債権回収で泣き寝入りしがちな5つのケースとその対処法を徹底解説

作業中 債権回収で泣き寝入りしがちな5つのケースとその対処法を徹底解説

「お金を貸した相手が返済してくれないと泣き寝入りしかないのだろうか…」

「裁判に勝っても相手が支払ってくれない」

「差し押さえをしたくても相手の財産がわからない」

催促しても相手が返済に応じてくれない場合には、裁判を起こすことが次の一手になります。

しかし、裁判に勝ったとしても、自動的にお金が回収できるわけではありません。

支払ってくれない相手から強制的にお金の回収をするには、相手の財産を特定し、差し押さえる必要があります。

ただ、裁判や差し押さえとなるとハードルが高く、泣き寝入りしかないのかもと考える人もいることでしょう。

本記事では、

・債権回収で泣き寝入りしがちな以下の5つのケース

①債務者と音信不通で連絡がとれない

②裁判に勝っても債務者が支払ってくれない

③債務者の財産がわからず差し押さえができない

④債権の消滅時効が成立した

⑤債務者が自己破産をした

・【ケース別】債権回収で泣き寝入りをしないための5つの対処法

・改正民事執行法のポイント

などについてわかりやすく解説します。

それぞれのケースについて適切に対処することで、債権回収で泣き寝入りになるリスクを軽減することが可能です。

ちなみにグラディアトル法律事務所では、債権回収で泣き寝入りしがちなケースについても以下のような解決実績があります。

【①債務者と音信不通で連絡がとれないケースの解決実績】

債務者:元恋人

債権額:100万円(貸金)

手がかり:過去の住所

弁護士の行動:調査のうえ、現住所が判明し、内容証明を送付

結果:元恋人と合意書を取り交わし、ご依頼から2週間での全額回収

【②裁判に勝っても債務者が支払ってくれないケースの解決実績】

債務者:取引先

債権額:300万円(売掛金)

債務者の態度:支払わないの一点張り

弁護士の行動:訴訟提起し、勝訴判決を得て、取引先の預金口座を調査

結果:預金口座を見つけ、差し押さえにより全額回収

上記のように、当事務所に依頼することで債権回収が実現できる可能性はあります。

債権回収で泣き寝入りかもと悩んでいる方は、まずはお気軽にご相談ください。

債権回収で泣き寝入りしがちな5つのケース

債権回収で泣き寝入りしがちなケースとしては、以下の5つが挙げられます。

債権回収で泣き寝入りしがちな5つのケース
①債務者と音信不通で連絡がとれない
②裁判に勝っても支払ってくれない
③債務者の財産がわからず 差し押さえできない
④債権の消滅時効が成立した
⑤債務者が自己破産をした

①債務者と音信不通で連絡がとれない

債務者に返済を求めようとしたところ、電話番号が変わっていたり、着信拒否やLINEをブロックされているなどの理由から連絡がとれず、音信不通になることがあります。

他に連絡手段がなく、住所もわからないとなれば、個人では債務者の所在を調べることができない結果、泣き寝入りにならざるを得ないこともあるでしょう。

なお、先に紹介した債務者と音信不通で連絡がとれないケースでの解決実績の詳細が下記になりますので、ご参照ください。

【解決実績】

元恋人に100万貸すも、返す返すと言いながら音信不通になる

その後、借用書の住所を尋ねるも、もうそこにはいなかった

グラディアトルに相談・依頼

借用書の住所を弁護士が調査(職務上請求)し、現住所が判明

内容証明を送付すると、元恋人から連絡あり

返済するとのことで合意書を取り交わす

無事返済され、依頼から2週間でのスピード解決

②裁判に勝っても支払ってくれない

債務者に催促しても支払いに応じてくれない場合、次の手段としては裁判所に訴訟を提起する必要があります。

裁判において債権者の主張が認められれば、裁判所から勝訴判決(債務者に対して支払いを命じる判決)が出されます。

しかし、裁判で勝ったとしても、なかには判決に従わず支払わない債務者もいるのが残念ながら現実で、泣き寝入りとなることもあります。

なお、先に紹介した裁判に勝っても債務者が支払ってくれないケースでの解決実績の詳細が下記になりますので、ご参照ください。

【解決実績】

取引先に売掛金300万円を請求するも支払わないの1点張り

グラディアトルに相談・依頼

取引先の態度からいきなり訴訟提起を選択

取引先は出廷せず答弁書も出さず、完全勝訴の判決

その判決をもとにいくつかの金融機関に対し預金口座を調査(全店照会)

