ホスト自身が姫(客)の飲食代を一時的に立て替える「売掛(単に「掛け」とも言う)」は、ホストの売上アップに大いに役立つシステムだ。
一方で、姫が売掛金を支払わずに行方をくらませるなど、「掛け飛び」をされてしまうことも多い。
「掛けを飛ばれてお金が無い…」
「早く売掛金を回収しないと生活が成り立たなくなる…」
など、経済的にも精神的にも追い込まれ、何としても売掛金を回収したいとお考えのホストの方々もいらっしゃるだろう。
実は、売掛金の回収を闇雲に行うことは大変危険であり、その理由は下記のとおりだ。
売掛金の回収を闇雲に行うことが危険な理由 |
● 姫を執拗に尾行したり無理な取り立ては、犯罪になることや民事事件に発展する可能性がある ● 無駄な行動によって事案を長期化させてしまいかねない |
そこで本記事では、前提として知っておいていただきたい「売掛金を回収できないケースと回収できるケースの違い」について解説したうえで、「健全な方法かつ最短でしっかりと売掛金を回収する方法」を詳細にご紹介する。
本記事の内容を実践すれば、行方をくらませて音信不通となった姫や、連絡は取れるものの理由をつけて支払いを拒否してくる姫など、どんな姫からでも高確率で売掛金を回収できるだろう。
掛けを飛ばれたことによる経済的かつ精神的な悩みから解放されるためにも、是非参考にしていただけると幸いだ。
ホストにとって、掛けの回収は重要事項だ。
しかしながら、「どんなに売掛金を回収したいと思ってもできない」という、下記のようなケースも存在するため、ホスト側としてはしっかりと把握しておかなければならない。
逆に言うと、上記に該当しなければ売掛金を回収することができる訳だが、ホストがこれらの違いを知っておかなければならない理由は主に下記の2つだ。
売掛金を回収できないケースとできるケースの条件について、詳細に確認していこう。
繰り返しになるが、売掛金を回収できないケースは上記の4つである。
どれか1つにでも該当していると、どんなに掛けを回収したいと思ってもできないため、残念ながら諦めざるを得ない。
これから、全てのケースの詳細と、今後掛けを伴う営業を行う際に備えて「これらのケースに当てはまらないようにするための対策」を解説していく。
法律が絡んでくるケースも多いが、分かりやすく解説するので、しっかりと把握して欲しい。
ホストが売掛金を回収できないケース・1つ目は「姫が未成年者の場合」だ。
【民法第五条】
未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
出典:e-GOV法令検索
これは上記のとおり、民法第五条において「未成年者が法律行為をするにはその法定代理人の同意を得なければならず、これに反した法律行為は取り消すことができる」と規定されているためであり、「未成年者取消権」と言う。
未成年者取消権を行使されると売掛金が取り消されてしまうため、事前に姫の身分証明書(顔写真付きのものが最も好ましい)を確認し、未成年者でないことを確認しなければならない。
なお、2022年4月1日の民法改正により、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたため、現在は「未成年者=18歳未満」であるということも、あわせて頭に入れておこう。
【POINT】
姫が未成年者だと売掛金が取り消しになるのはもちろんだが、そもそも18歳未満の者を客としてホストクラブに入店させる行為自体、法律違反だ。
具体的には風営法第二十二条に違反することとなり、違反すると「1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金またはこれの併科」が科される。
ホストクラブにおける客の年齢確認がいかに重要かということが、改めてお分かりいただけるのではないだろうか。
ホストが売掛金を回収できないケース・2つ目は「姫を詐欺・強迫して無理やり掛けさせてしまった場合」だ。
【民法第九十六条】
詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
出典:e-GOV法令検索
