「キャバクラトラブルに巻き込まれたら、どういう行動をしたら良いのだろうか」
「キャバクラで働きたいけれど、何かトラブルに巻き込まれないか不安だ」
キャバクラといってもさまざまなお店があり、きちんとしたお店を利用しなければ、思わぬトラブルに見舞われることがある。
例えば、キャバクラにおけるトラブル事例としては、以下のようなものが挙げられる。
お客としてキャバクラ店を利用する場合、お金が絡んだ色恋沙汰トラブルや、違法な料金設定でお客からお金を騙し取るような金銭トラブルが起こりやすい。
キャスト(キャバ嬢や黒服)として働く場合も、キャバクラの仕事は接客業であるため、お客とのトラブルはつきものだ。また、キャバクラは歩合制で給料が決まるといった実力主義な側面があり、働く環境やキャスト同士のトラブルも起こりやすい。
そこで本記事では、お客側・キャスト側の両視点のキャバクラで起こりやすいトラブルについて、事例を交えながら紹介していく。
本記事を読むことでわかること |
● ケース別の主なトラブル事例や対処法がわかる ● キャバクラトラブルに巻き込まれないために意識すべき行動がわかる ● キャバクラトラブルの相談先がわかる ● キャバクラトラブルに詳しい弁護士を見極めるポイントがわかる |
万が一、キャバクラトラブルに巻き込まれたとしても適切に対処するための方法についても紹介しているので、すでにトラブルが発生しているという人もぜひ参考にしてほしい。
どのようなキャバクラトラブルがあり、起こったときにどのように対処すべきかがわかっていれば、トラブルに巻き込まれてもスムーズに対応することができる。
そこで、この章ではキャバクラを利用するお客側とキャバクラで働くキャバ嬢や黒服などのキャスト側のトラブルについて一覧にまとめ、ご紹介させていただく。
キャバクラで起こる主なトラブルは、以下の表の通りだ。
次章以降で、具体的なトラブルと対処法について紹介しているので、自分に当てはまるケースや心配なトラブルを見つけたら、その詳細を確認してほしい。
お客側のキャバクラトラブルは、お金にまつわるトラブルが多い傾向だ。そのため、利用する場合は、キャバ嬢やお店との金銭トラブルに注意が必要と言える。
キャバ嬢や黒服といったキャスト側におけるキャバクラトラブルは、対人関係から金銭的なトラブルまで幅広いトラブルが起こりやすい状況だ。
キャバクラを利用する場合も働く場合も、各状況に合ったトラブルを把握しておくことを推奨する。
まずは、キャバクラを利用した際に起こりやすい「お客側のキャバクラトラブル」について見ていこう。
お客側の主なキャバクラトラブルとしては、次の2つが挙げられる。
キャバクラを利用した際には、お金に関するトラブルには注意が必要だ。どのようなトラブルが起こりやすいのか解説した上で、対処法についても紹介するので、万が一の際の知識として理解しておこう。
キャバ嬢は、お客さんからの指名や同伴が増えるにつれて給料もアップしていくシステムが一般的だ。
そのため、色恋営業が行われることも多く、キャバ嬢に対して特別な感情を抱き、金銭トラブルのきっかけとなることがある。
お客とキャバ嬢の間で特に多いのが金銭トラブルだ。
▼お客とキャバ嬢との金銭トラブル例
● キャバ嬢に本気になってしまい、貢いでしまった ● 色恋営業で結婚をほのめかすキャバ嬢にお金を騙し取られた ● 詐欺被害: 「家族が病気で治療費が必要」「仕送りが少なくて、学費を稼ぐためにキャバ嬢として働いている」など、キャバ嬢の嘘に騙されてお金を工面し、渡してしまった |
このように、特定のキャバ嬢にのめり込んで貢がされたり、騙されたりして多額のお金やプレゼントを渡してしまい、金銭トラブルに発展してしまうケースが少なくない。
そのため、キャバクラトラブルを防ぎたいのであれば、キャバ嬢との個人的なお金のやり取りを行わないことが重要だ。
▼お客とキャバ嬢との金銭トラブルにおける対処法
すでにキャバ嬢との金銭トラブルに発展している場合は、弁護士に相談しよう。
