虚偽投資、40億円集金か 詐欺容疑で熊本の男逮捕

ニュース内容

熊本県警は22日、虚偽の投資話を持ち掛け女性から50万円をだまし取ったとして、同県八代市古閑中町の無職、南瀬鉄也容疑者(41)を詐欺容疑で逮捕した。県警によると「きちんと配当するつもりだった」と容疑を否認している。約10年間で全国の3千人から40億円を集めたと供述しており、被害の確認を急ぐ。

逮捕容疑は、昨年2月上旬、県内の男女2人と共謀し、東京都港区高輪のホテルで開いた投資セミナーで、練馬区の女性(56)に「毎月10万円の配当を支払い、元金は全額を返す」などと持ち掛け、50万円をだまし取った疑い。

県警によると、信用させるため、手書きの借用書や自身の免許証のコピーを渡すこともあった。また、金を払った人や支払いの意思を示した人を「GODグループ」と名付けたLINE(ライン)のトークグループに招待、知人らを紹介するよう呼び掛けたり、振込先を指示したりしていた。

逮捕時にはトークグループに約600人が入っており、1人分の紹介料として10万円払うこともあった。

県内のいずれも40代の男女2人は今月15日、体験者としてセミナーで勧誘をしたなどとして逮捕され、その後釈放された。この男性が昨年2月、「投資でもめた客につきまとわれている」と県警に相談し発覚した。〔共同〕

2020/1/22 19:11 日本経済新聞

弁護士からのコメント

今回のニュースは投資詐欺についてです。
投資詐欺は過去から行われている典型的な詐欺ですが、今回は約10年間も行われていたにもかかわらず、今まで警察含む捜査機関に発覚されなかったことについてコメントしたいと思います。

被疑者は約10年間で全国の3千人から40億円を集めたと供述しています。
これを仮に全く配当がなかったとして計算すると、被害者1人当たりのの平均被害額は約130万円となります。

しかし実際にまったく配当がなかったとなれば、たとえ信用させるために借用書や免許証のコピーを渡していたとしても、約10年間も続け3千人の被害者を集めることもできなかったと考えられます。

ですので、当初の数回程度、そして時期は遅れるもののいくらかの配当は行っていたことが推察されます。
そうすると、現実の平均被害額としては約100万円前後ではないかと想定できます。
これは投資詐欺のなかでの話になりますが、被害額としては比較的少額の部類に入ることになります。

すなわち、配当が滞る、原本が返ってこないなど結果として騙し取られたことになっていたとしても、被害額が少額であるがゆえに、簡単に騙された自分も悪い、勉強代などと思い、諦めたり泣き寝入りする被害者が多く、今まで発覚されなかったのではないかと考えられます。

一方、逆に諦めや泣き寝入りすることなく弁護士に依頼して返金を要求してきた者に対しては、返金対応することで裁判など大事にしないようにして発覚を免れていたとも考えられます。

また、セミナーを行ったりSNSのトークグループに招待するなどの手段で、安心感や仲間意識を芽生えさせることで、投資詐欺ではないと思わせるように仕向けていたとも考えられます。

さらに、知人を紹介すれば紹介料を10万円払うというように、配当以外に別のかたちで金銭を得る手立てを用意することで、配当が滞ることに対する不満を減らし、詐欺ではないかとの不審をごまかしていたとも考えられます。

以上はあくまで推測となりますが、これらのことが相まって約10年間発覚されなかったのではないかと考えます。

そして前述したように、多くの被害者がいる投資詐欺の場合、諦めや泣き寝入りすることなく弁護士に依頼して返金を要求してきた者に対しては、返金対応を行うことがままあります。

というのも返金対応をせず、弁護士から裁判を起こされたり、告訴により刑事事件化されたりすると、そのことが他の多くの被害者にも知られる可能性が高まります。
多くの被害者に知られてしまうと、返金要求はもちろんのこと、投資詐欺自体が頓挫してしまうからです。

実際、弊所でも依頼を受け、返金された解決事例が下記ありますのでご参照ください。

最後に、投資詐欺に遭ったかもと思った際には、遠慮なく当事務所にご相談ください。

Bio

弁護士 刈谷龍太

グラディアトル法律事務所代表弁護士。
中央大学法科大学院修了。2012年弁護士登録。
離婚・労働・ネット・消費者被害など一般向けのトラブルから、企業法務や経営サポートなど幅広く担当。