「何をしたら風営法違反で逮捕されるの?」
「風営法違反で逮捕されたらどんな罰則を受けるのだろう?」
風営法についてよく知らないまま店を運営している経営者やその店で働く従業員の方は、風営法違反で逮捕されたらどうなるのか不安を抱いていることと思う。
風営法違反で逮捕されると最も重い罪では、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、またはこれらの併科となる。
風営法違反で逮捕される行為と刑罰は、検挙される件数が多い順に以下の通りである。
刑事処分の量刑(刑罰の程度)は、以下の2つで決められる。
【刑事処分の量刑の決まり方とは】 |
① 罪名は何か |
② 初犯かどうか |
ただし、風営法違反で逮捕される前に弁護士に相談しておけなければ以下のような恩恵を受けることができない可能性がある。
【風営法違反で逮捕される前に弁護士に相談すべき理由】 |
① 逮捕を回避できる可能性あり |
② 早期保釈される可能性あり |
③ 不起訴処分になる可能性あり |
この記事では、風営法違反での逮捕について理解を深めるための以下のポイントを解説する。
上記のポイントを押さえると、風営法違反で逮捕される行為や処分内容だけでなく、逮捕前に弁護士に相談すべきことが分かる。
風営法違反で逮捕される可能性があってもできるだけ処分内容を軽減できるように、ぜひ最後まで読み進めていただければと思う。
警察庁生活安全局保安課の「令和3年における風俗営業等の現状と風俗関係事犯の取締り状況等について」によると、以下のように令和3年の風営法違反の検挙件数は936件で近年減少傾向にある。
参考:警察庁 令和3年における風俗営業等の現状と風俗関係事犯の取締り状況等について
令和3年に検挙された件数の中でどんな違反行為が多かったのか上から順に以下の表で並べているので、それぞれについて科される刑罰と合わせてご紹介する。
【風営法違反で逮捕される行為と刑罰】 | |
①禁止区域での営業 | 2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金 またはこれらの併科 |
②無許可営業 | 2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金 またはこれらの併科 |
③従業者名簿の備付義務違反 | 100万円以下の罰金 |
➃客引き・つきまとい | 6か月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金 またはこれらの併科 |
➄18歳未満の者の使用 | 1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金 またはこれらの併科 |
⑥接客従業者の国籍未確認 | 100万円以下の罰金 |
⑦20歳未満の者への酒類等の提供 | 1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金 またはこれらの併科 |
⑧広告宣伝違反 | 100万円以下の罰金 |
⑨構造設備・遊技機の無承認変更 | 1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金 またはこれらの併科 |
⑩無届営業・届出書の虚偽記載 | 6か月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金 またはこれらの併科 |
⑪名義貸し | 2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金 またはこれらの併科 |
どんな行為が風営法違反の対象となるのか、参考にしてみよう。
風営法違反行為としてもっとも多く検挙されているのは、禁止区域での営業である。
禁止区域で営業して逮捕されることが多いのはメンズエステ店の経営者や従業員で、この場合では風営法違反の刑罰としてもっとも重い2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金またはこれらの併科となる。
なぜメンズエステ店で禁止区域営業をしてしまうことが多いのかというと、メンズエステ店ではエステやマッサージをするという理由で風俗店の営業が禁止されている区域で営業しているのに、性的サービスを提供すると風俗店と見なされて風営法違反となるからだ。
禁止区域や禁止地域については、風営法第28条において以下のように定められている。
風営法違反で摘発されやすいメンズエステ店の特徴やメンズエステ店と風俗店を区別するための基準については、以下の記事を参照してほしい。
風営法違反行為として禁止区域での営業の次に多いのは、無許可営業である。
