「お金を貸した相手と連絡が取れなくなった」
「貸したお金を回収したくても住所がわからない」
「住所がわからなくても貸したお金を取り戻すことができるの?」
お金を貸した相手と連絡が取れなくなり、返済もされなくなった場合には、裁判や強制執行の手続により債権回収を行っていくことになります。
ただ、その際には、原則として相手の住所がわからないと手続を進めていくことができません。
そして最近では、LINEやSNSなどが主要な連絡ツールになっていますので、お金を貸した相手の住所を把握していないというケースも少なくないことでしょう。
もっとも、このようなケースでは、自身では住所を調べられなくても、弁護士に依頼することで、相手の住所が判明する可能性があります。
本記事では、
・お金を貸した相手の住所がわからない場合の5つの対処法
・弁護士に依頼することで住所を特定する方法
・住所がわからない場合でも裁判を可能にする3つの方法
などについてわかりやすく解説します。
お金を貸した相手の住所がわからなくても債権回収が可能になることもありますので、まずは弁護士に相談するようにしましょう。
住所がわからないと貸したお金の回収は困難
貸したお金が返ってこないという場合には、一般的に、以下のような方法により債権回収を行います。
・相手に対する返済の催告
・内容証明郵便の送付
・支払督促の申立てや少額訴訟の提起
・通常訴訟の提起
・強制執行の申立て
このうち「相手に対する返済の催告」については、電話・メール・LINE・SNSなどの手段で相手と連絡が取れれば行うことができます。
しかし、それ以外の債権回収方法は、基本的には相手の住所がわからなければ行うことができません。
そのため、貸したお金を取り戻すためには、まずは相手の住所を把握するということが重要になります。
お金を貸した相手の住所がわからない場合の5つの対処法
お金を貸した相手の住所がわからないという場合には、以下の5つの対処法を検討してみましょう。
実家に問い合わせる
古くからの友人にお金を貸したというケースでは、本人の住所がわからなくても本人の実家の住所ならわかるというケースも少なくありません。
このようなケースでは、お金を貸した相手の実家に問い合わせて、本人の住所を尋ねることで住所が判明することがあります。
ただし、実家の家族としては突然訪問してきた人に、個人情報を素直に教えてくれるとは限りません。
ですので、自分の立場や状況を明らかにして丁寧に説明することが大切です。
なお、たとえ家族であっても借金の保証人になっていない限り、借金の返済義務はありませんので、家族に対して借金の返済を求めることはできません。
勤務先に問い合わせる
お金を貸した相手の勤務先がわかるなら、勤務先に問い合わせるという方法も考えられます。
しかし、勤務先に対して、本人の住所を教えてほしいと伝えても、基本的には応じてくれません。
そのため、勤務先に問い合わせるのは、本人に取り次いでもらうという目的がメインになるでしょう。
貸主からの電話やメール・LINEを無視している借主であっても、さすがに勤務先にまで連絡が来るようであれば、対応せざるを得なくなると思われます。
そのタイミングで住所を尋ねれば、答えてくれる可能性もあります。
友人や知人に確認する
お金を貸した相手と共通の友人や知人がいる場合には、その人に連絡して確認してみるのも有効な手段となります。
借主と親しい友人であれば、自宅の住所を把握していることも十分にあり得ます。
ですので、お金を返してくれないなどの詳しい事情を説明すれば、住所を教えるなどの協力をしてくれる可能性もあります。
SNSを確認する
お金を貸した相手がSNSを利用している場合には、相手のSNSを確認してみましょう。
SNSに住所を載せていることはありませんが、SNSへの投稿内容からおおまかな居場所がわかる可能性があります。
また、弁護士に依頼して住所を調べてもらう際の手掛かりになる情報があるかもしれませんので、SNSの確認も欠かさず行いましょう。
弁護士に依頼する
上記の手段によってもお金を貸した相手の住所がわからないという場合には、個人の力だけでは相手の住所の特定は困難です。
そのような場合は、すぐに弁護士に依頼するようにしましょう。
弁護士であれば、個人では利用できない特別な手段を用いることによって、住所がわからない相手の住所を特定できる可能性があります。
相手の住所が判明すれば、裁判や強制執行の手続により、貸したお金を取り戻すことが可能になりますので、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士なら住所がわからないお金を貸した相手も特定可能!弁護士による特別な対処法
弁護士であれば、以下のような方法により住所がわからない相手の住所を特定できる可能性があります。
住民票または戸籍の附票を取得する
弁護士に依頼をすれば、「職務上請求」という方法で、第三者の住民票や戸籍の附票を取得することができます。
※戸籍の附票:新しく戸籍を作った(本籍を定めた)時以降の住民票の移り変わりを記録したもの
個人が第三者の住民票や戸籍の附票を当該役所で取得しようとしても、正当な理由がなければ取得することができません。
しかし、弁護士は、職務を行う上で必要な際には第三者の住民票や戸籍の附票を取得することが認められています。
したがって、弁護士であれば個人ではわからなかった相手の住所を特定できる可能性があるということになります。
具体的には、住民票を取得するためには、少なくとも過去に登録されていた住所の情報が必要になります。
その旧住所が判明していれば、順を追っていく方法で最新に登録されている住民票の住所までたどることができます。
他方、相手の旧住所もわからないという場合でも、相手の本籍地がわかれば戸籍の附票を取得することで、最新に登録されている住民票の住所を把握することができます。
弁護士会照会を利用する
