以前紹介した記事では,関東地方における盗撮と迷惑防止条例の関係をまとめてみた。
全国版のまとめ記事についてはこちらから。
盗撮と迷惑行為等防止条例の関係の中でも,このサイトのユーザーにしてみれば特にデリヘルにおいての盗撮行為が興味の対象となっていることと思う。
そこで,ラブホテルや自宅内での盗撮行為を主軸にして,どのような場合に中部地方の各県において盗撮行為が規制されているかを解説していこうと思う♫
まずは新潟から愛知までの中部地方においてラブホテルやビジネスホテル,旅館などを含む「客室」において盗撮行為が条例違反となるかどうかを一覧にしてまとめてみた。
「✕」は客室での盗撮行為が条例違反となる場合
「△」はそれ以外の場合
新潟:✕(第2条3項)
富山:✕(第3条3項)
石川:✕(第3条3項)
福井:✕(第3条4項)
山梨:✕(第3条4項)
長野:△(第4条参照)
岐阜:✕(第3条3項)
静岡:✕(第3条2項)
愛知:✕(第2条の2第3項)
(痴漢行為等の禁止)
第2条 ・・・道路、公園、広場、駅、空港、ふ頭、興行場、飲食店その他の公衆が出入りすることができる場所(以下「公共の場所」という。)又は汽車、電車、乗合自動車、船舶、航空機その他の公衆が利用することができる乗物(以下「公共の乗物」という。)・・・。
(1) 衣服等の上から、又は直接身体に触れる行為で卑わいなもの
(2) 人が通常衣服等で隠している下着又は身体をのぞき見し、又は無断で撮影すること。ただし、第3項に該当するものを除く。
(3) 前2号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。ただし、第4項に該当するものを除く。
2 何人も、集会所、事務所、教室、タクシーその他の特定かつ多数の者が利用するような場所又は乗物にいる人に対して、正当な理由がないのに、不安を覚えさせ、又は羞恥させるような行為であって、前項第2号に掲げるものをしてはならない。
3 何人も、住居、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人に対して、正当な理由がないのに、不安を覚えさせ、又は羞恥させるような行為であって、第1項第2号本文に規定するものをしてはならない。
4 何人も、正当な理由がないのに、前3項の場所又は乗物を使用する人の通常衣服等で隠している下着又は身体を無断で撮影する目的で、写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器を向け、又は設置してはならない。
(平29条例29・一部改正)(罰則)
第14条 第2条、第5条又は第6条の規定に違反した者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
2 常習として前項の違反行為をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。引用|新潟県迷惑行為等防止条例
新潟の場合,
①「公共の場所」または「公共の乗物」(2条1項柱書)
②「集会所、事務所、教室、タクシーその他の特定かつ多数の者が利用するような場所又は乗物」(2条2項)
③「住居、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」(2条3項)
において,
④「人が通常衣服等で隠している下着又は身体を・・・無断で撮影」すること(2条1項2号)
⑤ ③の場所において,「人の通常衣服等で隠している下着又は身体を無断で撮影する目的で、写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器を向け、又は設置」すること(2条4項)
上記要件を満たすと6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金刑が科されることになる。
デリヘル嬢をラブホテルに派遣したさいに盗撮をされたとする。その行為が,
ホテルの客室という「人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所(③)」において
「人が通常衣服等で隠している下着又は身体を・・・無断で撮影(④)」または,「人の通常衣服等で隠している下着又は身体を無断で撮影する目的で、写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器を向け、又は設置(⑤)」をしていたとすれば,その盗撮犯は条例違反として摘発される可能性がある。
ホテル内での盗撮が迷惑行為防止条例に違反しないような某県と違い,もしデリヘル嬢から盗撮されましたという報告があがってきたら即座に警察に相談するというやり方も考えるところだ。
盗撮されたさいのデリヘル店側の対応としては,警察に行くか示談するか,といったパターンが多いところではあるが,某県であれば警察に行くという脅しはあくまで脅しであって実効性は薄い。
しかし,新潟県の場合には,ホテル内での盗撮=条例違反という図式があてはまるため警察に行くという交渉のカードも有効となってくる。
ちなみに,「集会所、事務所、教室、タクシーその他の特定かつ多数の者が利用するような場所」における「特定かつ多数の者が利用するような場所」とは,会社や学校のように利用する人間が限られてはいるものの多数の者の利用が予定されているような場所といえる。
高校教諭を盗撮容疑で逮捕
新潟西署は16日、新潟県迷惑行為防止条例違反(盗撮)の疑いで、新潟市西区ときめき西、高校教諭、●●容疑者(44)を逮捕した。
逮捕容疑は16日午後3時25分ごろ、新潟市西区のショッピングセンターで50代の女性のスカート内の動画を、サンダルに取り付けたデジタルカメラで撮影した疑い。
同署によると、●●容疑者は新潟市の私立高校に勤めている。センターの従業員から「盗撮しているような男がいる」と通報があった。引用|産経ニュース(2016.4.17 07:18)
