特定商取引法改正(令和3年)の弁護士解説!送りつけ商法で直ちに処分可能・クーリングオフのメール通知が可能に!

令和3年6月16日、消費者の脆弱性につけ込む悪質商法に対する抜本的な対策強化、新たな日常における社会情勢等の変化への対応の観点から、消費者被害の防止・取引の公正を図るために、特定商取引法の一部が改正されました。

同改正の一部については、令和3年7月6日から施行されています。

そこで、このコラムでは、特定商取引法改正のうち、みなさんに関係の深い改正点についてポイントを説明していきます。

【改正のポイント】
 ・勝手に送りつけられた商品はすぐに処分できるようになった。
 ・通販の詐欺的な定期購入商法対策で申込みを取り消すことができるようになった。
 ・クーリングオフがメールでも送れるようになった。

消費者庁HPより引用

送りつけ商法対策・すぐ処分可能に!

送りつけ商法・ネガティブオプションとは、注文していない商品を勝手に送り付け、その人が断らなければ買ったものとみなして、代金を一方的に請求する商法のことをいいます。

突然,、知らない業者から「健康商品を送ります。」と連絡があり、健康食品が送られてきたり、代引きで商品を送りつ、代金を請求したりするトラブルが近年多くなってきています。また最近では、コロナ禍ということもあり、注文もしていないマスクが勝手に送りつけられ代金を請求されたなどのトラブルまででてきています。

このように、購入の申込みをしていない人に一方的に商品を送りつけ、商品を受け取った人から、商品の返送または購入しない旨の通知がない場合は、勝手に購入の意思があるとみなして、その代金を請求する商法を、「送り付け商法」「ネガティブ・オプション」などと呼びます。

なお、以下の説明では、このような商法を「送り付け商法」と呼びます。

まず、大前提として、送り付け商法の場合、商品を送り付けられた人に購入する意思がないことから、送り付けられた商品について、「売ります」「買います」という意思の合致はなく、商品の売買契約(民法第555条)は成立していません。
そのため、商品を送り付けられた人は、商品代金を支払う義務はありません。

(売買)
第五百五十五条 売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

民法

これまでは、送り付けられた商品については、一定期間保管する必要があり、商品が送られてきた日から数えて14日(送り付けた業者に引き取りの請求をした場合は、請求の日から数えて7日)を経過するまでに、商品を送り付けられた人がその商品を買うことに承諾するか、業者が引き取りをしない場合、上記期間を経過したときには、商品を送り付けられた人は、その商品を自由に処分できることとされていました。

しかし、令和3年特定商取引法の改正により、送り付け商法によって送り付けられた商品については、14日(または7日)を待たずに、直ちに処分ができることとなりました

なお、令和3年7月6日以降に、送り付け商法により送り付けられた商品が対象となります(令和3年改正法の一部について令和3年7月6日に施行。)。

(売買契約に基づかないで送付された商品)
第五十九条
 販売業者は、売買契約の申込みを受けた場合におけるその申込みをした者及び売買契約を締結した場合におけるその購入者(以下この項において「申込者等」という。)以外の者に対して売買契約の申込みをし、かつ、その申込みに係る商品を送付した場合又は申込者等に対してその売買契約に係る商品以外の商品につき売買契約の申込みをし、かつ、その申込みに係る商品を送付した場合には、その送付した商品の返還を請求することができない。

2 前項の規定は、その商品の送付を受けた者が営業のために又は営業として締結することとなる売買契約の申込みについては、適用しない。

第五十九条の二 販売業者は、売買契約の成立を偽ってその売買契約に係る商品を送付した場合には、その送付した商品の返還を請求することができない

特定商取引に関する法律

令和3年特定商取引法の改正により、特定商取引法59条の2が新設され、たとえば、業者が一方的に「ご注文いただきました商品を発送いたしました。」などと言って、売買契約があたかも成立しているように偽って商品を送ってきたような場合についても、当該商品について直ちに処分することができることが明記されることとなりました。