自分に非がない話であれば、警察や消費生活センターへ相談するという選択肢もある。しかし、警察は民事不介入を理由に取り合ってくれないことが多い。消費生活センターも然るべき関連機関に連携されることになり、解決に時間がかかってしまう可能性がある。
その点、弁護士なら、すぐに状況に合った主張で相手と交渉してもらうことが可能だ。
キャバ嬢に対するお金や高価なプレゼントによる金銭トラブルは、「貸したものか」「贈与なのか」という部分が争点となってくる。
思わせぶりな態度からキャバ嬢に本気になり、お金を渡してしまうものの、返済に応じてもらえないという相談は意外と多いが、基本的にプレゼントは贈与(法律的には贈与契約)と見なされる。
簡単に言えば、お金やプレゼントはあげたもので、もらったものは返す必要がないということだ。そのため、自分で取り返そうとしても、返済義務が発生しないものを取り返すのは難しい可能性が高い。
ただ、お金やを贈る際にキャバ嬢と契約書を交わしていたり、何らかの交換条件や約束の上でプレゼントや金銭のやりとりをしていたりするのであれば、返してもらえる可能性がある。騙されてお金やプレゼントを渡してしまった場合も、全額までは行かなくても一部回収できる可能性がある。
また、キャバ嬢が「病院の金が必要」など、何らかの嘘をついて、客に金を払わせたような事案では、詐欺罪が成立することもあり、刑事告訴や返金請求が可能だ。
いずれにしても返済の交渉をする上で法的な知識が必要になるため、もしお金が絡んだキャバ嬢とのトラブルが起こったら、弁護士に相談して解決するようにしよう。
キャバクラをお客として利用した際に多いお店とのトラブルは、いわゆる「ぼったくり」と言われる不当・法外な利用料金を請求されるトラブルだ。
キャバクラにもさまざまな店舗があり、一部で悪質なぼったくりによる被害も出ている。
▼お客とお店との利用料金トラブル事例
● 利用後、領収書を見ると法外な価格設定のサービス料を取られていた ● 事前に説明された内容とは異なる料金が支払い時に追加されていた ● 水やおしぼり、お通しなどに法外な料金が設定されていた |
ぼったくり被害には、さまざまな種類があるが、お客に対して断りもなく提供され、会計時に初めて料金設定を明かすという手口が多いのが特徴だ。
そのため、以下のような言動や対応がお店側に見られたら、注意が必要だ。
▼注意すべきお店の言動や対応
● 飲食物を注文する前に利用料金に対する案内がない ● 利用料金に対して聞いても誤魔化される ● 具体的な料金について答えてくれない |
ぼったくりに気がついたら、法外な料金の支払いを回避するための行動を取ることが大事だ。怪しいと思ったら、すぐに退店しよう。早いタイミングで退店すれば、高額請求を最小限に抑えられる可能性がある。
利用後、利用料金トラブルに気が付いたら、次の対処法を参考に対応しよう。
▼お店との利用料金トラブルにおける対処法
会計時に利用料金トラブルがわかった場合は、状況によって対応が変わってくる。以下を参考に、あなたが置かれている状況に合った対処法を実行しよう。
【ケース①】不当な請求を拒否できる状況の場合:請求を拒否した上で弁護士に相談する
万が一、利用後で合っても、事前説明がなく提供されたサービスについては、支払いを拒否することができる。そのため、まずは請求を拒否をした上で、弁護士に相談してほしい。
【ケース②】不当な請求だが支払わざるを得ない状況の場合:クレジットカードで支払い、脅された証拠を残しておく
中には支払いを拒否すると強面のスタッフが出てきてしまい、脅迫や暴力により、支払わざるを得ない場面もあるだろう。その時は、クレジットカードを利用しておくと安心だ。後に警察に被害届を出し、ぼったくられたことが認められれば、クレジットカード会社は支払いを停止したり、引き落としされた料金を返金してくれたりする。
以上の対応をした後は、速やかに警察や弁護士に相談し、解決を図ろう。警察は、民事不介入を理由に、積極的な対応は期待できないこともあるが、暴力や脅迫などの行為があれば動いてくれる可能性がある。可能であれば、証拠として店内の様子を録画、録音しておこう。