この事例では,ショッピングセンターが「特定かつ多数の者が利用するような場所」に該当するとして,その場所で被害者「が通常衣服等で隠している下着又は身体を」サンダルに取り付けたデジタルカメラで「無断で撮影」したことで,新潟県迷惑行為等防止条例第2条1項2号に違反し逮捕されたと考える。
新潟県の場合には,「人の通常衣服等で隠している下着又は身体を無断で撮影する目的で、写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器を向け、又は設置(⑤)」する行為が規制されているのは,上記①〜③における場所となっている。
トイレで女性盗撮 容疑の62歳男逮捕 新潟 店舗内のトイレに仕掛けた小型ビデオカメラで女性を盗撮したとして、燕署と県警少年課などは21日、児童買春・児童ポルノ禁止法違反の疑いで、燕市分水桜町の自称美術商、大平洋兒容疑者(62)を逮捕した。
逮捕容疑は6月下旬~9月下旬に新潟市の店舗内のトイレにカメラを設置し、10代の女性を約7回撮影してハードディスクに記録したとしている。ビデオには複数の人物が映っていた。容疑を認めているという。
被害者の関係者から10月に「トイレ内に盗撮用のカメラのようなものがあった」との相談が県警に寄せられ、発覚した。同署は余罪や動機を調べている。引用|産経ニュース(2017.11.22 07:06)
この事例では,店舗内のトイレという「便所」(2条3項)にてカメラを「設置」(2条4項)したために条例違反で逮捕されたと推測できる。
上記でも解説したように,「差し向け」「設置」行為をしてはならない場所は,上記①〜③の場所に限られているが,「住居、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所(③)」の内,「便所」に該当するため,最悪の場合,6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金刑が科されることになる。
(粗暴行為の禁止)
第2条 ・・・道路、公園、広場、駅、水浴場、 埠ふ 頭、興行場、娯楽場、飲食店その他の公共の場所(以下「公共の場所」という。)又は汽車、電車、乗合自動車、船舶、航空機その他の公共の乗物(以下「公共の乗物」という。)・・・。(卑わいな行為の禁止)
第3条 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、人に対し、正当な理由がなく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 人の身体に、直接又は衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から触れること。
(2) 衣服等で覆われている人の身体又は下着をのぞき見すること。
(3) 衣服等で覆われている人の身体又は下着を撮影し、又は撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他撮影する機能を有する機器(以下「写真機等」という。)を向け、若しくは設置すること。
(4) 前3号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
2 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、正当な理由がなく、衣服等を透かして見ることができる写真機等を使用して、衣服等で覆われている人の身体又は下着の映像を見、又はこれらを撮影してはならない。
3 何人も、正当な理由がなく、公衆又は特定若しくは多数の者が利用することができる浴場、便所、更衣室その他人が通常衣服等の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人の姿態を撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向け、若しくは設置してはならない。
4 何人も、集会場、事務所、教室、タクシーその他の特定又は多数の者が利用するような場所(公共の場所を除く。)又は乗物(公共の乗物を除く。)において、人に対し、正当な理由がなく、第1項第3号に掲げる行為をしてはならない。(罰則)
第11条 次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(1) 第3条の規定に違反した者
(2) 第4条第1項の規定に違反した者
2 常習として前項の違反行為をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。引用|富山県迷惑行為等防止条例
富山県の場合には,「公共の場所」または「公共の乗物」の他に,「人が通常衣服等の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」も盗撮行為の規制対象に入っているため,自宅やホテル内で盗撮された場合も条例違反として摘発することが可能となっている。
また,スマホなどの「機器を向け」る行為や「設置」するだけでも条例違反となるため,デリヘル嬢や店側が実際に録画されているかどうかを確認しなくても警察に摘発してもらうことができるかもしれない。
さらに,「集会場、事務所、教室、タクシーその他の特定又は多数の者が利用するような場所」も規制対象となっている。
そのため,駅や公道などの「公共の場所」とはいえないけれども「特定又は多数の者が利用するような場所(商業施設など)」で盗撮行為が行われた場合も条例違反として摘発が可能となる。
学生時代からコツコツ2000回盗撮 富山県警の巡査長が懲戒免職に
富山県警は12月25日、女性のスカート内を盗撮する行為を繰り返したとして、富山西署地域課の男性巡査長(25)を懲戒免職の処分とした。
元巡査長は同1日、午後2時40~50分頃、JR富山駅周辺の商業施設で、買い物に来ていた18歳の女子高校生のスカートの中をスマートフォン(多機能携帯電話)で動画撮影したなどとして、県迷惑防止条例違反容疑で逮捕され、同24日、富山区検に略式起訴されていた。
