ニュース内容
2020年に入って岡山県で「特殊詐欺」の高額被害が相次いでいます。1月だけで被害額が7000万円を超え、警察が注意を呼び掛けています。
01月29日 18:15 KSB瀬戸内海放送
岡山県警によりますと井原市の40代の女性は、2019年9月から2020年1月にかけて携帯電話のインターネットサイトで知り合った相手から「私は過去に4億円の詐欺被害に遭ったが知らない人から支援を受けた。今度は私が支援する番」などと高額支援を約束するメールを受け取りました。
そして支援を受けるための寄付金や手続き費用として、電子マネーなど2000万円以上をだまし取られました。
このほか笠岡市や玉野市、浅口市でも特殊詐欺の高額被害が相次ぎ、2020年の被害総額が7000万円を超えました。
岡山県の2019年の被害総額が約2億1860万円ですが、2020年1月だけで3分の1に達しました。
岡山県警では「安易に高額金の支援などの話に乗らないでほしい」と注意を呼び掛けています。
弁護士からのコメント
詐欺は、時代の流れに合わせて、その形態や手段を変えて行われます。
今回のニュースにある特殊詐欺は、いわば「支援詐欺」「高額支援詐欺」と呼べるものです。
そして、この「支援詐欺」の手口は、昔から行われている「当選商法」を真似たものといえます。
「当選商法」とは、「当選した」「景品が当たった」「あなただけ選ばれた」などと特別な優位性を強調して消費者を勧誘し、お金を支払わせる商法のことをいいます。
「当選商法」の詳細や対策については、下記ページで解説しておりますのでご参照ください。
今回のニュースは、詐欺師が自ら詐欺被害に遭った際に支援を受けたと装って、次は高額支援を行う番と謳うことで騙しています。
これは、まず自分も支援を受けたことがあると伝えることで、高額支援の話に信ぴょう性を持たせ信用させようとする算段です。
いきなり知り合ったばかりの人間から支援をするといっても、警戒され信用されないからです。
また高額支援を謳うのは、今回のニュースでもあるような寄付金や手続費用など必要な金銭を先に支払っても、後に高額が支援されるから大丈夫と思わせるためです。
以上のように詐欺師は、虚偽の情報を伝えて信用させることで、できる限りの金銭を騙し取ろうと考えています。
この点、なぜここまでの金額を騙し取られるのだろうと疑問に思う人もいるでしょう。
たしかに、被害者も途中で何かおかしいのではと不審に感じたという声は弊所でも相談時によく伺います。
しかし、詐欺師は不審を解消し安心させるために様々な言い訳を用意しています。
また、被害者もおかしいとは思いながらも、それまでに支払った金額を考えると途中でやめるわけにはいかないという思考に陥ることが多くあります。
いわばギャンブルに近い感覚で、気が付いたときには引き返せず泥沼にはまってしまっているということです。
すなわち、途中の段階ですでに被害者は冷静な思考・行動ができない状態になっており、かつ今まで支払ってきた金銭が騙し取られたものと考えたくがないために、正常であれば信用できない言い訳も信じてしまうという負の連鎖に入っているのです。
「支援詐欺」「高額支援詐欺」 に遭わない対策としては、そもそも素性のわからない者の支援は信ぴょう性がないと認識し、絶対に手を出さないようにすべきです。
今回のニュースでは、寄付金や手続費用ということで金銭を騙し取られていますが、本当に支援するのであれば手続費用等を負担させることはないでしょう。
また、途中で何かおかしいと思えば、家族や友人のほか警察・弁護士などに相談すべきです。
相談して、それは騙されているのではと言われると、自分を否定されるようで嫌な気持ちにはなるでしょう。
しかし、「聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥」という言葉もあるように、誰かに相談することで詐欺被害をこれ以上食い止めることができます。
くわえて詐欺師は、騙し取れるだけ騙し取れたと思ったときに連絡がつかなくなる傾向にありますが、まだ連絡がつく段階であれば、それだけ今まで支払った金額を回収できる可能性が高まります。
なお、いきなり相談することに気が引けるのであれば、ネットで相手方の氏名や住所などわかる情報を検索するのも有用な手段です。
誰でもインターネットに投稿できる世の中になったおかげで、詐欺被害の掲示板やHP等があり、そこに相手方の情報が載せられている可能性もあるからです。
実際、弊所でも婚活詐欺ではありますが、インターネット検索で相手方の情報があったことをきっかけに、相談に来られ解決に導いた下記事例がありますのでご参照ください。
最後に 「支援詐欺」「高額支援詐欺」に遭ったかもと思った際には、遠慮なく当事務所にご相談ください。