ニュース内容
走行中の車に故意にぶつかり、はずみでスマートフォンが壊れたと偽って運転手から新しいスマホや修理代名目の現金をだまし取る行為を繰り返したとして、大阪府警が詐欺容疑などで住所不定の無職、久保田有輝被告(26)=詐欺罪などで公判中=ら男3人のグループを逮捕していたことが28日、捜査関係者への取材で分かった。府警は10件以上(総額100万円以上)の被害を裏付け、同日中にも追送検する。
2020.2.28 12:00 産経新聞
捜査関係者によると、グループは2人組で犯行に及んでおり、1人が路地などで徐行中の車に故意に接触。もともと壊れていたスマホを路上に落とすなどした後、もう1人とともに運転手を呼び止めて虚偽の被害を訴え、一緒に店舗に行って新しいスマホを買わせたり、修理代名目で現金を要求したりしていた。
壊れたスマホは高機能なものを用意し、1回あたり10万円前後を受け取っていたという。容疑を認め「平成27年ごろから同様の犯行を始めた」と供述。詐取したスマホは転売し、生活費などに充てていた。
起訴状などによると、久保田被告らは昨年7月23日午後、堺市東区の路上で乗用車のドアミラーに自ら接触。「腕がミラーに当たって携帯を落とした。電源が入らない」「明日、仕事で使うのに金がない。出してもらわないと困る」などと嘘を言い、運転手が大阪市内の店舗で購入したスマホ1台(約9万円相当)をだまし取ったとされる。
弁護士からのコメント
今回のニュースは、走行中の車に故意にぶつかり、はずみでスマートフォンが壊れたと偽って運転手から新しいスマホや修理代名目の現金をだまし取る行為を繰り返したとして起訴され、詐欺罪などに問われているというものです。
近年、同様の「スマホ当たり屋」といわれる詐欺被害が全国で発生しています。
そもそも「当たり屋」とは、損害賠償金を得るために故意に交通事故を起こす行為やその実行犯のことを意味します。
そして「スマホ当たり屋」は、スマホが壊れたと交通事故のなかでも物損事故として取り扱われるものをターゲットとして当たり屋を行っています。
その理由としては、以下のことが挙げられるでしょう。
まずスマホだけの物損事故であれば警察や保険会社にまで連絡せず、内々で済ませるだろうと見越していることです。
またスマホであれば、軽くぶつかるだけでも落として壊れてしまうことは十分あり得ますので、被害を装いやすいということもいえるでしょう。
さらに年々スマホに高額の機種が増加していることに加え、スマホ自身が生活や仕事をするうえで相当重要な存在との認識が一般化していることから、それなりの損害賠償額が請求しやすい一面もあると思います。
くわえて壊れたスマホさえ用意すれば相手方を変えて行うことができるので、何度も犯行が可能という点も挙げられます。
このように通常の「当たり屋」に比べて、警察や保険会社が介入し詐欺とバレるリスクが少なく、いわば手軽に何度も行え、それなりの金額を騙し取れることから、「スマホ当たり屋」が全国で横行しているのだろうと思われます。
「スマホ当たり屋」の詐欺被害に遭わない対策としては、物損事故であっても警察に通報すべきです。
たしかに警察に通報することで時間がとられてしまうことはもちろん、交通違反の点数がつくのではと考え、内々で済ませられるならと思う気持ちもわからなくはありません。
しかしそもそも法律上、交通事故があった際、運転者は警察に報告する義務(道路交通法72条1項)を負っています。
またスマホの物損事故であれば、交通違反の点数もつきません。
ですので、時間はとられるとしても警察に通報しましょう。
むしろ「スマホ当たり屋」であれば詐欺を行おうとしている以上、警察に来られることは避けたいので、その場から逃げることも十分考えられ、結果詐欺被害に遭わずに済むからです。
最後に「スマホ当たり屋」の詐欺被害に遭ったかもと思った際には、遠慮なく当事務所にご相談ください。