逮捕された際、元巡査長のスマートフォンには、その日に撮影したとみられる複数の女性のスカート内の映像など、約40の盗撮画像が保存されていた。引用|exicteニュース(2014年12月27日 14:45)
この事例では,商業施設という「興行場、娯楽場、飲食店(公共の場所)」においてスマホで動画「撮影」しているため富山県迷惑行為等防止条例第3条に違反し逮捕されたようだ。
以前までは商業施設などの多数人が出入りするような場所は,「公共の場所」でも「住居」などのプライバシー性の高い場所でもないため,盗撮行為に及んでも警察が摘発できない事例があった。
そういった経緯もあって,「特定又は多数の者が利用するような場所」が規制対象とされたのだ。
なかには「特定又は多数の者が利用するような場所」が明記されていないような都道府県も存在している。
しかし,富山県の場合は最近の傾向に沿って条例が改正されているため,商業施設内での盗撮行為を摘発することが可能となっていたのだ。
駅で盗撮逮捕の県警職員、同僚女性宅侵入か
去年8月、埼玉県警に勤務する男が同じ県警に所属する女性の家に侵入したとして逮捕された。
住居侵入の疑いで逮捕されたのは、埼玉県警の科捜研に勤める職員・●●容疑者。去年8月、さいたま市内にある同じ県警に勤務する20代女性の自宅アパートに侵入した疑いがもたれている。●●容疑者は「思い出せません」と容疑を否認しているという。
●●容疑者は、去年9月にJRの駅構内で20代の女性を盗撮した疑いで逮捕されたが、押収したスマホからは女性職員の自宅内で撮影された画像も発見されたという。
●●容疑者のスマホには、他にも同じ県警で勤務する複数の女性職員の室内で撮影されたとみられる画像があるということで、警察はさらに調べを進めている。引用|日テレNEWS24(2020年1月8日 19:54)
この事例では,駅構内という「公共の場所」でスマホで「撮影」しているため条例違反により逮捕された。その逮捕の1ヶ月前に女性宅に侵入したとして,まずは住居侵入罪(刑法130条)で逮捕されていたようだ。
犯罪を犯して逮捕された場合には証拠物品として携帯(スマホ)などは押収されてしまう。
そのスマホの中を調べられたさいに余罪などが多数発覚したのだろう。よくある話だ。
仮に女性宅内で盗撮をしたとするなら,女性宅は「人が通常衣服等の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」といえるため条例違反となるだろう。
(富山県条例においては,新潟県条例と比較して「住居」といった文言が明記されていないため,上記のような解釈によって条例違反とする運用なのだろうと推測する。)
(粗暴行為等の禁止)
第二条 ・・・道路、公園、広場、駅、興行場、飲食店その他の公共の場所(以下「公共の場所」という。)又は汽車、電車、乗合自動車、船舶、航空機その他の公共の乗物(以下「公共の乗物」という。)・・・。(卑わいな行為等の禁止)
第三条 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、人に対し、みだりに、人を著しく羞恥させ、又は人に不安若しくは嫌悪の情を催させるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
一 人の身体に、直接又は衣服その他の身に付ける物(以下「衣服等」という。)の上から触れること。
二 衣服等で覆われている人の身体又は下着をのぞき見すること。
三 衣服等で覆われている人の身体又は下着を撮影すること。
四 前三号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
2 何人も、公共の場所又は公共の乗物にいる人に対し、みだりに、衣服等を透かして見ることができる写真機等を使用して、次に掲げる行為をしてはならない。
一 衣服等で覆われている人の身体又は下着を見ること。
二 衣服等で覆われている人の身体又は下着を撮影すること。
3 何人も、住居、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服等の全部又は一部を着けない状態でいるような場所で当該状態にある人に対し、みだりに、次に掲げる行為をしてはならない。
一 人の身体又は下着をのぞき見すること。
二 人の身体又は下着を撮影すること。
4 何人も、集会場、事務所、教室その他の特定かつ多数の者が利用するような場所において、人に対し、みだりに、人を著しく羞恥させ、又は人に不安若しくは嫌悪の情を催させるような方法で、衣服等で覆われている人の身体又は下着を撮影してはならない。
(平一五条例二六・追加、平二六条例二三・一部改正)(罰則)
第十四条 第三条第一項第三号、第二項第二号、第三項第二号又は第四項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
2 常習として前項の違反行為をした者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。第十六条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 第三条第一項(第三号を除く。)、第二項第一号又は第三項第一号の規定に違反した者
二 略
三 略
2 常習として前項の違反行為をした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。引用|石川県迷惑行為等防止条例
さきほどのニュース例との比較で,石川県においては第3条3項において「住居」と明記されているため,そこでスマホなどを用いて「撮影」することが条例違反になることを直接導けることになる。
石川県の場合には,規制対象となっている場所は必要十分とみることができるが,規制対象となっている行為については十分とはいえない。
というのも,石川県条例においては「撮影」自体は規制しているものの,機器を「差し向け」る行為や「設置」する行為についてはなんら明文がない。