風営法第3条で営業所ごとに種別に応じた風俗営業許可を受けなければならないことが定められているので、無許可営業をすると風営法違反の刑罰としてもっとも重い2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金またはこれらの併科となる。
無許可営業となるケースは主に以下の2つだ。
・ガールズバーで接待をしたケース ・他人の名義を借りて営業したケース |
無許可営業で逮捕されることが多いのは、ガールズバーのキャストが客への接待をしたケースである。
キャバクラとガールズバーの違いは以下の通りで、第1号営業許可があるキャバクラやホストクラブ以外ではキャストが客の接待をしてはならない。
このように第1号風俗営業許可がないガールズバーでキャストが客に対して接待をすると、風営法違反になるのである。
風営法の「接待」についての詳しい解釈や具体例については、以下の記事を参照してほしい。
経営者が風俗営業許可を取得していない状況で他人が取得した名義を借りて営業を行っている場合も、無許可営業として逮捕される。
風俗営業許可は実質的な経営者が許可を取得する必要があるが、従業員の名義で取得したりまったく関係ない第三者の名義を借りたりするのは厳しく取り締まられている。
なぜこのように他人の名義を借りて営業するケースが多いのかというと、以下の2つの理由があるからだ。
【他人の名義を借りて営業する理由】 |
・経営者が違反行為を行っているが、逮捕された時に名義借りによって営業許可に名前のない経営者は逃れられるようにするため ・複数の店を経営していて、逮捕されても名義借りによって他人名義で風俗営業許可を得ている店は経営を続けられるようにするため |
どちらも場合も、無許可営業で逮捕される可能性がある。。
無許可営業で逮捕された事例については、以下の記事も参照してほしい。
なお、名義を借りた方ではなく、貸した方については「名義貸し」をしたとして逮捕されることになるので、「名義貸し」のところで説明する。
風営法第36条で従業者名簿の備付義務について定められているため、違反すると100万円以下の罰金が科される。
従業者名簿に記載する項目は以下の通りなので、備え付けられていても必要項目の記載がなかったり虚偽の記載があったりすると風営法違反となる。
【従業者名簿に記載する項目】 |
・氏名 ・性別 ・住所 ・本籍(外国人の場合は国籍) ・生年月日 ・採用年月日 ・退職年月日 ・従事する業務の内容(接待業務、受付業務など) |
なお、体験入店や短期アルバイト、他店からのヘルプであっても、店舗ごとに従業者名簿を作成して備え付けなければならないことに注意しよう。
風営法の従業者名簿が必要な業種一覧や今すぐ使える従業者名簿のテンプレートは、以下の記事を参照してほしい。
風営法第22条で特定の客を店へと積極的に勧誘する客引きやつきまといは禁止されているので、違反すると6か月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金またはこれらの併科となる。
以前は客引きやつきまといがよく見かけられたが、最近では風営法だけでなく各自治体の迷惑行為防止条例、ぼったくり防止条例においても規制されるようになったため、取り締まりが厳しくなっている。
客引きをした場合に受ける罰則や逮捕事例についての詳細は、以下の記事を参照してほしい。
18歳未満の未成年者、青少年に客の接待をさせることは風営法第22条で禁止されているだけでなく、労働基準法でも午後10時以降の労働が禁止されている。
風営法に違反すると、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金またはこれらの併科となる。
そのため、従業員を雇用する際には以下の年齢確認方法を徹底しよう。
【年齢確認方法】 |
・写真付きの学生証+住民票 ・免許証+住民票 ・パスポート ・マイナンバーカード |
このように顔写真付きの身分証を確認することで、18歳未満の青少年が年齢を偽って働こうとするなりすましも防止できる。
風営法上の18歳未満の年齢確認義務については、以下の記事も参照してほしい。
接客従業者の国籍を確認しないまま在留資格がない外国人を雇用すると、風営法では100万円以下の罰金、さらに出入国管理法の不法就労助長罪によって風営法違反より重い3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金またはこれらの併科となる。
外国人を雇用する際にはパスポートや外国人登録証明書、在留カードを見て、以下の在留資格があるかを確認しよう。
「就労制限」についての欄に、「就労制限なし」と記載されていれば、採用してOKだ。
【雇用できる外国人の在留資格】 |
・特別永住者 ・永住者 ・日本人の配偶者 ・永住者の配偶者 ・定住者 |
留学生など上記の在留資格がない場合は、雇用してはいけない。
