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風俗トラブルで示談金要求をした風俗店経営者が恐喝罪で逮捕!?

弁護士 若林翔 2019/02/22更新

デリヘルなどの風俗店でよくある本番トラブル

風俗嬢が客から本番を強要されたなどのトラブルだ。

風俗店の経営者としては,女性キャストの安全を守り,より良い環境で働いてもらうために,本番強要をされた女性キャストを守らなければならない。本番強要の被害にあった場合に店が何も対応をしてくれなければ,女性キャストを守ってくれない店と評価されて女性キャストの求人確保等も難しくなってしまう。

また,女性キャストが本番をしているのを店が黙認して放置していた場合には,売春防止法違反で店側が逮捕・摘発されてしまうなどのリスクもある。

そのため,風俗店経営者としては,本番や盗撮などの風俗トラブルがあった場合には,女性キャストと一緒に警察に被害届を出しに行ったり,客に損害賠償請求をして示談をしたりしていく必要が出てくる。

ただ,その損害賠償請求等もやり方を間違えると恐喝罪等になってしまう

以前,愛知県名古屋市の高級デリヘル経営者が同じような本番トラブルで損害賠償請求をする際に,「仕事をできなくする」などと脅迫したとして,恐喝罪で逮捕された事例を紹介した。

デリヘル店経営者ら客への恐喝容疑で逮捕されるも不起訴

上記,名古屋の高級デリヘルの事例では,通常のデリヘルが高額な損害賠償請求をして,その際に脅迫をした疑いで逮捕されているようだ。

 

今回の事件は,また少し毛色が違うようだ。

まずはニュース記事を見てみよう。

買春持ちかけ示談金要求の疑い 風俗店経営者ら摘発

大阪・ミナミの風俗店で男性客に買春を持ちかけ示談金名目で現金を脅し取ったなどとして大阪府警南署は21日、恐喝容疑などで派遣型風俗店「〇〇」の経営者、〇〇被告(30)=大阪市城東区関目、恐喝罪などで起訴=や従業員ら男女10人を摘発したと明らかにした。同署には昨年3月から、同様の被害相談が約100件寄せられており、被害総額は約2千万円を超えるとみられる。

 同署によると、〇〇被告は20代の女性従業員らと共謀し昨年8月、同市中央区日本橋のホテル一室で、40代の男性客に女性従業員から買春を持ちかけ、応じた客から示談金や利用料金として現金計5万円を脅し取るなどしたという。

 〇〇被告は入室前に、店の客引きの男に男性客から前払い料金名目で現金を受け取らせ本来の料金との二重請求をしていた詐欺罪にも問われている。「未払い料金を請求しただけ」と否認しているという。

 同署によると、その場で支払えなかった男性客らは、運転免許証などのコピーを取られた上で返済期限と金額を明示した念書を書かされ、支払いを拒否すれば「会社に連絡する」などと脅されていた

https://www.sankei.com/west/news/190221/wst1902210053-n1.html

 

買春を持ちかけ,本番行為をさせ,「会社に連絡する」と脅して示談金名目で現金を脅し取った事案だ。

これだけをみれば,本番トラブルで示談金請求をした際に脅迫をしてしまった恐喝事例にも思える。しかし,それだけではなく,この大阪ミナミの風俗店は,客引きに現金を受け取らせて,その後に料金も請求しているようだ。

この事実があるのであれば,典型的なタケノコ剥ぎタイプのぼったくり風俗店ではないか?という疑問も生じる。このタイプのぼったくり店は,歌舞伎町で流行り,新橋,池袋とその流行が移転していて,被害相談も増えている。

そうだとすれば,警察への被害相談が多かったことから警察が捜査に乗り出した可能性が考えられる。

 

いずれにしろ,健全に風俗店を営む経営者の皆様は,本番や盗撮などの風俗トラブルで損害賠償請求をする際に,「仕事をできなくする」「会社に連絡する」などの脅し文句を言わないよう細心の注意を払っていただきたい。

他方で、風俗店で脅迫・恐喝被害にあってしまった皆様は、その対応方法に注意をしていただきたい。

なお、デリヘル等の風俗店で恐喝・脅迫されてしまった場合の対処法については、以下の記事も参照してほしい。

デリヘルで恐喝・脅迫された場合の対処法5つを風俗弁護士が徹底解説!

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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