そのため,仮にスマホがこっちを向いていて怪しい,と感じてもスマホをこちらに向けているだけでは条例違反とはいえないだろう。
盗撮行為として摘発するためにはスマホなどの中身を確認する必要性が生じてくるように思う。
大阪市の消防士長を逮捕 石川の温泉旅館で盗撮疑い
石川県警大聖寺署は21日までに、温泉旅館の脱衣場にいた女性をスマートフォンで盗撮したとして、県迷惑行為等防止条例違反の疑いで、大阪市の此花消防署に勤務する消防士長、●●容疑者(29)を逮捕した。
逮捕容疑は20日午前8時50分ごろ、石川県加賀市内の温泉旅館で、女性浴場の脱衣場にいた大阪府の50代と20代の女性をスマホで撮影したとしている。
大聖寺署によると、旅館の従業員から交番に通報があり、駆け付けた署員が職務質問すると容疑を認めた。女性2人は旅行中だった。
大阪市消防局によると、●●容疑者は19、20日に年次休暇を取っていた。同消防局は「市民の信頼を著しく損なうもので、誠に申し訳ない」とコメントを出した。引用|jp24h.com(November 22, 2019)
この事例では,旅館の客が衣服をつけないで利用するような場所である「浴場」においてスマートフォンで「撮影」行為を行っているため,石川県迷惑行為等防止条例第3条3項に違反したとして逮捕されたのだろう。
これが例えば,旅館の客室内であれば「人が通常衣服等の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」に該当する可能性があるだろう。
この事案は,小型カメラを20代の女性に向けて盗撮しようとしたとして逮捕されている。
石川県の条例では,富山県条例において規定されている「撮影する目的で写真機等を向け、若しくは設置してはならない。」というような文言が規定されていないため,カメラのような撮影「機器を差し向け又は設置」するだけでは条例違反とはいえないのではないか,という問題がある。
もっとも,この事案ではあくまで「撮影」したという盗撮容疑が存在したために逮捕されたのだろうから,「差し向け」または「設置」行為で逮捕されたのではないだろうことに注意したい。
※引用先が信憑性のあるニュースサイトではないため,あくまで設置・差し向け行為が各都道府県でどのように規定されているかの参考用にしてほしい。
【石川】小型カメラでスカート内の盗撮試みる 富山市会社員の男(43)逮捕 金沢の商業施設で盗撮
女性のスカート内を盗撮しようとしたとして、石川県警金沢東署は1日、県迷惑行為防止条例違反の疑いで富山市内の会社員の男(43)を現行犯逮捕した。容疑を認めている。同署によると、1日午前11時15分ごろ、JR金沢駅前の商業施設で、買い物中の20代女性=石川県=のスカート内に、レンズを上に向けた状態の小型カメラを入れたかばんを差し入れ、盗撮しようとした疑いがもたれている。
引用|2NN
(粗野または乱暴な行為(ぐれん隊行為等)の禁止)
第二条 ・・・道路、公園、広場、駅、ふ頭、興行場、飲食店その他の公衆が出入することができる場所(以下「公共の場所」という。)または汽車、電車、乗合自動車、船舶その他の公衆が利用することができる乗物(以下「公共の乗物」という。)・・・。(卑わいな行為の禁止)
第三条 何人も、公共の場所(第四項に規定する場所を除く。)にいる人または公共の乗物に乗つている人に対し、人を著しく羞恥させ、または人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
一 衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上からまたは直接人の身体に触れること。
二 人の下着または身体(これらのうち衣服等で覆われている部分に限る。以下「下着等」という。)を見ること。
三 下着等を撮影する目的で、写真機、ビデオカメラ、デジタルカメラ付き携帯電話その他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を下着等を写すことができる位置に置き、または人に向けること。
四 写真機等を使用して、下着等を撮影すること。
五 前各号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
2 何人も、集会場、事務所、教室その他の特定かつ多数の者が利用するような場所(第四項に規定する場所を除く。)にいる人または送迎バスその他の特定かつ多数の者が利用するような乗物に乗つている人に対し、人を著しく羞恥させ、または人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
一 下着等を見ること。
二 下着等を撮影する目的で、写真機等を下着等を写すことができる位置に置き、または人に向けること。
三 写真機等を使用して、下着等を撮影すること。
3 何人も、正当な理由がないのに、衣服等を透かして見ることができる写真機等を使用して、前二項に規定する場所にいる人または乗物に乗つている人に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
一 下着等を見ること。
二 下着等を撮影する目的で、当該写真機等を下着等を写すことができる位置に置き、または人に向けること。
三 下着等を撮影すること。
4 何人も、正当な理由がないのに、住居、浴場、便所、更衣室その他人が通常衣服等の全部または一部を着けない状態でいるような場所にいる人に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
一 当該状態の姿態を見ること。
二 当該状態の姿態を撮影する目的で、写真機等(衣服等を透かして見ることができるものを含む。次号において同じ。)を当該状態の姿態を写すことができる位置に置き、または当該状態の人に向けること。
三 写真機等を使用して、当該状態の姿態を撮影すること。
全部改正〔平成二九年条例二四号〕(罰則)