なお、特定商取引法59条、59条の2の規定は、海外の業者から日本国内に居住する人に送り付けられた商品の場合にも適用されることとなります。

条文の読み方について、もう少し説明していきます。
特定商取引法の59条、59条の2の規定を読んでも、どこにも送り付けられた商品を処分して良いとは書いていないのでは?と疑問に思うかもしれません。

たしかに、条文では、「…送付した商品の返還を請求することができない。」と書かれていて、「商品を処分することができる。」とは書かれていません。
ここには、ちょっとした法律の考え方が隠されています。

業者が消費者に勝手に商品を送り付けた場合、特定商取引法59条や59条の2の規定により、その商品の返還を請求できなくなります。

送り付け商法のような場合、売買契約などの契約は存在しないことから、業者が送り付けた商品の返還を求める場合、その商品の所有権が自分にあることを理由とすることとなります。

しかし、上記のとおり、送り付け商法による場合、特定商取引法59条や59条の2の規定により、商品の返還を請求できないとされるため、所有権が自分にあったとしても、それを理由に商品の返還を求めることができなくなります
つまり、商品の所有権が、業者から商品を送り付けられた人に移ったことと同じ状態になります。

また、令和3年改正により、一定の期間の経過が不要(条文から削除されました)となったため、商品が送り付けられた時点で、直ちに、所有権が移ったことと同じ状態になります。

そのため、送り付け商法により商品を送り付けられた人は、その商品の所有権を取得した場合と同様、自由に処分することができるということになるわけです。

消費者庁のパンフレットより引用

詐欺的な定期購入商法対策・申込みの取り消しが可能に!

「初回無料」「今だけ500円」や「いつでも解約可能」などと謳っていたのに、実は、定期購入を条件とする価格であったり、解約の条件が事細かく決まっていたりして、それを見落とした消費者が、定期購入代金として高額の代金を請求されたり、解約ができなかったりする「詐欺的な定期購入」商法によるトラブルが近年増えてきています。

消費者庁が挙げている「定期購入に関する消費者生活相談件数の推移」を見ても、近年急激に増加してきており、2020年では56、302件で、2019年の44、751件から約26%増加しています。また、2020年の定期購入に関する相談件数の9割以上が、インターネット通販によるもととされています。

消費者庁HP「定期購入に関する消費者生活相談件数の推移」より引用

特に、スマートフォンの普及に伴い、通販もスマートフォンを操作して行うことが多くなり、1回きりの購入なのか定期購入なのか、代金は定期購入の際のものなのか、返品や解約ができるのかなどといった契約内容や解約条件などについて見落としや読み飛ばしなどが起こりやすくなっていることも被害を拡大する原因となっていると考えられています。

このような商品の購入環境の変化に伴い、あえて消費者が誤解を招くような宣伝をしたり、契約内容や返品解約などの特約について見落とされるように記載したりするような、消費者の脆弱性につけ込む悪質商法による被害が増加してきたこともあり、令和3年改正の中で、売買契約などの契約の申込みの取消しを認める制度を創設しました。

消費者庁HPより引用

(通信販売における契約の申込みの意思表示の取消し)
第十五条の四
 特定申込みをした者は、販売業者又は役務提供事業者が当該特定申込みを受けるに際し次の各号に掲げる行為をしたことにより、当該各号に定める誤認をし、それによつて当該特定申込みの意思表示をしたときには、これを取り消すことができる。
一 第十二条の六第一項の規定に違反して不実の表示をする行為 当該表示が事実であるとの誤認
二 第十二条の六第一項の規定に違反して表示をしない行為 当該表示がされていない事項が存在しないとの誤認
三 第十二条の六第二項第一号に掲げる表示をする行為 同号に規定する書面の送付又は手続に従つた情報の送信が通信販売に係る売買契約又は駅務提供契約の申込み隣らないとの誤認
四 第十二条の六第二項第二号に掲げる表示をする行為 同条第一項各号に掲げる事項についての誤認
2 第九条の三第二項から第五項までの規定は、前項の規定による特定申込みの意思表示の取消しについて準用する。