風営法・入国管理法に基づいて雇用できる外国人についての詳細は、以下の記事も参照してほしい。
風営法第22条で20歳未満の者への酒類やたばこの提供は禁止されているので、違反すると1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金またはこれらの併科となる。
「酒類の提供」とは酒やたばこを販売するだけでなく、客が持参した酒に燗をする行為も含まれる。
客はもちろん18歳以上20歳未満のキャストについても勤務中に酒類を飲んではいけないので、注意を徹底しよう。
風営法第16条で広告宣伝について規制されているため、違反すると100万円以下の罰金が科される。
風俗店の広告宣伝によって営業所周辺の清浄な風俗環境を害してはいけないため、以下の行為は風営法違反となる。
【風営法違反となる広告宣伝】 |
・看板を設置する ・フェンスや電柱等にチラシを掲示する ・客引き・付きまといをする |
客引き・付きまといについては、「客引き・つきまとい」でご紹介したように6か月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金またはこれらの併科となる。
そのため、無料案内所や風俗雑誌に出稿する他、以下のようにインターネットを活用するのがおすすめだ。
【インターネットを活用した風俗店の広告宣伝】 | |
ホームぺージ | 検索順位が上がって認知されやすくなるように、SEO・MEO対策をする |
風俗ポータルサイト | 風俗関係の店舗をまとめたサイト内で目立つ必要がある |
SNS | こまめな情報発信が必要 |
このように風営法に違反しないように、できる範囲で集客できるように手を尽くそう。
風俗店における構造設備やパチンコ店における遊技機は承認を得ずに変更することはできないので、違反すると1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金またはこれらの併科となる。
風俗店においては以下のケースであれば風俗営業許可の変更届出手続きだけで構わないが、設備に関する大規模な変更については変更承認申請が必要である。
パチンコ店においては風営法第9条にあるように、遊技機を設置または入れ替え、部品変更をする際についても都道府県公安委員会に変更承認申請を行わなければならない。
風営法に定められる営業を行う場合に無届営業・届出書の虚偽記載があると判明すると、6か月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金またはこれらの併科となる。
営業を開始する際には、必ず警察署を通して公安委員会に営業形態に基づいた届出を行わなければならない。
デリヘル等の風俗店の風営法違反・無届営業の逮捕・摘発については、以下の記事を参照して欲しい。
また、最近ではアダルトライブチャットを行う風営法第2条8項にある映像送信型性風俗特殊営業が増えているが、風営法第31条にあるように営業開始日の10日前までに届出書を提出する必要がある。
故意でなかったにせよ虚偽の記載をした場合も逮捕される可能性があるため、届出書の必要事項を正確に記載できているかよく確認して提出するようにしよう。
風営法第11条で名義貸しは禁止されているため、他人に自分の名義を貸し出すと風営法違反の刑罰としてもっとも重い2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金またはこれらの併科となる。
名義を借りて無許可営業をした方については「他人の名義を借りて営業したケース」でご紹介したが、名義を貸した方についても借りた方と同程度の刑罰が科されることとなる。
働いている店の経営者に頼まれても安易に名義を貸さないようにしよう。
風営法違反で逮捕される行為と刑罰について分かったところで、似たような行為で逮捕されても逮捕者によって量刑(刑罰の程度)は異なる場合がある。
風営法違反で逮捕された場合の刑事処分の量刑は、以下の2つに大きく左右されることを覚えておこう。
風営法違反で逮捕された場合の刑事処分の量刑は、罪名が何かによって決まる。
警察などの捜査機関は特定の人を逮捕しようとする場合、「この罪を犯している可能性が高い」と狙いを定めて捜査した後に逮捕することがほとんどである。
そのため、たとえ複数の違反行為をしていたとしても背後に暴力団関係者が組織ぐるみで付いているようなケースなど、悪質性が高いと判断されるような場合でなければ、逮捕後に全容を暴かれることは少なく、逮捕時の罪名の取り調べをメインに行われて、その罪名によって量刑が決まることとなるのだ。
例えば、ある店での経営実態が許可名義と異なり、無許可営業・名義貸しの状態であったとする。
この店が客引きを行っていた場合、客引き行為で現行犯逮捕されたとしても、無許可営業や名義貸しまで捜査が広がることは少ないだろう。
