メンズエステの逮捕・摘発事例が急増している。
ほぼ全ての逮捕事例が風営法違反(禁止地域営業)だ。
今ではメンズエステ店は星の数ほどある。摘発事例が増えてきたとはいえ、数あるメンズエステの数からすれば、摘発事例はその一部にとどまっているともいえるだろう。
では、どのような店が摘発されるのだろうか?
警察はどの程度の内偵捜査をするのだろうか?
メンズエステが摘発された場合には、経営者、セラピスト、客、誰が逮捕されるのか?
逮捕された場合の勾留期間や量刑(罰則)はどうなるのだろうか?
逮捕されて有罪になった場合、メンズエステ経営は続けられるのか?
グラディアトル法律事務所では、数多くのメンズエステ店の顧問弁護士を担当している。
また、メンズエステ店が摘発され、経営者等が逮捕された際の刑事弁護を数多く担当してきた。
その経験から、メンズエステ店の経営者らに対して、風営法を遵守し、逮捕・摘発を避けるためのアドバイスをしている。
本記事では…
・摘発されるメンズエステ店の6つの特徴
・メンズエステが風営法違反(禁止地域営業)で逮捕・摘発される仕組み
・「異性の客の性的好奇心に応じて」の意味・解釈
・メンズエステが風営法違反になる6つの具体例
・メンズエステの摘発・逮捕事例
・警察による内偵捜査の実情
・メンズエステ経営者が摘発を避けるためにやるべき5つのこと
・摘発時に経営者・オーナー、セラピスト、客が逮捕されるか
・逮捕後の流れ
・メンズエステの風営法違反の罰則の相場
・逮捕・摘発中やその後に営業を続けられるか
など、メンズエステの風営法違反の逮捕・摘発について、経営者やセラピストたちが気になるであろう点を丁寧に解説していく。
本記事でピックアップしたニュースになっている事件での逮捕容疑は、「メンズエステ店で女性従業員に男性客の太ももの付け根付近をマッサージさせた」というものだ。
どういうことだろうか??
まずは、5分弱の動画で解説したので、こちらを参照して欲しい。
メンズエステ店の逮捕・摘発事例が増えてきたとはいえ、星の数ほどあるメンズエステ店の中では、摘発される店舗は、まだ一部にすぎないといえる。
過去の逮捕・摘発事例について、グラディアトル法律事務所の弁護士が弁護活動を通じて警察等の捜査機関から得た情報に照らすと、逮捕・摘発されるメンズエステ店には、以下の6つの特徴がある。
警察がメンズエステ店を摘発し、経営者等を逮捕する理由の一つに、見せしめ効果がある。
違法なメンズエステ店は非常に多く、警察としても全店舗を摘発することは物理的に難しい。
そのため、警察は、見せしめとしていくつかの店舗を定期的に摘発している。
警察としては、その見せしめ効果を考えると、勢いがあり目立つお店、有名店を摘発したい。そして、経営者を逮捕した際に、ニュースにして、何億円稼いでいた店舗を摘発したぞと世間にアピールしたいのだ。
メンズエステ店の風営法違反(禁止区域営業)での摘発では、合同捜査本部が立ち上がることはほとんどなく、基本的には、各警察署の生活安全課が動いている。
その各警察署の管内において、目立っている店、勢いがある(儲かっている)店、過激な店などが狙われやすいのだ。
簡単に言えば、その地域で一番儲かっている店が一番狙われやすい。
メンズエステ店はマンションの一室でサービスを行っていることが多い。
マンションの管理会社や近隣住民からの通報があれば、警察としても動かざるを得ないことがある。
ライバル店や揉めた従業員・セラピストからの通報もあると聞く。
このような通報が多い店についても警察に狙われやすいメンズエステ店の特徴だ。
また、客・セラピストや従業員などとトラブルがあり、警察に駆け込むような事件があると、それがきっかけで捜査が開始されることもある。
かつて風俗店の一斉摘発や浄化作戦が行われた地域がある。
西川口や黄金町などだ。
旧赤線・青線などの地域が多い。