これは上記のとおり、民法第九十六条において、詐欺や強迫による意思表示は取り消し可能であると規定されているためである。
姫との合意が無い上記のようなケースでは、最終的に売掛金が取り消されて回収できなくなってしまうので、掛けは姫との合意のもとで行うようにしよう。
【POINT
上記は掛け発生時の注意点だが、売掛金を回収するときの態度や方法にも、同様に注意が必要だ。
回収時に無理な取り立てをしてしまったり、違法な業者に依頼してしまったりすると、犯罪になってしまう可能性がある。
その理由や具体的な注意点については、「4. 【STEP2】ホスト本人が売掛金を取り立てる」や「6.2. 債権回収業者に依頼するのはNG」にて後述するので、そちらもあわせて参考にして欲しい。
ホストが売掛金を回収できないケース・3つ目は「掛けをした証拠が無い場合」だ。
例え口約束であっても、合意のもとで行われた掛けであれば有効であり、証拠が無くても掛けが発生している以上、当然ながら姫には売掛金の支払い義務がある
しかし、回収時に姫が「私は掛けていない」と主張するなどして争いになった場合、姫が掛けたという証拠が無いと、争いに負けてしまうことがあるのだ。
アルコールによって姫の記憶が曖昧になる可能性もあるため、上記の方法を併用し、掛けの証拠をしっかり残すようにしよう。
中には初めから掛け飛びするつもりで、借用書などの書面にわざと偽の住所や電話番号を書く悪質な姫もいることから、年齢確認の際に提示された身分証明書のコピーをとっておくことも大切だ。
【POINT】
姫の署名入りの書類や伝票が無いからと言って、すぐに諦めてしまうのはまだ早い
なぜなら、それ以外にも様々なものが掛けの証拠となり得るためだ
詳細は「5.【STEP3】掛けが発生した証拠を集める」にて後述するので、そちらもあわせて参考にして欲しい。
そして、ホストが売掛金を回収できないケース・4つ目は「消滅時効が成立した場合」だ。
消滅時効とは、一定期間権利が行使されない場合に権利を消滅させる制度のことを差し、民法上、下記のとおり規定されている。
【民法第百六十六条】
債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
出典:e-GOV法令検索
つまり、「売掛金を支払ってもらえる日(一般的には姫がホストクラブで掛けを伴う飲食をした日の翌日)から5年間」が経つと、時効によって売掛金を請求する権利が消滅してしまうという訳だ。
売掛金を回収するときは消滅時効を意識し、早めに請求するよう心がけよう。
【POINT】
上記は2020年4月1日に改正された民法の内容であるため、2020年3月31日より前に発生した売掛金については、消滅時効の期間が異なる。
具体的に言うと、2020年3月31日より前に担当ホスト本人が立て替えた売掛金の消滅時効は10年間(但し、ホストクラブが立て替えた場合は1年間)となっている
なお、売掛金の消滅時効が迫っている場合、姫に催告をすること、具体的には内容証明郵便を発送するなどすることで消滅時効を6か月間延長することができるため、早急に弁護士に相談して欲しい。
一方で売掛金を回収できるケースとは、これまでご紹介してきた「売掛金を回収できないケース」に該当しない場合だ。
つまり、
「姫が未成年者でなく」
「合意のもとで発生した掛けで」
「掛けの証拠があり」
「消滅時効を迎える前である場合」
ということになる。
繰り返しになるが、売掛金を確実に回収したいのであれば、「売掛金を回収できないケース」の条件に当てはまることが無いよう、しっかり対策するようにしよう。
先にご紹介した「売掛金を回収できるケース」に該当しているにも関わらず、売掛金が中々回収できない場合、電話・LINEで連絡したり、姫の来店時に支払いを督促するのが一般的だ
しかし、
など、姫に売掛金を「掛け飛び」されてしまったため、どうにかして売掛金を回収したいと考えているホストの方もいらっしゃるだろう。
そのような場合に売掛金を回収するための手順は、下記のとおりだ。
簡潔にまとめると「まずはホスト本人で売掛金の回収を試みる→難しければ、プロ(弁護士)の力を借りて回収する」という流れになる。
