ニュース内容
福岡、佐賀両県の大学でアンケートと称して聞き出した学生の個人情報を基に消費者金融から現金を引き出す「アンケートモニター詐欺」の被害が相次いでいる。4月の新入学シーズンを控え、被害弁護団は22日、福岡市内で手口や被害に遭った場合の対処法などを紹介する説明会を開く。
2020/2/21 6:00 西日本新聞
佐賀県警は1月、窃盗の疑いで福岡市の男(32)を逮捕した。県警によると、男は佐賀市内の大学構内で、アンケートに答えたら謝礼金を支払うと20代の男性に声を掛けて電話番号や住所を聞き、運転免許証も撮影。入手した個人情報を使って消費者金融から現金30万円を引き出したという。
福岡県の弁護士でつくる被害弁護団によると、両県で計10件ほどの被害を把握しているが、全体像はつかめていない。法的には返済義務はないものの、借入金は被害者名義のため、放置すると信用情報機関に登録され、クレジットカードの作成やローンを組むことが困難になる可能性があるという。
鳥居玲子弁護団長は「一つでも被害を見つけ、警察にも働きかけたい。実害はなくてもアンケートに心当たりがある人は参加してほしい」と呼び掛けている。
説明会は22日午前11時から、福岡市中央区六本松4丁目の県弁護士会館で開く。参加無料。弁護団事務局=092(737)2552。 (野村有希)
弁護士からのコメント
今回のニュースは、アンケートと称して聞き出した学生の個人情報を基に消費者金融から現金を引き出す「アンケートモニター詐欺」の被害が相次いでいるというものです。
アンケートに答えたら謝礼金を支払うとの名目での勧誘詐欺手口は、「キャッチセールス商法」と「モニター商法」を組み合わせた手口といえるでしょう。
「キャッチセールス商法」とは、駅前や繁華街などで、「アンケートに答えてほしい」、「近くで展示会をしているから見ていかないか」などと勧誘し、本来の目的を秘して近づき、喫茶店や営業所などに連れて行き、高額な商品や役務(サービス)を契約させる商法のことをいいます。
他方、「モニター商法」とは、「モニターになれば報酬があります」などと勧誘し、モニター料を代金の支払いにすることを条件に、商品・サービスを無料や格安で提供すると思わせて契約させる商法のことをいいます。
いずれにおいても、商法といえる限度を超えて「キャッチセールス詐欺」「モニター詐欺」といえるものが多く見受けられます。
今回の「アンケートモニター詐欺」でいえば、アンケートに答えるだけを勧誘しても、そう簡単に人は集まらないでしょう。
ましてや答えるとしても、運転免許証などの身分証を含む個人情報まで教えることはまずないでしょう。
しかし、アンケートに報酬をちらつかせることで、その報酬欲しさに人が集まり、個人情報も教えるはめになってしまうのです。
学生という若者をターゲットにしているのは、その若さゆえに少額の報酬であっても集まりやすいこと、比較的時間に余裕があること、まだ疑いを持ちにくいことなどを詐欺師は見越しているのです。
このように詐欺師は、金銭等を騙し取るために自ら考えた手口に騙しやすいターゲットを選び、そのターゲットが多くいるところで詐欺を行います。
「アンケートモニター詐欺」「キャッチセールス詐欺」「モニター詐欺」などの勧誘詐欺被害に遭わない対策としては、甘い言葉には裏があると思ってそもそも誘いに乗らないことです。
もし途中まで話を聞いてしまった場合も、少しでも不審な点があれば即座に断るべきです。
特に必要以上に個人情報を求められる際には、今回のニュースにあるように無断でその情報をもとに借金をさせられたり、買い物をされたりする危険性があるのでより注意が必要です。
最後に「アンケートモニター詐欺」「キャッチセールス詐欺」「モニター詐欺」などの勧誘詐欺被害に遭ったかもと思った際には、遠慮なく当事務所にご相談ください。