(特定申込みを受ける際の表示)
第十二条の六
 販売業者又は役務提供事業者は、当該販売業者若しくは当該役務提供事業者若しくはそれらの委託を受けた者が定める様式の書面により顧客が行う通信販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込み又は当該販売業者若しくは当該役務提供事業者若しくはそれらの委託を受けた者が電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により顧客の使用に係る電子計算機の映像面に表示する手続に従つて顧客が行う通信販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込み(以下「特定申込み」と総称する。)を受ける場合には、当該特定申込みに係る書面又は手続きが表示される映像面に、次に掲げる事項を表示しなければならない。

一 当該売買契約に基づいて販売する商品若しくは特定権利又は当該役務提供役務契約に基づいて提供する役務の分量

二 当該売買契約又は当該役務提供契約に係る第十一条第一号から第五号までに掲げる事項

2 販売業者又は役務提供事業者は、特定申込みに係る書面又は手続が表示される映像面において、次に掲げる表示をしてはならない。

一 当該書面の送付又は当該手続に従った情報の送信が通信販売に係る売買契約又は役務提供契約の申込みとなることにつき、人を誤認させるような表示

二 前項各号に掲げた事項につき、人を誤認させるような表示

(通信販売についての広告)
第十一条
 販売業者又は役務提供事業者は、通信販売をする場合の商品若しくは特定権利の販売条件又は役務の提供条件について広告をするときは、主務省令で定めるところにより、当該広告に、当該商品若しくは当該権利又は当該役務に関する次の事項を表示しなければならない。ただし、当該広告に、請求により、これらの事項を記載した書面を遅滞なく交付し、又はこれらの事項を記録した電磁的記録を遅滞なく提供する旨の表示をする場合には、販売業者又は役務提供事業者は、主務省令で定めるところにより、これらの事項の一部を表示しないことができる。
一 商品若しくは権利の販売価格又は役務の対価(販売価格に商品の送料が含まれない場合には、販売価格及び商品の送料)
二 商品若しくは権利の代金又は役務の対価の支払の時期及び方法
三 商品の引渡時期若しくは権利の移転時期又は役務の提供時期
四 商品若しくは特定権利の売買契約又は役務提供契約に係る申込みの期間に関する定めがあるときは、その旨及びその内容
五 商品若しくは特定権利の売買契約又は役務提供契約の申込みの撤回又はの解除に関する事項(第十五条の三第一項ただし書に規定する特約がある場合にはその内容を、第二十六条第二項の規定の適用がある場合には同項の規定に関する事項を含む。)
六 前各号に掲げるもののほか、主務省令で定める事項

(訪問販売における契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し)
第九条の三
 
2 前項の規定による訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消しは、これをもつて善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。
3 第一項の規定は、同項に規定する訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込み又はその承諾の意思表示に対する民法(明治二十九年法律第八十九号)第九十六条の規定の適用を妨げるものと解してはならない。
4 第一項の規定による取消権は、追認をすることができる時から一年間行わないときは、時効によつて消滅する。当該売買契約又は当該役務提供契約の締結の時から五年を経過したときも、同様とする。
5 民法第百二十一条の二第一項の規定にかかわらず、訪問販売に係る売買契約又は役務提供契約に基づく債務の履行として給付を受けた申込者等は、第一項の規定により当該売買契約若しくは当該役務提供契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消した場合において、給付を受けた当時その意思表示が取り消すことができるものであることを知らなかつたときは、当該売買契約又は当該役務提供契約によつて現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。

特定商取引に関する法律

購入等の申込み又は承諾の取消しができる場合についてもう少し詳しく説明します。

申込みの取消しは、「売ってください」という契約の申込みや「買います」という承諾の意思表示をなかったものにするものですので、一定の要件を満たした場合にのみ認められる例外的な制度となってきます。

そこで、どのような場合に取消しができるのかみていきましょう。

【取消しができる要件】
 ・特定申込みをした者であること
 ・各号に掲げる行為をしたことにより、当該各号に定める誤認をし、それによって当該特定申込みの意思表示をしたこと

まず、特定申込みをした者であることは必要となってきます。

「特定申込み」とは、簡単にいうと、販売業者などが用意した書面やインターネット上での申込みフォームなどに、購入する人が必要事項を記入して行う契約の申込みのことをいいます。