これらの地域でメンズエステを出店すると、警察としては、頑張って一斉摘発をして街をきれいにしたのに、その場所で箱モノの風俗店(メンズエステ店)を経営するとは何事だ!となる。
このような地域での出店には、警察は目を光らせており、出店すると摘発されるリスクが極めて高くなる。
警察は、定期的にメンズエステ店の摘発に動く。
その際には、内偵捜査をして、摘発予定のメンズエステ店の経営者が誰かなどの組織構成、ルームはどこか、どのようなサービスが行われているかなどを事前に捜査をする。
メンズエステ店を利用した直後の客から事情を聞くことも多い。
そのような内偵捜査がやりやすい店とやりにくい店がある。総戸数の多いオートロックの大きなマンションの一室であれば、どの人がメンズエステの客かが分かりづらく、内偵捜査がしにくい。
他方で、アパート一棟全てがメンズエステ店として利用されているような場合には、内偵捜査が容易だ。
このように、内偵捜査がしやすい店は摘発されやすい。
警察は、ホスラブ、爆サイ、メンエス口コミ、Twitterなど、ネット上の掲示板やSNSを見ている。
ヌキがある、本番ができるなどの書き込みが多い店や、セラピストがTwitterで過激な投稿をしている店は、警察に狙われやすい傾向にある。
暴対法や暴力団排除条例による規制が強化されたことからも分かるように、警察は暴力団の排除に力を入れている。
そのため、暴力団の企業舎弟が経営している店舗はもちろんのこと、暴力団の資金源になっているような風俗店(みかじめ料を払ってケツ持ちをつけている)やメンズエステ店は、警察が積極的に摘発する対象となる。
メンズエステの意味も色々あるが、逮捕・摘発の対象となっているのは、ちょっとエッチなマッサージ・エステ店だ。
すなわち、メンズエステとは、風営法の届出を出さずに営業し、女性セラピストが男性客に対して、オイルマッサージなど客に接触するサービスを提供する営業をいう。
元々は、男性用の脱毛やフェイシャルエステなどがメンズエステの代表格だった。
今回の記事で話題にしているのは、エッチなマッサージ店の方のメンズエステだ。
また、メンズエステと言われるモノの中には、派遣型のメンズエステで、風営法の無店舗型性風俗特殊営業の届出(デリヘルと同じ届出)を出している風俗エステ、いわゆる「風エス」もある。
風エスでは、デリヘルと同じ風営法の届出を出しているので、「メンズエステ」と名乗っていても、デリヘル同様の性的なサービスをすることができる。
本記事で問題とする「メンズエステ」は、風エスとは異なり、風営法の届出を出さずに営業している。
また、風エスがデリヘル同様の派遣型・無店舗型であるのに対して、メンズエステはマンションの一室などの店舗型である点でも違いがある。
「メンズエステ」の逮捕・摘発事例は年々増加してきている。
そのほとんど全てが風営法違反(禁止地域営業)での逮捕・摘発だ。
この風営法違反(禁止地域営業)が成立するためには、以下の2つの要件が必要だ。
①禁止地域等で性的サービスを提供していること
②経営者が①を指示or黙認していること
【①禁止地域等で性的サービスを提供していること】
マンションやアパートの一室などで営業をしている箱型・店舗型のメンズエステ店は、風営法の届出を出さずに営業をしている。
現在の風営法では、風営法改正前から営業している店舗を除き、ほとんどの地域で新たに店舗型の風俗店の営業が禁止されている。
メンズエステは、エステやマッサージであって、風俗店ではないよという建前で営業をしているため、風俗店の営業が禁止されている禁止地域・禁止区域で営業が行われている。
そのため、メンズエステ店が、いやいや、エステではなく性風俗店でしょ!と認定されてしまうと、風俗店の営業が禁止されている禁止区域・禁止地域で営業をしていたとして、風営法違反(禁止地域営業)となってしまうのだ。