利用料金トラブルが50万円以上など、金額が大きいケースであれば、弁護士に相談するのもひとつの解決法だ。警察への同行や相手側との対応を代理を行ってくれるため、自分で行うよりもスムーズに話し合いを進められるだろう。
続いては、キャバクラで働く「キャバ嬢や黒服に起こるトラブル」について解説する。
キャスト側で起こりやすいキャバクラトラブルの相手は、「お客」「お店」「上司・同僚」に大きく分類できる。
そのため、キャスト側は気を付けなければならない場面が多くなるが、よくある事例や対処法を押さえておけば、万が一の際にも安心だ。
早速確認していこう。
キャバクラには、さまざまなお客様が来られる。接客を行う中で誤解を生んだり、思わぬトラブルに巻き込まれたりすることも多い。
ここでは、次の3つについて紹介する。
自分や同僚が被害者となった場合、どのような行動を取るべきなのかを見ていこう。
キャバ嬢の手厚い接客を恋愛によるものだと錯覚してしまうお客は多く、時に好意がエスカレートし、ストーカー被害へと発展することもある。
▼お客によるストーカートラブル例
● 尾行やつきまといをされている ● 外出先や出勤途中で待ち伏せされている ● 何度も電話をかけてくる ● あなたに不快感や嫌悪感を与えるものを送りつけてくる ● 電話などで卑猥な言葉を言ってくる ● あなたを中傷したり、名誉を傷つける内容のメールや書面を送りつけてくる |
キャバクラトラブルにおけるストーカー被害も、一般的なケースと同じだ。上に挙げた以外にも、ストーカーに当たる行為がある。詳しくは、警視庁の「ストーカー規制法」のページにもあるので、気になる人は確認しよう。
▼お客によるストーカートラブルの対処法
もしストーカー被害に遭っているのであれば、迷わず警察や弁護士などに相談しよう。
犯人を特定し、ストーカー被害を立証するための証拠を集めると刑事告訴することも可能になるが、自分で行うのは危険が伴う。相手の行為が凶悪な犯罪にエスカレートしてしまう可能性もあるからだ。
例えば、弁護士に相談すると、相手が特定できていれば警告文を送ってもらうことが可能だ。証拠を集めて警察へ被害届の提出する際に同行してもらうこともできる。弁護士と警察がタッグを組んで対応してくれるため、しっかりとした対処でストーカー行為をやめさせることができる。
特に、ストーカーの理由にお金が絡んでいる場合は、弁護士へ先に相談してから警察へ行くのがおすすめだ。
お金が絡んでしまうと、警察も「それでは仕方ないよね」という対応になってしまうことがあるが、そのときに、先に弁護士に相談しておけば、「お金の話は弁護士さんにお願いしてあります」「ストーカー行為については警察も動いてください」と言うように、弁護士がうまく話をまとめてくれる。
状況に応じた然るべき機関へ相談することで、ストーカー行為をやめさせる対応が取れるため、お客からのストーカートラブルに巻き込まれたら、最寄りの警察署や警察の相談専用電話「♯9110」、弁護士へ相談するようにしよう。
一般的なキャバクラは、楽しく会話を楽しみながらお酒を飲むお店だ。そのため、セクハラは禁止である。
セクハラとは、キャバ嬢へのお触りや性的な言動だ。例えば、次のようなケースはセクハラになる可能性がある。
▼セクハラに該当するケース
● 下着の中に手を入れる。 胸や脚やお尻、髪の毛などを触ってくる ● 「何カップ?」「処女なの?」などの不快に感じるような発言 ● 無理やり(お客の)体を触らせられる |
キャバクラにもさまざまな形態があり、セクシーキャバクラと言われる性的なサービスを行うキャバクラもあるため、お店の形態を理解していないためにセクハラを行うケースもあるだろう。
酔っているお客だけでなく、シラフであっても悪気なくセクハラをしてしまうお客もいるため、自分の身を守るためにも、対処法を知っておくことが重要だ。
▼お客によるセクハラトラブルの対処法
目に余るセクハラをされたり、度が過ぎたセクハラを目撃したら、毅然とした態度で対処する必要がある。そうでなければ、お客が「セクハラしても怒らない子」「セクハラをしても大丈夫なお店」という間違ったイメージを持ってしまい、セクハラがエスカレートする可能性があるからだ。
