全国初の逮捕事例のニュースだ。
ある男性が,風営法の既得権によって店舗型風俗店を営んでいた。
その男性が死亡し,既得権が消滅していたにも関わらず,他の人がその風俗店を営業していたという事例だ。
風営法違反容疑で逮捕 1代限り性風俗店許可で経営者の死亡隠し営業続ける
営業権利を失ったにもかかわらず禁止地域で性風俗店を続けたとして、警視庁保安課は24日、風俗店責任者、〇〇容疑者(57)=東京都江戸川区=ら男3人を風営法違反(禁止地域)の疑いで逮捕したと発表した。
〇〇容疑者が実質経営する板橋区と足立区の2店舗の場所は、1984年の同法改正時に禁止地域となったが、既に営業しており、当時の経営男性1代限りで続けることが認められていた。〇〇容疑者らは男性が死亡したのを隠して営業しており、こうした事案の検挙は全国で初めて。
逮捕容疑は、5月28日~7月22日、性風俗店の営業が禁止されている板橋区と足立区で、権利がないのに、それぞれ個室マッサージ店を営業したとしている。同課によると、経営者の男性は昨年末に死亡し、廃業届は出していなかった。https://mainichi.jp/articles/20190724/k00/00m/040/091000c
そもそも,現在の風営法では,学校や図書館などの保護対象物件から一定の区域では店舗型の風俗店を営業することができず,かつ,条例が定める一定の地域でも店舗型の風俗店を営業することはできない。
ただ,風営法上,禁止される前から店舗型の風俗店を営んでいた店が,新たに営業禁止区域や営業禁止地域になった場合には,既得権保護の観点から,営業をすることができる。
この権利を既得権という。
そして,この既得権は相続等により承継することはできない。
また,同一性を損なうような増改築もできない。
このように,個人名義で届出を出して既得権営業をしている店舗型の風俗店では,適法に承継も増改築もできない。そのため,現状でも違法状態で営業している店が多くあるのではないかと考えられる。
また,この場合には,店舗型の風俗店を適法に売買することもできない。
なお,法人名義で届出を出して既得権営業をしている場合には,法人の株を売買することにより店舗型の風俗店の売買は可能だ。