借金の取り立ての方法と個人で取り立てをする3つのリスクを解説

借金の取り立ての方法と個人で取り立てをする3つのリスクを解説

「借金を返してくれない友人への取り立てを考えている」

「どのような流れで借金の取り立てをすればよいのだろうか?」

「個人で借金の取り立てをするとどのようなリスクがあるのだろうか?」

返済期限までに借金の返済をしてくれないときは、債権者は、債務者に対して借金の取り立てをすることができます。

「取り立て」というと貸金業者などが行うイメージもありますが、個人でも借金の取り立ては可能です。

実際の借金の取り立て方法には、裁判外の方法と裁判上の方法の2種類があり、状況に応じて適切な方法を選択することが大切です。

【裁判外の取り立て方法】

・電話やメールによる督促

・相手の自宅を訪問

・内容証明郵便の送付

【裁判上の取り立て方法】

・民事調停の申立て

・支払督促の申立て

・少額訴訟の提起

・通常訴訟の提起

・強制執行の申立て

本記事では、上記の借金の取り立て方法や個人で借金の取り立てをすることのリスクなどについてわかりやすく解説します。

借金の取り立てをはじめとした債権回収は、スピードが大事ですので、個人で対応が難しいと感じる場合は、早めに弁護士に相談するようにしましょう。

借金の裁判外の取り立て方法

借金の裁判外の取り立て方法は、以下のものが挙げられます。

借金の裁判外の取り立て方法

電話やメールによる督促

債務者による借金の滞納があったときは、すぐに電話やメールで督促を行いましょう。

債務者が単に支払期限を忘れていただけであれば、電話やメールによる督促だけで支払いに応じてくれる可能性が高いといえます。

取り立ての方法としても非常に簡単な方法ですので、「返済期限が過ぎているけど大丈夫?」など、まずは気軽な感じで連絡してみるとよいでしょう。

債務者の自宅を訪問

電話やメールをしても連絡が取れないという場合には、債務者の自宅を訪問して、直接取り立てをするという方法もあります。

電話やメールであれば気づかなかったり、先延ばしにしていた債務者であっても、債権者が自宅に取り立てにくれば、さすがに対応せざるを得ませんので、支払いに応じてくれる可能性があります。

ただし、貸した金額によっては、債務者の自宅にある現金だけでは返済できませんので、後日に支払いとなることもあります。

その場合には、しっかりと返済期限や返済方法を定めておくことが大切です。

内容証明郵便の送付

電話やメールを無視される、自宅に行っても居留守をされるなどの対応をされたときは、債務者の自宅宛てに内容証明郵便を送付する取り立て方法も検討すべきです。

内容証明郵便とは、以下の事項を日本郵便株式会社が証明してくれる形式の郵便です。

・差し出した日付

・差出人の住所、氏名

・受取人の住所、氏名

・文書に書かれた内容

ただ、内容証明郵便は送付したとしても、債務者に支払いを強制する効力まではありません。

とはいえ、特別な形式の郵便が届いたことで、債務者に返済への心理的なプレッシャーを与えるという効果が期待できます。

また、内容証明郵便で借金の返済を求めることで、時効の完成を6か月間猶予することができますので、借金の時効が迫っている場合には有用な取り立て方法といえます。

なお、残業代を請求する場合のものではありますが、内容証明郵便の書き方と基本的なルールについて記載しておりますので、内容証明郵便の送付を検討されている方は以下の記事をご参照ください。