ここでは、「自分で対処できるケース」「自分では対処が難しいケース」に分けて紹介する。
①自分で対処できるケース
話をすればわかってくれるような人であれば、「お店のルールで禁止されている」と伝えよう。「自分が嫌だから」というのではなく、お店の決まりとして伝えることで、あなたの印象を下げることなく、セクハラ行為をやめさせることができる。
②自分では対処が難しいケース
しつこい場合や悪質なセクハラを行うお客は、席を離れることで回避しよう。
黒服や周りのキャストも気づいてくれないような場面では、お手洗いなどを理由に席を立ち、その際に黒服やキャストへセクハラされていることを伝えれば、お客にも配慮した上で席を離れられる。
注意されて一度はやめたものの、またすぐにセクハラをしてくる人や、他のキャバ嬢にもセクハラをするような人もいるだろう。その時は、すぐに黒服や周りのキャストに伝えてほしい。セクハラを野放しにすることで店の信用や品位が下がってしまうため、黒服やキャストへ伝えれば出禁などの厳しい対応で対処してくれるだろう。
お客の暴力・暴言トラブルは、言葉の通り、お客から暴力を振るわれたり、暴言を吐かれたりしてしまうトラブルだ。
▼お客の暴力・暴言トラブル例
● 怪我をするような暴力(殴る、馬乗りになって押さえつけるなど) ● 言葉による中傷や名誉を傷つける暴言 ● 大声を出して萎縮させる |
酔ったお客が突然キレたり、何気ない冗談が気に障って突然怒り出したりするケースは起こり得るため、接客の際には注意が必要と言えるだろう。
▼お客による暴力・暴言トラブルの対処法
もし、お客が暴力を振るったり、暴言を吐いたりしたら、状況に応じた対処をしてトラブルを解決しよう。
①話し合いで解決できるケース
黒服やキャバ嬢に暴力を振るったあと、ことの重大さに気付き、お客が冷静さを取り戻したら、話し合いで解決できる可能性があります。
トラブルの当事者同士を引き離した上で、別のキャストが話を聞くようにしよう。
暴力や暴言によるトラブルがきっかけで、病気や怪我をした際には、弁護士に相談するのがおすすめだ。相手が応じてくれれば、暴力・暴言のトラブルで生じた損害を示談で解決することができる。
暴力や暴言の度合いによっては、刑事事件化や民事での裁判もあり得る。弁護士は、相談者の要望に合わせて動いてくれるケースが多いので、慰謝料などのお金が絡むケースや刑事・民事での解決を望む場合は弁護士へ相談しよう。
②お客の興奮がおさまらず、事態の悪化が見込まれるケース
暴力や暴言を吐いた後も、お客が暴れてしまうような場合には、あなたからお客さんに対して手をあげるようなことはしないで、迷わず警察へ通報しよう。
警察が来るまでの間は、当事者同士を引き離した上で、暴力を振るったお客を刺激しないよう、話を聞いて警察の到着を待とう。
キャバクラトラブルは、雇い主との間でも起こり得る。キャバ嬢や黒服などのキャストとお店とのトラブルでは、お金にまつわるトラブルが多い傾向だ。
労働者における罰金制度は、労働基準法という法律で禁止されているが、業務委託契約では罰金を取ること自体が全て違法な訳ではない。
そのため、業務形態によっては罰金を支払わざるを得ないこともある。
また、水商売業界では、キャバ嬢が突然辞めたり、風紀を乱したりするトラブルが多く、キャストに真面目に働いてもらうことを目的とした罰金制度があるのも事実だ。
そのため、罰金システムを悪用した罰金請求トラブルに巻き込まれることがある。
▼多額の罰金請求トラブルの例
● 連絡をして欠勤したのに、無断欠勤として数十万円もの罰金を請求された ● 規則として禁止されている男女交際がバレてしまい、風紀違反としてお店から140万円もの罰金請求をされた |
キャバ嬢や黒服などのキャストが、お店に対して迷惑をかけたのであれば、それに対する罰金を支払うのが業界では一般的となっている。金額はお店によって異なるものの、多くの場合、罰金は数千円〜数万円だ。
もしお店のルールを破ってしまった場合は、給与明細を確認し、多額の罰金が差し引かれていないかを確認しよう。
また、キャバクラでのトラブルでよくある事例が、風紀違反だ。
