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無許可営業・名義貸しでキャバクラ経営の桜井野の花さんに懲役6月の有罪判決

弁護士 若林翔 2021/09/08更新

風俗営業(風営法2条1項)

カリスマキャバ嬢、キャバクラ経営者、人気YouTuberの桜井野の花さんについて、本日(2021,9,8)、有罪判決が言い渡された。

桜井野の花さんは、歌舞伎町のキャバクラ「桜花」「花音」の2店舗を経営していたが、風営法の許可については別人の名義で取っていたとして、風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)無許可営業の罪に問われていた。名義を貸した人物は名義貸しで逮捕されていた。

有罪判決の内容は、懲役6月、執行猶予3年、罰金100万円、没収約100万円、追徴金約4000万円だ。

本記事では、桜井野の花さんの有罪事件をもとに、風営法の無許可営業、名義貸し、組織犯罪処罰法(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律)による犯罪収益の没収・追徴について解説する。

まずはYouTubeの解説動画をご覧ください。

また、桜井野の花さんの有罪判決について、弁護士ドットコムニュースさんから取材を受け、記事になっているので、こちらもご覧ください。

リンク:歌舞伎町のルール? 無許可キャバクラ営業で有罪、桜井野の花が陥った「名義借り」の罠

 

桜井野の花、無許可営業での有罪判決ニュース

自称“100カ月No.1キャバ嬢”の32歳女に有罪判決 「大胆 悪質な犯行」他人名義で無許可営業

「100カ月連続No.1のキャバクラ嬢」と称して活動していた32歳の経営者の女に、懲役6カ月、執行猶予3年の有罪判決。

東京・歌舞伎町のキャバクラ店の経営者で、ユーチューバーとしても活動する「桜井野の花」こと、渚りえ被告(32)は、他人の名義を借りて、無許可でキャバクラ店を営業した風営法違反の罪に問われ、起訴内容を認めている。

東京地裁は、「他人の名義を借りて大きな利益を上げていたもので、大胆、悪質な犯行」と指摘し、懲役6カ月、執行猶予3年に加え、罰金100万円と追徴金およそ4,000万円の有罪判決を言い渡した。

FNNプライムオンライン 2021/9/8 https://nordot.app/808192196786110464?c=768367547562557440

 

無許可営業と名義貸し(風営法)

風営法では、キャバクラやホストクラブなど、客を接待する飲食店を「風俗営業」と呼ぶ。

そして、風俗営業では、公安委員会の許可を受けなければならないと定められている。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律

(用語の意義)
第二条 この法律において「風俗営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。
一 キヤバレー、待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業

(営業の許可)
第三条  風俗営業を営もうとする者は、風俗営業の種別(前条第一項各号に規定する風俗営業の種別をいう。以下同じ。)に応じて、営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)の許可を受けなければならない。

この風営法の許可は、「風俗営業を営もうとする者」、すなわち、キャバクラ等の経営者が自分(会社経営の場合は自社)の名義で取らなければならない。

今回の桜井野の花さんのケースのように、他人の名義で営業許可を取っている場合には、自分の名義での許可なく営業をしているとして、無許可営業になる

そして、風営法では、許可をとった名義人が他人に営業をさせる名義貸しを禁止している。

この無許可営業と名義貸しには、2年以下の懲役、200万円以下の罰金が規定されている。

(名義貸しの禁止)
第十一条  第三条第一項の許可を受けた者は、自己の名義をもつて、他人に風俗営業を営ませてはならない。

(罰則)
第四十九条  次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一  第三条第一項の規定に違反して同項の許可を受けないで風俗営業を営んだ者
三  第十一条(第三十一条の二十三において準用する場合を含む。)の規定に違反した者

 

キャバクラ等の無許可営業・名義貸しの詳細や逮捕事例については、以下の記事もご参照ください。

無許可営業,名義貸し,キャバクラ経営者ら逮捕!?

 

無許可営業と没収・追徴

組織犯罪処罰法(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律)では、「犯罪収益」を没収・追徴できる旨が定められている。

そして、組織犯罪処罰法は,「犯罪収益」というものを定義しており,その犯罪収益には,風営法上の無許可営業による収益も含まれると記載されている。

組織犯罪処罰法(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律
(定義)第二条
2 この法律において「犯罪収益」とは、次に掲げる財産をいう。
一 財産上の不正な利益を得る目的で犯した次に掲げる罪の犯罪行為(日本国外でした行為であって、当該行為が日本国内において行われたとしたならばこれらの罪に当たり、かつ、当該行為地の法令により罪に当たるものを含む。)により生じ、若しくは当該犯罪行為により得た財産又は当該犯罪行為の報酬として得た財産
ロ 別表第一(第三号を除く。)又は別表第二に掲げる罪

別表第二(第二条関係)
五 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)第四十九条第一号(無許可営業)の罪

そのため、無許可営業のキャバクラ店での収益は、犯罪収益として、没収、追徴することができる

今回の桜井野の花さんのケースでも、この法律に基づいて、約100万円のクレジット売り上げの没収、約4000万円の追徴がなされていると考えられる。

無許可営業と犯罪収益の没収・追徴についての詳細は、以下の記事を参照してほしい。

組織犯罪処罰法と風営法について。無許可営業で水商売経営者逮捕された事例に照らして

 

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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