ニュース内容
経済産業省関東経済産業局は17日、美容機器の連鎖販売取引(マルチ商法)を展開する「YOSA」(大阪市)が、本当の目的を伏せたり、誤解させたりして勧誘したとして特定商取引法違反を認定。勧誘など一部業務の取引停止や、代表取締役と取締役に業務禁止を命じたと発表した。いずれも6カ月間。命令は16日付。
2019/12/17 18:34 一般社団法人共同通信社
YOSAと同じ機器の連鎖販売をしていた「ロマネスク」(大阪市)も一部取引停止、役員1人を業務禁止とした。いずれも3カ月間。
YOSAの広報担当者は「法にのっとって事業を展開しており、経産局の処分には不満がある。不服申し立ても検討している」とコメントした。
弁護士からのコメント
「マルチ商法」とは、一般的には、ある販売組織の加入者が別の消費者に商品や役務を売って組織に加入させてマージンを受け取り、さらにその消費者が別の消費者に商品・役務を売って組織に加入させてマージンを受け取り、さらにその消費者が・・・というようなことを次々に行って組織をピラミッド式に拡大していく商法のことをいいます。
最近では、「ネットワークビジネス」や「コミュニケーションビジネス」と呼ばれることもあります。
扱われる商品・役務は、健康食品、化粧品、投資商品、内職、副業などが挙げられます。
勧誘の手口は、以前は友人・知人からの紹介が主流でしたが、現在はLINEやTwitter・FacebookなどSNS上でも勧誘が行われています。
一方、法律的には、特定商取引法上、「連鎖販売取引」(法33条)と定義されています。
規定の内容として、
①物品の販売(または役務の提供など)の事業であって
②再販売、受託販売もしくは販売のあっせん(または役務の提供もしくはそのあっせん)をする者を
③特定利益が得られると誘引し
④特定負担を伴う取引(取引条件の変更を含む。)をするもの
を「連鎖販売業」としています。
そして、「連鎖販売取引」に該当すると、消費者を保護する3つの制度が以下設けられています。
①法律で定められた契約書面を消費者が受け取ってから20日間のクーリング・オフ制度
②勧誘の際に嘘があり消費者が誤認して契約を締結した場合の取消制度
③いずれの適用がない場合であっても販売員をやめることができる中途解約制度と中途解除した場合の返品制度
このようにマルチ商法は、特定商取引法上「連鎖販売取引」として厳しく規制がなされています。
今回のニュースでは、本当の目的を伏せたり、誤解させたりして勧誘したとして特定商取引法違反を認定され、一部業務の取引停止や役員の業務禁止命令が下されています。
具体的には、マルチ商法であることを伏せて勧誘したことにつき、氏名等の明示義務違反(勧誘目的不明示)、勧誘の際に利益が生じることが確実と誤解させたことにつき、禁止されている断定的判断の提供違反が認められたとのことです。
詐欺ともいいうる悪質な「マルチ商法(ネットワークビジネス)」に遭わない対策としては、そもそも前述のように法律上厳しく規制されているビジネスだと理解し、安易に手を出さないことです。
その厳しい規制の中、実際にビジネスとして成功させるには、商品や役務が多くの人から見て魅力的であるのはもちろんのこと、相当の人脈や営業・勧誘努力が必要です。
また、現実問題、勧誘時には甘い言葉で誘ってきますが、トラブルなどを起こし、結果としてビジネス自体が短期間で破綻していることが多いことがデータ上であらわれています。
ですので、仮に勧誘されたとしても、絶対にその場で判断せず、冷静になって家族や友人に相談しましょう。
最後に「悪質マルチ商法(ネットワークビジネス)」「マルチ商法(ネットワークビジネス)詐欺」に遭ったかもと思った際には、遠慮なく当事務所にご相談ください。