キャバ嬢と黒服などのスタッフの恋愛を禁止し、これに違反した場合に罰金名目で損害賠償を請求されることがある。
この風紀違反については、そのキャバクラ店のルールの定め方などによっては違法・無効になることがある。
実際に、風紀違反での罰金を違法・無効とした裁判例もあるので、参考にしてほしい。
▼多額の罰金請求トラブルにおける対処法
自分に非があれば罰金を支払うことは、業界の中では当たり前のこととなっているが、お店から根拠のない100万円以上もの罰金や覚えのない罰金請求は支払う必要がない。
「風紀違反で100万円」といった法外な罰金なら違法・無効になる可能性があるためだ。
実際、弁護士に相談したことで罰金が無効となった事例がある。お店に迷惑をかけていないにも関わらず罰金請求をされている場合や、明らかに違法と言える多額の罰金請求をされた場合には、弁護士に相談して解決するのが妥当だろう。
キャバクラも、きちんとしたお店ばかりではないのが現実だ。キャストの給料をごまかしたり、退職のタイミングで給与が支払われなかったりするトラブルも多く起こっている。
▼給与未払いトラブルの例
● 22時以降も勤務していたのに深夜手当がついていない ● 本来支払われるべき金額よりも少ない ● 健康上の都合で急な退職となってしまった際、通常は1ヶ月前までに申し出る必要があるため、今働いている分の給与は支払わないと言われた |
このように、本来支払われるべき給与が支払われないというトラブルは少なくない。雇用形態や勤怠表、給与明細などを確認し、賃金や手当、賞与がきちんと支払われているかを確認するようにしよう。
弁護士に相談することにより、未払いの給料だけでなく、過去に働いていた分の未払深夜手当として、数百万円の請求が認められたケースもあるので、弁護士に相談しよう!
▼給与未払いトラブルにおける対処法
給与未払いの請求には、3年という時効がある。そのため、給与未払いの可能性があるなら早めに対処することをおすすめする。
【自分で対処する場合】
自分で対処する場合は、次の3つの手順で請求することになる。
①お店に対して「未払いとなっている給与の支払いを求める」という内容の書面を送る(内容証明を送る)
内容証明とは、誰から誰宛に送られたのかを郵便局が証明してくれる制度だ。
給与を請求できる権利には、3年という時効がある。内容証明には、支払いを強制的に行う効力はないが、「給料を支払ってほしい」という要求を書面にして相手に送ることで、その時効の進行を6ヶ月間止めることができる。
内容証明を送っているのに相手側が応じてくれないという状況で労働基準監督署へ申告すると、相談にも応じてもらいやすくなるため、給与未払いのトラブルが起こったら、まずは内容証明を送るようにしよう。
②給与未払い請求に証拠として使える書類を集める
内容証明を送ったら、次は給与未払いの事実を客観的に判断できる証拠を集めよう。万が一、お店側が給与未払いの対応をしてくれなくても、証拠を持って次のステップである労働基準監督署へ申告することで支払ってもらえる可能性がある。
<主な書類>
● 給与明細書
● 就業規則
● 雇用形態がわかる書類(雇用契約書など)
● 勤怠に関する資料(勤怠表など)
● 実際の労働時間がわかり、給与計算ができる書類(タイムカードなど)
● 業務日誌など
③労働審判や訴訟を起こす
お店側が給与未払いに対して何の対応もしてくれないが、なんとしても支払ってもらいたいという場合は、最終的に裁判を起こすことになる。
【弁護士に依頼する場合】
弁護士に依頼すれば、内容証明から証拠集め、労働審判や裁判まで、必要な手続きから対応までの全てを代行してもらうことが可能だ。
キャバ嬢の場合、本来付くはずの深夜手当がもらえていないというトラブルも多い。
キャバ嬢は時給が高いので、仮に2年以上深夜手当がついていなければ、訴えることで支払われなかった深夜手当だけで数百万円も支払ってもらえる可能性がある。
給与が貰えているが深夜手当が付いているか微妙という場合もぜひ弁護士に相談して、本来支払われるべき深夜手当が付いているかを計算してもらおう。