1つの金融機関に300万以上の預金があることが判明

すぐさま差し押さえを行い、全額回収で解決

③債務者の財産がわからず差し押さえができない

裁判に勝っても債務者が支払いに応じてくれない場合、債権者は、差し押さえの申立てをすることで債務者の財産から強制的に債権回収を行うことができます。

しかし、差し押さえの申立てにあたっては、債権者において債務者の財産を特定して申立てをしなければなりません。

そのため、債務者の財産がどこあるかわからない状態だと、差し押さえの手続きを利用することができません。

したがって、調べても債務者の財産が見つからず、差し押さえができないために、泣き寝入りとなってしまうこともあります。

④債権の消滅時効が成立した

債権には、消滅時効の制度が適用されます。

それゆえ、一定期間権利行使をせずに放置していると、債務者に対して債務の履行を求める権利が時効により消滅してしまいます。

消滅時効により権利が消滅した後では、債権回収はほぼ不可能な状態となりますので、泣き寝入りとならざるを得ないでしょう。

⑤債務者が自己破産をした

債務者が自己破産をしてしまうと、債務者の債務は、基本的にはすべてなかったこと(免責)にされる、すなわち債権者へ返済する義務がなくなることになります。

もちろん自己破産の手続きにおいて、債権者は残っている債務者の財産から配当を受けることが可能です。

ただ自己破産を選択する債務者には、ほとんど財産が残っていないのが通例です。

したがって、自己破産されると、多くはわずかな配当しか受けられず、ほぼ泣き寝入りとの結果となってしまいます。

【ケース別】債権回収で泣き寝入りをしないための5つの対処法

債権回収で泣き寝入りをしないための5つの対処法

債権回収で泣き寝入りしがちなケースでも適切な対処をすることで、債権回収を実現できる可能性があります。

以下では、ケース別に債権回収で泣き寝入りをしないための対処法を紹介します。

債務者と音信不通→訴訟の提起

債務者と音信不通になってしまったケースでは、催促するなど自ら交渉で債権回収する余地はもはやないことになります。

しかし、債務者と音信不通になってしまったとしても、訴訟を提起することは可能です。

したがって、債務者と音信不通になった場合、次の手段として訴訟提起をすることが泣き寝入りをしないための対処法となります。

ただし、訴訟を提起するためには、基本的には相手の住所(所在)を明らかにする必要があります。

したがって、個人で相手の住所を把握することが困難な場合には、弁護士に依頼するのがおすすめです。

なぜなら、弁護士であれば、弁護士会照会や職務上請求という特別な調査方法により、相手の住所を特定することも可能だからです。

また、先の解決実績で紹介したように、弁護士に依頼したことにより訴訟を提起しなくても債権回収ができることもあるからです。

こちらの記事も併せてご覧ください

貸したお金を回収したいけど住所がわからない場合の対処法を解説

裁判に勝っても支払ってくれない→強制執行の申立て

裁判に勝っても支払ってくれないケースでは、裁判所に強制執行(差し押さえ)の申立てをすることが泣き寝入りをしないための対処法となります。

強制執行とは、債務者の財産(預貯金、給料、不動産など)を差し押さえて、そこから強制的に債権回収を実現することができる手続きです。

債務者の意向にかかわらず、債権回収を行うことができますので、最終的には強制執行の手続きを利用することになります。

ただし、強制執行の申立てにおいては、債務者の財産を特定しておかなければなりません。

したがって、債務者の財産が特定できない場合は、次に述べる財産調査を行う必要があります。

債権回収には差し押さえが有効!差し押さえの対象財産や流れを解説

債務者の財産がわからず差し押さえができない→財産調査

債務者の財産がわからず差し押さえができないケースでは、強制執行の手続きを弁護士に依頼して債務者の財産調査を行ってもらうことが泣き寝入りをしないための対処法となります。