このように、販売業者などが用意した書面や申込みフォームを使って、「この商品を買いたいです」と売買契約などの申込みをした人が、特定申込みをした者となります。

次に、販売業者などが一定の行為をしたことで、購入者が誤解をしたことで、「この商品(サービス)を買います」などと上記特定申込みをしたことが必要となります。

この一定の行為として、特定商取引法15条の4第1項では次の者が挙げられています。

  • 販売する商品や提供する役務の分量について事実と異なる表示をする行為(1号)
  • 販売する商品や提供する役務の分量を表示しない行為(2号)
  • 書面の送付やフォームからの送信が申込みとなることについて誤認させる表示をする行為(3号)
  • 販売する商品や提供する役務の分量や販売価格、支払い時期・方法、商品の引渡し時期等、申込み期間内容等、申込みの撤回や解除に関する事項について誤認させる表示をする行為(4号)

例えば、定期購入が必要となる商品の通信販売の際に、1回限りの購入であるとの事実と異なる表示をしていた場合や、定期購入で6ヶ月分の購入が必須であるにもかかわらずその表示をしていない場合などで、購入する人が、1回限りの購入であると誤認した場合や6ヶ月の購入が必須などの条件はないと誤認した場合は、申込みの意思表示を取り消すことができると考えられます。

また、実際は、定期購入の商品で、2回目以降は1箱5000円となるにもかかわらず、「今申し込んだ人には、特別価格1箱1000円」などと宣伝し、小さく※印や注意書きで上記条件を書いていた場合などの詐欺的な商法についても、商品の分量や価格などについて誤認させる表示をし、購入者を誤認させた場合にも、申込みの意思表示を取り消すことができると考えられます。

なお、この取消しには時効があり、誤認と気づいて取り消すかそのまま購入するかを判断できるようになった時点(追認をすることができる時)から1年間経過したときまたは契約を締結した時点から5年を経過したときは、取り消すことができなくなるので注意が必要です。

クーリングオフの通知がメール(電磁的記録)でも可能に!

訪問販売などにより、商品の購入やサービス提供についての契約をした場合、一定期間の間、契約の申込みの撤回等、いわゆるクーリングオフができます。

情報商材詐欺などの詐欺被害金の返金とクーリングオフについては、以下の記事もご参照ください。

これまでは、クーリングオフをするためには、契約者名、契約締結び、契約内容、契約金額などのクーリングオフの対象となる契約内容を特定した上で、契約の申込の撤回等をする旨の通知を書面にて送ることが必要とされていました。