住民票や戸籍の附票による調査では、住所がわからないという場合でも、弁護士であれば「弁護士会照会」という特別な調査方法により、相手の住所を調べることができます。
弁護士会照会とは、弁護士が依頼を受けた事件について、証拠収集や事実調査などのために官公庁や企業などの団体に必要事項を調査・照会する制度です。
弁護士だけに認められた特別な調査方法ですので、個人や他の専門家(司法書士、税理士、行政書士など)ですら利用することができない手段です。
弁護士会照会では、以下のような照会を行うことで、住所がわからない相手の住所を調査することができます。
・相手の携帯電話番号がわかっているなら、携帯電話事業者への照会
・相手の車のナンバーがわかっているなら、運輸支局や自動車検査登録事務所への照会
・相手の就業先(職場)がわかっているなら、就業先(職場)への照会
・相手のマンションまでわかっているなら、当該マンションの管理会社への照会
実際、グラディアトル法律事務所では、上記の弁護士会照会から相手の住所を調査・特定した多くの実績があります。
住所がわからない場合でも裁判により貸したお金を取り戻す3つの方法
相手の住所がわかれば、裁判により、貸したお金を取り戻すべく動くことができます。
しかし、住所がわからない場合であっても、例外的に以下のような方法で裁判を起こすことが可能です。
就業先送達による裁判
裁判を起こすのに原則として相手の住所が必要とされているのは、裁判所から訴状を相手の住所に送達することにより、相手に訴えられていることを知らせるためです。
相手は訴えられていることを知らなければ、訴えの内容を認めるのか反論するのかなど対応を選択しようがありません。
ただ、相手の住所がわからないものの、相手の就業先(職場)が判明している場合には、相手の就業先(職場)に訴状を送達することが認められています。
就業先(職場)から訴状を受け取ることにより、相手は訴えられていることを知ることができ、対応の選択が可能となるからです。
このような送達方法を「就業先送達」といいます。
相手の住所はわからないものの、相手の就業先(職場)だけは判明しているという場合には、就業先送達による裁判を選択することになります。
公示送達による裁判
相手の住所や就業先(職場)もわからないという場合には、「公示送達」という方法で、裁判手続を進めることができます。
公示送達とは、裁判所の掲示板に訴状をいつでも交付する旨を掲示することで、相手への送達を可能にする方法です。
実際に相手に訴状届いていなくても、送達の効果を発生させる方法ですので、他の方法では送達できない場合の最終手段になります。
なお、公示送達を行うためには、必要な調査を尽くしても相手の所在が判明しなかったということを裁判所に報告しなければなりません。
裁判を起こした後に調査嘱託を行う
これはきわめて例外的なケースですが、相手の銀行口座だけわかっているものの、金融機関への弁護士会照会において相手の住所について回答を拒否された場合です。
そのような場合には、訴状には住所不詳と記載して、まず裁判を起こします。
その後、裁判所による金融機関への調査嘱託により住所を判明させることができれば、裁判手続を進めることが可能となります。
弁護士会照会では回答を拒否する金融機関であっても、さすがに裁判所による調査嘱託には応じざるを得ず、相手の住所はまず判明することになるでしょう。
なお、氏名や住所が不詳な相手を対象とした訴訟提起を適法と判断した裁判例として、名古屋高裁金沢支部平成16年12月28日決定があります。
貸したお金を回収したいけど住所がわからないときはグラディアトル法律事務所にお任せください
お金を貸した相手の住所がわからないと、貸したお金を取り戻せないと考え、債権回収を諦めてしまう方も少なくありません。
たしかに、相手の住所がわからないと内容証明を送付することもできず、自ら裁判を起こすことも難しいため、債権回収を断念してしまう気持ちもよくわかります。
しかし、個人では相手の住所を調べることができない場合でも、弁護士であれば、職務上請求や弁護士会照会という特別な手段により、相手の住所を調べることが可能です。
また、住所がわからない状態でも就業先送達や公示送達という特別な送達方法を利用することなどで、裁判手続を進めることも可能です。
このような住所がわからないという場合でも、弁護士が対応することで債権回収の可能性を高めることができます。
グラディアトル法律事務所では、債権回収に関する豊富な知識と実績がありますので、住所がわからない場合でも適切に債権回収の手続を進めることができます。
貸したお金を回収したいけれども相手の住所がわからないという場合には、まずは、当事務所までご相談ください。
相手の住所がわからなかった場合の債権回収の成功事例
ここで、わからなった住所が弁護士の調査により判明し、お金が回収できた成功事例を紹介します。
【成功事例1】
相手のSNSに掲載されていた写真や情報から弁護士が時間をかけ、ネットを駆使し調査・分析。その結果、実家の住所が判明。 100万円の回収に成功。
【成功事例2】
相手が運転していた車のナンバーがわかっていたので、そこから弁護士だけができる「弁護士会照会」という特別な方法により調査。
社用車ということがわかり、勤務先が判明。その後、300万円が回収できた。
【成功事例3】
相手が通院していた歯科医院がわかっていたため、その歯科医院に事前に確認し、弁護士による調査「弁護士会照会」にて現住所が判明。150万円の回収に成功した。
まとめ
お金を貸した相手の住所がわからないときでも、弁護士であれば職務上請求や弁護士会照会といった方法で相手の住所を特定できる可能性があります。
また、相手の住所がわからない状態でも、就業先送達や公示送達といった方法で裁判手続を進めることが可能です。
相手の住所がわからないからといって、債権回収を諦めてしまう前に、まずは、グラディアトル法律事務所までお気軽にご相談ください。