債権者自身では債務者の財産に関する情報がない状態でも、弁護士であれば以下のような手続きを利用することで、債務者の財産を特定することが可能です。

・財産開示手続

・第三者からの情報取得手続

金融機関への全店照会

金融機関への全店照会とは、債務者の預金口座の有無や残高を調べることができる弁護士独自の調査手段となります。

なお、「財産開示手続」および「第三者からの情報取得手続」の詳しい内容については、第3章で説明します。

消滅時効が迫っている→時効の完成を阻止

債権の消滅時効が迫っているというケースでは、時効の完成を阻止するための措置を講じることが泣き寝入りをしないための対処法となります

時効の完成を阻止するための措置としては、「時効の完成猶予」および「時効の更新」という2つの手段があります。

それぞれの手段をまとめると、以下のようになります。

【時効の完成猶予】

方法詳細
裁判上の請求裁判上の請求、支払督促、訴え提起前の和解、調停、破産・再生・更生手続きへの参加
事由終了後6か月間猶予
強制執行強制執行、担保権の実行、形式競売、財産開示手続
申立ての取下げ・取消後6か月間猶予
仮差押え・仮処分仮差押え、仮処分
事由終了後6か月間猶予
催告債務履行請求の意思表示
催告後6か月間猶予
協議の合意書面による協議の合意
合意から1年、協議期間経過、協議続行拒絶通知後6か月のいずれか早い時点まで猶予
天災その他避けることのできない事変天災などで時効更新措置が取れない場合
障害消滅後3か月間猶予

【時効の更新】

方法詳細
裁判上の請求裁判上の請求、支払督促、訴え提起前の和解、調停、破産・再生・更生手続きへの参加
確定判決などにより権利が確定した場合に時効が更新
強制執行強制執行、担保権の実行、形式競売、財産開示手続
手続きが取下げや取り消しをされず完了した場合に時効が更新
承認債務者が債務の存在を認めること
債務者による承認があった時点で時効が更新

なお、債権回収と時効に関する詳しい内容については、以下の記事をご参照ください。

債権回収には時効がある!時効の完成を阻止するための対処法を解説

自己破産をするかもしれない→迅速な債権回収

債務者が自己破産するかもしれないというケースでは、迅速に債権回収の手続きを進めることが泣き寝入りをしないための対処法となります。

自己破産の手続きをするまでであれば、債権者は、債務者の財産から債権回収を行うことができます。

ただ、他にも債権者がいる場合、債権回収は基本的に早い者勝ちとなります。

したがって、自らの債権回収を実現するためには、他の債権者よりも先に債権回収の手続きに着手することが重要になります。

このように債務者が自己破産するかもしれないというケースでは、債権回収はよりスピード勝負となりますので、専門家である弁護士に依頼して進めてもらうべきでしょう。

民事執行法改正により債権回収での泣き寝入りは改善された

民事執行法改正により債権回収での泣き寝入りは改善された

民事執行法改正以前は、債務者の財産が特定できず、泣き寝入りとなる事案も少なくありませんでした。

しかし、現在では、民事執行法改正により債務者の財産把握が容易になったため、債権回収での泣き寝入りの状況は改善されています。

以下では、債権回収における改正民事執行法のポイントについて説明します。

財産開示手続の申立て要件の緩和

財産開示手続とは、裁判所が債務者を呼び出し、自己の財産について陳述させる手続です。

改正前の民事執行法では、財産開示手続の申立てを行うためには、確定判決等の債務名義を持つ債権者に限定されていました。

逆に言えば、いわば簡易な債務名義である仮執行宣言付き判決、確定判決と同一の効力を有する支払督促、執行証書では、財産開示手続きを申し立てることができませんでした。

しかし、改正民事執行法では、これまで除外されていた上記の債務名義でも財産開示手続の申立てができるようになりました。

このように申立て要件が緩和されたことにより、以前では利用できなかった債権者も、財産開示手続きが申し立て可能となった結果、債権回収での泣き寝入りの状況は改善に動いているといえます。