以下、もう少し詳しく、メンズエステと風営法違反について説明しよう。
風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)では,ソープランドや箱ヘルなどの店舗型性風俗特殊営業について,その営業をしてはいけない禁止区域・禁止地域を定めている。
そして,風営法は,その具体的な範囲について,各都道府県の条例に委任をしている。
風営法は,禁止区域(風営法28条1項)と禁止地域(風営法28条1項)というものを分けて規定をしている。
禁止区域は,学校とか図書館などの保護対象物件から近いところでの店舗型の風俗店の営業を禁止している。
禁止地域は,都道府県条例が,善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要があると定める地域で店舗型の風俗店の営業を禁止している。。
もっとも,この風営法の規定ができる前から届出を出して営業していた風俗店や新たに禁止区域・禁止地域になる前から届出を出して営業していた風俗店は例外として,その既得権(風営法28条3項)を認めるよとも定めている。
この禁止区域・禁止地域の規定があるため,現在では,新規で店舗型の風俗店を開業することは極めて難しくなっている。
そのような状況下で,店舗型のメンズエステ店は風俗店ではないという建前で,禁止区域・禁止地域内で営業をしている。
そのため,メンズエステ店が風俗店だと見做されると、禁止区域・禁止地域営業として風営法違反となるのだ。
風営法
(店舗型性風俗特殊営業の禁止区域等)
第二十八条 店舗型性風俗特殊営業は、一団地の官公庁施設(官公庁施設の建設等に関する法律(昭和二十六年法律第百八十一号)第二条第四項に規定するものをいう。)、学校(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定するものをいう。)、図書館(図書館法(昭和二十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定するものをいう。)若しくは児童福祉施設(児童福祉法第七条第一項に規定するものをいう。)又はその他の施設でその周辺における善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為若しくは少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止する必要のあるものとして都道府県の条例で定めるものの敷地(これらの用に供するものと決定した土地を含む。)の周囲二百メートルの区域内においては、これを営んではならない。
2 前項に定めるもののほか、都道府県は、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要があるときは、条例により、地域を定めて、店舗型性風俗特殊営業を営むことを禁止することができる。
3 第一項の規定又は前項の規定に基づく条例の規定は、これらの規定の施行又は適用の際現に第二十七条第一項の届出書を提出して店舗型性風俗特殊営業を営んでいる者の当該店舗型性風俗特殊営業については、適用しない。
【経営者が①を指示or黙認していること】
風営法違反で有罪とするためには、経営者に違法行為があり、その故意が必要だ。
経営者がヌキなどの性的なサービスを支持していた場合には、これに該当する。
指示まではしていなかったとしても、違法行為が行われていることを認識しつつ、放置・黙認していたような場合には、未必の故意があり、これも違法となる。
メンズエステ店がエステではなく性風俗店だと認定されてしまうと、結果的に、店舗型の性風俗店の営業が禁止されている地域・区域での営業をしていることになり、風営法違反となる。
では、メンズエステ店が性風俗店だと認定されてしまう基準はなんだろうか?
