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【風俗トラブル】盗撮と迷惑防止条例の関係【全国編】※2019年最新版

弁護士 若林翔 2019/11/21更新

今回解説するのは「迷惑防止条例」によって捕まる可能性がある盗撮の範囲の話。

2019年10月14日現在の全国で施行されている迷惑防止条例を解説していく。特に「ビジネスホテルやラブホテルでの盗撮が違法か否か」に焦点を当てていこうと思う。

名称は違えど各都道府県に存在する迷惑防止条例。この条例は各都道府県が作成・運用しているものである。

しかし,必ずしもその「盗撮」の定義が定まっていないのが現状だ。

東京都ではラブホテルでの盗撮においても迷惑防止条例にて摘発が可能だが,青森県ではホテル内での撮影行為は盗撮とは言い難いため摘発することが難しい。

東京都においてもホテル内での盗撮が条例違反となったのは2018年改正の後である。

(詳細についてはこちらの記事をご覧いただきたい)

また,盗撮と刑事事件については,以下のページを参照してほしい。

デリヘルで盗撮をした客は逮捕されるか!?

そこで,今回は各都道府県の迷惑防止条例と盗撮の関係を見てみよう。

迷惑防止条例と盗撮の大前提

先程はラブホテルの事例を挙げたが,まずもって勘違いしないで欲しいのが「公共の場所」で盗撮行為を行った際には例外を除いて46都道府県において,迷惑防止条例によって処罰されることになるということだ。

第六条 何人も、公共の場所又は公共の乗物内において、正当な理由がないのに、他人に不安を覚えさせ、又は他人の性的羞恥心を著しく害するような次に掲げる行為をしてはならない。
一 略
二 衣服等で覆われている他人の身体若しくは下着(以下「他人の身体等」という。)をのぞき見し、若しくは撮影し、又はこれらの行為をしようとして、他人の身体等をのぞき込み、若しくは写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器を設置し、若しくは他人の身体等に向けること。

引用|青森県迷惑行為等防止条例

赤文字で記したように,公共の場所や公共の乗物で盗撮行為をした場合に迷惑防止条例によって罰せられることになっていた。ちなみに盗撮行為に及んだ場合の罰則は各都道府県により異なるが,青森県の場合は6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金だ。さらに,常習で盗撮行為に及んでいた者は,1年以下の懲役又は100万円以下の罰金となる。この罰則は,青森県の迷惑防止条例の中で一番重い罰則になる。

第九条 第六条又は第七条の規定に違反した者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 常習として、第六条又は第七条の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

引用|青森県迷惑行為等防止条例

迷惑防止条例は,もともと1962年に東京都が愚連隊の行為を規制するために設けた条例だった。時が移り変わり,愚連隊などもはや面影もなくなっている。しかし,新たな迷惑行為などを規制するためにこの迷惑防止条例が適宜修正されて運用されているのだ。

昨今では,メガネ型やペン型など様々な超小型隠しカメラが手軽に入手できるようになり,特に若い女性の性的プライバシーが危険に晒されている。

以前は,盗撮行為とされる対象が公共の場所や乗物限定であったため,ホテルや学校の教室・商業施設内などにおいて盗撮行為を取り締まる法律・条例が存在しなかった。

しかし,上述したとおり高画質な超小型隠しカメラの登場で,公共の場所や乗物以外においても盗撮行為を規制することが半ば必然に駆られている。

そういった事情から,各都道府県議会が重い腰をあげて迷惑防止条例の改正に取り組んでいるのだ。

そのため,2019年10月31日現在ではホテル内での盗撮行為が規制されていない都道府県でも,近い将来条例が改正されてホテル内での盗撮が規制の対象になる可能性もあるため,適宜確認してほしい。

盗撮行為と迷惑防止条例の改正

盗撮行為に関連する条文として,東京都と秋田県それぞれの迷惑防止条例の違いを見てみよう。
両者の違いは,「ホテルや学校など公共の場所や乗物以外での盗撮行為を規制しているかどうか」となる。

【東京都】
第5条(1項) 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
(1) 略
(2) 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所
ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)
(3) 略

引用|東京都迷惑防止条例

上が東京都,下が青森県となっている。

【青森県】
第六条 何人も、公共の場所又は公共の乗物内において、正当な理由がないのに、他人に不安を覚えさせ、又は他人の性的羞恥心を著しく害するような次に掲げる行為をしてはならない。
一 他人の身体に直接又は衣服等の上から触ること。
二 衣服等で覆われている他人の身体若しくは下着(以下「他人の身体等」という。)をのぞき見し、若しくは撮影し、又はこれらの行為をしようとして、他人の身体等をのぞき込み、若しくは写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器を設置し、若しくは他人の身体等に向けること。
三 前二号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。

