「風営法違反で逮捕された事例にはどのようなものがある?」
「風営法違反で裁判になった事例を知りたい」
「弁護士が関与することで処分が軽くなることはある?」
風営法では、キャバクラ、ホストクラブ、ガールズバー、スナックなど風俗営業店や、ソープ・デリヘルなどの性風俗店などに対してさまざまな規制を設けている。風営法に違反すると営業停止や免許取消などの行政処分の対象になるだけではなく、罰金刑や懲役刑などの刑事罰の対象にもなるため、違反行為によっては逮捕される可能性もある。
もっとも、風営法の規定は、非常に抽象的な内容であるため、風営法違反にならないようにするには具体的な風営法違反の事例を理解するのが近道である。
本記事では、
・風営法違反で逮捕された事例
・風営法違反で起訴され裁判になった事例
・当事務所の弁護士が関与して処分が軽減された風営法違反の事例
などについてわかりやすく解説する。
本コラムの風営法違反の事例から風俗店のオーナーが学ぶべきポイントは、以下のとおりである。
・無許可営業は即逮捕・処分のリスク
・従業員の管理が不十分だと経営者の責任が問われる
・名義貸しは厳しく処罰される
・逮捕・起訴されると高い確率で前科が付く
・弁護士の早期関与が処分軽減につながる
「これは風営法に違反するのだろうか?」など経営にあたって不安があるときは、風営法に強い弁護士に相談するのが有効である。まだ顧問弁護士を利用していないようであれば、風営法に強い弁護士に顧問弁護士を依頼することをおすすめする。
まずは風営法違反で逮捕された実際の事例をみていこう。
従業員に客の接待をさせるなど、無許可でスナックを営業していたとして、65歳の女が逮捕された。
風営法違反の現行犯で逮捕されたのは、札幌市東区に住む飲食店経営の65歳の女である。
女は、札幌市東区北40条東7丁目のビル内にある飲食店で、従業員に客の接待をさせるなど、無許可で風俗営業を行った疑いが持たれている。
警察によると、風俗営業の実態調査や内偵調査で事件が発覚。捜査員が店内の捜索を行い、女性従業員が男性客の隣に座って会話をしたり、お酒を注いだりする様子を確認し、その場で女を逮捕した。
女は調べに「公安委員会の許可を得ないでスナックを経営していました」と容疑を認めている。警察は、店の営業の実態などを詳しく調べている。
(引用:UHB)
「公安委員会の許可を得ないでスナックを経営していました」女性従業員が男性客の隣に座り接待…65歳のスナックオーナー逮捕“内偵調査”などで発覚―北海道札幌市
ホステス5人のうち4人が18歳未満の少女だった。経営していた佐賀市内の飲食店で18歳未満の少女を雇い接客させたとして、24歳の男が風営法違反の疑いで逮捕された。
逮捕されたのは、元飲食店経営で佐賀市川副町に住む24歳の男。
逮捕された男は、経営する佐賀市内のキャバクラ店で18歳未満の少女に客の接待をさせたとして、風営法違反の疑いが持たれている。
当時店では4人の男性客に対して5人のホステスが接待をしていたが、うち4人が18歳未満だったということである。
警察によると「複数の未成年者が働いている」と匿名の通報をうけて、営業中の店に捜査に入っていた。
男は調べに対し、「私の店に18歳未満の女の子がいるはずはない」と容疑を否認している。
(引用:サガテレビ)
ホステス5人のうち4人が18歳未満の少女 24歳の男を風営法違反疑いで逮捕【佐賀県】
営業が禁じられている地域のマンションの一室で性的サービス店の営業をしたとして、神奈川県警生活保安課と厚木署は、風営法違反(禁止区域営業)の疑いで、大阪府出身で住所不定の男(23)と、住所不詳の男(38)ら男4人を逮捕した。県警は、大阪府出身の男と住所不詳の男が、メンズエステ店と称して店舗展開している「湘南神のエステ」の経営に深く関わっていたとみて調べている。
他に逮捕されたのは、ともに同店従業員の男(46)と、大阪府出身で住所不定の男(26)。