風営法は,店舗型の性風俗について,「異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業」と定めている。
風営法第2条
6 この法律において「店舗型性風俗特殊営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。
一 浴場業(公衆浴場法(昭和二十三年法律第百三十九号)第一条第一項に規定する公衆浴場を業として経営することをいう。)の施設として個室を設け、当該個室において異性の客に接触する役務を提供する営業
二 個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業(前号に該当する営業を除く。)
「異性の」とあるので,同性のエスティシャンの場合にはこれには当たらない。なお,同性愛者専用のゲイ風俗・レズ風俗・ニューハーフデリヘルなども風営法の性風俗の届出の対象とならない。
エステである以上は,「客に接触する」のは止むを得ないだろう。
問題は,「客の性的好奇心に応じて」いるかどうかだ。
手コキなどのサービスがあり、ヌキ(射精)ありの店の場合はこれにあたるだろう。
風営法解釈運用基準では,「性的好奇心に応じて」とは,当該客の性的な感情に応えてという趣旨であり,通常のマッサージ等は,同号の営業には当たらないと記載されている。
「法第2条第6項第2号の営業には、店舗型のファッションヘルス等が該当し、同号中「性的好奇心に応じて」とは、当該客の性的な感情に応えてという趣旨である。したがって、通常のマッサージ等は、同号の営業には当たらない。」
令和4年4月1日付「風営法解釈運用基準」より引用
メンズエステが性風俗だと認定される場合とは、異性の客の性的好奇心に応じて接触する場合であり、「性的好奇心に応じて」とは,当該客の性的な感情に応えてという意味だ。
では、性的な感情に応える行為とはどのような行為だろうか?具体例を挙げつつ、解説する。
【手コキ、ヌキ(射精)】
サービスや裏オプションとして、手コキなどによるヌキ(射精)がある場合、性的な感情に応える行為といえる。
【性器(竿・玉)に触れる】
警察や検察などの捜査機関は、セラピストの手や足が客の性器、竿や玉に触れるような場合には、性的な感情に応える行為だと考えているようだ。
【過度な密着】
マッサージやエステに過度の密着は必要ないだろう。必要以上に過度な密着があり、それをサービスとして謳っているような場合には、客の性的な感情に応える行為だと解釈されやすい。
【過激な衣装・衣装チェンジ・衣装を選べる】
マイクロビキニやベビードールなどの露出度の高い衣装をセラピストが着用している場合や、衣装チェンジや衣装の指定オプションがあるような場合には、客の性的な感情に応えるためのものであると解釈されるよう方向になる。
【HPの画像・内容(露出が高く・胸を強調など)】
HPのセラピストの画像が、胸元を強調するような画像など、風俗店類似のものである場合には、客の性的な感情に応える行為だと解釈されやすい。
【紙パンツなどを履かない】
客が施術用のパンツや紙パンツなどを履かない状態で接客をする場合には、客の性的な感情に応える行為だと解釈される危険がある。
メンズエステ店の逮捕・摘発事例は、全国各地で続出しており、ここ最近でも何件もの逮捕・摘発事例がある。
まずは、少し古いニュースではあるものの、兵庫県姫路市での摘発事例を紹介する。特徴的な逮捕事例がニュースになった事例だからだ。
「性的ではない」と太もも付け根付近をマッサージか Mエステ店が風営法違反疑い
3/2(土) 22:36配信 神戸新聞NEXT
メンズエステ店で女性従業員に男性客の太ももの付け根付近をマッサージさせたとして、兵庫県警歓楽街総合対策本部と同県警姫路署などは2日、風営法違反(禁止地域営業)の疑いで、姫路市の自営業の男(45)を逮捕した。メンズエステ店は風営法の「グレーゾーン」とされ、県内での摘発は珍しいという。
逮捕容疑は1月29日午後2時半ごろ、同市のマンションの一室で、女性従業員が男性客に性的なマッサージをする店を営んだ疑い。同署の調べに「太もも付近のマッサージはしているが、性的なものではない」と容疑を否認しているという。同署によると、「マンションの一室で性風俗営業をしている」との情報提供があり、捜査を進めていた。同署などは3月2日、男の自宅やメンズエステ店として使用された部屋などを捜索した。
メンズエステ店では、男性客に性的サービスを求められた女性が性的暴行の被害に遭うなどのトラブルが相次いでいるという。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190302-00000018-kobenext-l28
実際の事件の細かい事実関係までは分からないものの、メンズエステ経営者は、「太もも付近のマッサージはしているが、性的なものではない」と容疑を否認している事例だ。