引用|青森県迷惑防止条例

東京都における盗撮トラブルの規制範囲

まず東京都の条例が盗撮行為を規制している場所は,

①人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所(自宅やホテルの客室など)

不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物(会社や教室,商業施設など)

となっている。①または②の場所において,下記a又はbの行為をすると迷惑防止条例において処罰されることになる。

a.写真機その他の機器を用いて撮影する行為
b.撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置する行為

このため,たとえばデリヘルをホテルや自宅に呼んださいに,本棚や枕元に電源の入っていないカメラを設置しているだけでも条例違反となる可能性がある。

青森県の盗撮トラブルの規制範囲

しかし,青森県の条例を見てみると,

③公共の場所又は公共の乗物内で

c.のぞき見し、若しくは撮影し、又はこれらの行為をしようとして、他人の身体等をのぞき込み
d.写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器を設置し、若しくは他人の身体等に向けること

が規制の対象となっている。この条文を読み解く限りでは,青森県では自宅やホテル内(もっと言えば学校の教室や商業施設内)での盗撮行為は条例によっては規制されていない。

このように,都道府県によっては盗撮行為を規制する場所の範囲が異なっているため,盗撮トラブル時における初動対応がかなり変わってくることになる。

というのも,例えばデリヘルをラブホテルにて利用したさいに盗撮行為に及んだとしよう。

東京都の場合は迷惑防止条例によって処罰されることになるため最悪のケースではその場で警察に逮捕されてしまうおそれがある。しかし,青森県では同じ行為をしてもホテル内での盗撮が処罰の対象にはなっていないため,警察を呼んだとしても民事不介入により男性客とデリヘル嬢(又はお店)の当事者同士で解決するしかないことになる。

各自治体の条例改正に関する最近の動向

最近では,秋田県内において学校(教室含む)内での盗撮行為が迷惑防止条例の適用範囲に含まれていなかった結果,女性教師が同僚から教室で盗撮されても迷惑防止条例による処罰がされない,ということが問題になった。これを機に秋田県では迷惑防止条例の改正が動き出している。

「盗撮の規制場所拡大 秋田県警が条例改正案を議会に説明」

秋田県警は24日、盗撮行為の規制対象となる場所の拡大などを目指す県迷惑防止条例の改正案を、県議会9月定例会の教育公安委員会で説明した。

(1)現行条例が盗撮を禁じている「公共の場所」以外でも、職場や学校を例示して盗撮禁止とする

(2)カメラの設置など盗撮の前段行為を禁止する-の2点を盛り込む。
会員制交流サイト(SNS)で連続してメッセージを送るなどの付きまとい行為も新たに禁じる。盗撮と付きまといについて罰則も強化する。
県警の泉浩毅生活安全部長は「スマートフォンなどの急速な普及によって社会環境が変化する中、現状を踏まえた条例改正が必要」と強調した。
県内では4月、中学校の男性臨時講師が教室で同僚女性教員のスカート内を盗撮した。現行条例が定める「公共の場所」の要件から教室は外れるとの判断で立件できず、改正を求める声が上がっていた。
改正案は検察庁との協議や意見公募を経て、県議会12月定例会に提出される。

引用|河北新報 ONLINE NEWS

全国の迷惑防止条例と盗撮まとめ

以下で全国47都道府県で施行されている迷惑防止条例にて,ラブホテルやビジネスホテルでの盗撮行為が規制されているかどうかをまとめてみたので,自分が住んでいる地域が規制されているかどうかチェックしてみてほしい。

下の地図は47都道府県の盗撮行為と迷惑防止条例の関係を視覚的にわかりやすくした日本地図。

 

下記の地域別のまとめにおいて,各都道府県名をクリックすると条例を実際に確認することができるので是非とも試して欲しい。

「✕」ならホテル内での盗撮は違法となり,
「◯」ならホテル内での盗撮は違法でない可能性がある。

ここで一つだけ注意してほしいのが,通常であれば盗撮行為を規制する条文の文言としては「人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」という表現が一般的なのだが,「不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物」という文言がホテルの客室内を指す,という解釈も有り得る。
そのため,現在は◯になっている自治体でも,条例の改正により「不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物」のみ追加されたような場合でも,ホテルの客室内での盗撮行為を取り締まることが有り得ることは留意してほしい。

