金(併科あり) |
従業員名簿備え付け義務違反 | 100万円以下の罰金 |
許可証等の提示義務違反 | 30万円以下の罰金 |
風俗店の経営者の中には、煩わしい警察の立ち入り調査を防ぎたいと思っている方もいるはずである。
しかし、警察による立ち入り調査は、抜き打ちで行われるため経営者の側でコントロールすることは不可能である。ただし、健全な風俗店経営を行っていれば、同業者・近隣住民・管理会社などからの通報、従業員や客からの密告による立ち入り調査を回避できる可能性がある。
また、警察による立ち入り調査があっても違反が確認されなければ、何度も立ち入りにやってくる可能性は低くなる。
そのため、経営者としては健全な風俗店経営を心掛けることが重要である。
風営法の立ち入り調査は、刑事事件の捜索(ガサ)とは異なり、すぐに逮捕される可能性は低い。しかし、立ち入り調査を拒否したり、違法状態が指摘されたにもかかわらず、適切な対応をとらないと逮捕され、前科が付くリスクもある。
風営法の正確な知識や理解がなければ立ち入り調査に対応することは難しいため、立ち入り調査があったときはすぐにグラディアトル法律事務所に相談してほしい。当事務所では、顧問先の風俗店やキャバクラ、ホストクラブなどから警察の立ち入り調査について相談を受けた経験があるため、立ち入り調査の対応のポイントを熟知している。
安易な対応は自分の首を絞めることになるため、風営法に強い弁護士が所属する当事務所に対応を任せてもらいたい。また、今後のためにも風営法に強い顧問弁護士をつけておくのがおすすめである。
風営法の立ち入り調査では、風営法上のルールを守って経営が行われているかどうかが確認される。健全な風俗店経営をしているのであれば、立ち入り調査があっても特に指摘されることなく終わるはずだが、何らかの違法が確認されると行政処分や刑事罰の対象になる可能性もある。
そのため、立ち入り調査があったときはすぐに風営法に強いグラディアトル法律事務所まで相談してもらいたい。