残業代請求の内容証明郵便の書き方と基本的なルール・費用を解説

借金の裁判上の取り立て方法

借金の裁判外の取り立て方法で返済に応じてくれないときは、次の段階として、裁判上の取り立て方法を検討する必要があります。

借金の裁判上の取り立て方法

民事調停の申立て

民事調停とは、簡易裁判所の調停手続きを利用して、当事者同士の話し合いにより紛争の解決を図る手続です。

裁判のように勝ち負けを決めるのではなく、当事者が話し合いをして、お互いに譲歩することで問題の解決を図るという特徴があります。

民事調停では、裁判官と調停委員が当事者の間に入って話し合いを進めてくれますので、当事者同士では話し合いが進まないという場合には、有効な解決手段となります。

お金の貸し借りをしたこと自体に争いがない事案であれば、債務者に無理のない範囲での返済方法を定めた上で調停が成立するケースが多いでしょう。

なお、民事調停は、お互いに合意の上で解決する方法ですので、調停成立後も債務者は任意に支払いに応じてくれる可能性が高いです。

支払督促の申立て

支払督促とは、債権者からの申立てのみに基づいて簡易裁判所書記官が金銭などの支払いを命じる手続です。

一般的な民事裁判は、債権者および債務者双方の主張を聞いた上で判断しますが、支払督促は、債権者側の申立てのみで金銭の支払いを命じてもらえるのが特徴です。

裁判所の審査も書面審査だけですので、個人での裁判上の取り立て方法としても、簡単に利用できます。

ただし、債務者から異議申し立てがなされると、支払督促の手続から通常の民事訴訟の手続に移行してしまいます。

そのため、以下のような争いのある事案については、支払督促は不向きといえます。

・債務者が「お金を借りていない」と言っている

・債務者が「もらったお金だ」と言っている

・お金を借りたことは認めているものの、金額に争いがある

・消滅時効が完成している

なお、支払督促について詳しく知りたい方は下記記事をご参照ください。

支払督促とは?手続きの流れや異議・訴訟移行後の流れなどを解説

少額訴訟の提起

少額訴訟とは、60万円以下の金銭の支払いを求める場合にのみ利用できる簡易裁判所の特別な訴訟手続です。

少額訴訟は、原則として1回の審理で終了することになっていますので、通常の民事裁判の手続きに比べて早期解決が期待できるという特徴があります。

ただし、少額訴訟でも債務者から不服がでると、通常の訴訟手続に移行してしまいますので、支払督促と同様に争いのある事案では不向きな手続といえるでしょう。

通常訴訟の提起

通常訴訟は、もっとも一般的な法的な紛争解決手段です。

当事者からの主張立証に基づいて、最終的に裁判所が判決というかたちで結論を出します。

借金の取り立て方法として通常訴訟を利用する場合、債権者の側でお金の貸し借りがあったことを証拠により立証していかなければなりません。

ですので、借用書などお金の貸し借りをした明確な証拠があれば、勝訴判決を獲得できる可能性が高いです。

一方で、明確な証拠がない場合であっても、以下のような証拠からお金の貸し借りがあったことを立証できる可能性があります。

・お金を振り込んだときの振込明細書、預金の取引明細書

・相手とのメールやLINEのやりとり

・相手からの返済があったことがわかる通帳の履歴

・相手との会話の録音・録画

以上のとおり、通常訴訟で借金の取り立てをする際には、証拠が重要となりますので、事前に十分な証拠を確保してから訴訟提起することがベターです。

なお、債権回収における通常訴訟について詳しく知りたい方は下記記事をご参照ください。

裁判による債権回収の流れと債権回収を実現するための3つのポイント

強制執行の申立て

上記の法的手段により、判決など裁判所の支払い命令が出たにもかかわらず、債務者が支払いをしない場合は、強制執行の申立てをする必要があります。

強制執行は、債務者の財産を差し押さえて、そこから強制的に債権回収をすることができますので、債務者の意向にかかわらず債権回収を実現することができます。

ただし、強制執行の申立てをする際には、債務者の財産を特定して申立てをしなければなりません。

債務者の財産がわからないと強制執行の申立てをすることはできませんので注意が必要です。

なお、債権回収における強制執行(差し押さえ)について詳しく知りたい方は下記記事をご参照ください。

債権回収には差し押さえが有効!差し押さえの対象財産や流れを解説

個人で借金の取り立てを行う3つのリスク

借金との取り立ては、個人でも行うことができますが、個人での借金の取り立ては、以下のような3つのリスクがありますので注意が必要です。

個人で借金の取り立てを行うリスク

違法な取り立て行為をしてしまうリスク

個人での借金の取り立ては、その方法や態様によっては、違法な取り立てになってしまうリスクがあります。

違法な取り立て行為をしてしまうと、債務者から逆に損害賠償請求の訴えを起こされたり、最悪のケースでは刑事罰の対象となることも十分にあり得ます。

違法な取り立てに該当する可能性があるケースとしては、主に以下の9つのケースが挙げられます。

・暴力や脅迫を手段とする取り立て
・債務者の財産を勝手に処分する
・債務者の自宅に居座る
・自宅に張り紙や落書きをする
・SNSや掲示板などへの書き込み
・本人以外の家族に対する取り立て
・職場への取り立て
・債違法な取り立て代行業者への依頼
・利息制限法や出資法に違反する利息の設定