風営法違反で逮捕された場合の刑事処分の量刑は、初犯であれば罰金刑で済むことがほとんどである。
たとえば無許可営業や名義貸しで逮捕された場合の刑罰はもっとも重く、「2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金またはこれらの併科」となっているが、初犯なら罰金刑だけでも十分に反省を促すことができるため、大抵の場合は懲役を免れて200万円以下の罰金で済む。
一方で、再犯の場合は罰金刑で済まされず、刑務所に入る可能性が高くなる。
ただし、罰金刑であっても前科が付くことには変わりはない。
ここまで、風営法違反で逮捕されるケースとされないケースを解説してきたが、万が一逮捕されてしまったら、具体的にどうなってしまうのかと不安に思う人もいるだろう。
風営法違反で逮捕された場合、逮捕3日間、勾留10日間、勾留延長10日間の合計23日間勾留されることが多い。
風俗店やキャバクラ店など、店舗の犯罪であり、関係者や聴取すべき参考人が複数人になることから捜査に時間がかかることが原因だ。
また、類似の事例で再逮捕され、追加で23日間、合計46時間勾留されることもある。
例えば、メンズエステの禁止区域違反の風営法違反であれば、別のキャスト・別の客の行為で同一罪名で再逮捕されるなど。
風営法違反で逮捕された時の流れは以下の図の通りだ。
逮捕されると、まずは被疑者として身柄を拘束され、警察署に連行される。
そこで24時間から最大48時間取り調べを受ける。取り調べでは、盗撮をした経緯や状況、詳しい内容などを聞かれ、「供述調書」が作成される。
気をつけたいのは、逮捕されてから検察に送検されるまでの段階では、弁護士以外とは面会できないということだ。たとえ家族であっても面会はできない。
警察で取り調べを受けた後は、検察に送致される。
検察では、勾留請求をするかどうかの判断、すなわち、さらに勾留して詳しい取り調べが必要かどうかの判断を24時間以内に行う。
つまり、逮捕されてから検察が勾留請求をするかどうかの判断をするまで最大72時間身柄を拘束される。
勾留請求までの期間に示談が成立すれば、検察官が勾留請求をしないことが多く、その場合には、釈放される。
示談が不成立の場合でも、被疑者に前科がなく十分に反省していて、かつ身元が明らかになっている場合などでは、検察官から勾留請求が出されず、出されたとしても裁判所で勾留請求が却下されて釈放される可能性もある。
検察官から勾留請求がなされ、裁判所が勾留する旨の決定をした場合には、警察署の留置施設に身柄を拘束される。
勾留中には、以下の捜査や起訴・不起訴の判断などが行われる。
1. 最長20日間の取調べなどの捜査 2. 起訴・不起訴の判断 |
詳しく解説する。
1回の勾留で最長10日間、さらに10日間の勾留延長がなされると、最長で合計20日間、さらなる取り調べを受ける。
先程も述べた通り、勾留期間は原則として10日間だ。しかし、風営法違反の事実について、否認し続けていたり、他に余罪がある場合、捜査の進捗が間に合わない場合など、検察官が勾留の延長を請求し、裁判官が認めれば更に追加で10日間の取り調べを受けることになる。
勾留満期となる20日間(逮捕から最大23日間経過後)で、検察は起訴・不起訴の判断をすることになる。
もっとも、この段階で再逮捕されるリスクもあるので、注意が必要だ。
勾留満期までに起訴・不起訴の判断がなされることが多い。
ここで起訴と判断された場合は、刑事裁判を伴う正式起訴か、裁判を伴わない略式起訴のどちらかに進むこととなる。
風営法違反で逮捕された場合、逮捕・勾留を経て、検察官が起訴・不起訴の判断をする。
不起訴処分となれば、前科もつかず、釈放されることになる。
起訴される場合には、略式起訴と正式起訴(公判請求)がある。
略式起訴では正式な裁判手続きをすることなく書面による簡素な起訴手続きだけで被告人の罪責が判断されるため、公判起訴と比べてスピーディーに釈放にこぎつけられる。
風営法違反で逮捕された人は初犯なら罰金刑だけで済むことがほとんどなので、風営法違反の事実を認めている場合には、略式起訴になることが多い。
略式起訴のメリットとデメリットは以下の通りだ。
全面的に罪を認めている場合は裁判による負担が少なく、第三者にも知られにくい略式起訴をすることに同意して迅速な解決を図ろう。
略式起訴は、被疑者が風営法違反の事実を認めていることが必要で、かつ、被疑者の同意が必ず必要になり、罰金を支払えば直ちに釈放されることとなる。
略式起訴では事実関係を争えないものの、下された罰金刑の金額が不服な場合は略式命令の通知を受けてから14日以内に通常の裁判を受けることを請求できる。
しかし、その場合は正式な裁判の判決が言い渡されると略式命令は効力を失ってしまうことに注意しよう。
