「友人に貸したお金が返ってこない……」
「借用書があるから安心していたけど、本当に返してもらえるのだろうか?」
「どのような方法で貸したお金を取り返すことができるの?」
友人や知人からお金を貸してほしいと頼まれてしまうと、断れずにお金を貸してしまう方も少なくありません。
そして、貸したお金をきちんと返してさえくれればなにも問題はありません。
しかし、なかには返済期限を過ぎても返済されず、場合によっては連絡が取れなくなってしまうこともあります。
そのような場合でも借用書があれば貸したお金を取り返せる可能性が高いです。
本記事では、
・借用書ありで貸したお金を取り返す方法
・借用書ありで貸したお金を取り返す際の注意点
・貸したお金を取り返す際に弁護士に相談をするメリット
などについてわかりやすく解説します。
自分だけで対応が難しい場合には、弁護士のサポートが不可欠ですので、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
なお、借用書をお持ちでない方はこちらの記事をご参照ください。
貸したお金を取り返す!借用書なしでも貸した金を回収する方法を解説
借用書ありなら貸したお金を取り返せる可能性が高い
有効な借用書を作成していれば、裁判などの訴訟手続において契約の成立を立証することが容易です。
その意味で借用書がある場合は、ない場合に比べてお金を取り返すことができる可能性が高いということができます。
契約の成立に借用書は不要
お金の貸し借りをすることを、法律上は「金銭消費貸借契約」といいます。
そして、金銭消費貸借契約は、法的には「お金の貸し借りに関する合意」と「お金の受け渡し」の2つの要件のみで成立するとされています。
すなわち、金銭消費貸借契約の成立にあたっては、借用書は不要です。
したがって、「お金の貸し借りに関する合意」と「お金の受け渡し」の2つの要件さえ満たしていれば、契約自体は成立していますので、借用書がなくても債権者は債務者に対してお金の返済を求めることができます。
借用書は契約の成立を立証できる重要な証拠
とはいえ、借用書は、お金の貸し借りがあったことを証明するための重要な証拠として役に立ちます。
というのも、法的には(裁判となった場合)、お金の貸し借りがあったことは、お金を貸した債権者が立証しなければなりません。
たとえば、債務者が「お金を借りた覚えはない」、「このお金はもらったものだ」など反論した場合、債権者の側でお金の貸し借りがあったことを何かしらの証拠を用いて証明する必要があります。
その際、有効な借用書があれば、それを提出することでお金の貸し借りがあったことを容易に立証可能です。
借用書ありで貸したお金を取り返す方法
借用書がある場合、以下のような方法で貸したお金を取り返すことができます。
メールやLINEなどで連絡する
期限までに貸したお金の返済がないときは、まずは債務者に対してメールやLINEなどで連絡して、返済の催促をしてみるとよいでしょう。
単に返済期限を忘れているだけであれば、債権者から催促があればすぐに支払いに応じてくれるはずです。
メールやLINEであればいつでも気軽にできますので、債権者自身で請求する場合でも簡単に利用することができます。
電話で催促する
メールやLINEで連絡しても返事がないという場合には、債務者に電話で催促してみるとよいでしょう。
メールやLINEだと適当にあしらっていた債務者も、債権者から電話がかかってくると、現在の状況を説明し、誠実に対応せざるを得なくなりますので、任意に支払いに応じてくれる可能性が高くなります。
ただし、電話による催促は、相手が電話に出てくれなければ意味がありません。
内容証明郵便を送付する
メールやLINE、電話での催促でも効果がないときは、内容証明郵便を送付して貸したお金の返済を求めてみましょう。
内容証明郵便とは、いつ・誰が・誰に対して・どのような内容の文書を送付したのかを証明できる郵便です。
内容証明郵便には、債務者に支払いを強制する法的効力があるわけではありませんが、特別な形式の郵便が届いたことで、相手に心理的なプレッシャーを与えて、任意の返済を促すことができます。
民事調停を申し立てる
民事調停とは、簡易裁判所の紛争解決手段で、裁判官と調停委員が仲介役となり、話し合いにより紛争を解決する手続きです。