各STEPについて、注意点も含めて詳細に確認していこう。
「姫の行方が分かっていて、連絡も取れているのに支払ってもらえない」という方は、既に自力での回収が困難ということなので、初めからプロに任せる前提で「5. 【STEP3】掛けが発生した証拠を集める」に進むのがおすすめだ。
しかし、姫が行方不明で音信不通という場合には、まず姫の行方を特定し、姫とのコンタクトを試みよう。
具体的には、上記のような事前情報をもとに、
などを行うと、姫の行方を掴める可能性がある。
とは言え、このような調査を素人が行うのはかなり難しいと言わざるを得ない。
なぜなら、過度なつきまといがストーカー規制法に抵触したり、調査を行う中で気づかないうちに不法侵入などの犯罪を犯してしまう可能性があるためだ。
少し調査してみて、姫の行方が掴めそうに無ければ無理せず中止し、売掛金の回収をプロに任せるべく、「5.【STEP3】掛けが発生した証拠を集める」に進んで欲しい。
姫の行方が分かったら、姫のもとへホスト本人が直接足を運び、売掛金の取り立てを試みよう。
この際注意しなければならないのは「感情的にならず、冷静に取り立てを行うこと」である。
なぜなら、感情的になってしまったり、無理な取り立てをしてしまったりすると、犯罪として逮捕されたり、民事事件に発展してしまう可能性があるからだ。
下記は犯罪・民事事件に発展してしまう可能性のある行為の具体例であるため、参考にして欲しい。
犯罪や民事事件に発展したからと言って、姫の売掛金の支払い義務が消えるわけではない。
しかし、場合によっては売掛金の金額を上回る罰金や賠償金を支払わなければならなくなるため、上記のような行為は絶対に避けるべきである。
取り立ては冷静さを忘れず、無理なく行うようにしよう。
そして、「家に行っても姫が一切取り合ってくれない」「姫の方が感情的になってしまい、話し合いができない」など、自力での取り立てが難しい場合には無理をすることなく、次のSTEPに進むことをおすすめする。
【POINT】
姫の実家を知っている場合は、実家の両親とコンタクトをとり、両親に売掛金の支払いをお願いすることも可能だ。
自分の子がホストクラブで遊んでいて、代金を未払いにしていることを知ると、子供の代わりに支払ってくれる両親もおり、このような行為は、民法上「第三者弁済(民法第四百七十四条)」と呼ばれている。
但し、法的に売掛金を支払う義務を負っているのはあくまでも姫本人であって両親では無いため、当然ながら支払いを断られることもあり、その場合には深追いしてはならない。
姫本人に対する取り立て同様、強い態度をとってしまうと犯罪や民事事件に発展してしまう可能性もあるので、丁寧な態度で接することを心がけよう。
このような場合、売掛金回収はプロに任せるのが最適だ。
そのための準備として、そして、売掛金回収の闘いに勝利する体制を整えるため、まずは掛けが発生した証拠を集めよう。
ホストの売掛金の証拠として最も有効なものとしては、「1-1-3. 掛けを行った証拠が無い場合」でご紹介した「姫の署名が入った借用書・合意書・契約書などの書類」や「姫の署名が入った会計伝票」などが挙げられる。
しかし、上記の証拠が無いからと言って、諦めるのはまだ早い。
下記のようなものも売掛金の証拠になるので、しっかり探してみて欲しい。
LINEやSNSは、姫によって消される可能性もあるので、消される前にスクリーンショットを撮っておくのがおすすめだ。
【POINT】
プロに依頼をする前に証拠を集めるべき理由は、「証拠がどれくらい揃っているかを明確にしたうえでプロと打ち合わせをして戦略を立てた方が、スムーズに事が進むため」である。
しかし、自力で証拠を見つけることができなくても、諦めないで欲しい。
意外なものが証拠になる可能性もあるので、証拠が無くても次のSTEPに進み、一度プロに相談してみよう。
証拠を集めたら、その証拠を携えて売掛金回収を依頼するプロを選定しよう。
「”プロ”って一体誰のこと?」「具体的にはどういう人を頼れば良いの?」などと疑問に思う方も多いだろうが、売掛金回収の依頼先として一般的に連想されるのは、下記のような業種の人物だ。