お店によって差はあるものの、残念ながらキャバクラの世界は上下関係が厳しく、華やかな世界とは裏腹に、嫌がらせやいじめなどのトラブルは珍しくない。
▼上司・同僚とのトラブルの例
● インターネット上に、源氏名で「整形している」「ブス」などの誹謗中傷や名誉毀損の書き込みをされた ● 「黒服やお客と付き合っている」「枕営業をしている」など、事実と異なる噂を流された ● 過去の写真や加工された画像、自宅玄関の写真などをインターネット上に晒された |
このような度を過ぎた嫌がらせやいじめは、今後の仕事や生活に大きく影響を与える可能性がある。
特に、インターネット上における誹謗中傷は、いつまでも残り続ける可能性があるため、被害を拡大しないためにも早めに対処することが重要と言えるだろう。
▼上司や同僚とのトラブルにおける対処法
キャバクラの世界は実力主義であるため、売り上げが伴っていれば相手の態度も変わってくるが、売り上げを競い合うキャバクラでは、ライバル意識が強くなりやすく、嫌がらせやいじめにつながりやすい。状況に応じた対処で、トラブルが拡大するのを防ごう。
【お店内で業務に支障が出るような嫌がらせをされている場合は店長や上司へ】
新しく入ったお店では、特に「態度が生意気」「自分より人気が出そうという焦り」「新人だから」といった理由で、事実とは異なる噂話を流されるなどの嫌がらせをされることがある。
まずは、自分に非がないようしっかりとお店のルールは守った上で、店長や上司に相談して改善してもらうようにしよう。
【インターネット上での嫌がらせやお金絡みの場合は弁護士へ】
万が一、お金絡みのトラブルやインターネットでの誹謗中傷といった嫌がらせをされているなら、すぐさま弁護士に相談するのが得策だ。早く対処をしないと、情報が拡散され、風評被害につながる可能性もあるからだ。
弁護士へ依頼すると、誹謗中傷の書き込みやスレッドの削除要求を行ったり、IPアドレスの開示請求や投稿者の特定などを行ったりしてくれる。
大きな損害が出ており、訴訟したいという場合の対応もスムーズであるため、店長や上司への相談だけで解決できないケースは、弁護士に相談するようにしよう。
ここまでケース別にキャバクラで起こるトラブルを見てきたが、できることなら初めからトラブルを避けたいと思う人も多いだろう。
キャバクラトラブルは、お客側もキャスト側も意識するポイントをわかって入れば、大きなトラブルを避けられる可能性がある。
そこで本章では予防策として、お客とキャスト両視点のキャバクラで起こるトラブルに巻き込まれないためにどのようなことを意識しておけばいいのかを解説していく。
キャバクラといってもさまざまな店舗があるため、安心して利用するためには、自分自身の意識も大事だ。
特に、次の3つについては意識しておく必要があるだろう。
● キャッチについて行かない ● 酔いすぎない ● のめり込み過ぎない |
利用するお店はキャッチではなく、しっかりと自分で事前に調べて選んだお店を利用しよう。
【生活安全総務課】違法な客引き行為によって、ぼったくり店などの悪質な店舗に連れて行かれることがあります。新橋、渋谷、池袋、上野・湯島地区の「違法客引き等出没エリア」を参考にして、声をかけられても絶対について行かないで下さい。#客引き#違法スカウトhttps://t.co/yh2bBTQuGW pic.twitter.com/BTQEamare9
— 警視庁広報課 (@MPD_koho) December 2, 2019
例えば、警視庁のツイッターでは、違法な客引きが行われているエリアが投稿されている。公的な機関の情報を確認し、悪質なキャバクラを利用しないための自己防衛を行おう。
利用時も、ついキャバ嬢にお酒に強いところを見せようと飲み過ぎてしまう人もいるが、酔うと正常な判断ができなくなる。お酒の量はほどほどに留めることもトラブルを未然に防ぐためには重要だ。
非日常なキャバクラ遊びは、日頃のストレスを忘れさせてくれる場所でもあるが、のめり込んでしまうと、色恋沙汰のトラブルや金銭トラブルに繋がりやすい。自分は大丈夫と思っていても、いつの間にかのめり込んでしまうのがキャバクラというところだ。
