詐欺の手口は、社会の流行や動向にあわせて、様々に変化していきます。
というのも、詐欺師の多くは、人々が関心を寄せている事項や置かれている立場・状況から騙す手口を考えます。
人々が関心を寄せている事項であればそれに乗じて話を進めやすいからです。
また、置かれている立場・状況がわかればそこにつけ込むことができるためです。
ですので、騙されないためには、社会の流行や動向を知っておくことはもちろん、人の話を安易に信じないようにすることが重要です。
とはいえ、真っ当な話か、それとも詐欺かどうかを見極めるのはなかなか難しいことと思われます。
そこで今回は、実際に受けている相談も踏まえて、最新の詐欺の種類や手口について解説したいと思います。
最新の詐欺の種類・手口
相談が急増中の詐欺
2021年GW明け頃から、高級ブランドにまつわる詐欺被害の相談が増えています。
まず高級腕時計ブランドであるロレックスの売買や投資に関連する詐欺です。
売買における詐欺ついては、SNSやフリマアプリ・オークションサイトで購入したが、商品が届かない・偽物だったというものです。
投資における詐欺については、たとえば独自のルートで相場より安価で購入し、転売して利益を出すからといって出資させるかたちです。
下記ページにて詳しく記載しておりますので、よければご覧ください。
また同じような手口で、エルメスやルイヴィトンをはじめとしたラグジュアリーブランドのバッグや装飾品などを対象にした詐欺被害の相談も出てきております。
こちらについては、各ブランドの本社があるヨーロッパなど現地において日本より安い価格で仕入れ、日本で販売すれば利益が出るからと投資させるものが代表例です。
男女・恋愛関連の詐欺
従前は、婚活パーティーや相席居酒屋、異業種交流会などに紛れ込む詐欺師が一定数いました。
しかしコロナの影響から、外出自粛要請や飲食店等が休業や時短営業となったので、実際に出会うきっかけがほぼなくなりました。
そのため、対面で会うことをきっかけとした詐欺を行うことが難しくなりました。
実際、当事務所の相談事例からも減少傾向にあります。
とはいえ、男女・恋愛関連の詐欺自体が減っているわけではありません。
出会い系サイトやマッチングアプリなどインターネットをきっかけとする詐欺については、逆に大幅に増加しています。
コロナの影響から、多くの人がインターネットに触れる時間が長くなったからでしょう。
それに伴い、ネットを起点に詐欺を企む輩が急増しているということです。
一方、騙す手口としては、以前は実際に会って恋愛関係に持ち込み、冷静な判断ができない状況を作り出しました。
そして、親兄弟の入院費や事業資金などの名目でお金を出させる手口が主流でした。
ところが、最近は実際に会わずネット上のやり取りのみで投資話に勧誘するなどで金銭を騙し取る事例が多くなっています。
すなわち、男女・恋愛関連の詐欺に投資詐欺の側面が加わっている点が最新の手口といえます。
ですので、出会い系サイトやマッチングアプリの利用において、お金にまつわる話が出てきたときは要注意です。
たとえ相手方のスペックややり取りがよかったとしても、安易に信用せず手を出さない方がベターです。
なお、海外の異性が相手方となる国際ロマンス詐欺においても、傾向が変わりつつあります。
今までの多くはアメリカやヨーロッパなどの軍人などを装うことがメインの手口でした。
それが近年は、香港やシンガポールなどアジア圏内の投資家・資産家と偽った手口が増え始めています。
また、いわゆる「セクストーション(性的脅迫)」の詐欺被害が目立っているのが最近の傾向です。
「セクストーション(性的脅迫)」とは、SNSやチャットツールを用いて、裸や自慰行為を見せてくれればお金を渡すなど虚偽を述べ、要求に応じるや否やバラまかれたくなければ逆に金銭を支払えなど脅すものです。
投資・仕事関連の詐欺
ここ一年、株価や仮想通貨、金の価値などが上昇傾向にあることから、それに関連した投資詐欺が増えてきています。
みられる特徴としては、元本保証や高配当・高利率で勧誘してくることに変わりはありません。
ただ、それが担保できる理由として海外の取引所やサイトを経由する手法を利用するからと謳う手口が横行しています。
英語など外国語が羅列されている資料を用いるため、いかにも特別な手法であると見せかけられるからでしょう。
また、実際なにが記載されているか一見して理解するのが困難であるがゆえ、詐欺とバレにくい点もあるでしょう。
他方、仕事関連の詐欺については、コロナで在宅時間が長くなった人や収入が減った人がターゲットにしている傾向があります。
その種類としては、副業詐欺や情報商材や転売を用いた詐欺が増加しています。
手口としては、まずSNSをメインに「誰でも楽して確実に稼げる」と宣伝していることが通例です。
そして、現実に大金を稼いでいるかのような写真を見せつけたりなどして、勧誘するものが多く見受けられます。
さらに、ビジネス関連においては、いわゆる「取り込め詐欺」が増加傾向にあります。
「取り込め詐欺」とは、少額の取引で信用させたのち、大口の取引を発注し、商品だけを受け取って代金を支払わない詐欺です。
これもコロナの影響で経営が芳しくない会社を狙って、売上を上げたいとのはやる状況を見越してのものでしょう。
特殊詐欺関連
振り込め詐欺を代表とした特殊詐欺も、被害者を外出させずに騙し取る手口に移り変わっています。
過去においては、被害者を金融機関のATMや窓口まで行くよう指示して振り込ませる手口が主流でした。
即座に入金を確認できるからです。
しかし近年、下記のような手口に切り替わりつつあります。
何かしらの理由をつけて、家にあるお金や通帳・キャッシュカードを訪問して騙し取ったり、郵送や宅急便などで送付させる手口です。
コロナの影響から外出を促すことが難しくなったことにくわえ、年々、金融機関の対策も強化されているためでしょう。
また名目についても、子や孫を名乗って事故を起こしたからなど緊急事態を装ってお金が必要と伝えることが少なくなりました。
かわって、役所の人間と名乗って還付金を受け取るために保証金などが必要であると騙すもの(還付金詐欺)が多くなっています。
警察や法律事務所の職員と騙って過去の株の取引などが犯罪に該当するので示談金・解決金が必要と騙すものも増えています。
なお、コロナを理由とした特殊詐欺もありますが、そこまで目立った被害は見受けられていないと思われます。
政府や警察の注意喚起が功を奏しているからでしょう。
その他の詐欺
フリマアプリやオークションサイトに絡む詐欺が増えています。
その多くについては代金を支払ったにもかかわらず物品が届かない、届いたが偽物や別物だったという詐欺です。
対象とされる物品は、レアもののスニーカーやトレーディングカード、ゲーム機やキャラクター商品などが挙げられます。
いずれも供給が少なく需要が多いものだったり、所有していればいるほど価値が上昇するであろうものです。
これも「転売ヤー」という言葉が生まれるほど、個人がネットを使って所有物を簡単に売買できるようになったからでしょう。
まとめ
このように、いずれの詐欺においても社会の流行や動向にあわせるかたちで変化しています。
特にみられる傾向としては、ネットを始まりや入り口とする詐欺の大幅な増加です。
コロナの影響から、誰しもが前にもましてネットに触れる時間が長くなったからでしょう。
ですので、サイトやアプリを問わず、そのなかには一定数の詐欺師が潜んでいることを認識して利用すべきです。
最後に、詐欺に遭った、遭ったかもしれないと思う場合には、遠慮なく当事務所にご相談ください。