財産開示手続の罰則の強化

改正前の民事執行法でも財産開示手続きに応じない場合の罰則が定められていましたが、それは30万円以下の過料というものでした。

これは債務者に対する制裁としては非常に軽く、強制執行されるよりも過料を払った方が安いと考える債務者による不出頭や虚偽の陳述が多く行われていました。

それゆえ、以前の財産開示手続は、かたちばかりで実効性に乏しい手続と揶揄されるほどでした。

しかし、改正民事執行法では、債務者が財産開示手続に応じない場合の罰則を強化し、不出頭または虚偽の陳述に対しては、6か月以下の懲役または50万円いかの罰金が科されるようになりました。

すなわち、改正後は、刑事罰の対象でもあり、懲役刑が科される可能性もあることから、債務者に対しては強力な制裁として機能しています。

結果、懲役や罰金を避けるべく、財産開示手続にまともに対応しない債務者はかなり減るようになり、債権回収での泣き寝入りの状況は改善されています。

第三者からの情報取得手続の新設

民事執行法改正により、新たに第三者からの情報取得手続が設けられました。

第三者からの情報取得手続とは、債務者の不動産、預貯金、給与、株式などに関する情報を保有する第三者から、債務者の財産に関する情報提供を受けることができる手続です。

上述した財産開示手続は、債務者自身による陳述となりますので、不出頭や虚偽の陳述をされるとそれ以上は追及することができません。

しかし、第三者からの情報取得手続では、債務者とは関係のない第三者から情報提供を受けることができます。

これにより、以前と比べ、債務者の財産の把握が容易になり、債権回収での泣き寝入りの状況の改善につながりました。

なお、改正民事執行方法の詳しい内容については、以下の記事もご参照ください。

行法改正・財産開示・養育費】裁判で勝ったのにお金が支払われないときの対処法!【債権回収】

債権回収で泣き寝入りを避けるにはグラディアトル法律事務所に相談を

債権回収で泣き寝入りを避けるにはグラディアトル法律事務所に相談を

債権回収で泣き寝入りを避けるためには、グラディアトル法律事務所にご相談ください。

弁護士が代理人として交渉することで任意の支払いが期待できる

債権者自身では催促しても、無視されたり、いい加減な対応をされるようなケースであっても、弁護士が窓口となって交渉をすれば債務者が応じてくれる可能性があります。

法律の専門家である弁護士が代理人として交渉をすることで、債務者に対しては、「このままでは裁判をされるかもしれない」という大きなプレッシャーを与えることができるからです。

すなわち、弁護士が交渉に出てくることにより、裁判されるくらいならまじめに返済しようといった任意の支払いが期待できます。

グラディアトル法律事務所では、債権回収に多くの実績と経験がありますので、交渉による債権回収の方法も熟知しています。

債権回収の方法を熟知した弁護士が対応することで、債権回収が泣き寝入りとなるリスクは大幅に減るといえるでしょう。

交渉に応じないときは法的手段により債権回収を実現できる

債務者と交渉をしても支払いに応じてくれない場合は、裁判や強制執行といった法的手段により債権回収を行うことになります。

しかし、知識や経験が少ない債権者個人では、法的手段を利用するハードルが高く、残念ながら泣き寝入りを選ばざるを得ないケースもなかにはあるでしょう。

一方、法律の専門家である弁護士であれば、法的手段が必要なケースであっても適切に対応することができます。

グラディアトル法律事務所では、交渉だけでなく裁判手続を利用した債権回収も得意としています。

法的手段を利用するにはハードルが高いと泣き寝入りする前に、まずは当事務所にご相談ください。

まとめ

個人での債権回収にはどうしても限界がありますので、債務者が支払いに応じてくれないケースでは泣き寝入りになってしまうことも少なくありません。

しかし、弁護士であればそのようなケースでも債権回収を実現できる可能性がありますので、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

最後に債権回収でお困りの方は、グラディアトル法律事務所までお気軽にご相談ください。

Bio

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。
東京弁護士会所属(登録番号:50133)
男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。