次に、最新のメンズエステの逮捕・摘発事例を紹介する。
メンズエステ店装い不法に性的サービス提供か 従業員ら13人逮捕
JR中野駅近くのマンションの30部屋以上で、違法メンズエステ店を営業したとして従業員ら13人が逮捕されました。1年間で10億円以上を売り上げたとみられています。
「中野メンズエステレンガスパ」の従業員〇〇容疑者(47)ら男女13人は2023年10月、中野区内のマンションの部屋で客に対して不法に性的サービスを提供した疑いがもたれています。
警視庁によりますと、〇〇容疑者らはJR中野駅近くのマンションの33部屋を借りて営業していて、マンションの住民が毎日違う男性が部屋に出入りしていることを不審に思って警視庁に連絡し、事件が発覚したということです。店では基本料金のほかに、性的サービスを匂わせる露出度の高い衣装に変更するなどのオプションがありました。
警視庁は、店が約1年間で10億円以上を売り上げたとみています。
2024/1/18 https://news.yahoo.co.jp/articles/46b9b3b93b3f682250b8d895a92fcc8325b70c4b
この逮捕事例では、従業員の男女13人が逮捕されている。
女性キャスト、セラピストも逮捕されている。
また、メンズエステのルームに使用したマンションの住人からの通報が警察の捜査のきっかけになっている。
今回のように通報がきっかけでメンズエステの逮捕・摘発が行われることは多い。
警察は、メンズエステ店を風営法違反で摘発する前に、半年から1年間くらいの期間をかけて、しっかりと内偵捜査をしている。
内偵捜査では、HPやホスラブ・爆サイなどの掲示板、Twitterなどのウェブ上の情報収集を行う。
メンズエステ店の客に話を聞くなどして、ヌキなどの性的好奇心に応じた風俗行為、違法行為があるかどうかを捜査している。
実際に警察官がメンズエステ店に客として来店して、サービス内容をチェックしたり、あえてヌキなどの性的サービスを要求するようなこともあるようだが、このあたりは警察側の情報収集の手段としては利用されるのだろうが、証拠資料として使用されない。
メンズエステ店のプレイルームや事務所の特定ができれば、その賃貸借契約の名義人を調べる。
関係者を尾行するなどして、メンズエステ店の組織構造、経営者が誰なのかなども捜査する。
このような内偵捜査をして、証拠関係や組織構造を把握したのちに、逮捕やガサ(捜索・差押え)をして、最終的な証拠を収集するのだ。
メンズエステをちょっとエッチなマッサージ店と考えると、メンズエステという事業自体がグレーなものであり、風営法違反での逮捕・摘発のリスクがある。
できる限り、逮捕・摘発を避けるためにはどうしたらいいだろうか?
思い切って、風エスにして、デリヘル同様の無店舗型性風俗特殊営業の届出を出せば、性的なサービスがあったとしても合法となる。
とはいえ、店舗型・箱型だからこそ、客が来るので、なかなかこの選択は難しかったりする。
前述のごとく、メンズエステ店は、客の性的好奇心に応じている場合には、風俗同様、性的なサービスだとして、風営法の禁止区域営業で逮捕・摘発されるリスクがある。
とはいえ、警察としては、分かりやすい「ヌキ」がある店を狙う傾向にある。
そのため、セラピストがヌキ・手コキをしないように徹底することが重要だ。加えて、男性器やその付近(鼠蹊部など)への接触を禁止するとなお良いだろう。
また、ヌキがないよう徹底し、黙認していないといえるためには、違反したセラピストに対して注意をし、改善されない場合には、業務委託契約を解除(クビにする)するなど、厳格な処分をする必要がある。
ヌキの禁止を徹底すること、男性器やその付近(鼠蹊部など)への接触を禁止することは重要だ。
そして、これを証拠化するために、セラピストに誓約書を書かせるのが重要だ。また、客に対してもサービス内容を記載した誓約書や同意書を書いてもらうとなお良いだろう。
店の経営者が性的サービスをさせていたorセラピストの性的サービスを黙認していたと判断されないように、講習を行い、その中で、ヌキの禁止を徹底すること、男性器やその付近(鼠蹊部など)への接触を禁止することなどをセラピストに伝え、その内容を証拠化しておくと良いだろう。
講習動画や講習マニュアル、講習内容確認書面などを用意して証拠化しよう。
メンズエステ経営者がセラピストに対して、性的なサービスなどの違法行為をさせていないという証拠を作るために、弁護士によるセラピストを対象としたコンプライアンス講習を実施するのが有効だ。
風営法に詳しい弁護士に、どのような行為が違法になるのかを講義してもらい、セラピストに参加してもらおう。動画にしておいて、採用後の講習に使うのも良いだろう。
メンズエステ店でセラピストが客の性的好奇心に応じるような性的サービスをしてしまい、風営法違反(禁止地域営業)で摘発された場合、誰が逮捕されるのだろうか?