第十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役または百万円以下の罰金に処する。
一 第三条第一項の規定に違反して、同項第四号に掲げる行為をした者
二 第三条第二項の規定に違反して、同項第三号に掲げる行為をした者
三 第三条第三項の規定に違反して、同項第三号に掲げる行為をした者
四 第三条第四項の規定に違反して、同項第三号に掲げる行為をした者
2 常習として前項の違反行為をした者は、二年以下の懲役または百万円以下の罰金に処する。
全部改正〔平成二九年条例二四号〕
第十三条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役または五十万円以下の罰金に処する。
一 第三条第一項(第四号を除く。)の規定に違反した者
二 第三条第二項(第三号を除く。)の規定に違反した者
三 第三条第三項(第三号を除く。)の規定に違反した者
四 第三条第四項(第三号を除く。)の規定に違反した者
五 第四条第一項の規定に違反した者
2 常習として前項の違反行為をした者は、一年以下の懲役または百万円以下の罰金に処する。
福井県においては,
「公共の場所」
「集会場、事務所、教室その他の特定かつ多数の者が利用するような場所」
「住居、浴場、便所、更衣室その他人が通常衣服等の全部または一部を着けない状態でいるような場所」
が規制の対象に入っているため,盗撮行為がされる場所の多くをカバーしているといえるだろう。
また,どのような盗撮行為が規制されているかについても,
「下着等を撮影する目的で、写真機等を下着等を写すことができる位置に置き、または人に向けること」
「撮影すること」
が対象となるため,現に撮影していなくとも,スマホなどの撮影機器を置いたり向けたりしているだけで条例違反になる。
以前は現に撮影していないと条例違反として罰することはできなかったらしい。
しかし,他の県でもあったように動画などが記録されていない限り条例違反として逮捕することができないというのはおかしいという声があがったことで,2017年12月に改正されたようだ。
トイレに公共性なくても盗撮逮捕(2018年12月29日 午後0時00分)
12月1日の土曜日、福井県の福井市役所本館の女性用トイレに、盗撮目的で小型カメラが仕掛けられた。閉庁日で不特定多数の一般市民が出入りできない状態のため、改正前の福井県迷惑防止条例では摘発できないケース。それが1年前の改正により、トイレは個人宅も含めた全ての場所に拡大されていたため、本館勤務の市職員の男(27)=依願退職=の逮捕に至った。新たな規制の網に掛かった形だ。
条例改正前は、画像や映像が記録されていなければ、盗撮が目的でも設置だけでは同条例で処罰できなかった。改正後は、下着姿などを盗撮できる場所であれば、カメラの設置行為そのものを禁じた。市役所のトイレに仕掛けられたカメラには用便をする女性の姿は映っていなかったため、この点の規制強化がなければ条例で摘発できなかった可能性もある。
改正条例は昨年12月に施行された。「公共の場所・乗り物」としていた規制場所を、「特定多数が利用する場所・乗り物」にも拡大。集会場や事務所、教室、送迎バスなどが新たに対象となった。「公衆が利用する浴場、便所、更衣室など」と公共性のある場所に限られていた脱衣場所は、浴場やトイレなど服を脱ぐ場所であればどこでも適用できるようになった。県警によると、昨年以降の摘発65件のうち、スマホを使った盗撮は53件と全体の8割以上を占める。生活安全企画課の担当者は「簡単に盗撮でき、被害に遭っていることに気付いていないことも多い。県民が安心して生活できる社会を維持するため、厳しく取り締まる」と話した。
引用|福井新聞オンライン
(粗暴行為の禁止)
第二条 ・・・道路、公園、広場、駅、興行場、飲食店その他公衆が通行し、若しくは出入りすることができる場所(以下「公共の場所」という。)又は汽車、電車、乗合自動車、船舶その他公衆が利用することができる乗物(以下「公共の乗物」という。)・・・。(卑わいな行為の禁止)
第三条 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
一 公共の場所又は公共の乗物において、人の性的 羞しゆう 恥心を著しく害し、又は人に不安を覚えさせるような方法で、衣服その他の身に着ける物(以下この条において「衣服等」という。)の上から又は直接人の身体に触れること。
二 人の性的 羞しゆう 恥心を著しく害し、又は人に不安を覚えさせるような方法で、公共の場所又は公共の乗物にいる人の衣服等で覆われている下着又は身体をのぞき見、又はその映像を記録すること(次号に規定する方法により行われる場合及び第四号に規定する場所にいる人に対して行われる場合を除く。)。
三 正当な理由がないのに、写真機、ビデオカメラ等を使用して衣服等を透かして見る方法により、公共の場所又は公共の乗物にいる人の衣服等で覆われている下着又は身体を見、又はその映像を記録すること。
四 正当な理由がないのに、公衆浴場、公衆便所、公衆が利用することができる更衣室その他の公衆が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所の人の姿態をのぞき見、又はその映像を記録すること。
五 前各号に掲げるもののほか、公共の場所又は公共の乗物において、通行人、入場者、乗客等の公衆に対し、人の性的 羞しゆう 恥心を著しく害し、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をすること。
(平一九条例四九・追加)(罰則)
第十二条 第三条の規定に違反した者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
山梨県の場合には,盗撮行為が禁止されている場所として「公衆浴場、公衆便所、公衆が利用することができる更衣室その他の公衆が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所」を掲げている。