正式起訴では裁判所で公開されている法定において証拠を調べられ、有罪判決となれば、罰金刑の他、刑務作業が伴う懲役刑や刑務作業は強制されないものの身柄を拘束される禁錮刑などが科される可能性もある。
風営法違反で逮捕された人が公判起訴になるのは再犯で逮捕された場合、や悪質性が高い場合、風営法違反の事実を争っている場合などは、公判請求されることになるだろう。
公判起訴のメリットとデメリットは以下の通りだ。
公判起訴の場合は長く身柄を拘束されることとなる。
もっとも、起訴後に保釈が認められれば、身体拘束が解かれることになる。
風営法違反で逮捕されてから釈放までの流れが分かったところで、風営法違反で逮捕されると裁判所からの罰金刑などの刑事処分だけでなく、公安委員会から行政処分まで下されることになる。
風営法違反で逮捕時の行政処分の内容は以下の3つのどれかなので、どのような違反行為が該当するのか詳しくご紹介する。
【風営法違反で逮捕時の行政処分の内容】 |
① 許可取り消し |
② 営業停止命令 |
③ 指示処分 |
「許可取り消し」とは風俗営業許可を取り消されることをいい、行政処分の中でもっとも重い処分である。
許可取り消しは、以下の場合に適用されることになる。
・偽りその他不正の手段により当該許可または承認を受けた(風営法第8条) ・当該営業に関し法令もしくはこの法律に基づく条例の規定に違反した場合に、著しく善良の風俗もしくは清浄な風俗環境を害し、もしくは少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれがあると認める(風営法第26条) ・風俗営業者がこの法律に基づく処分もしくは第3条第2項(営業許可)の規定に基づき付された条件に違反した(風営法第26条) |
許可取り消しが行われる具体的な行為は、以下の通りだ。
風俗営業許可は一度取り消されると、懲役や罰金刑の執行が終わってから5年経過しなければ申請することはできない。
「営業停止命令」は、違反行為によって営業を停止しなければならない期間が変わる。
営業停止命令が適用される期間とその行為については、以下の通りだ。
数日間の営業停止命令でも経営状況の悪化や従業員離れといった影響が予想される。
「指示処分」は現在の軽微な違反状態を解消したり、将来的に違反したりしないように経営者に自主的な努力を促すために行われる。
指示処分が行われる行為については、以下の通りだ。
指示処分は改善するように注意されるだけだが、改善されない場合は営業停止命令が下されることもあるので、注意が必要である。
風営法違反で逮捕されると刑事処分だけでなく行政処分も下されることが分かったところで、風営法違反で逮捕される気配を感じたら逮捕前に弁護士に相談することをおすすめする。
なぜなら、逮捕前に弁護士に相談すると以下のように逮捕そのものを回避できたり、早期釈放や不起訴処分を実現できたりする可能性があるからだ。
逮捕後は携帯電話が取り上げられて連絡手段がなくなってしまうだけでなく、弁護士以外と面会できなくなるため家族や友人に弁護士に依頼するように頼むこともできないので、必ず逮捕される前に動き始めよう。
風営法を違反していてもいきなり逮捕されるのではなく取調べから始まることが多いので、弁護士に相談するとまずは逮捕を回避できるように以下の3つの対応の中からもっとも適切な方法を選んで対応してくれる。
ずは逮捕されないように弁護士に相談しよう。
逮捕を回避できないと、起訴・不起訴の判断が下るまで最大23日間勾留されることになるが、逮捕前に弁護士に相談していると早期釈放される可能性が高まる。
勾留が続くと経営者は店の経営状況が悪化したり、人材が流出したりする恐れがあるため、弁護士の力が必要だ。
弁護士が早期釈放のための弁護を行う以下の3つのタイミングである。
弁護士はもっとも釈放されやすい逮捕翌日から3日以内のタイミングを狙うことがほとんどだ。
釈放請求する際には以下の内容を意見書にまとめて作成し、勾留すべきでないと説得する。
このように逮捕された人の事情と理由を意見書にまとめて、早期釈放を実現するのである。
また、風営法違反の事実を争うような場合には、犯罪が成立しないことを証拠とともに主張・立証し、早期釈放に向けて活動することになる。
「不起訴処分」とは検察官が被疑者を起訴すべきでないと判断した場合の処分で、逮捕されたという前歴は付くものの無罪と同じ扱いなので、直ちに釈放されることになる。
起訴されると99.9%有罪となるため、不起訴処分を実現するには逮捕される前に弁護士に相談しておいて起訴されるまでの最長23日間に弁護士に迅速かつ正確な弁護を行わってもらわなくてはならない。
不起訴処分になるケースは、以下の3つである。
不起訴処分となった場合の90%以上が起訴猶予で、嫌疑なしや嫌疑不十分となる可能性は低い。
弁護士は釈放請求をする際と同様に意見書を作成して、不起訴処分を実現する。