警察の狙いは、メンズエステ店の実質的な経営者だ。
そのため、経営者が逮捕される。
名義上の経営者とは別にオーナーがいる場合、オーナーが逮捕されることもある。
警察は、お金の流れ、LINE等での経営に関する指示をしている証拠、セラピストや従業員の証言などから、実質的経営者が誰なのかの捜査をする。
その際、名義上の経営者とは別にオーナーがいて、オーナーが実質的な経営者であるとされればオーナーも逮捕される。
オーナーがメンズエステ経営会社の株主としての活動しかしておらず、現場に立たず、サービス内容の詳細について関知していないような場合には、オーナーは逮捕されないこともある。
セラピストや従業員が逮捕されることもある。
もっとも、警察の狙いは経営者だ。
セラピストや従業員は、サービス内容や組織構造、経営実態を聴取するため、経営者を有罪にする証拠収集のために逮捕される。
任意の取り調べで警察の目的が達せられると考えられる場合には、セラピストや従業員は逮捕されないこともある。
また、セラピストや従業員は、逮捕されたとしても短い期間で釈放されることが多い。
処分としても不起訴処分になることが多い。
なお、店長など責任ある立場の従業員で、セラピストへの講習を担当し、性的なサービスを支持していた人がいるような場合には、その店長は経営者と類似の処分となることがある。
メンズエステ店が風営法違反で摘発されても、客は逮捕されない。
客は、共犯者ではないからだ。
店のサービス内容について証拠化するために、参考人として警察に呼ばれ、調書を取られることはあるでしょうが、被疑者としての取り調べではなく、強制力もないので、拒否することもできる。
メンズエステの経営者等が風営法違反で逮捕された場合、逮捕後、3日間の間に、検察官による勾留請求がなされ、裁判所が勾留決定をする。
10日間の勾留決定がされ、さらに10日間の勾留延長がなされるのが通常だ。合計で23日ほど警察署の留置施設にいることになる。
また、接見禁止がつくことが多いので、弁護士以外の人との面会や手紙のやりとりはできない。
そのため、逮捕・勾留されている間のメンズエステの営業をどうするか、給与の支払いなどどうするか、経営に関することについて、外の人間としっかりとやりとりができる弁護士を私選弁護人として選任する必要がある。
捜査の進捗が遅い場合や犯罪事実を否認している場合には、再逮捕されることもある。
再逮捕されると、さらに23日間留置されてしまう。
セラピストや従業員については、逮捕されたとしても、最初に2、3日で釈放されることもあります。
メンズエステ店が性的なサービスをして、風営法違反(禁止区域営業、禁止地域営業)で摘発された場合の罰則は、2年以下の懲役,200万円以下の罰金と重い。
第七章 罰則
第四十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
五 第二十八条第一項(第三十一条の三第二項の規定により適用する場合及び第三十一条の十三第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
六 第二十八条第二項(第三十一条の三第二項の規定により適用する場合及び第三十一条の十三第一項において準用する場合を含む。)の規定に基づく都道府県の条例の規定に違反した者
風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)
メンズエステの風営法違反(禁止地域営業)での法定刑は、2年以下の懲役、200万円以下の罰金だ。
グラディアトル法律事務所では、数多くのメンズエステの風営法違反の刑事弁護を担当してきた。
その経験に照らすと、初犯の場合に、実際に科される刑罰は、罰金100万円前後となることが多い。認めている事件では、略式起訴(正式な裁判をしない)で、罰金処分で終了となる。