4人の逮捕容疑は、ほか数人と共謀して、横浜市神奈川区台町のマンション一室で、男性客に性的サービスをする個室マッサージ店を営業した、としている。
県警は4人の認否を明らかにしていない。
(引用:神奈川新聞)
メンズエステ店「神のエステ」摘発 神奈川県警、風営法違反疑いで4人逮捕
札幌市のススキノで、北海道公安委員会から受けた風俗店を営む許可を、名義貸ししたとして、男1人が、また、この男が許可を受けた店で、無許可で風俗営業をしたとして男3人が逮捕、送検された。
風営法違反で逮捕、送検されたのは、住所不定の会社役員の男(49)、埼玉県川口市の建築業の男(35)、札幌市中央区の飲食従業員の男(44)、それに札幌市中央区の飲食店従業員の男(35)。
警察によると、会社役員の容疑者は、北海道公安委員会からススキノで、風俗店を営む許可を受けたが、建築業の男に名義を貸して、風俗営業を容認した疑いが持たれている。
また、建築業の男ら3人は、共謀して、会社役員の男の名義を貸してもらい、ススキノで、無許可で風俗店を営業していた疑いがもたれている
警察は、それぞれ認否を明らかにしていない。
また、4人の関係性や役割は明らかになっていないが、警察は、建築業の容疑者が中心人物として活動した、組織的犯行とみていて、今後の捜査で、犯罪で得た金の流れなどを明らかにしていく方針。
(引用:北海道放送)
組織的犯行か…札幌・ススキノの風俗店で、名義貸し、無許可営業の疑いで男4人を逮捕・送検 犯罪で得た金の流れなどを捜査
営業禁止地域の福島市で店舗型風俗を営んだなどとして、福島署は、風営法違反の疑いで仙台市、風俗店従業員、容疑者男(44)ら男女4人を逮捕した。
44歳の容疑者のほかに逮捕されたのは、福島市、風俗店店長の男(39)、同市、風俗店従業員の男(42)、伊達市、風俗店従業員の女(28)の3容疑者。
44歳男、39歳男の両容疑者の逮捕容疑は、ホテル「AKBホテル」の個室で、男性客に性的サービスを提供し、店舗型風俗を営んだ疑い。42歳男の容疑者の逮捕容疑は、ホテルで男性からの性的サービスの申し込みを受け付け、28歳女の容疑者の逮捕容疑は、ホテルで性的サービスを提供した疑い。同署によると、4容疑者は容疑を認めているという。
同署によると、ホテルはビジネスホテルを装っていた。同じビルには無店舗型風俗「ヒロインUSA」の待機所があり、共同で店舗型風俗として営業していたとみられる。44歳男の容疑者はホテルの代表、39歳男の容疑者は無店舗型風俗の店長という。
同署は県警組織犯罪対策課、生活環境課の応援を受けて捜査していた。
(引用:福島民友)
風営法違反で起訴されるとほとんどのケースが有罪になり前科が付いてしまう。以下では、風営法で起訴されて裁判になった事例を紹介する。
【事案の概要】
被告人は、大阪市北区において、設備を設けて客にダンスをさせ、かつ、客に飲食をさせるクラブ『A』を経営する者であるが、B、Cらと共謀の上、大阪府公安委員会から風俗営業(第3号営業)の許可を受けないで、平成24年4月4日午後9時43分頃、同店内において、ダンスフロア等の設備を設け、不特定の来店客であるDらにダンスをさせ、かつ、酒類等を提供して飲食させ、もって許可を受けないで風俗営業を営んだという無許可営業の罪で起訴された。
【裁判所の判断】
本件イベントにおいて客がしていたダンスは、流れていた音楽のリズムに合わせてステップを踏んだり、それに合わせて手や首を動かすというものが大半であり、比較的動きの激しいものでもボックスステップを踏んだり腰をひねったりするという程度で、客同士で体を触れ合わせて踊っていたこともない。
