数千万円の預金保有と装う、職場の上司から現金詐取か

ニュース内容

数千万円の預金があると装い、職場の上司に「自宅に泥棒が入って現金がない」とウソをつき、260万円をだまし取ったとして、41歳の男が警視庁に逮捕されました。

詐欺の疑いで逮捕されたのは、神奈川県大和市の派遣社員・桐野健一容疑者(41)で、2015年、「自宅に泥棒が入って現金がない」などとウソを言い、派遣先の上司の男性から生活費などの名目で現金260万円をだまし取った疑いがもたれています。

警視庁によりますと、桐野容疑者は高級外車ベンツを所有し、数千万円の預金があるなどとウソを言って男性を信用させていました。ほかにも同様の被害相談が寄せられているということで、警視庁は、桐野容疑者があわせておよそ3000万円をだまし取ったとみて捜査しています。

14日 18時36分 TBS NEWS

弁護士からのコメント

今回のニュースは数千万円の預金があると装い、職場の上司に「自宅に泥棒が入って現金がない」とウソをつき、260万円をだまし取ったとして、詐欺の疑いで逮捕されたというものです。

ニュースにあるよう、詐欺師は金銭等を騙し取るために、直接の手口としてはもちろんのこと、その前提となる自らの情報も虚偽で装うことがほとんどです。

今回の事件では、高級外車ベンツを所有し、数千万円の預金があるなどと自らの情報を虚偽で装っています。

このように自らの情報を虚偽で装うことで、直接の手口となる「自宅に泥棒が入って現金がない」とウソが信ぴょう性を持ちます。

詐欺の被害者としては、高級外車ベンツを所有し、数千万円の預金を持つほどの資産があるなら、狙われて自宅に泥棒が入ることもあるだろうと考えるということです。

ここで、なぜそれだけ預金があるのに引き出さずに、「現金がない」と言うことを信じ、被害者が生活費などの名目で現金260万円も騙し取られるハメになったのか、不思議に感じる方もいらっしゃるでしょう。

推測とはなりますが、まずき出せない理由として、定期で預けているから今解約して引き出すと損をすると言っていたのではと考えられます。

また被害者が260万も渡してしまった理由としては、上記の資産があると信用していることで返済されないことはないと思っていることにくわえ、返済に高金利をのせることを約束するなど甘い言葉を伝えられていると思われます。

すなわち、詐欺を行う者の多くは、資産は持っているけど何かと理由をつけて今は動かすことができないからと伝えるとともに、今の状況を助けてくれたら資産を動かすことができ次第助けてくれた以上のものを返すと言って、金銭等を騙し取ります。

あと高級外車ベンツを所有し、数千万円の預金があるということを、被害者にどのように信用させたのか疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。

こちらも推測になりますが、他人の者を自らが持っているかのように写真等で見せかけたのだと思われます。

高級外車ベンツでいえば、たとえばホテルの駐車場に止まっていたものに自らも含めた写真を撮ることで所有者と見せかけることが可能でしょう。
一方、数千万円の預金については、インターネット上で検索すれば高額が記載された預金通帳の写真はすぐに見つかりますので、それを流用したのではないかと考えられます。

以上のように詐欺師は、金銭等を騙し取るために様々な手段を駆使して、詐欺の準備をし実行に移します。

詐欺に遭わない対策としては、さみしい話かもしれませんが、安易に人を信用しないことです。
特に金銭等が絡む場合は、より慎重を期すことが大事です。

最後に、詐欺に遭ったかもと思った際には、遠慮なく当事務所にご相談ください。

Bio

弁護士 刈谷龍太

グラディアトル法律事務所代表弁護士。
中央大学法科大学院修了。2012年弁護士登録。
離婚・労働・ネット・消費者被害など一般向けのトラブルから、企業法務や経営サポートなど幅広く担当。