近年増えてきている職安法違反の逮捕事例。
AV,ソープランド,飛田新地など,いわゆる本番行為がおこなわれているようなところへの女性の紹介等が有害な業務への紹介として職安法違反になる他,風営法上適法に届出を出して経営しているデリヘル等の風俗店への女性の紹介等も有害な業務への紹介として職安法違反になりうることは等コラムでも何度か記載している。
とはいえ,風俗店の採用募集広告や紹介全てを逮捕・摘発しなければならないとしたら,この世から風俗店は無くなってしまうのではないか?というくらい多くの風俗店が逮捕・摘発されるだろう。
職安法での逮捕・摘発事例を見てみると,風俗店ではなく,他の業種だと騙して風俗店で働かせるなどその手口に悪質性があるものが多いように思う。
今回は,会員制バーに女性を連れて行き,多額の売掛金を作り,その売掛金を払うために風俗に沈めさせるという悪質な手口の事案だった。
2019年1月19日 9時26分 日刊ゲンダイDIGITALから引用
京都の祇園や四条河原町で女子大生や専門学校生らをナンパし、延べ262人をソープランドなどの性風俗店に沈め、紹介料として約7300万円を得ていたとして、バー経営者で組織のトップ、〇〇(24)、ナンバー2で金庫番の〇〇(25)、実行役で京都産業大生の〇〇(22)、当時19歳だった同志社大生(20)ら4容疑者が16日、職業安定法違反(有害業務紹介)の疑いで京都府警に逮捕された。
その手口はこうだ。
〇〇容疑者はスカウトグループの代表で、同志社大や京産大など、京都市内の私立大や国立大計6大学の現役学生ら約20人のメンバーが、繁華街やJR京都駅前、大学のキャンパス周辺で女性に声をかけ、LINEなどで連絡先を交換。食事や買い物に行き、その気にさせる。
「実はバーの店員をしてるんだ。一度、ウチの店においでよ」
女性の耳元でこう囁き、〇〇容疑者が経営する祇園の会員制バーに誘い、紹介する。
「こいつと付き合いたいんやったら、常連になってもらわなアカン」「店に通うのには金がかかる。ええところを紹介するから、そこで働いて欲しいんや」などと条件を突き付けられたという。
また別の女性は週1回のペースでバーに通い、貯金とバイト代を使い果たしたうえ、さらに80万円もの借金を背負わされ、「どないするんや」と返済を迫られ、風俗店に放り込まれた。女性たちが働かされた性風俗はデリバリーヘルス21店、ソープ9店、ファッションヘルス6店、性感マッサージ、ピンサロやちょんの間が各1店の計39店。
「被害女性のほとんどが大学生や専門学校生やった。高校時代は恋愛や遊びを我慢し、ようやく憧れの京都の学校に入学したような、地方出身者が多い。なかには処女を奪われた子もいた。事件が明らかになるまで、本気で彼氏だと思い込んどった子もようけおった。女性の方から愛想を尽かしたり、風俗で働くのが嫌になれば、いつでも抜けることもできたんやけど、そこは根が真面目なんやろうな。
男前で金があり、遊び慣れた彼氏ができて舞い上がり、会いたいがために尽くしたり、借金がある後ろめたさから働き続けとった。パンクして逃げた子もおったけど、追い込みはかけられてへん。そのあたりが実に巧妙で、風俗店も営業許可があるところばかりやった」(捜査事情通)
スカウトマンたちは組織に所属するリクルーターに勧誘されるため、「アイドル顔負け」の現役ブランド大学生のイケメン揃い。そんな百戦錬磨のナンパ師にとって、恋愛経験が乏しい無垢な女性を口説き落とすことなんてお手のもの。まんまとセックス漬けにし、メロメロにさせて金を巻き上げ、風俗嬢にさせる。店からは1人当たり15%のキックバックがあり、女性が辞めない限り、半永久的に金が入るシステムになっていた。
「ほとんどの女の子は、こいつらと出会わんかったら、風俗とは一生無縁の生活を送っていたはず。闇の世界に迷い込ませ、人生を台無しにした罪は重い。実家から送り出した親の気持ちを思うと、いたたまれない」(前出の捜査事情通)
クズとしか言いようがない。