上記場所に自宅やホテルの客室などが規制の対象になっているかどうかは際どいところだ。
というのも,条例の文言として「公衆が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所」が明記されているが,果たして一個人の自宅が「公衆が」利用するような場所といえるか。
少なくとも,自宅が「通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所」とはいえそうだが,「公衆が」利用するような場所とは言い難いだろう。
そうすると,仮に自宅にデリヘルを呼んでスマホ等で撮影をしたとしても,どの条文に違反するとして検挙できることになるのかは定かではない。
そういった事情もあってか,山梨県では条例改正の動きが進んでいるらしい。
コチラ(「盗撮防げ条例改正案 県警、2月県会へ 学校や職場対象に」)は有料会員限定記事のため内容を確認することはできないが,見出しを見る限りでは改正に向けての動きが出てきている。
自称小学校長、盗撮容疑で逮捕 山梨の商業施設
山梨県警笛吹署は2日、女性のスカート内を盗撮したとして県迷惑防止条例違反の疑いで、いずれも自称の山梨県甲州市立井尻小学校長、●●容疑者(57)=甲州市塩山上於曽=を現行犯逮捕した。
同署によると、身分証は持っていなかったが、同名の校長がいることを市側に確認したという。
逮捕容疑は2日午後7時50分ごろ、同県笛吹市石和町の商業施設で、甲府市の20代女性のスカート内をデジタルカメラで撮影した疑い。容疑を認めている。
背後から撮影していた泉容疑者に、女性の知人が気づいて取り押さえ、笛吹署員に引き渡した。署員がカメラを調べて女性を撮影したデータを確認した。
引用|日本経済新聞
この例でいえば,商業施設は「興行場、飲食店その他公衆が通行し、若しくは出入りすることができる場所」といえ,そこで女性のスカート内という「人の衣服等で覆われている下着又は身体」をデジタルカメラで「撮影」しているため,逮捕されたといえるだろう。
(粗暴行為の禁止)
第3条 ・・・道路、公園、広場、駅、興行場、飲食店その他公衆が出入する場所(以下「公共の場所」という。)又は汽車、電車、乗合自動車その他公衆が利用できる乗物(以下「公共の乗物」という。)・・・。(卑わいな行為の禁止)
第4条 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、みだりに、他人を著しくしゆう恥させ又は不安を覚えさせるような仕方で、次の各号に掲げる行為をしてはならない。
(1) 他人の身体に、直接又は衣服等の上から触れる行為
(2) 衣服等で覆われている他人の身体又は下着をのぞき見し、又は撮影する行為
(3) 前2号に掲げるもののほか、他人に対する卑わいな言動
追加〔平成14年条例48号〕(罰則)
第14条 第4条の規定に違反した者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
2 常習として第4条の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
改正に関しては長野県警のホームページでも詳しく説明されているので,確認したい方はコチラから。
長野県の条例単体でみれば,普通の人であれば何も感じないだろう。
しかし,他の都道府県の迷惑行為等防止条例を見たあとで長野県の条例をみてみると物足りなさが伝わってくるように思う。
いかんせん,規制している場所も行為も物足りない。
これでは,盗撮される側の性的プライバシーの保護としては不十分と言わざるを得ないだろう。
下記の例のように「公共の場所」で「撮影」するという単純な盗撮事犯であれば検挙も容易だろうが,自宅やホテル・職場や学校などで盗撮行為がなされた場合には対処できないように思う。
スマホで動画 長野県警非常勤職員が盗撮疑い(2019.4.4 12:08)
長野県警が、女性のスカート内をスマートフォンで盗撮したとして県迷惑防止条例違反の疑いで、県警に勤めていた当時の男性非常勤職員(64)を今年3月に長野地検に書類送検していたことが4日、県警監察課への取材で分かった。報酬の減額10分の1(19日間)の処分を受け、書類送検した3月13日付で依願退職した。
書類送検容疑は昨年12月25日、県東部の商業施設で女性のスカート内をスマホで動画撮影した疑い。同様の手口で今年1月10日にも別の女性のスカート内を盗撮した疑い。
県警監察課によると、スマホに盗撮した動画が保存されており、容疑を認めている。
同課の駒村公孝課長は「職員がこのような事案を起こしたことは誠に遺憾。今後も一層、再発防止に努める」とコメントした。引用|産経ニュース
(粗野又は乱暴な行為の禁止)
第二条 ・・・道路、公園、広場、駅、興行場、飲食店その他公衆が出入りすることができる場所(以下「公共の場所」という。)又は汽車、電車、乗合自動車、船舶、航空機その他公衆が利用することができる乗物(以下「公共の乗物」という。)・・・。(卑わいな行為の禁止)
第三条 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しくしゆう恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次の各号のいずれかに掲げる行為をしてはならない。
一 衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から、又は直接人の身体に触れること。
二 衣服等で覆われている人の下着又は身体(以下「下着等」という。)を見ること。
三 衣服等で覆われている人の下着等の映像を見、又は記録する目的で、写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置し、又は衣服等で覆われている人の下着等に向けること。
四 前三号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