そして結論を述べると、この中で最もおすすめできる依頼先は弁護士、逆に絶対依頼してはならないのは債権回収業者である。
これから、それぞれの理由を詳細に確認していこう。
繰り返しになるが、売掛金回収の依頼先として最もおすすめなのは「弁護士」だ。
その理由は、「対応できる業務の幅が最も広いため」である。
下記の図をご覧いただきたい。
プロに依頼しなければならないほど困難を極めた売掛金回収事案の場合、まずは姫に「売掛金を支払って欲しい」旨を記載した通知書を発送し、姫と交渉し、更に訴訟などを経てようやく回収に至るというケースも多い。
そして、これらのプロセスを全てこなすことができるのは、弁護士のみだ。
その理由は、弁護士法第七十二条に記されている。
【弁護士法第七十二条】
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
出典:e-GOV法令検索
つまり、弁護士以外の者が、ホスト本人の代理人として売掛金回収のような法律業務を行うべく、姫宛に通知書を発送したり交渉や訴訟を遂行することは、法律上認められていない。
よって、例えば探偵や行政書士に依頼してしまうと、行方調査・通知書作成など一部業務は代行してもらえるものの、姫との交渉など、売掛金を回収するための行動そのものは結局ホスト自身がしなければならないのである。
なお、司法書士に関しては、一部の認められた者(「認定司法書士」という。)に限り、弁護士同様ホストの代理人として売掛金回収業務を遂行することが可能だ。
但し、
などの制限があることから、やはり弁護士に依頼するのが最も安心であると言える。
【POINT】
弁護士に依頼する唯一のデメリットとして挙げられるのが、「着手金や報酬金等の費用が高くなりがち」という点だ。
他業種と比べて業務の幅が広いので、当然と言えば当然であるが、売掛金が回収できず、金銭的な問題を抱えているホストの方々からすると、敷居が高く感じるかもしれない。
この点、当事務所・グラディアトル法律事務所であれば、顧問契約をしているホストクラブの所属ホストであれば、「実費相当の低額な着手金+成功報酬」という低コストで売掛金回収を行うことが可能だ。
ホストやキャバクラなど、風俗業界からの依頼を多数受けており、実績も豊富なので、是非一度当事務所にご相談いただきたい。
当事務所の詳細については、「8. 飛んだ姫から売掛金を回収するならグラディアトル法律事務所にご相談」にて後述するので、あわせて参考にしていただけると幸いだ。
一方、売掛金回収を債権回収業者に依頼するのはNGだ。
その理由は、ずばり違法だからである。
繰り返しになるが、ホスト本人の代理人として売掛金回収のような法律業務を行うことができるのは、弁護士もしくは認定司法書士(売掛金総額が140万円未満の場合に限る)のみだ。
例外的に、法務省のサイトに掲載されている、法務省によって許可された債権回収業者であれば、依頼者の代理人として債権回収業務を遂行することが可能だが、こういった業者が回収できる債権の種類は決まっており、基本的に個人からの依頼は受け付けていない。
よって、例えホストクラブの先輩に「俺は前、この業者に頼んで回収したよ」などと債権回収業者を紹介されたとしても、その業者は債権回収業務を行う資格を有していない可能性が極めて高く、このような業者が法律業務を行うことは「非弁行為」と呼ばれる。
非弁行為は違法で、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処される可能性があるだけでなく、姫が警察や弁護士に相談した結果、売掛金を回収できなくなるケースもあるため絶対に止めよう。
また、当然ながら、
などの第三者に売掛金回収を依頼することも、無資格の債権回収業者に依頼した場合と同様に非弁行為となるので、頭に入れておいて欲しい。
ここまで来たら、あとはプロの力を借りて売掛金を回収するのみだ。
先にも述べたとおり、売掛金回収のプロとして最もおすすめできるのは「弁護士」であり、弁護士に依頼をすると、一般的に下記のような手順で売掛金を回収していくことになる。
上記の流れについて、詳細に確認していこう。
まずは姫宛に