キャバ嬢との距離感が近くなりやすいが、色恋営業は接客スタイルと割り切るようにしよう。
キャバ嬢や黒服におけるキャバクラトラブルでは、次のようなところに注目してトラブルに巻き込まれにくいお店を選ぶことで大きなトラブルを防げる可能性がある。
▼働くキャバクラを選ぶ際のポイント
● どのような客層が利用しているか ● 新規のお客さんが入っているか ● キャバ嬢をはじめとしたキャストを大切にしているか(お店の姿勢) ● 営業許可証があるか ● 給与システムやペナルティ(罰金)、バック(同伴や指名、ボトル注文などの歩合給)が明確か |
働くところを探すとき、時給を重視して選んでしまう人が多いが、実際には他にも見るべきところがある。キャバクラ求人の情報を鵜呑みにするのではなく、体験入店などを活用し、実際の環境を自分の目で確認して選ぶようにしよう。
どれだけ気をつけていても、意図せずトラブルに巻き込まれてしまうことがある。自分で解決できないトラブルが起こった際には、状況に応じて「弁護士」「警察」「消費生活センター」のいずれかへ相談し、問題を解決しよう
キャバクラトラブルに対するどのような相談や対応を行っているのかを簡単に解説する。
弁護士への相談は、ここまで紹介した各キャバクラトラブルの対処法でも度々登場している通り、お金に関するトラブルに巻き込まれたケースや、自分で解決するのが難しいようなケースにおすすめだ。
法律のエキスパートである弁護士は、社会生活で起こるさまざまなトラブルを法律的な視点から解決へ導いてくれる。相手との間に入って示談交渉をしてくれるだけでなく、民事・刑事のいずれにも対応しているので、最終的に裁判となった場合にもスムーズに行動できるのはメリットだ。
ただし、弁護士へ依頼するとなるとコスト的な負担がかかる。少額な金銭トラブルでは、弁護士に依頼すると赤字になることもあるため、自分に非があり、うまく処理しないと逮捕されるようなケースや50万円以上の金銭トラブル以外で弁護士を利用する場合は、慎重に判断しよう。
自分に非がなく、放っておくとあなた自身や家族などに危険が及ぶようなケースは、迷わず警察に相談してしてほしい。
警察では、犯罪や事故などの緊急対応以外でも気軽に相談できるよう専用のダイヤルを用意している。電話番号は「#9110」番だ。全国共通で、自動的に発信地点の地域を管轄する警察本部などの相談窓口に電話がつながる。
相談内容に応じて、専門機関への引き継ぎ・紹介も行っているので、「暴行・恐喝」など事件性のあるトラブルであなた自身が被害者となっているのであれば、警察へ相談しよう。
ただし、金銭が絡むようなトラブルの場合、民事不介入を理由に取り合ってくれないこともある。そのような場合には、警察へ行く前に弁護士に相談するようにしよう。
緊急を要さない状況で、「弁護士や警察へ相談するほどでもない」「どこへ相談すべきか判断できない」という場合には、消費生活センターへ相談しよう。
消費生活センターは、消費者安全法という法律により、各都道府県に設置が義務付けられている相談窓口だ。日々の生活に関するあらゆる相談を受け付けており、国家資格である消費生活相談員や消費生活アドバイザーなどの資格を持った相談員や、それに準ずる知識があるスタッフが相談に応じてくれる。
電話番号は全国共通の「188」。通話料が必要になるが、相談料自体は基本無料だ。消費生活センターで対応しきれないトラブルについては、内容に応じて弁護士や専門業者などを紹介してくれるため、自分で解決できないときの一次相談先としておすすめだ。
ただし、トラブルの解決をサポートすることが主な目的であるため、対応に時間がかかることがある。急を要する場合には、初めから弁護士や警察へ相談した方が良いケースもあるため、状況に応じて使い分けるようにしよう。
キャバクラトラブルに備え、あらかじめ弁護士を確保しておくことが重要だ。
いざトラブルが起こってから弁護士に相談となると、時間的な余裕がなかったり、気持ちが焦ってしまったりして適切な弁護士を選べない可能性があるからだ。