また、DJブースやモニターがあったフロアでは、DJが英国のロック音楽を大音量で流すとともにこれに合わせてモニターに映像が流され、客を盛り上げるような演出を行っていたこと、その結果、フロアにいた客はDJブースの側により多く集まり、近いところでは客同士が30cm程度の距離にあったことが認められるが、客同士が接触するような状態には至っておらず、フロアでもその時々によって椅子に座って音楽を聞いている客もいたというのであるから、単に音楽や映像によって盛り上がりを見せていたという域を超えていたとは認めることができない。そのほか、本件イベントにおいて、来店する客に露出度の高い服装の着用を促すなど、殊更にわいせつな行為をあおるような演出がされていたなどの事実は認められない。
以上の事実を総合すると、酒類が提供されており、フロアが相当程度暗い状況にあったことを踏まえても、本件当日、本件店舗において、歓楽的、享楽的な雰囲気を過度に醸成し、わいせつな行為の発生を招くなど、性風俗秩序の乱れにつながるおそれが実質的に認められる営業が行われていたとは、証拠上認めることができないとして無罪判決を言い渡した。
【事案の概要】
被告人は、
①和歌山県公安委員会から風俗営業の許可を受けて、A市(省略)C102号室において社交飲食店「D」を営んでいたものであるが、同店店長E及び同店従業員Fと共謀の上、被告人の前記営業に関し、令和2年1月24日午後11時34分頃、前記C南側通路において、同所を通行していたGらに対し、同店の客とするため、前記Fが、「よかったらどうですか。お店決まっています。今日、女の子15人いてるんで、今いけますよ。一応80分5000円で消費税かかるんで、全部別で。3人付きます。」などと言って誘い、もって当該営業に関し客引きをし、
②同市(省略)H11号室において社交飲食店「D」を営んでいたものであるが、前記Eと共謀の上、和歌山県公安委員会から風俗営業の許可を受けないで、同年2月3日から同月7日までの間、同店において、客席等の設備を設けて、客であるIらに対し、同店従業員Jらに客席に同席させて談笑させるなどして接待をさせるとともに、酒類を提供して飲食をさせ、もって無許可で風俗営業を営んだ
という客引きおよび無許可営業の罪で起訴された。
【裁判所の判断】
被告人は、平成31年4月に和歌山県公安委員会に宛てて従業員に客引きをさせず許可を受けるまで風俗営業をしない旨の誓約書を提出していたにもかかわらず、自己の経営する店の売上を上げるためという安易かつ自己中心的な動機で判示各犯行を主導したもので、法軽視の態度が著しく、客引きは常習的であるが、移転先の店舗における無許可営業の期間は比較的短い。
以上に加え、被告人が判示各犯行をいずれも認めるに至って二度と犯罪をしないと誓っていること、被告人には過失犯による罰金前科1犯があるものの他に前科はないこと、被告人の父親が出廷して被告人の監督を約束したことなども考慮すると、被告人に対しては、罰金刑を選択の上、主文の刑に処するのが相当であるとして、罰金80万円の判決が言い渡された。
【事案の概要】
被告人は、Aが熊本県公安委員会から風俗営業の許可を受け、氏名不詳者が営業を営む社交飲食店「B」の従業員であるが、前記氏名不詳者の前記営業に関し、令和元年10月13日午前3時37分頃、路上において、同所を通行中のEほか1名に対し、同店の遊興飲食客とする目的で、「70分4千円です。」「スナックです。」などと申し向けて誘い、もって当該営業に関し客引きをした罪で起訴された。
【裁判所の判断】
被告人は、風営法違反の罪を犯したことで、平成31年3月、懲役6月及び罰金50万円に処せられ、その懲役刑の執行を猶予されていたのに、数か月後には判示の飲食店で働き始め、しばしば客引きをしていたことからすると、本件は常習的な犯行で、その態様は芳しくないし、被告人には規範意識の乏しさが認められる。そうすると、被告人の刑事責任を軽く見ることはできず、本件は、再度刑の執行を猶予すべき事案ではない。