しかし、令和3年改正により、上記書面による通知に加え、電磁的記録(電子メールなど)により行うことができることとなりました。

また、事業者が契約の際に交付しなければならない法定書面についても、消費者の同意があれば、電磁的記録(電子メールなど)により行うことができることとなりました。

(訪問販売における契約の申込みの撤回等)
第九条
 販売業者若しくは役務提供事業者が営業所等以外の場所において商品若しくは特定権利若しくは役務につき売買契約若しくは役務提供契約の申込みを受けた場合若しくは販売業者若しくは役務提供事業者が営業所等において特定顧客から商品若しくは特定権利若しくは役務につき売買契約若しくは役務提供契約の申込みを受けた場合におけるその申込みをした者又は販売業者若しくは役務提供事業者が営業所等以外の場所において商品若しくは特定権利若しくは役務につき売買契約若しくは役務提供契約を締結した場合(営業所等において申込みを受け、営業所等以外の場所において売買契約又は役務提供契約を締結した場合を除く。)若しくは販売業者若しくは役務提供事業者が営業所等において特定顧客と商品若しくは特定権利若しくは役務につき売買契約若しくは役務提供契約を締結した場合におけるその購入者若しくは役務の提供を受ける者(以下この条から第九条の三までにおいて「申込者等」という。)は、書面又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)によりその売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回又はその売買契約若しくは役務提供契約の解除(以下この条において「申込みの撤回等」という。)を行うことができる。ただし、申込者等が第五条第一項又は第二項の書面を受領した日(その日前に第四条第一項の書面を受領した場合にあつては、その書面を受領した日)から起算して八日を経過した場合(申込者等が、販売業者若しくは役務提供事業者が第六条第一項の規定に違反して申込みの撤回等に関する事項につき不実のことを告げる行為をしたことにより当該告げられた内容が事実であるとの誤認をし、又は販売業者若しくは役務提供事業者が同条第三項の規定に違反して威迫したことにより困惑し、これらによつて当該期間を経過するまでに申込みの撤回等を行わなかつた場合には、当該申込者等が、当該販売業者又は当該役務提供事業者が主務省令で定めるところにより当該売買契約又は当該役務提供契約の申込みの撤回等を行うことができる旨を記載して交付した書面を受領した日から起算して八日を経過した場合)においては、この限りでない。
2 申込みの撤回等は、当該申込みの撤回等に係る書面又は電磁的記録による通知を発した時に、その効力を生ずる。
3 申込みの撤回等があつた場合においては、販売業者又は役務提供事業者は、その申込みの撤回等に伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができない。
4 申込みの撤回等があつた場合において、その売買契約に係る商品の引渡し又は権利の移転が既にされているときは、その引取り又は返還に要する費用は、販売業者の負担とする。
5 販売業者又は役務提供事業者は、商品若しくは特定権利の売買契約又は役務提供契約につき申込みの撤回等があつた場合には、既に当該売買契約に基づき引き渡された商品が使用され若しくは当該権利が行使され又は当該役務提供契約に基づき役務が提供されたときにおいても、申込者等に対し、当該商品の使用により得られた利益若しくは当該権利の行使により得られた利益に相当する金銭又は当該役務提供契約に係る役務の対価その他の金銭の支払を請求することができない。
6 役務提供事業者は、役務提供契約につき申込みの撤回等があつた場合において、当該役務提供契約に関連して金銭を受領しているときは、申込者等に対し、速やかに、これを返還しなければならない。
7 役務提供契約又は特定権利の売買契約の申込者等は、その役務提供契約又は売買契約につき申込みの撤回等を行つた場合において、当該役務提供契約又は当該特定権利に係る役務の提供に伴い申込者等の土地又は建物その他の工作物の現状が変更されたときは、当該役務提供事業者又は当該特定権利の販売業者に対し、その原状回復に必要な措置を無償で講ずることを請求することができる。
8 前各項の規定に反する特約で申込者等に不利なものは、無効とする。

(電話勧誘販売における契約の申込みの撤回等)
第二十四条
 販売業者若しくは役務提供事業者が電話勧誘行為により電話勧誘顧客から商品若しくは特定権利若しくは役務につき当該売買契約若しくは当該役務提供契約の申込みを郵便等により受けた場合におけるその申込みをした者又は販売業者若しくは役務提供事業者が電話勧誘行為により電話勧誘顧客と商品若しくは特定権利若しくは役務につき当該売買契約若しくは当該役務提供契約を郵便等により締結した場合におけるその購入者若しくは役務の提供を受ける者(以下この条から第二十四条の三までにおいて「申込者等」という。)は、書面又は電磁的記録によりその売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回又はその売買契約若しくは役務提供契約の解除(以下この条において「申込みの撤回等」という。)を行うことができる。ただし、申込者等が第十九条第一項又は第二項の書面を受領した日(その日前に第十八条第一項の書面を受領した場合にあつては、その書面を受領した日)から起算して八日を経過した場合(申込者等が、販売業者若しくは役務提供事業者が第二十一条第一項の規定に違反して申込みの撤回等に関する事項につき不実のことを告げる行為をしたことにより当該告げられた内容が事実であるとの誤認をし、又は販売業者若しくは役務提供事業者が同条第三項の規定に違反して威迫したことにより困惑し、これらによつて当該期間を経過するまでに申込みの撤回等を行わなかつた場合には、当該申込者等が、当該販売業者又は当該役務提供事業者が主務省令で定めるところにより当該売買契約又は当該役務提供契約の申込みの撤回等を行うことができる旨を記載して交付した書面を受領した日から起算して八日を経過した場合)においては、この限りでない。
2 申込みの撤回等は、当該申込みの撤回等に係る書面又は電磁的記録による通知を発した時に、その効力を生ずる。
3 申込みの撤回等があつた場合においては、販売業者又は役務提供事業者は、その申込みの撤回等に伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができない。
4 申込みの撤回等があつた場合において、その売買契約に係る商品の引渡し又は権利の移転が既にされているときは、その引取り又は返還に要する費用は、販売業者の負担とする。
5 販売業者又は役務提供事業者は、商品若しくは特定権利の売買契約又は役務提供契約につき申込みの撤回等があつた場合には、既に当該売買契約に基づき引き渡された商品が使用され若しくは当該権利が行使され又は当該役務提供契約に基づき役務が提供されたときにおいても、申込者等に対し、当該商品の使用により得られた利益若しくは当該権利の行使により得られた利益に相当する金銭又は当該役務提供契約に係る役務の対価その他の金銭の支払を請求することができない。
6 役務提供事業者は、役務提供契約につき申込みの撤回等があつた場合において、当該役務提供契約に関連して金銭を受領しているときは、申込者等に対し、速やかに、これを返還しなければならない。
7 役務提供契約又は特定権利の売買契約の申込者等は、その役務提供契約又は売買契約につき申込みの撤回等を行つた場合において、当該役務提供契約又は当該特定権利に係る役務の提供に伴い申込者等の土地又は建物その他の工作物の現状が変更されたときは、当該役務提供事業者又は当該特定権利の販売業者に対し、その原状回復に必要な措置を無償で講ずることを請求することができる。
8 前各項の規定に反する特約で申込者等に不利なものは、無効とする。

