ニュース内容
給与を受け取る権利を買い取るなどとうたい金を貸したとして、大阪府警は29日、貸金業法違反(無登録営業)の疑いで、東京都荒川区の「SONマネジメント」社員岩田俊一容疑者(29)=山形市=ら4人を逮捕した。認否は明らかにしていない。
2020年07月29日19時38分
こうした手口は「給与ファクタリング」と呼ばれるが、金融庁などは実態はヤミ金業として注意喚起しており、府警によると、摘発は全国初。
他に逮捕されたのはいずれも20代の男女で、4人は「D―ライン」などの屋号で営業。債務者は3月から6月までに、全国各地で約2800人に上るとみられ、業者の口座には計約1億1800万円が振り込まれていたという。
逮捕容疑は3~6月、兵庫県の契約社員の40代男性と新潟県の土木作業員の20代男性に、無登録で計20万円を貸し付けた疑い。
府警によると、男性らはインターネット交流サイト(SNS)を通じ、運転免許証や給与明細の画像などを送付。給与支払日の前に受け取る権利を売却する形で、手数料を差し引いた金額を受け取り、後日、支払われた給与から業者が買い取った債権相当額を返金していた。
新潟県の男性は、新型コロナウイルスの影響で生活費に困窮し、利用していたという。
府警は、手数料が実質的な利息に当たると判断。最大で法定の80倍の年利約1600%で貸し付けていたとみて、出資法違反容疑でも調べる。
弁護士からのコメント
今回のニュースは、いわゆる給料ファクタリング(給与ファクタリング)として金を貸していた男女らが、全国で初めて摘発され、貸金業法違反(無登録営業)の疑いで逮捕されたというものです。
給料ファクタリングの概要については下記動画にて解説していますので、よければご覧ください。
また、給料ファクタリングの詳細については下記ページで解説していますので、ご参照ください。
そして今回のニュースにおいては、全国初の摘発・逮捕とありますが、おそらく氷山の一角と思われます。
というのも、新型コロナウイルスの影響から経済活動が滞ったことにより、今までどおりに給料・給与を受け取ることができなくなったがために、生活が厳しくなった方が多数いることでしょう。
その中で、親族や友人、銀行などの金融機関や消費者金融からお金を借りれる方は別にして、そのような伝手や立場にない人たちからすれば、給料ファクタリングに手を出してしまうことも致し方ないといえるからです。
しかしながら、いちど給料ファクタリングに手を出してしまうと、その暴利の仕組み上、給料・給与とは別にまとまったお金が入ることがなければ、継続して利用せざるを得ない状況に追い込まれてしまいます。
これを業者側からみると、昨今の経済状況から多くの人間が利用するであろうこと、そしてまず利用を辞められないことを見越したうえで、SNSなどを用いて甘い言葉で宣伝・広告し、利用を申し込んできた者から法外な手数料を搾取し続けることが可能なスキームといえます。
また、返金しない利用者に対しては、免許証などから個人情報、給与明細から会社情報を握っていることをいわば武器にして、脅迫・恐喝にもあたりうるような催促までできるスキームでもあります。
さらに、少しの資本とSNSが使えるだけで、全国の人間を対象にした給料ファクタリング業者となることが誰でも可能なスキームでもあるといえます。
それゆえ、現実として様々な給料ファクタリング業者が乱立しており、今回のニュースが氷山の一角といえる理由です。
今回の全国初の摘発・逮捕をきっかけに、給料ファクタリング業者がなくなっていくことを願うばかりです。
最後に、給料ファクタリングでお悩み・お困りの方は、遠慮なく当事務所にご相談ください。