2 何人も、正当な理由がないのに、公共の場所又は公共の乗物において、衣服等を透かして見る方法により衣服等で覆われている人の下着等の映像を見、又は記録する目的で、衣服等を透かして見ることができる写真機等を設置し、又は人に向けてはならない。
3 何人も、正当な理由がないのに、公衆浴場、公衆便所、公衆が利用することができる更衣室その他の公衆が通常衣服等の全部又は一部を着けない状態でいる場所において、当該状態でいる人の姿態の映像を見、又は記録する目的で、写真機等を設置し、又は当該状態でいる人に向けてはならない。
追加〔平成一七年条例三九号〕(罰則)
第十三条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 第三条の規定に違反した者
二 略
2 前項第一号の罪を犯した者が、写真機等を使用して被写体の映像を記録したものであるときは、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
3〜8 略
9 常習として第三項の違反行為をした者は、六月以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
岐阜県も山梨と同様に,「公共の場所・乗物」以外では,「公衆浴場、公衆便所、公衆が利用することができる更衣室その他の公衆が通常衣服等の全部又は一部を着けない状態でいる場所」しか規制していないため,自宅やホテルで盗撮されたさいには注意が必要だ。
もっとも,昨年の12月に岐阜県議会において条例の改正案が提出されたようで,近い将来,自宅やホテル,学校や職場などの場所でも盗撮行為が取り締まりの対象になる日も近い,
痴漢や盗撮規制強化 県が迷惑防止条例改正案(2019年11月27日 08:16)
岐阜県は26日、卑わいな行為や嫌がらせ行為の規制を強化する県迷惑防止条例の一部改正案を12月3日開会の県議会定例会に提出すると発表した。新たに、学校やタクシーなど準公共空間での痴漢、盗撮、のぞき見を規制する。準公共空間での痴漢を規制対象に加えるのは全国で初めて。来年4月の施行を目指す。
県や県警によると、卑わいな行為が規制される準公共空間は、学校や事務所、居酒屋の個室、カラオケボックス、タクシーなど不特定または多数の人が利用する場所。また、住居の浴室やトイレ、更衣室などプライベートな空間でも裸や下着姿の人を盗撮、のぞき見することを規制対象に加えた。このほか、特定の人の住居付近をみだりにうろつく、行動を監視していると思わせることを告げるなどの行為も、新たに嫌がらせ行為に盛り込んだ。
現行の条例は、駅や商業施設、電車など公共空間での痴漢、盗撮などを処罰対象に規定している。しかし、学校内での盗撮など対象外の場所で被害が発生していることを受け、全国の自治体で条例改正の動きが進んでいる。県警生活環境課は「被害者の声を受け止め、より厳しく規制することで、取り締まりの強化と被害の未然防止につなげたい」としている
引用|岐阜新聞Web
(粗野又は乱暴な行為の禁止)
第2条 ・・・道路、公園、広場、駅、船着場、空港、競技場、興行場、遊技場、飲食店その他公衆が出入りする場所(以下「公共の場所」という。)又は汽車、電車、乗合自動車、船舶、航空機その他公衆が利用する乗物(以下「公共の乗物」という。)・・・。(卑わいな行為の禁止)
第3条 何人も、正当な理由がなく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から、又は直接人の身体に触れること。
(2) 公共の場所又は公共の乗物にいる人の下着又は身体(これらのうち衣服等で覆われている部分に限る。以下「下着等」という。)をのぞき見ること。
(3) 公共の場所又は公共の乗物にいる人の下着等を見る目的又はその映像を記録する目的で、写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置し、又は下着等に向けること。
(4) 公共の場所又は公共の乗物にいる人の下着等を見る目的又はその映像を記録する目的で、衣服等を透かして見ることができる機器を設置し、又は人の身体に向けること。
(5) 前各号に掲げるもののほか、公共の場所又は公共の乗物にいる人に対して、卑わいな言動をすること。
2 何人も、正当な理由がなく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法により、住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服の全部若しくは一部を着けない状態でいるような場所に当該状態でいる人の姿態を見る目的又はその映像を記録する目的で、写真機等を設置し、又は人の身体に向けてはならない。
(追加〔平成25年条例61号〕)(罰則)
第12条 次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(1) 第3条の規定に違反した者
(2) 略
(3) 略
2 常習として前項の違反行為をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
3 第1項第1号の罪を犯した者が、第3条第1項第3号若しくは第4号の規定に違反して下着等の映像を記録したとき、又は同条第2項の規定に違反して衣服の全部若しくは一部を着けない状態でいる人の姿態の映像を記録したときも、前項と同様とする。引用|静岡県迷惑行為等防止条例
静岡県の場合には,自宅は「住居」として,ホテルの客室は(おそらく)「人が通常衣服の全部若しくは一部を着けない状態でいるような場所」として規制の対象になっているようだ。
実際に女性宅に侵入した男が盗撮をして逮捕された事案がある。
スマートフォンで女性撮影 住居侵入と盗撮の疑い、男逮捕 静岡(1/12(日) 8:07配信)
静岡中央署は11日、住居侵入と県迷惑防止条例違反の疑いで静岡市葵区柚木、会社員の男(49)を逮捕した。