(連鎖販売契約の解除等)
第四十条
 連鎖販売業を行う者がその連鎖販売業に係る連鎖販売契約を締結した場合におけるその連鎖販売契約の相手方(その連鎖販売業に係る商品の販売若しくはそのあつせん又は役務の提供若しくはそのあつせんを店舗等によらないで行う個人に限る。以下この章において「連鎖販売加入者」という。)は、第三十七条第二項の書面を受領した日(その連鎖販売契約に係る特定負担が再販売をする商品(施設を利用し及び役務の提供を受ける権利を除く。以下この項において同じ。)の購入についてのものである場合において、その連鎖販売契約に基づき購入したその商品につき最初の引渡しを受けた日がその受領した日後であるときは、その引渡しを受けた日。次条第一項において同じ。)から起算して二十日を経過したとき(連鎖販売加入者が、統括者若しくは勧誘者が第三十四条第一項の規定に違反し若しくは一般連鎖販売業者が同条第二項の規定に違反してこの項の規定による連鎖販売契約の解除に関する事項につき不実のことを告げる行為をしたことにより当該告げられた内容が事実であるとの誤認をし、又は統括者、勧誘者若しくは一般連鎖販売業者が同条第三項の規定に違反して威迫したことにより困惑し、これらによつて当該期間を経過するまでにこの項の規定による連鎖販売契約の解除を行わなかつた場合には、当該連鎖販売加入者が、その連鎖販売業に係る統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者が主務省令で定めるところによりこの項の規定による当該連鎖販売契約の解除を行うことができる旨を記載して交付した書面を受領した日から起算して二十日を経過したとき)を除き、書面又は電磁的記録によりその連鎖販売契約の解除を行うことができる。この場合において、その連鎖販売業を行う者は、その連鎖販売契約の解除に伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができない。
2 前項の連鎖販売契約の解除は、その連鎖販売契約の解除を行う旨の書面又は電磁的記録による通知を発した時に、その効力を生ずる。
3 第一項の連鎖販売契約の解除があつた場合において、その連鎖販売契約に係る商品の引渡しが既にされているときは、その引取りに要する費用は、その連鎖販売業を行う者の負担とする。
4 前三項の規定に反する特約でその連鎖販売加入者に不利なものは、無効とする。

