解決までの流れ

ここでは当事務所に依頼した場合、法の専門家である弁護士がどのような手段を選択し、解決に導いていくかの大まかな流れをご紹介します。
これを読めば弁護士に依頼するメリットをご理解いただけるかと思います。

1.相手方の調査

まず最初に、相手方の身元や所在、財産含めた状況など調べられる限りの情報を早急に調査することが重要です。
というのも、後の交渉や訴訟をどうすすめていくかにあたって,方針を決定するうえで大きな判断要素の一つとなるからです。

2.証拠の収集

相手方の調査と併行して、訴訟に発展する可能性も見越して、訴訟に対応できるレベルの証拠を収集することも重要です。
なお、訴訟に発展しなくとも収集した証拠は、交渉段階において相手方を追い詰める材料となりますので、不可欠な行動といえます。

3.仮差押

訴訟となり勝訴判決を得ることができた場合、強制執行により財産を差し押さえることが可能になります。

しかし、訴訟を提起すると、訴状が届くことで、相手方は訴えられていることを知ることになります。
そのため、相手方によっては判決がでるまでに財産を処分したり隠匿する等で、強制執行を空振りにさせる行動に出る者もいます。

そのリスクを防ぐために、訴訟や次に説明する内容証明郵便の送付・交渉の前に、相手の財産を仮に差し押さえることを『仮差押』といいます。

相手方が土地や建物など財産を持っていることがわかっている場合、仮差押をしておくことで、強制執行が空振りとなるリスクを防ぐことができます。

なお、仮差押というのは、裁判で勝敗の結論がでる前にもかかわらず、仮にでも相手方の財産を差し押さえて処分することをできなくさせるという効力の重大性から、担保金を提供することが求められます。

担保額は保全命令の種類や保全目的物の種類・価格、保全される権利の種類・価格などの諸般の事情を総合考慮して判断されることになっています。

4.内容証明郵便の送付・交渉

相手方を調査し、証拠を収集したら、基本的には、相手方に対して請求内容を記載した内容証明郵便を送付することになります。

事件や相手方の性質等から、内容証明郵便を送付するよりも功を奏する可能性がある場合には、弁護士が直接相手方に電話や対面で話すことで、早速交渉を始めることもあります。

いずれにせよ、相手方にコンタクトをとるタイミングとしては、上記の各手段を済ませてからが望ましいといえます。
なぜなら、内容証明郵便の送付や交渉を始めることで、相手方は弁護士に依頼したことを知ることにより、証拠の隠滅や財産の処分がされてしまうおそれがあるからです。

内容証明郵便には、今後は依頼者ではなく弁護士に連絡するようにと記載いたしますので、相手方は内容証明を受け取ると、通常自らの言い分を伝えるために弁護士に連絡してきます。
ここからが交渉のスタートです。

相手方の言い分はそれぞれ違いますが、弁護士は取得した相手方の情報や証拠を材料に、依頼者の要望に叶うべく交渉をすすめていきます。
そして、交渉がまとまった際には、金額や条件等を記載した合意書を締結した上で、合意書記載の金額を支払ってもらい、事件は終了となります。

5.訴訟の提起

相手方が交渉にまったく応じない、交渉には応じているが金額や条件等で折り合いがつかずまとまらない場合、次の手段として、勝訴判決を求めて訴訟を提起することになります。

訴訟を提起すると、よっぽどの相手方でない限り、本人または依頼した弁護士が出廷してくることになります。
訴訟提起されたことを知りながら、訴訟に出てこないとなると全面的に敗訴となるからです。

そして、訴訟に相手方または相手方の弁護士が出てくると、請求内容につき、収集した証拠をもとに主張立証を行います。

もちろん相手方は反論してきますが、最終的には、裁判所が両者の主張立証を判断して判決が下されることになります。

なお、判決には、請求認容(全面勝訴)判決、一定の請求内容を認める一部認容(一部勝訴)判決、請求棄却(全面敗訴)判決があります。
また、判決に至る前に、裁判所から和解を提示され、条件がまとまれば和解で終わることもあります。

6.強制執行(差押等)

訴訟で勝訴判決となったにもかかわらず、相手方が支払わない場合、強制執行の手続をとることになります。

このとき、3の仮差押をしていた場合には、(本)差押を行うことで、そのまま差し押さえることができます。
また、勝訴判決を得た後では、下記のような仮差押の段階ではできない手段もとることができます

たとえば、弁護士法23条に基づき、銀行など金融機関に対していわゆる全店照会という手続がとれるようになります。

この手続をとると、相手方がどの金融機関に口座を持っているかわからなくても、照会を受けた金融機関(照会非対応の金融機関は除く)は、調査した上で相手方が口座を持っているかどうか回答してくれます。
これによって、相手方の口座の存在や預金残高を知ることができ、強制執行に役立てることができます。

*刑事告訴

1〜6までの手段は主に民事手続による解決のための手段でしたが、詐欺の場合には民事手続以外にも被害金の回復を図る方法はあります。
その一つが刑事告訴です。

刑事告訴をして、相手方が検察官に訴追された場合、相手方は自らの罪を軽くするために、被害金を弁償するとの行動をとってくることがあります。
また、刑事告訴をするかしないかということ自体を被害金額の返還交渉の材料に用いることもできます。

**口座凍結

詐欺被害において、相手方の口座に振り込んでしまった際には、いわゆる振り込め詐欺救済法(犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配当金の支払等に関する法律)に基づき、口座凍結という手続をとることができる場合があります。

この手続をとることで、相手方は口座からお金を引き出すことができなくなり、費消されるのを防ぐことができます。
また、振り込め詐欺救済法は、その口座の残高を被害者に分配する制度を定めており、これらの手続をとることで被害金の回復をすることができる可能性があります。

***チャージバック

詐欺被害において、クレジットカード決済で支払ってしまった際には、クレジットカード会社に対して、「チャージバック」という手続をとることができる場合があります。

「チャージバック」とはクレジットカードの保有者が不正使用などの理由により利用代金の支払に同意しない場合に、クレジットカード会社がその代金の売上を取消しすることです。

この手続をとることで、すでに口座からカード会社に引き落とされてしまっていた場合でも、カード会社から決済金額の返還を受けることができる可能性があります。

→チャージバックの詳細はこちら

おわりに

いかがでしょうか?この他にも精通した知識を有する弁護士は、様々な提案をしたり手段を取ることができます。
グラディアトル法律事務所には経験豊富な弁護士が在籍していますので、ぜひご相談ください。

・関連項目を読む

→ 詐欺被害に合ったら
→ 弁護士だから出来ること
→ 事務所、弁護士選びの重要性