恋愛詐欺の相手方が弁護士との対面交渉により態度が急変!?

1.事案の概要~弁護士との相談に至るまで~

相談者は30代男性。
出会い系サイトで知り会い、好感を持ったので実際に会うことに。
実際会ってみても話が弾み、複数回のデートを重ねて付き合うことになりました。

交際してから約1か月後、相手方から「経営している美容院で、水漏れを起こしてしまい、下の階や大家への諸々の支払が必要だけど、まとまったお金がないので貸してほしい」との相談が。

相談者もまとまったお金はなかったものの、恋愛感情があったので、銀行から借りて、その借りた500万を相手方に振り込みました。

その際、相手方のことをもちろん信用していたので、借用書(金銭消費貸借契約書)は用意せず口約束のかたちで、また、返済も月々10万円の分割でいいということにしました。

しかし、1回だけ返済があったものの、2回目以降から返済がなくなりました。

そこで、相談者から催促するも、「家族が病気で入院しているから仕事がままならずお金がない。」との言い分。
そうであれば、「退院の見込み、返済が可能になる時期など教えてほしい。」と相談者から伝えると、「こんな大変なときにお金の話を出してくるなんて!!」と逆ギレされる始末。

時間を置いて状況がどうなったか何度か尋ねるも回答はなく、ついには相手方と連絡がまったく取れなくなりました
もう自分ではどうすることもできないと思い、何か方法はないかインターネットで検索していたところ、弊所のHPを見つけて相談に来られました。

2.弁護士との相談~方針決定~

まず前提として、出会い系サイトなど男女が出会う場には、その結婚願望や恋愛感情を逆手に取り、詐欺を行う人間も潜んでいることを説明いたしました。

そして恋愛感情に乗じた詐欺を行う者の常套手段として、交際が始まる前後に高額なお金にまつわる話を持ち掛けてくること。
まさに今回のケースも同様の手口だったので、恋愛詐欺の可能性が高いことを告げました。

相談者はショックを隠せないながらも、できる限りの返金を求めたいとの要望で、ご依頼いただくことに。

方針としては、相手方の住所は知らなかったものの、現在も美容院を経営しているのことで、まずは美容院宛に内容証明を送付することに決定しました。

3.受任後の弁護士の活動~解決に至るまで~

早速、弁護士が内容証明を作成し送付すると、すぐに相手方から連絡が。

話を聞いたところ、500万を借りたことは認める。しかし、携帯が壊れてしまい、連絡先も振込先もわからなくなったので,返済したくても返済できなかったというのが相手方の言い分でした。

弁護士は、内容証明記載のとおり、一括返済が依頼者の要望であることを伝えると、相手方は月々5万円しか返済できないとの回答。

さすがにそれでは、依頼者の要望とかけ離れているので、一定程度まとまったお金を用意できないか検討してもらうことを伝え、最初の交渉を終えました。

依頼者に交渉内容を伝え、今後の方針を検討。

依頼者の意向としては、一括返済がありがたいが、もし無理であるならば,相手方を信用して取り交わさなかった,返済期限含め貸したことを証明する書面だけは少なくとも締結したいとのこと。

着地点として、初回に一定程度の金額を支払い、その後は期限を守って支払うのであれば、残額は分割払いでも交渉で解決することを受け入れるとのことでした。

上記を踏まえ、弁護士が相手方と交渉することに。

しかし、相手方とはなかなか連絡がとれず。連絡がとれた際も、忙しかったや病気をしていたなどを理由にまだ検討できていないとの回答でした。

そこで、最終回答期限を設定し、期限までにどれだけの金額を用意できるか、残額はどれだけの分割金額で支払う予定かの回答がなければ、交渉は決裂で、次の法的措置を検討することを通告。
それにもかかわらず、相手方は最終回答期限に明確な回答を出すことがありませんでした。

このままでは埒が明かないと考え、相手方と対面で交渉する必要があると弁護士は判断
相手方が美容院に出ている日を確認した上で、現場に乗り込むことに。

弁護士が実際に行くと、相手方にちらの本気度が伝わったのか、月末までに300万円は支払うとの約束をこぎつけることに成功。
その際,もし月末までに支払わない場合には訴訟提起に加え,刑事告訴にも動かざるを得ない旨念を押しました。

依頼者に上記を報告。

月末までに約束の300万円が支払われるのであれば、あとは分割払いでもよいとのこと。
結果、弁護士が対面交渉をしたことが功を奏し、月末に300万円の振込が。

その後、残額の返済期限を定めた分割払いの合意書を締結し、無事解決することができました。
なお、後日依頼者から、合意書締結以降、相手方から期限を守って分割払いがされて完済となった旨の報告も受けました。

4.弁護士からのコメント

近年、出会い系アプリ等インターネットが出会いのきっかけとして占める割合が増えている傾向にある中、それに伴い詐欺を行う人間も急増しています。
ですので、恋愛詐欺に遭わないためには、い人だと思った場合でもしっかりと見極めることが大事です。

また、今回のケースは、相手方との電話での交渉が難航した事例でした。

電話での交渉が難航している場合、相手方が所在している日時・場所が判明している際には、対面交渉も一つの選択手段といえます。

弁護士が直接相手方に会って対面で交渉することで、書面や電話だけでは伝わりきらない本気度が伝わり、今までの態度を翻す可能性が十分にあり得るからです。

今回のケースも、弁護士との対面交渉によって、相手方にこちらの本気度が伝わり、自分の置かれている立場をようやく理解し、功を奏した事例といえます。

最後に、もし恋愛詐欺かもと思う場合には、遠慮なく当事務所にご相談ください。

Bio

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。
東京弁護士会所属(登録番号:50133)
男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。