などを記した通知書を発送する。
この通知書は、普通郵便ではなく、内容証明郵便にて発送するのが一般的だ。
内容証明郵便とは「いつ、どのような内容の文書が、誰から誰へ発送されたかを郵便局が証明してくれる郵便」のことだ。
内容証明郵便で通知書を発送すれば、姫に対し売掛金を請求したことの証明とすることができるうえ、消滅時効が迫っていた場合に期限を6か月間猶予することができるなどのメリットを享受できるのである。
なお、弁護士名義の通知書を受け取った姫が、焦りを覚えて弁護士に連絡してきたり、すぐに売掛金を支払ってくれたりと、内容証明郵便を発送するだけで解決する案件も多い。
しかし一方で、通知書を無視したり、「通知書を読んだけれど、私は支払いたくない」などと連絡してくる姫もいる。そのような場合には、次の手段に移ることとなる。
通知書を送ったものの、売掛金をすぐに支払ってもらえない場合には、姫との交渉を進める。
「半分はすぐに支払えるけれど、残りの半分の支払いは〇か月後にして欲しい」など、姫側の要望があるようであればそれを聞き、ホスト側の要望と照らし合わせながら着地点を探していく。
そして、合意できる着地点が見つかれば、その合意内容を書面にし、双方が署名捺印をして保管する、というのが交渉の流れだ。
一方で、交渉をしても双方が合意できる着地点が見つからないようであれば、次の手順である訴訟に移行する。
交渉がまとまらなかった場合や、そもそも通知書を送ったにも関わらず無視されて交渉に至らなかった場合には、訴訟等を提起して解決を図る。
ここで言う「訴訟等」には、主に下記の2種類がある。
それぞれの違いを確認していこう。
支払督促とは、ホスト(債権者)が裁判所に申し立てを行うことで、姫(債務者)に対し
などが記載された「支払督促」という題目の書面を、裁判所名義で発送してもらえる手続きだ。
後にご紹介する通常訴訟と比べたとき、下記のような点が支払督促のメリット・デメリットとして挙げられる。
最大のメリットとして挙げられるのは、次のステップである「強制執行」へと進むのに必要な「仮執行宣言」を最短で出してもらえる可能性があるという点だ。
支払督促の書面が姫の元に届いて2週間以内に、姫による異議申し立てがされなければ、仮執行宣言を出してほしい旨を裁判所にお願いできる。
また、例えば未収の売掛金額が100万円の場合、通常訴訟を提起するための手数料が1万円かかるのに対し、支払督促は半額の5,000円で済むなど、費用が安く済む点も魅力と言えるだろう。
一方、デメリットとしては、支払督促の書面が届いて2週間以内に姫から異議申し立てをされると、否応なしに通常訴訟に移行してしまう点が挙げられる。
更にその際、「通常訴訟を行う裁判所=姫の住所地を管轄する裁判所」と指定されるため、姫が遠くに住んでいる場合には遠方の裁判所で裁判が開かれることになり、結果として時間や交通費を多く浪費してしまうことにも繋がりかねない。
このようなメリット・デメリットを踏まえ、支払督促を行うべきか、初めから通常訴訟をするべきか、弁護士との相談のもとで決めていくことになる。
通常訴訟とは、ホスト(原告)と姫(被告)双方の主張をもとに、
などを、裁判所に「判決」という形で判断してもらう手続きである。
支払督促と比べたとき、通常訴訟のメリット・デメリットとして挙げられるのは下記のような点だ。
前述のとおり、支払督促から通常訴訟に移行した場合、「裁判を行う裁判所=姫の住所地を管轄する裁判所」と指定されるが、初めから通常訴訟を選んでおけば、
の中で、ホストにとって都合の良い場所で裁判を行うことができる。
また、通常訴訟は、双方の主張や証拠をもとに、裁判所という第三者が売掛金の有効性を判断してくれるという手続きであるため、姫が売掛金の存在自体を否定しているなど、主張が全く違っているケースにおいて、有効性が極めて高い。
一方、最大のデメリットと言えるのが、費用と時間が多くかかるという点である。
特に、時間に関しては、判決が出るまでに1~2年ほどの時間がかかるケースも見受けられるので、長期戦になる覚悟も必要だ。