(特定継続的役務提供等契約の解除等)
第四十八条
 役務提供事業者又は販売業者が特定継続的役務提供等契約を締結した場合におけるその特定継続的役務提供受領者等は、第四十二条第二項又は第三項の書面を受領した日から起算して八日を経過したとき(特定継続的役務提供受領者等が、役務提供事業者若しくは販売業者が第四十四条第一項の規定に違反してこの項の規定による特定継続的役務提供等契約の解除に関する事項につき不実のことを告げる行為をしたことにより当該告げられた内容が事実であるとの誤認をし、又は役務提供事業者若しくは販売業者が同条第三項の規定に違反して威迫したことにより困惑し、これらによつて当該期間を経過するまでにこの項の規定による特定継続的役務提供等契約の解除を行わなかつた場合には、当該特定継続的役務提供受領者等が、当該役務提供事業者又は当該販売業者が主務省令で定めるところによりこの項の規定による当該特定継続的役務提供等契約の解除を行うことができる旨を記載して交付した書面を受領した日から起算して八日を経過したとき)を除き、書面又は電磁的記録によりその特定継続的役務提供等契約の解除を行うことができる。

2 前項の規定による特定継続的役務提供等契約の解除があつた場合において、役務提供事業者又は販売業者が特定継続的役務の提供に際し特定継続的役務提供受領者等が購入する必要のある商品として政令で定める商品(以下この章並びに第五十八条の二十二第二項、第五八条の二十六第一項及び第六十六条第二項において「関連商品」という。)の販売又はその代理若しくは媒介を行つている場合には、当該商品の販売に係る契約(以下この条、次条及び第五十八条の二十二第二項において「関連商品販売契約」という。)についても、前項と同様とする。ただし、特定継続的役務提供受領者等が第四十二条第二項又は第三項の書面を受領した場合において、関連商品であつてその使用若しくは一部の消費により価額が著しく減少するおそれがある商品として政令で定めるものを使用し又はその全部若しくは一部を消費したとき(当該役務提供事業者又は当該販売業者が当該特定継続的役務提供受領者等に当該商品を使用させ、又はその全部若しくは一部を消費させた場合を除く。)は、この限りでない。

3 前二項の規定による特定継続的役務提供等契約の解除及び関連商品販売契約の解除は、それぞれ当該解除を行う旨の書面又は電磁的記録による通知を発した時に、その効力を生ずる。

4 第一項の規定による特定継続的役務提供等契約の解除又は第二項の規定による関連商品販売契約の解除があつた場合においては、役務提供事業者若しくは販売業者又は関連商品の販売を行つた者は、当該解除に伴う損害賠償若しくは違約金の支払を請求することができない。

5 第一項の規定による特定権利販売契約の解除又は第二項の規定による関連商品販売契約の解除があつた場合において、その特定権利販売契約又は関連商品販売契約に係る権利の移転又は関連商品の引渡しが既にされているときは、その返還又は引取りに要する費用は、販売業者又は関連商品の販売を行つた者の負担とする。

6 役務提供事業者又は販売業者は、第一項の規定による特定継続的役務提供等契約の解除があつた場合には、既に当該特定継続的役務提供等契約に基づき特定継続的役務提供が行われたときにおいても、特定継続的役務提供受領者等に対し、当該特定継続的役務提供等契約に係る特定継続的役務の対価その他の金銭の支払を請求することができない。

7 役務提供事業者は、第一項の規定による特定継続的役務提供契約の解除があつた場合において、当該特定継続的役務提供契約に関連して金銭を受領しているときは、特定継続的役務の提供を受ける者に対し、速やかに、これを返還しなければならない。

8 前各項の規定に反する特約で特定継続的役務提供受領者等に不利なものは、無効とする。

(業務提供誘引販売契約の解除)
第五十八条
 業務提供誘引販売業を行う者がその業務提供誘引販売業に係る業務提供誘引販売契約を締結した場合におけるその業務提供誘引販売契約の相手方(その業務提供誘引販売業に関して提供され、又はあつせんされる業務を事業所等によらないで行う個人に限る。以下この条から第五十八条の三までにおいて「相手方」という。)は、第五十五条第二項の書面を受領した日から起算して二十日を経過したとき(相手方が、業務提供誘引販売業を行う者が第五十二条第一項の規定に違反してこの項の規定による業務提供誘引販売契約の解除に関する事項につき不実のことを告げる行為をしたことにより当該告げられた内容が事実であるとの誤認をし、又は業務提供誘引販売業を行う者が同条第二項の規定に違反して威迫したことにより困惑し、これらによつて当該期間を経過するまでにこの項の規定による業務提供誘引販売契約の解除を行わなかつた場合には、相手方が、当該業務提供誘引販売業を行う者が主務省令で定めるところによりこの項の規定による当該業務提供誘引販売契約の解除を行うことができる旨を記載して交付した書面を受領した日から起算して二十日を経過したとき)を除き、書面又は電磁的記録によりその業務提供誘引販売契約の解除を行うことができる。この場合において、その業務提供誘引販売業を行う者は、その業務提供誘引販売契約の解除に伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができない。

