ニュース内容
・東京都はSMSでの納税催告を開始。スマホに直接届くので見逃しづらい。
2020年01月16日 07時00分更新 ascii.jp
・だが、納税催告の文章を流用し、SMS経由で銀行口座情報などを盗もうとする詐欺が流行る可能性も。
・対策は、「送信内容にURLが入っている東京都の納税催告はすべて偽物」と覚えておくこと。
2019年6月から東京都民はSMSでも納税を催促される!?
東京都では2019年6月以降、スマートフォンなどで受け取れるSMS経由での納税催告をスタートさせているとのこと。これまでは納付期限が過ぎると、対象者の住所に催促状を送り、その後は電話や訪問といった手段で催告していましたが、いかんせん勤務中は電話に出られませんし、当然自宅にも居ません。そこで新たな連絡手段として追加されたのがSMS、というわけです。
東京都主税局は具体的な送信内容として、「折り返しご連絡のお願い/〇〇都税事務所です。お伝えしたいことがあります。お電話ください【電話】03-XXXX-XXXX(徴税課〇〇班)※送信専用のため返信不可」「お約束した期限のお知らせ/〇〇都税事務所です。お約束の期日が近づきましたのでお知らせします……」「郵便物のご確認のお願い/〇〇都税事務所です。ご案内を郵送しましたのでご確認ください……」といった文言を公開しています。電話や郵送物、訪問での催告を補完する内容です。
肌身離さず持ち歩くスマートフォンに直接届きますから、多忙で失念していた人たちにも確実に届く画期的な方法と言えるでしょう。
そのまま詐欺の手口に流用できてしまう!?
さて、一見便利なSMS経由での納税催告ですが、もしかすると悪意ある人たちに絶好の稼ぎ口を与えてしまったかもしれません。というのも、これまでポイント還元詐欺、懸賞詐欺などの手口を紹介しましたが、いずれもSMSで届く文面から詐欺を実行するためのURLに飛ばす仕組みが共通しています。つまり、SMSは詐欺を行なう際にも手軽で汎用性が高い、便利な手段なのです。
たとえば、東京都主税局が例示しているSMSの送信内容をそのまま流用し、電話番号をURLに変えて送りつける方法が考えられます。あとはそれらしい偽のWebサイトを作って銀行口座情報を入力させれば一丁上がりです。
とはいえ、対策は可能です。東京都主税局では催告の送信内容にURLを入れることはありません。URL付きの催告は偽物だと覚えておけばよいでしょう。なお、東京以外に住んでいる人たちも油断は禁物です。「本県でも〇月〇日よりSMSによる納税催告を始めました」といった一文を加えればそれらしく見えてしまいます。鵜呑みにせず、必ずご自分の自治体Webサイトから問い合わせすることを忘れずに。
弁護士からのコメント
今回のニュースは、SMSによる納税催促が開始したことで、それに乗じて「SMS納税詐欺」なるものが行われるのではと危惧する内容です。
昨年から、携帯電話の番号だけで送受信ができるSMS(ショートメッセージサービス)に偽のメールを送り、フィッシング詐欺を行うという「スミッシング詐欺」が流行しており、今回のニュースもこれに該当します。
「スミッシング詐欺」の詳細や対策については、下記ページに記載しておりますのでご参照ください。
以前の記載においては、金融機関や宅配業者などが消費者に対しSMSで連絡を行っている運用に乗じて「スミッシング詐欺」が行われていると書きましたが、今回のニュースにあるよう納税催促においても行われる危険性は十二分にあります。
というのも、「納税」は国民の義務である以上、払わなければならないという意識が最も高いものの1つであるがゆえに、詐欺師からすれば騙しやすく、手段として選ぶ可能性が高いといえるからです。
この観点からすると、今後SMS運用が開始すると危険性が高いものとして、電気・ガス・水道などのライフラインに関する事業者を騙っての「スミッシング詐欺」が想定されます。
いずれもなくてはならないもので生活に直結するため、まず先に支払わなければならない意識が強いものだからです。
また、詐欺師は新たなサービスや運用に目をつけて詐欺を行う特徴があるという点からも危険性が高いといえます。
まだ多くの人に知られておらず、当該サービスを行っている事業者や警察・消費者庁などに相談が増えることで世間に注意喚起がなされる前に、騙し取れるだけ騙し取ろうという魂胆を詐欺師は持っているからです。
以上のように、SMSによる納税催促はスミッシング詐欺に悪用される可能性が相当高いといえます。
ですので、もしメッセージが届いた場合には安易にクリックせず、名乗っている自治体の連絡先を自ら調べたうえで問い合わせるようにしましょう。
最後に「SMS納税詐欺」「スミッシング詐欺」に遭ったかもと思った際には、遠慮なく当事務所にご連絡ください。