他方、今後前刑の執行猶予の言渡しの取消しが見込まれ、その刑をも併せて服役しなければならない立場にあること、出所後の就業先が確保されていること、そのほか、被告人の反省の様子や家族の状況等、被告人のために酌むべき事情も認められるので、これらの諸事情を総合考慮した上、懲役3月の実刑判決が言い渡された。
当事務所の弁護士が関与して処分が減軽された風営法違反の事例には、以下のようなものがある。
1つ目の事例は、禁止区域でメンズエステの営業をしていて経営者と従業員が風営法違反(禁止区域営業)で逮捕されたものの、経営者の関与がないことが認められて不起訴になった例である。
当事務所の弁護士は、メンズエステ店の経営者から依頼を受けて、経営者に対して取り調べへの対応方法についてアドバイスをするとともに、経営者は株主としての活動しかしておらず、現場のことやサービス内容については関知していなかったことをまとめた意見書を検察庁と裁判所に提出した。
通常であれば経営者は、経営責任があるとして起訴される可能性がある事案であったが、弁護士による弁護活動の結果、経営者が関与していた証拠が不十分であるとして不起訴処分になった。
不起訴処分になれば前科が付くこともないため、風営法違反で逮捕された場合、不起訴処分を獲得できるかどうかが重要なポイントである。
2つ目の事例は、ガールズバーで働いていた未成年の少年が風営法違反(無許可営業)で逮捕されたものの審判不開始、つまり家庭裁判所で審判されず処分も受けなくてすんだ例である。
少年が逮捕されたのは、風営法に基づく第1号営業許可を得ずに女性キャストに接待をさせていて、それに関与していた疑いがあるという理由である。
当事務所の弁護士は、まずは勾留を阻止すべく、少年の両親の身柄引受書に弁護士の意見書を付して検察庁と裁判所に提出したが、関与していた人が複数いて、証拠の収集・分析に時間がかかっていたため10日間の勾留となってしまった。
しかし、その後も度詳細な事実関係や証拠関係を把握し、少年のお店での地位や今後の過ごし方、両親の監督方法等について意見書を作成し、検察庁と裁判所に提出したところ、無事に釈放となり、審判不開始決定を受けることができた。
弁護士が二度にわたって少年の生活環境に問題がないことや事件に関われるほどの地位になかったことを意見書にまとめて提出したことが功を奏して審判不開始が決定し、早期の釈放が実現した事案だといえる。
本コラムの風営法違反の事例から風俗店のオーナーが学ぶべきポイントは、以下のとおりである。
無許可営業は、風営法違反の中でも特に悪質な行為であり、重い刑罰が定められている。
許可を得ずに接待行為などを行えば、現行犯逮捕される可能性が高い。
未成年者の接客や禁止区域での営業は、オーナー自身が認識していなくても処罰リスクが高い。従業員の管理についてもしっかりと目を配るべきである。
店舗の実質経営者と名義人を別にする行為は、組織的な犯罪とみなされる場合がある。
無許可営業と同様に名義貸しも重い刑罰が定められているため、名義貸しの疑いをかけられないように注意が必要である。
起訴後は有罪になる可能性が極めて高い。行政処分だけでなく、重い刑事罰(罰金・懲役)が科される可能性がある。そのため、風営法違反を防ぐための対策が重要である。
実質的な関与が証明されなければ、不起訴や審判不開始(少年事件)になる事例もある。早期相談・意見書提出で処分を軽減できる場合がある。
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本記事では風営法違反の事例を紹介してきたが、風営法違反で逮捕・起訴されると、有罪になる可能性があるという点に注意が必要だ。風営法違反というと軽微な犯罪だと勘違いしている人もいるが、実刑になる可能性もあるため早期に適切な対応をすることが重要である。
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