実際にも、静岡県中部地区に住む女性に対して、違法に金銭を要求したとして、とび職の50代の男性が恐喝未遂の疑いで逮捕されたというニュースが最近ありました。

なお、それぞれのケースの詳しい内容については、以下のコラムで説明していますのでそちらをご参照ください。

個人間での借金の取り立てが違法になる9つのケースを弁護士が解説

債権回収の手続きに手間取るリスク

債権回収は、一般にスピードが勝負だといわれています。

それは、以下のような理由があるからです。

・他の債権者よりも先に回収する必要がある

・債務者の資産状況が悪化する前に回収する必要がある

・債権が時効により消滅する前に回収する必要がある

しかし、債権回収に不慣れな個人が借金の取り立てを行うと、手続きに手間取ってしまうリスクがあります。

手続きに手間取ってしまうと、他の債権者に先を越されたり、債務者の資産状況の悪化・債権の時効消滅などにより、債権回収が困難になりかねません。

法的手段に対応できないリスク

借金の取り立て方法は、前述したように裁判外の取り立て方法と裁判上の取り立て方法の2種類があります。

裁判上の取り立て方法は、個人でも対応できないわけではありませんが、特に通常訴訟や強制執行はどうしても専門的な知識や経験が必要になります。

したがって、個人の借金の取り立ては、場合によっては法的手段に対応できないリスクがあらざるを得ないことになります。

借金の取り立てを弁護士に依頼する3つのメリット

借金の取り立てを弁護士に依頼するメリットには、以下の3つが挙げられます。

借金の取り立てを弁護士に依頼する3つのメリット

正当な取り立て方法により債権回収が可能

上述したように、個人での借金の取り立てでは、違法な取り立てになりかねないリスクがあります。

しかし、法律の専門家である弁護士に依頼すれば、そのような心配はまったくありません。

弁護士は、正当な取り立て方法により債権回収を進めていきますので、安心して任せることができます。

自分ではどのように取り立てをすればよいかわからないという場合には、違法な取り立てのリスクを回避するためにも、弁護士に債権回収を依頼すべきといえます。

迅速に債権回収の手続きを進められる

個人で借金の取り立てをすると、手続きに手間取ることで適切なタイミングを逃してしまい、債権回収が困難になるリスクは前に述べたとおりです。

債権回収はスピード勝負と言われていますので、迅速に債権回収の手続きをすすめていくためには、専門家である弁護士に債権回収を依頼するのが必須です。

経験豊富な弁護士であれば状況に応じた最適な手段を選択して、債権回収を行ってくれますので、個人で対応するよりも債権回収を実現できる可能性が相当高くなるといえます。

債務者の財産を特定できる

債務者が任意に支払いに応じてくれないときは、最終的に強制執行の手続きにより債権回収を図ることになります。

その際に重要になるのが債務者の財産を把握しているかどうかです。

弁護士であれば、債権者自身で債務者の財産を把握していない状況であっても、以下のような手段により債務者の財産を特定することができます。

・弁護士会照会

・財産開示手続

・第三者からの情報取得手続

債務者の財産がわからず、借金の取り立てをできていなかった方も、弁護士に依頼することで債権回収を実現できる可能性が出てくることになります。

借金の取り立てならグラディアトル法律事務所にお任せください

借金の取り立てならグラディアトル法律事務所にお任せください

借金の取り立ては、個人でもできますが、個人での取り立てだと適切なタイミングを逃してしまったり、違法な取り立てをしてしまうなどのリスクがあります。

そのため、借金の取り立てをする際には、弁護士に依頼するのがおすすめです。

とはいえ、弁護士であれば誰でもよいというわけではありません。

債権回収をより確実に実現するためには、債権回収に強い弁護士に依頼する必要があります。

どの弁護士に依頼すればよいか迷うときは、グラディアトル法律事務所までご相談ください。

当事務所には債権回収に関する豊富な経験と実績がありますので、迅速に債権回収の手続に着手し、さまざまな手段により債権回収の実現が可能です。

債権回収に関する相談は、初回無料で対応していますので、お気軽にご相談ください。

まとめ

借金の取り立て方法には、大きく分けて裁判外の取り立て方法と裁判上の取り立て方法の2種類があります。

ただ、個人で借金の取り立てをする場合、違法な取り立てとなったり、法的手段に手間取るなどで債権回収を実現できないリスクがどうしてもあります。

このようなリスクを避けるためには、法律の専門家である弁護士のサポートが不可欠です。

最後に、借金の取り立てでお悩みの方は、まずはグラディアトル法律事務所までご相談ください。

Bio

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。
東京弁護士会所属(登録番号:50133)
男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。