土地買い取り話で詐欺か5人逮捕

ニュース内容

運用目的での購入後、買い手がつかなかった和歌山県白浜町の土地を所有していた京都市の高齢者に、高額な買い取り話を持ちかけて登録料などの名目でおよそ900万円をだまし取ったとして、グループ5人が逮捕されました。
警察は、土地の売却に困った高齢者をねらい同様の手口でおよそ1億円をだまし取っていたとみて調べています。

警察によりますと、5人はおととし、観光地として知られる和歌山県白浜町の土地を所有する京都市の70歳の女性に不動産会社を名乗って近づき、高額でのうその買い取り話を持ちかけたあと、登録料や税金対策などの名目でおよそ900万円をだまし取ったとして、詐欺の疑いが持たれています。
女性は「アドベンチャーワールド」近くにある土地を運用目的で購入しましたが、資産価値が下がるなどして買い手を見つけられない状態が続いていたということです。
警察は、土地の売却に困った関西各地の高齢者をねらい、同様の手口でおよそ1億円をだまし取っていたとみて調べています。
警察は5人の認否を明らかにしていません。

02月18日 19時30分 NHK

弁護士からのコメント

今回のニュースは、運用目的での購入後、買い手がつかなかった土地を所有していた高齢者に、高額な買い取り話を持ちかけて登録料などの名目でおよそ900万円を騙し取ったとして、詐欺の疑いで逮捕されたというものです。


このような手口は『原野商法の二次被害』と言われており、近年増加傾向にあります。

そもそも『原野商法』とは、値上がりの見込みがほとんどないような山林や原野について、実際には建設計画等はないにもかかわらず「開発計画がある」「もうすぐ道路ができる」などと嘘の説明をしたり、「将来確実に値上がりする」などと勧誘を行ったりして販売をする商法です。
1970~1980年代にかけて、商法の限度を超えて詐欺といえる多くの被害が見られました。

なお、「原野商法」自体については、下記でもコメントしておりますのでご参照ください。

一方、『原野商法の二次被害』とは、かつて原野商法の被害に遭った方が、「あなたの持っている土地を買い取ります」などといった勧誘をきっかけに、売却や税金対策に手数料や登録料などが必要としてその金銭を騙し取られたり、騙して売却額より高い新たな山林や原野を購入させられたりする被害です。

まず詐欺師がターゲットとして、過去に詐欺被害に遭ったことがある人間を選択することは多く見受けられます。
いちど詐欺被害に遭ったということは、騙しやすい相手と考えられるからです。

また売却に困っている土地を所有している高齢者をターゲットにするのは、相続をどうしようかと考えていることを見越して、その気持ちにつけ込むためです。

そして「今まで売却に困っていた土地が売れるなんて」との疑問に対しては、インバウンドで外国人旅行客が増えたことにより改めてニーズが出てきたとか、企業が太陽光発電に使うなど、もっともらしい理由を用意するのが通例です。

このように詐欺師は、ターゲットを選び、その心理につけ込んだうえで、そのターゲットに合わせた手口で金銭等を騙し取るのです。

詐欺被害といえる『原野商法の二次被害』に遭わない対策としては、そもそも「今まで売却に困っていた土地が売れるなんて」との疑問に思う気持ちをそのままに疑ってかかるべきです。

詐欺師はあれやこれやと売れる理由を伝えてくるかと思いますが、鵜呑みにしないことです。
その際、所有する土地を管轄する役所や付近の不動産会社に問い合わせるのも1つの手です。
その土地の情報をよく知っているのは、管轄する役所や付近の不動産会社だからです。

最後に『原野商法』『原野商法の二次被害』で詐欺に遭ったかもと思った際には、遠慮なく当事務所にご相談ください。

Bio

弁護士 刈谷龍太

グラディアトル法律事務所代表弁護士。
中央大学法科大学院修了。2012年弁護士登録。
離婚・労働・ネット・消費者被害など一般向けのトラブルから、企業法務や経営サポートなど幅広く担当。