支払督促によって仮執行宣言が付されたり、通常訴訟によって売掛金の有効性を認める判決が出されたりしたとしても、それ自体はあくまでも「そういった事実が記載された書面」に過ぎないため、中にはこの時点でもまだ支払いを拒否する姫もいる。
そのような場合には、最終手段である強制執行に進むことになる。
強制執行とは、仮執行宣言付の支払督促や判決に基づき、姫の財産を強制的に差し押さえてお金に換える手続きだ。
不動産・自動車・給料・預貯金・家財道具など、あらゆる財産を換金し、売掛金に充てることができる。
ここまでいくと、姫が逃げることは困難だ。
但し、万が一価値のある財産を差し押さえられなかった場合、強制執行が空振りに終わる可能性も否めないため、プロである弁護士と相談のもと、注意して進めていく必要がある。
姫に掛けを飛ばれて困っているというホストの方々は、是非当事務所・グラディアトル法律事務所にご相談いただきたい。
ホストの売掛金回収の依頼先として当事務所がお役に立てる主な理由を3つ、ご紹介しよう。
売掛金回収を依頼するプロとして弁護士が最もおすすめである理由は「6.1. 依頼するなら弁護士が最もおすすめ」にて述べたとおりだが、一口に「弁護士」と言っても、交通事故・離婚・相続・刑事事件などといった具合に、得意分野は様々だ。
「折角依頼するのであれば、その分野に長けた弁護士に依頼したい」というのは、誰もが考えることだろう。
この点、当事務所はホストやキャバクラなど、風俗業界のトラブルにおける解決実績が大変豊富であり、これまで1,000件以上のトラブルを解決に導いてきた。
グラディアトル法律事務所では、歌舞伎町の大手グループ店舗も含む数多くのホストクラブの顧問弁護士をしており、売掛金回収業務の経験が豊富だ。
ホストの売掛金回収についても、十分な経験とノウハウに基づいて進めることができるため、安心してお任せいただきたい。
ご依頼をいただいた後、
などの理由で、弁護士と連絡を取りたいと考えるときもあるだろう。
しかし中には、事務所の営業時間内における電話やメールでの問い合わせしか受け付けていない弁護士もおり、夜間に働くなどして多忙なホストの方々が不便に感じるケースも多い。
この点、当事務所であれば、LINEやzoom、Teamsなどの各種コミュニケーションツールを使用し、いつでも気軽に連絡を取り合うことが可能だ。
このような体制が整っていることは、依頼者の皆様の安心感にも繋がっている。
先にも少し触れたが、弁護士に売掛金回収を依頼すると、着手金や報酬金などの弁護士費用が高くつきがちというデメリットがある。
折角売掛金を回収できても、弁護士費用を多く取られてしまっては意味が無い。
この点、当事務所では、顧問契約をしているホストクラブのホストであれば、「実費相当の低額の着手金+成功報酬」という低コストで売掛金回収を行うことが可能だ。
顧問契約外のホストクラブやホスト個人からのご依頼も受け付けている。その場合には、業務内容に応じた適正な金額をお見積させていただく。
初回相談も無料なので、少しでも気になるという方は、是非気軽にお悩みを聞かせていただきたい。
本記事の内容をまとめよう。
姫に掛けを飛ばれて「何としても売掛金を回収したい」とお考えのホストの方々に、前提として知っておいていただきたいのは、法的な理由などが絡み「そもそも売掛金を回収できないケース」が存在するという点だ。
具体的には、下記の条件のいずれかに該当してしまうと、売掛金を回収することができない。
上記に該当していなければ売掛金を回収することができるが、
など、姫に「掛け飛び」されて、売掛金が未収の場合には、下記のような流れで回収を試みることになる。
上記の流れを簡潔にまとめると「まずはホスト本人で売掛金の回収を試みる→難しければ、プロの力を借りて回収する」ということだ。
ホスト本人で売掛金の回収を試みる場合の注意点としては、「無理をしたり、感情的になったりしない」ということが挙げられる。
これは、姫の行方調査時に過度なつきまといをすることがストーカー規制法に抵触したり、取り立て時に強い言葉を使ってしまうことで恐喝罪に問われたりと、意図せず犯罪を犯してしまう可能性があるからだ。
一方、プロの力を借りる場合、下記のとおり、対応できる業務の幅が最も広い弁護士に依頼するのがおすすめだ。