裁判のように勝ち負けを決めるものではなく、当事者同士の話し合いにより柔軟な解決が可能な制度になっています。
当事者同士の話し合いでは、無視されてしまったり、誠実な対応をしてくれない債務者であっても、第三者が関与する民事調停であれば誠意をもって対応してくれる可能性が高くなります。
借用書があるケースでは、債務者の支払い義務は明らかですので、民事調停での話し合いは、今後の返済方法や返済期限などが中心となるでしょう。
支払督促を申立てる
支払督促とは、簡易裁判所の書記官が債務者に対して金銭などの支払いを命じる制度です。
簡易裁判所に支払督促の申立てをすると、簡単な書面審査のみで、支払督促を発付してもらうことができます。
さらに、債権者は、仮執行宣言の申立てをすることで、仮執行宣言付き支払督促の発付を受けることができます。
債務者から異議がなければ、仮執行宣言付き支払督促が確定し、これに基づいて強制執行の手続きを行うことができます。
支払督促について詳しく知りたい方は以下の記事をご参照ください。
「支払い督促とは?手続きの流れや異議・訴訟移行後の流れを解説」
少額訴訟を提起する
少額訴訟とは、60万円以下の金銭の請求をする場合に利用できる簡易裁判所の裁判手続きです。
通常の訴訟とは異なり1回の審理で終わりますので、迅速な解決が期待できる手続きといえます。
ただし、債務者から少額訴訟の手続きに不服が出た場合、通常の訴訟手続きに移行してしまいますので注意が必要です。
通常訴訟を提起する
当事者間の話し合いがまとまらない、民事調停が不成立になった、支払督促・少額訴訟で債務者から異議が出たような場合には、最終的に通常訴訟により貸したお金を取り返していくことになります。
通常訴訟では、債権者の側でお金の貸し借りがあったことを主張立証していかなければなりません。
ただ借用書があるケースでは、お金の貸し借りを主張立証するのは容易ですので、早期に審理が終了し、判決が言い渡される可能性が高いでしょう。
債権回収の裁判(通常訴訟)について詳しく知りたい方は以下の記事をご参照ください。
「裁判による債権回収の流れと債権回収を実現するための3つのポイント」
強制執行を申立てる
判決確定後も債務者が任意に貸したお金の返済に応じないときは、強制執行の申立てを行います。
強制執行の手続きでは、債務者の財産を差し押さえて、そこから強制的に貸したお金の回収をすることができます。
債権回収の強制執行(差し押さえ)について詳しく知りたい方は以下の記事をご参照ください。
「債権回収には差し押さえが有効!差し押さえの対象財産や流れを解説」
借用書ありで貸したお金を取り返す際の注意点
借用書ありならお金を取り返せる可能性が高いといえますが、貸したお金を取り返そうとする際には、以下の点に注意が必要です。
有効な借用書であるかチェックする
借用書があったとしても、それが法的に有効な借用書でなければ意味がありません。
そのため、まずは手元にある借用書が法的に有効な借用書であるかをチェックする必要があります。
借用書が無効になる可能性があるケースとしては、以下のものが挙げられます。
・制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人)との契約
・公序良俗違反の契約(犯罪目的での貸し借り、過剰な利息など)
・錯誤による契約
また、借用書の記載内容に漏れや不明確な点がある場合には、契約の立証に役立たないこともありますので注意が必要です。
なお、借用書の書き方や主な記載項目などの詳細については、こちらの記事をご参照ください。
「借用書の書き方|主な項目と5つのポイント【テンプレート(雛形)付】
時効になる前に早めに行動する
貸金の返済を求める権利には、時効があります。
それゆえ、一定期間権利を行使せずに放置していると、時効により権利が消滅してしまう可能性があります。
貸金の時効は、以下のいずれか早い時期になります。
・権利を行使することができるときから10年
・権利を行使することができることを知ったときから5年
そして借用書がある場合、返済期限が定められていることが一般的です。
その際は、返済期限の翌日から時効期間の進行がスタートし、そこから5年の経過で時効完成となります。
借用書があったとしても時効が完成してしまうと、債務者に時効の完成を主張されることにより、債権者は返済を求めることができなくなります。
