ニュース内容
京都府警の警察官を名乗り、飲み会で知り合った女性看護師から現金128万円をだまし取ったとして、兵庫県警川西署は3日、詐欺の疑いで会社員の男(28)=京都市南区=を逮捕した。
2019/12/3 20:55神戸新聞NEXT
逮捕容疑は昨年10月、警察官と偽り、同県川西市内の20代の女性看護師に「慰安旅行の積立口座のキャッシュカードを落とした。旅行代金を貸してほしい」などとうそを言い、同市内で現金98万円を受け取り、さらに30万円を口座に振り込ませて詐取した疑い。
同署によると、同容疑者は「金は受け取ったが、借りた名目は覚えていない」と話している。同容疑者は大阪の異業種交流会で女性看護師と出会い、京都府警の警察官を名乗っていた。
同署は被害申告から、同容疑者がこの女性看護師から、今回の容疑を含めて計500万円をだまし取った疑いがあるとみて調べる。
弁護士からのコメント
今回のニュースにあるいわゆる 「恋愛詐欺」とは、一般に、恋愛する意思がないにもかかわらず、恋愛を餌にして異性に近づき、相手を騙して金品を巻き上げたり、返済の意思もないのに金品を借りたりする詐欺行為をいいます。
被害者は、金品を騙し取られる財産的被害にくわえて、心まで弄ばれたことによる精神的被害も受けるため、その意味で質の悪い態様の詐欺の1つといえます。
恋愛詐欺師の特徴としては、自らのスペック、具体的には学歴や経歴、職業、趣味に至るまで高い条件に偽っていることが多いです。
今回のニュースも、出会いの場となった異業種交流会において、本来は会社員であるのに警察官を名乗っていました。
この理由は、まず自らを高い条件と偽って、結婚や出会いを求める異性から信用させ、魅力的に見せる目的があります。
また、のちに金品を騙し取る上で、その時点ではあくまでもいったん借りるだけ、肩代わりしてもらうだけと装うために、返済する能力や財産があることを示す目的もあります。
恋愛詐欺師の手口としては、交際直前または交際後まもなくの時点で、「交際したいが不都合な障害や問題がある」と打ち明けてくるのが通例です。
今回の事件でも、「慰安旅行の積立口座のキャッシュカードを落としたから、旅行代金を貸してほしい。」という、結果として虚偽を述べ、金銭を騙し取りました。
交際直前または交際後まもなくという点で恋愛感情が芽生えていること、また、偽りであるものの返済する能力や財産を示していることから、すぐに返してくれるなら立て替えてもという気持ちにさせるように仕向けさせるのです。
それでも渋る場合には、「交際する相手を信じてくれないなんて・・・」などと追い打ちをかけてきます。
交際したいという気持ちを逆手に取るためです。
そうして、いちどでも金銭を渡してしまうと、詐欺師は「あと少し足りない」「追加でどうしても必要になった」などと言ってさらに要求してくることも通常です。
今回のケースも、逮捕された事実においては128万円の詐欺被害ですが、警察署は今回の容疑を含めて計500万円をだまし取った疑いがあるとみて調べています。
いちど金銭を渡してしまったことで心理的ハードルが下がっていることにつけこみ、巻き上げられるだけ巻き上げようという魂胆です。
恋愛詐欺に遭わないための対策としては、出会いの段階では、条件が高ければ高いほど、具体的な話を聞くのがいいでしょう。
このとき、聞いても仕事の話を避ける、抽象的な内容に終始するなら、疑った方がいいかもしれません。
再度会う約束をした段階では、その日までに出会った際に相手が話していた内容について、辻褄が合っているのか調べておくのがよいです。
実際、「名前をインターネットで検索したら、詐欺被害を案内するページに載っていた」「会社に連絡したが、そもそも所属していなかった」などで未然に詐欺被害を防止できたケースがあります。
さらに、お金を要求してきた段階では、絶対にすぐに渡してはいけません。
家族や友人などに相談して意見を聞きましょう。
この段階になると、恋愛感情が芽生えているため、自身では冷静な判断ができないからです。
そして、どうしてもお金を貸す、立て替えるとなった段階では、弁護士に相談すべきです。
弁護士に相談することで、詐欺かどうかのアドバイスを受けることもできますし、必要であれば借用書(金銭消費貸借契約書)を弁護士が作成することも可能だからです。
最後に、恋愛詐欺に遭ったかもと思った際には、遠慮なく当事務所にご相談ください。