逮捕容疑は2019年8月15日午後3時半ごろ、同区に住む20代の女性会社員の家に侵入し、今月8日午後9時ごろには、家の外から室内にいる女性をスマートフォンで盗撮した疑い。
同署によると、女性宅の近隣住民から不審者がいると通報があり、駆けつけた署員が職務質問して発覚した。
もっとも,自宅やホテルが規制の対象になっているとはいっても,静岡県の現在の条例では学校や職場内での盗撮行為を取り締まることは難しい。
そこで,現在条例を改正する動きが出てきている。
「静岡 迷惑行為防止条例 改正」などで検索すると改正に向けた準備が進んでいるとの記事が確認できるが,残念ながらどれもリンク切れもしくはページ自体が削除されてしまっているため,内容は確認できていない。
(粗野又は乱暴な行為の禁止)
第二条 何人も、道路、公園、広場、駅、空港、埠(ふ)頭、興行場、飲食店その他の公共の場所(以下「公共の場所」という。)又は汽車、電車、乗合自動車、船舶、航空機 その他の公共の乗物(以下「公共の乗物」という。)・・・。(卑わいな行為の禁止)
第二条の二 何人も、公共の場所又は公共の乗物(第三項に定めるものを除く。)において、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲 げる行為をしてはならない。
一 人の身体に、直接又は衣服その他の身に付ける物(以下「衣服等」という。)の上から触れること。
二 衣服等で覆われている人の身体又は下着をのぞき見し、又は撮影すること。
三 前号に掲げる行為をする目的で、写真機、ビデオカメラその他の機器(以下「写真機等」という。)を設置し、又は衣服等で覆われている人の身体若しくは下着に向けること。
四 前三号に掲げるもののほか、人に対し、卑わいな言動をすること。
2 何人も、学校、事務所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用することができ る場所又は乗物(公共の場所又は公共の乗物に該当するもの及び次項に定めるものを除 く。)において、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるよ うな方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
一 衣服等で覆われている人の身体又は下着をのぞき見し、又は撮影すること。
二 前号に掲げる行為をする目的で、写真機等を設置し、又は衣服等で覆われている人の身体若しくは下着に向けること。
3 何人も、住居、浴場、便所、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所において、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
一 人の姿態をのぞき見し、又は撮影すること。
二 前号に掲げる行為をする目的で、写真機等を設置し、又は人の姿態に向けること。(罰則)
第十五条 第二条の二又は第二条の三第一項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
2 常習として前項の違反行為をした者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。引用|愛知県迷惑行為防止条例
ここまで様々な条例をみてきたが,愛知県の迷惑行為防止条例における盗撮の規制は現時点では必要十分な仕組みとなっているだろう。
ホテルの客室も「人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」という文言から解釈として導くのではなく,京都府のように「ホテル(又は旅館)」と明記することも可能性としては考えられるところだが,一応は保護されているとみていいように思う。
「盗撮準備しただけ」愛知県職員、列車内でスカート内にスマホ差し込み現行犯逮捕
愛知県警緑署は9日、列車内で女性のスカート内を盗撮しようとしたとして、県迷惑防止条例違反の疑いで、名古屋市緑区の県職員の男(27)を現行犯逮捕した。同署によると「(盗撮の)準備行為をしただけ」と供述している。
逮捕容疑は9日午後7時ごろ、名古屋市のJR東海道線笠寺-大高間を走行中の列車内で、隣に座っていた名古屋市の女性会社員(25)のスカート内をスマートフォンで撮影しようとした疑い。
緑署によると、車内にいた別の男女が男の行為に気付き、大高駅で降ろし、警察官に引き渡した。引用|産経WEST
「電車」内で女性のスカート内にスマホなどの写真機を「向けた」ことで条例違反により逮捕されたのだろう。
この事案で特徴的な点が,盗撮されている女性とは別の乗客が盗撮犯を取り押さえたことだろう。
上記ケースは,刑訴法でいうところの「私人逮捕」(213条)がなされた事案といえるが,これまで各都道府県の条例を見てきたあなたなら少し違和感を感じるのではないだろうか。
愛知県の場合はスマホを「向けた」だけで条例違反となるためなんら問題ないが,長野県のように単に「衣服等で覆われている他人の身体又は下着をのぞき見し、又は撮影する行為」が規制されている場合には,そもそもスマホを「向け」る行為自体は条例違反とはならない。
それにもかかわらず,私人が条例で規制されていないスマホの「差し向け」行為を盗撮と決めつけて逮捕した場合には,誤認逮捕が問題となる可能性もある。
最悪の場合,盗撮犯を捕まえた側が名誉毀損として盗撮犯から損害賠償請求をされることにもなりかねない。
しかし,盗撮犯を捕まえた側としては,カメラを差し向けただけでなんらかの犯罪行為が行われていると認識することは通常なのではないだろうか。
盗撮犯を捕まえるという真っ当な正義感から捕まえたのに,逆に盗撮犯から請求される可能性があるというのは結論として妥当とは言い難いと個人的には思っている。
そうだとすれば,愛知県のみならず他の都道府県でも盗撮行為をしっかりと取り締まることができるような法整備をすることが重要になってくるのではないだろうか。