ニュース内容
川崎市に住む90代の女性の自宅を訪れ、キャッシュカードをだまし取ったとして、53歳の自営業の女が詐欺の疑いで警察に逮捕されました。調べに対し、女は「新型コロナウイルスの影響で舞台照明の仕事がキャンセルになり、ツイッターでアルバイトの募集を見て申し込み、カードをだまし取った」と供述しているということです。
2020年3月15日 5時37分 NHK
逮捕されたのは、自称、千葉県市川市の自営業、溝上邦子容疑者(53)です。
警察の調べによりますと、溝上容疑者は、14日銀行員を装って川崎市中原区の90代の女性の自宅を訪れ、キャッシュカード2枚をだまし取った詐欺の疑いが持たれています。
調べに対し、溝上容疑者は「新型コロナウイルスの影響で舞台照明の仕事がキャンセルになり、収入を補うためツイッターでアルバイトの募集を見て申し込んだ。途中でおかしいと思ったが、カードをだまし取った」と供述し、容疑を認めているということです。
また、「キャッシュカードの口座から数十万円の金をおろした」とも供述しているということです。
警察によりますと、被害者の女性の自宅には、溝上容疑者が訪れる前に別の人物とみられる声で銀行員などを装い、「医療費の還付金がある」などとうその電話がかかってきていたということで、警察はさらに詳しく捜査しています。
弁護士からのコメント
今回のニュースは、新型コロナウイルスの影響で舞台照明の仕事がキャンセルになり、収入を補うためツイッターでアルバイトの募集を見て申し込んだことをきっかけに、キャッシュカードをだまし取ったとして詐欺の疑いで逮捕されたというものです。
事件としては、事前に「医療費の還付金がある」などとうその電話がかかってきていたとあり、キャッシュカードをだまし取っていることから、特殊詐欺の類型である還付金詐欺といえます。
もっとも、いわゆる受け子となった被疑者が、新型コロナウイルスの影響で仕事がキャンセルになったことから、収入を補うためツイッターでアルバイトの募集を見て申し込んだというところが今回の事件のポイントです。
この点、特殊詐欺においては、近年ツイッターをはじめとしたSNSを主として、特殊詐欺であることは伏せて短時間で高収入のアルバイトがあると募集し、詐欺を手伝う人間を探しています。
その募集のターゲットとしては、短時間で高収入であることに比較的乗ってきやすい若者がメインです。
ところが今回の受け子となった被疑者は若者ではなく50代の女性でした。
推測とはなりますが、おそらく新型コロナウイルスの影響がなく仕事がキャンセルとならなければ、アルバイトの募集には申し込んでいなかったでしょう。
ただ今回の被疑者のように、新型コロナウイルスの影響により仕事がキャンセルとなったり、解雇やシフトが減らされるなど生活面が厳しくなっている人が増えていっていると思われます。
このような状況になると、生活を維持する必要にかられ、若者だけでなく詐欺グループがターゲットとしていなかった中年や高齢者層もアルバイトの募集に申し込み、詐欺に加担する結果となりかねないことが想定されます。
そうすると、今までは受け子が若者であったがゆえに不審と思い、詐欺被害を未然に防げたケースも多くあったかと思われますが、受け子が中年や高齢者となると不審に感じず、詐欺被害が増加する危険性があるといえます。
以上をまとめますと、新型コロナウイルスによる生活面の影響から、今まで詐欺を行わなかった人間が詐欺を行いかねない事態となった結果、詐欺事件・詐欺被害が増加する可能性が高いということです。
ですので国全体が緊急事態といっても過言でない現況では、何においてもいつも以上に慎重に行動すべきでしょう。
なお、新型コロナウイルスに関する法律問題については、下記ページにまとめていますのでご参照ください。
最後に、特殊詐欺はもちろん詐欺被害に遭ったかもと思った際には、遠慮なく当事務所にご相談ください。