経営者と店長が2人とも罰金になる場合など、2人合わせて200万円弱の罰金刑となることもある。
サンプル事例が極めて少ないものの、同じ罪での前科がある場合には、起訴され、1年弱の懲役・3年程度の執行猶予、100万円の罰金刑となる。
メンズエステが風営法違反で摘発され、経営者等が逮捕された場合、その逮捕・勾留期間中や、事件が終わった後に、メンズエステ店の営業を続けられるのか?メンズエステ店の経営者から顧問弁護士としてよく聞かれる質問だ。
結論として、法律上、風営法違反で摘発されたとしても、営業は禁止されない。
行政処分としての営業停止命令等があれば、営業を停止せざるを得ないのだが、グラディアトル法律事務所が担当した複数の事件において、いまだに、メンズエステの事件で行政処分が行われた事例はない。
そのため、逮捕・勾留中も営業を続けることができる。
もっとも、捜査担当の警察官との関係や、再逮捕リスクなどの兼ね合いから、摘発対象となったプレイルームの使用を停止する場合や、事件が終わるまでは同一ブランドの店の営業を停止することもある。
また、事件終了後については、営業を再開して大丈夫だ。
もっとも、2回目以降の摘発の場合には、起訴されて懲役刑(執行猶予は付く)となってしまうため、店名や経営者を変更して再開するケースが多い。
メンズエステ店の風営法違反(禁止地域営業)での逮捕・摘発については、法的にも難しい論点が生じる。
また、逮捕・摘発を避けるためにどのような対策をすべきか、万一、逮捕・摘発されてしまった場合に営業を継続するか、事件後どのように対応するのかなど、さまざまな知識・経験が必要とされるため、メンズエステの風営法違反事例に詳しい弁護士と顧問契約をしておくことが重要となる。
この点、以下の3つの理由から、グラディアトル法律事務所との顧問契約がオススメだ。
警察官や検察官もその内容についての詳細を理解しきれていないケースも散見される。
グラディアトル法律事務所では、メンズエステを含めた風営法違反の事例を数多く取り扱い、弁護士間で勉強会を開くなどその知識・経験を共有するとともに、最新事例についても研究を続けており、知識をブラッシュアップし続け、その内容を発信している。
警察官や検察官から、グラディアトル法律事務所の解説記事を読んで勉強していますと教えてもらったこともあるくらいだ。
ちょっとエッチなマッサージ屋さんであるメンズエステ経営は、グレーゾーンとも取れる難しい領域で経営をすることになる。
具体的に、どのように経営をしており、逮捕・摘発を避けるためのコンプライアンス体制をどのように構築するかという問題には、専門知識のみならず、業界の経営実態についての知識が必要となる。
グラディアトル法律事務所では、数多くのメンズエステ店と顧問契約をしているため、経営実態や他社の細かい工夫についてなどの知識が数多く集積されている。
これらの知識経験を活かして、顧問先のメンズエステ店経営者に対して、最適なアドバイスができるようになっている。
実際に逮捕・摘発されてしまった場合には、早期に適切な対応をとることが重要だ。
取り調べにおいて、何を話し、何を黙秘するのか。
営業を止めるのか、続けるのか。
速やかに、営業を再開するためにどのような対策をとれば良いのか。
逮捕・勾留されている最中から、風営法に詳しい弁護士と相談しつつ、外にいる従業員らに的確な指示を出しておく必要がある。
グラディアトル法律事務所では、逮捕・摘発された店舗の刑事弁護人としての経験が豊富だ。
そのため、過去の事例に照らして、今後の動向を予測する精度が高まり、最適なアドバイスができるようになっている。
以上3点の理由から、逮捕・摘発リスクを正確に把握し、健全なメンズエステ経営をするために、是非ともグラディアトル法律事務所と顧問契約をしておくことをお勧めする。