2 前項の業務提供誘引販売契約の解除は、その業務提供誘引販売契約の解除を行う旨の書面又は電磁的記録による通知を発した時に、その効力を生ずる。

3 第一項の業務提供誘引販売契約の解除があつた場合において、その業務提供誘引販売契約に係る商品の引渡しが既にされているときは、その引取りに要する費用は、その業務提供誘引販売業を行う者の負担とする。

4 前三項の規定に反する特約でその相手方に不利なものは、無効とする。

(訪問購入における契約の申込みの撤回等)
第五十八条の十四
 購入業者が営業所等以外の場所において物品につき売買契約の申込みを受けた場合におけるその申込みをした者又は購入業者が営業所等以外の場所において物品につき売買契約を締結した場合(営業所等において申込みを受け、営業所等以外の場所において売買契約を締結した場合を除く。)におけるその売買契約の相手方(以下この条及び次条において「申込者等」という。)は、書面又は電磁的記録によりその売買契約の申込みの撤回又はその売買契約の解除(以下この条において「申込みの撤回等」という。)を行うことができる。ただし、申込者等が第五十八条の八第一項又は第二項の書面を受領した日(その日前に第五十八条の七第一項の書面を受領した場合にあつては、その書面を受領した日)から起算して八日を経過した場合(申込者等が、購入業者が第五十八条の十第一項の規定に違反して申込みの撤回等に関する事項につき不実のことを告げる行為をしたことにより当該告げられた内容が事実であるとの誤認をし、又は購入業者が同条第三項の規定に違反して威迫したことにより困惑し、これらによつて当該期間を経過するまでに申込みの撤回等を行わなかつた場合には、当該申込者等が、当該購入業者が主務省令で定めるところにより当該売買契約の申込みの撤回等を行うことができる旨を記載して交付した書面を受領した日から起算して八日を経過した場合)においては、この限りでない。

2 申込みの撤回等は、当該申込みの撤回等に係る書面又は電磁的記録による通知を発した時に、その効力を生ずる。

3 申込者等である売買契約の相手方は、第一項の規定による売買契約の解除をもつて、第三者に対抗することができる。ただし、第三者が善意であり、かつ、過失がないときは、この限りでない。

4 申込みの撤回等があつた場合においては、購入業者は、その申込みの撤回等に伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができない。

5 申込みの撤回等があつた場合において、その売買契約に係る代金の支払が既にされているときは、その代金の返還に要する費用及びその利息は、購入業者の負担とする。

6 前各項の規定に反する特約で申込者等に不利なものは、無効とする。

特定商取引に関する法律

特定商取引法改正のまとめ

令和3年改正の中で、消費者側のみなさんに関係のある改正部分について説明をしてきましたが、これらの改正は、被害にあった消費者を事後的に守ろうとする改正になります。

一番大事なことは、通販などで商品を購入する際には、しっかりと商品の説明や契約の内容、特に、解約ができるのかや違約金などが発生するのかなど、について事前に確認する習慣を身につけることです。

また、少しでも契約内容について分からなかったりトラブルになりそうであれば、早めに弁護士や消費者センターなどに相談することをお勧めします。

なお、この記事作成時点(令和3年7月25日)では、送り付け商法に関する特定商取引法59条及び59条の2以外の改正部分については、令和3年6月16日から起算して1年ないし2年を超えない範囲内での施行となっていますのでご注意ください。

また、特定商取引法のみならず、預託法も改正され、販売預託商法が原則禁止になるなど大きな変更がなされておりますので、こちらもご確認ください。

Bio

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。
東京弁護士会所属(登録番号:50133)
男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。