ニュース内容
2020年3月、福岡市西区で自転車でわざと衝突事故を起こし修理費用をだましとろうとした疑いで、派遣社員の男が逮捕されました。
2020/06/22 20:30 テレビ西日本
【記者】
「渡辺容疑者はマンションの駐車場で自転車をふらふら運転して待ち伏せ、自転車に乗る女子高生にわざとぶつかっていったということです」
詐欺未遂の疑いで逮捕されたのは、福岡市早良区の派遣社員・渡辺誠容疑者(31)です。
警察の調べによりますと渡辺容疑者は2020年3月、福岡市西区姪浜駅南で、自転車を運転中の女子高生に自らが乗る自転車をわざとぶつけ、女子高生の母親から自転車の修理代などの名目で6万8400円をだまし取ろうとした疑いです。
渡辺容疑者は「事故を偽装していません」などと容疑を否認していますが、2019年の夏から女子中高生を相手に、7件も同様の事故を起こしていて、警察は余罪もあるとみて調べを進めています。
弁護士からのコメント
今回のニュースは、自転車でわざと衝突事故を起こし修理費用をだましとろうとした詐欺未遂の疑いで、派遣社員の男が逮捕されたというものです。
いわゆる「当たり屋」といわれるもので、損害賠償金を得るために故意に交通事故を起こす行為やその実行犯のことをいいます。
なお以前にスマホを対象にした「スマホ当たり屋」について解説した下記ページがありますので、よければご参照ください。
そして今回のニュースについては、7件も同様の事故を起こしていることから計画的な犯行と考えられ、その手口について解説したいと思います。
具体的には、ターゲットを女子中高生にし、かつ自転車同士の事故を装っていることから、悪質な詐欺手口といえます。
というのも、まず女子に搾っている点で、男子よりは金銭を騙し取りやすいと考えていることがうかがえます。
これが男子中高生であれば、そのまま逃げられることや事故をきっかけにケンカになり大ごとになることも十分あり得、金銭を騙し取ることができないリスクが高いからです。
また中高生という未成年かつ学生を選んでいる点も、金銭を騙し取れる可能性が高いと見越しているものだと思われます。
知識や経験の少ない未成年であれば、大人の言い分に対して反論することがなかなか難しく、自らに非がないと思っていたとしても要求を呑むだろうと考えているということです。
くわえて未成年かつ学生という立場の者に対して、警察沙汰になるとか学校に通報せざるを得ないと言えば、穏便に済ませることを選ぶだろうと予測しての犯行ともいえるでしょう。
さらに自転車同士の事故を選択している点も、金銭を騙し取れる可能性を考慮してのものでしょう。
自動車での事故となれば、目撃者が通報し警察沙汰になってしまいやすい一方、自転車同士の軽微な事故であれば、目撃者がいたとしても警察に通報するまではまずないでしょうから、当人同士の話し合いでおさまるということです。
そして自転車同士の軽微な事故であれば、請求される金額もそこまで高額ではないことから、示談で済むならと金銭を支払うことが想定できるからです。
このように、いかに金銭を騙し取りやすいかを考えて犯行に及んでいることがうかがえますので、詐欺手口として悪質と評価できます。
今回の「自転車当たり屋」のような詐欺に遭わない対策としては、どのようなかたちであれ交通事故に巻き込まれた際には、すぐさま警察に通報しましょう。
そもそも法律上、交通事故があった際、運転者は警察に報告する義務(道路交通法72条1項)を負っているからです。
また相手が内々で示談の話をしてきたとしても、詐欺師であれば警察に通報されることは避けたいと考えますので、その場から逃げ去り、結果詐欺被害に遭わずにすむからです。
最後に「自転車当たり屋」はもちろん詐欺被害に遭ったかもと思った際には、遠慮なく当事務所にご相談ください。