残念ながら起訴になってしまった場合も、弁護士の意見書は刑の軽減に役立つ。
風営法違反で逮捕される前に弁護士で相談すべきことが分かったところで、弁護士の弁護活動によって処分が軽減された以下の2つの実例をご紹介する。
どちらも実際にあった話なので、参考にしてみよう。
1つ目は禁止区域でメンズエステの営業をしていて経営者と従業員が風営法違反(禁止区域営業)で逮捕されたものの、経営者は関与していないことが認められて不起訴になった例である。
詳細は以下の通りだ。
【経営者が関与していないことが認められて不起訴になった風営法違反(禁止区域営業)の例】 | |
逮捕された人 | メンズエステ店の経営者と従業員 |
弁護依頼人 | メンズエステ店の経営者 |
逮捕された理由 | 性風俗関連特殊営業の届出をせずに営業している店舗型のメンズエステ店が性風俗サービスをしていたため、禁止区域営業の疑いで逮捕された |
弁護士の弁護活動 | ・経営者は株主としての活動しかしておらず、現場のことやサービス内容については関知していなかったことをまとめた意見書を検察庁と裁判所に提出 ・経営者に取調べへの対応方法に関するアドバイスを行う |
結果 | 経営者は不起訴処分に決定 |
通常であれば経営者は経営責任があるとして起訴されるが、このように弁護士の意見書を元に経営者が関与していた証拠が不十分で関与していなかったと認められて不起訴処分となり、前科が付かずにすんだのである。
2つ目は、ガールズバーで働いていた未成年の少年が風営法違反(無許可営業)で逮捕されたものの審判不開始、つまり家庭裁判所で審判されず処分も受けなくてすんだ例である。
詳細は以下の通りだ。
【風営法違反(無許可営業)で逮捕された少年が審判不開始になった例】 | |
逮捕された人 | ガールズバーで従業員として働いていた未成年の少年、その他の従業員・経営者 |
弁護依頼人 | 未成年の少年 |
逮捕された理由 | 風営法に基づく第1号営業許可を得ずに女性キャストに接待をさせていて、関与していた疑いがあるとして逮捕された |
弁護士の弁護活動 | ・少年の両親の身柄引受書に弁護士の意見書を付して検察庁と裁判所に提出 →早期釈放を目指すも10日間の勾留が決定 (関与していた人が複数いて、証拠の収集・分析に時間がかかっていたため)
・再度詳細な事実関係や証拠関係を把握し、少年のお店での地位や今後の過ごし方、両親の監督方法等について意見書を作成し、検察庁と裁判所に提出 →無事に釈放 |
結果 | 審判不開始に決定 (家庭裁判所で審判されず、処分も受けなくてすんだ) |
弁護士が二度にわたって少年の生活環境に問題がないことや事件に関われるほどの地位になかったことを意見書にまとめて提出したことが功を奏して審判不開始が決定し、早期の釈放が実現したのである。
さらに詳しい内容については、「風営法違反(無許可営業)で逮捕の少年,審判不開始決定!」でご紹介しているので、参考にしてみよう。
弁護士によって処分が軽減された実例を知っていただいたところで、風営法違反で逮捕されそうだと感じている方はぜひグラディアトル法律事務所に相談してほしい。
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どんなご依頼も事務所一丸となってスピーディーに解決することをお約束するので、まずはご相談いただければと思う。
風営法違反で逮捕されそうな方にグラディアトル法律事務所がおすすめである理由は、以下の3つである。
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風営法違反で逮捕された少年が審判不開始になった例でご紹介した弁護士によって処分が軽減された実例は、グラディアトル法律事務所の例だ。
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この記事では風営法で逮捕される行為やと刑罰、量刑の決まり方の他にも逮捕されてから釈放までの流れや逮捕される前に弁護士に相談すべきであることについて詳しく解説させていただいた。
風営法に馴染みがない方が読んでも理解しやすいように、なるべく分かりやすい言葉を選んだつもりだ。
最後に記事の内容をまとめてみると、風営法違反で逮捕される行為と刑罰は以下の通りである。
風営法違反で逮捕されると上記の刑事処分だけでなく、さらに以下の行政処分も下される。
しかし、風営法違反で逮捕される前に弁護士に相談すれば以下のように逮捕を回避できたり、不起訴処分になったりする可能性が高まる。
風営法違反で逮捕されそうなら、早めの弁護士への相談がおすすめである。
風営法に精通したナイトビジネス業界における全国1,000件以上の解決実績がある護士がご対応するグラディアトル法律事務所にお任せいただければ、逮捕を未然に防げるように迅速に対応するので、皆様のご相談をお待ちしている。