ですので、借用書があるといえども時効になる前に早めに行動することが大切です。
債務者の資産状況を確認する
債務者が任意に返済に応じてくれない場合、最終的には強制執行の申立てを行い、債務者の財産を差し押さえて、強制的に貸したお金の回収をすることになります。
しかし、強制執行の手続きを利用する際には、債権者が債務者の財産を特定して申立てをしなければなりません。
すなわち、債務者の財産を把握していなければ、強制執行の手続きを利用できません。
そのため、借用書があるからといって安心するのではなく、債務者の資産状況の確認も必要になります。
債務者を脅して返金を要求しない
債権者が債務者に対して貸したお金の返済を求めるのは、債権者としての正当な権利の行使といえます。
しかし、債権者の対応によっては違法な犯罪行為に該当する可能性もありますので注意が必要です。
たとえば、返済に応じてくれない債務者の態度に腹が立ち、怒鳴りつけたり脅したりすると脅迫罪(刑法222条)が成立する可能性があります。
また、上記のような脅迫により実際に貸したお金の回収をしたとなると恐喝罪(刑法249条)が成立する可能性もあります。
このようにご自身での対応は、非常にリスクを伴う行為ともいえますので、弁護士に依頼して債権回収を進めるのがおすすめです。
貸したお金を取り返すなら弁護士に相談を
貸したお金を取り返すなら弁護士に相談することをおすすめします。
借用書の有効性を判断できる
借用書があれば契約の成立を証明する重要な証拠になりますので、裁判になったとしても勝てる可能性が高くなります。
しかし、証拠として利用できるのはあくまでも有効な契約書です。
法的効力のない無効な契約書では、契約の成立を立証することはできません。
すなわち、借用書に基づいて債権回収を進めるのであれば、まずはお手持ちの借用書が有効なものであるかを判断しなければなりません。
その判断には、法律の専門家である弁護士に相談することが必要不可欠といえます。
弁護士であれば、借用書の有効性を正確に判断できますので、今後の債権回収の方針を明確にすることができます。
最適な債権回収の方法を選択できる
債権回収の方法には任意の交渉から法的手段までさまざまなものがあります。
どのような方法を選択すべきかは、具体的な状況によって異なります。
そして、迅速かつ適切に債権回収を行うためには、状況に応じた最適な債権回収方法を選択する必要があります。
弁護士であれば、債権回収の方法ごとの特徴やメリット・デメリットを熟知していますので、債権者の状況に応じた最適な債権回収の方法をアドバイスすることができます。
債務者の財産を把握できる
債権者自身で債務者の財産を把握していない場合でも、弁護士に依頼をすれば、以下のような手段により債務者の財産を特定することができます。
・弁護士会照会
・財産開示手続
・第三者からの情報取得手続
・債務名義取得後の金融機関への全店照会
強制執行により債権回収を行うには、債務者の財産の特定が不可欠となりますので、債務者の財産がわからないという場合は、まずは弁護士に相談するようにしましょう。
債権回収ならグラディアトル法律事務所にお任せください
債権回収を依頼する弁護士は、弁護士であれば誰でもよいというわけではありません。
弁護士によって取り扱い分野や得意とする分野が異なるからです。
それゆえ、債権回収を依頼するなら債権回収に強い弁護士に依頼しなければなりません。
グラディアトル法律事務所では、債権回収に関する豊富な実績と経験がありますので、貸したお金を取り返したいという方は、当事務所までご相談ください。
借用書があれば弁護士が介入することで、債権回収の可能性は大幅に上昇するといえます。
自分で対応しても債務者が支払いに応じてくれない場合には、経験豊富な弁護士のサポートが不可欠となりますので、当事務所の弁護士に安心してお任せください。
まとめ
借用書は、契約の成立に不可欠なものではありません。
しかし、契約の成立を立証するための重要な証拠になりますので、借用書があれば貸したお金を取り返せる可能性が高くなります。
もっとも、債務者が任意に支払いに応じてくれないときは、法的手段により債権回収を行うことになりますが、それには経験豊富な弁護士のサポートが不可欠です。
最後に、借用書があっても貸したお金が返ってこないという場合は、グラディアトル法律事務所までご相談ください。