北海道・東北地方

北海道:✕(第2条の2第3項)
青森:◯(第6条柱書)
岩手:◯(第8条柱書)
秋田:✕(第4条2項)
宮城:✕(第3条の2第3項)
山形:✕(第3条2項)
福島:◯(第6条)

関東地方

茨城:◯(第2条参照)
栃木:✕(第3条2項)
群馬:✕(第2条の3第2項)
埼玉:◯(第2条4項参照)
千葉:◯
東京:✕(第5条1項2号)
神奈川:✕(第3条2項)

※千葉県の場合は,条例自体のリンクが検索エンジンでヒットしない関係上こちらの記事から詳細を確認してほしい。

※神奈川の場合は,リンク先の「開始」をクリックして,「第15編 警察」の「第5章 保安」「第1節 公安」にある「神奈川県迷惑行為防止条例」を確認してほしい。

中部地方

新潟:✕(第2条3項)
富山:✕(第3条3項)
石川:✕(第3条3項)
福井:✕(第3条4項)
山梨:✕(第3条4項)
長野:◯(第4条参照)
岐阜:✕(第3条3項)
静岡:✕(第3条2項)
愛知:✕(第2条の2第3項)

近畿地方

三重:✕(第2条3項)
滋賀:✕(第3条3項)
京都:✕(第3条3項)
大阪:✕(第6条3項)
兵庫:✕(第3条の2第3項)
奈良:✕(第12条2項2号)
和歌山:✕(第4条4項)

※京都の場合は,例規集サイトより検索することで閲覧が可能となっている。そのため直接条文を閲覧したい場合にはリンク先の「第17編 警察」の「第7章 生活安全」より「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」を確認してほしい。

中国地方

鳥取:✕(第3条2項)
島根:✕(第4条3項)
岡山:✕(第3条3項)
広島:◯(第3条参照)
山口:✕(第3条3項1号)

※広島の場合も,リンク先の「目次検索」から,「第13編 警察」の「第2章 公安の維持」内の「「第4節 防犯」にある「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」を確認してほしい。

四国地方

徳島:✕(第4条3項)
香川:✕(第3条4項)
愛媛:✕(第4条2項)
高知:✕(第4条3項)

九州・沖縄地方

福岡:✕(第6条3項1号)
佐賀:✕(第3条3項)
長崎:✕(第4条3項)
熊本:✕(第3条3項)
大分:✕(第3条3項
宮崎:✕(第2条3項1号)
鹿児島:✕(第2条の2第2項)
沖縄:✕(第3条3項)

※福岡県の場合は,直接リンクを貼るとエラーになってしまうため上記リンク先からログインし「第15編 警察」の「第5章 防犯」にある「福岡県迷惑行為防止条例」を閲覧してほしい。

※宮崎県の場合は,福岡と同様のためリンク先から「目次検索」をして,「第14編 警察」の「第2章 警察活動」内の「第1節 防犯・保安」にある「宮崎県迷惑行為防止条例」を確認してほしい。

※沖縄県も福岡・宮崎と同様にリンク先から「目次検索」をして,「第14編 警察」の「第3章 生活安全」にある「沖縄県迷惑行為防止条例」を確認してほしい。

風俗トラブルにおける盗撮と迷惑防止条例の関係まとめ

47都道府県全ての条例を確認して風俗トラブルにおける盗撮と迷惑防止条例の関係をまとめるのは骨が折れたが,他のどのサイトにも掲載されていない有益な情報を提供することができたように思う。

迷惑防止条例がホテル内における盗撮を規制しているか否かを調べるだけでも一苦労なのだが,各自治体によって条例の公開方法が異なるため条文を見るよりも検索する方に時間がかかってしまった。

確認する限りでは,全国47都道府県の迷惑防止条例と盗撮行為の関係をまとめたサイトは1件しか見当たらなかった。
しかもそのサイトは端的に盗撮行為が処罰の対象になっているかどうかを掲載するのみで引用元がなかったため,より良い記事が書けたように思う。

このページでは盗撮と迷惑防止条例の関係というあくまで抽象的な内容を掲載しているが,以下のページでは,実際に風俗トラブルにおける盗撮行為がどのように解決していくかをまとめているため,興味のある方は是非ともご覧いただきたい。

風俗トラブルの記事まとめ!盗撮・本番,逮捕,罰金・損害賠償請求,示談など

 

長くなってしまったが,この記事が風俗トラブルを解決するための一助になれば幸いだ。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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