弁護士と言っても、弁護士が取り扱うジャンルは多岐に渡り、専門領域も異なる。また、自分が相談したい内容に対応できる弁護士事務所を探す必要があり、キャバクラトラブルが起こってから探すとなると非常に手間がかかる。
弁護士探しに時間がかかってしまうと、その間にキャバクラトラブルの話がよりこじれてしまうことも起こり得るため、そうならないためにも事前に弁護士を確保しておくことが重要なのだ。
弁護士を確保することの重要性がわかったところで気になるのが、どのような弁護士を確保しておけばいいのかということだろう。
弁護士を選ぶポイントは、2つある。
▼キャバクラトラブルに強い弁護士を選ぶ2つのポイント
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これらを押さえておけば、万が一、キャバクラトラブルが起こっても速やかに対処できる弁護士に相談できるだろう。
弁護士が取り扱う分野は幅広く、得意・不得意がある。
特に、キャバクラトラブルについては、示談交渉や落とし所など、経験による差が出やすい。そのため、自分が抱えるトラブルと似たケースの「解決事例があるか」「キャバクラトラブルを含む風俗トラブルを専門としているか」という点には注目だ。
弁護士を探すときには、公式HPなどの「解決実績多数」「○○専門」といった言葉に注目するのではなく、実際の実績を見て見極めよう。
また、キャバクラトラブルは夜の時間帯に起こりやすい。その時に相談に応じてくれる弁護士を確保しておかなければ、いざという時にも困ってしまうだろう。
弊所の場合は、キャバクラをはじめとしたナイトビジネスに関連したトラブルの相談を24時間365日受け付けている。このように、ナイトビジネスを専門的に扱い、困ったときにすぐに相談できる弁護士を見つけておくことが重要ということだ。
対応方針は、弁護士の特徴が出やすい部分のひとつだ。
例えば、示談交渉をひとつとっても、「強気な条件を提示するのか、初めから妥当なラインの条件で交渉するのか」「相談者の意見を可能な限り尊重するのか、弁護士の経験から妥当な方針に相談者を誘導するのか」など、弁護士の個性によって対応方針が変わってくる。
対応方針は、交渉経過を大きく左右する部分となるため、あなたが抱えるキャバクラトラブルにおいて、納得できる対応方針を示してくれるのかというところは、重要な見極めポイントとなるだろう。
そのため、解決事例や実績を見て、自分の希望に沿った対応をしてくれるのかを見極めよう。
ここまでの話を見て、キャバクラトラブルが起こったときに相談できる弁護士を見つけておこうと思った方は、ぜひ弊社グラディアトル法律事務所を検討してほしい。
当事務所は、ナイトビジネスに関する法務に精通しており、日本全国で1000件以上ものトラブルを解決してきた実績がある。
ナイトビジネス業界に強い行政書士や探偵などの専門員との連携によるワンストップ対応も可能であるため、トラブルから派生した問題もスムーズに解決できるのが大きな特徴だ。
対応方針は、できる限り相談者の要望を聞き、リスクやその選択をすることで辿る交渉経過などをわかりやすく説明し、納得していただいた上で解決へと導いている。
スピード感のある対応も心がけており、24時間365日、電話やメールなどを使ったタイムリーな相談が可能だ。事前予約をすれば、土日も対応できるため、「平日はなかなか時間が取れない」「家族や会社にバレないように解決したい」というケースでもご利用いただける。
キャバクラトラブルで困ったことがあれば、ぜひ弊社グラディアトル法律事務所へご相談いただきたい。
キャバクラのトラブル事例や対処法について紹介してきたが、いかがだっただろうか。
ご覧の通り、お客側では金銭トラブル、キャスト側では金銭トラブルから人間関係まで、幅広いトラブルが起こる可能性がある。
ただ、キャバクラを利用する際や働く際に、どういう行動に気をつけるべきなのかがわかり、万が一キャバクラトラブルに見舞われても、うまく対処できる術や気軽に相談できる弁護士を見つけておけば、いざというときにも困らずに済む。
自分で解決できないキャバクラトラブルに遭遇した時には、ナイトビジネス業界に詳しいグラディアトル法律事務所へ相談してもらえれば幸いだ。