ニュース内容
お金を貸すといううその話をSNSで持ちかけ、面識のない20代の女性から保証金名目で現金をだまし取ったとして、19歳の少女が警視庁に逮捕されました。SNS上で金の貸し借りを持ちかける「個人間融資」をめぐってはトラブルが相次ぎ、関係機関が注意を呼びかけています。
2019年12月17日 6時50分 NHKニュース
逮捕されたのは、住所不定、無職の19歳の少女です。捜査関係者によりますと、少女はお金を貸すといううその融資話をSNSで不特定の相手に持ちかけ、連絡してきた面識のない20代の女性から保証金名目で現金数万円を振り込ませてだまし取ったとして、詐欺の疑いが持たれています。
SNS上で見知らぬ個人どうしが金の貸し借りを持ちかける「個人間融資」をめぐっては、トラブルが相次いでいます。
国民生活センターによりますと、「個人間融資」に関する相談は昨年度から増加し、保証金をだまし取られる被害のほか、違法な高金利での貸し付けや、金を借りた相手から性的な関係を要求される被害などが報告されているということです。
金融機関から融資を受けられない多重債務者だけでなく、SNSが身近な若い世代からの相談も目立っているということです。
国民生活センターや金融庁などは、こうした「個人間融資」を利用しないよう呼びかけています。
SNS上では、「お金を貸します」などと個人間融資を持ちかける書き込みがあふれています。
しかし、貸金業の登録をせずにこうした融資を行うことは違法の疑いがあり、詐欺の手口のほか高金利のヤミ金融にも悪用されています。
金融庁も対策に乗り出していて、先月からツイッター上で公式のアカウントを開設し、「個人間融資」を持ちかけるツイートに対して、「違法な疑いがある」などと公開の形式で、直接、返信しています。
返信を受けたツイートは、これまでの1か月ほどでおよそ40件に上り、削除されたものもあったということです。
国民生活センター相談情報部の飯田周作課長補佐は「手元にあるスマートフォンやパソコンなどを通じて、若者が気軽な形で借り入れをしてトラブルになるケースが相次いでいる。個人間融資を利用することはやめてほしい」と話しています。
弁護士からのコメント
そもそも「融資」とは、お金を必要とする者に貸し、資金を融通することをいいます。
ただ、一般的には、銀行や信用金庫などの金融機関が法人・個人に対し、特定の目的のための資金を貸し出すという意味合いで使われることが多いです。
それゆえ、今回のニュースも、個人間である例外性から、「個人間融資」と表現していると思われます。
そしてニュースにもあるよう、昨年度から「個人間融資」のトラブルが増加しているとのことで、当事務所においても実際に相談が増えています。
その中でもっとも多いのが、先に保証金・登録料や利息の前払いなどが必要とのことで相手方に振り込むと、そこから連絡がつかずに騙し取られる詐欺被害です。
また、騙されるきっかけとなる手段が、LINEやTwitterなどSNS上であることが多いのも特徴です。
以上のことから、今回の事件が、「個人間融資詐欺」や「SNS融資詐欺」といわれている所以だと思います。
以前は、お金の貸し借りに関するトラブルは、知り合いのほかは闇金業者・詐欺師に実際に会うことで、その場で信用してしまった結果として起こることが主流でした。
今回のニュースのように、不特定多数の相手に対して実際に会わずに振込などで送金させる手口は、SNSやネットバンキングをはじめとしたインターネット決済が発達・流行してからといえます。
このように世の中が便利になった反面、闇金業者・詐欺師に限らず誰もが詐欺をはじめとした犯罪に手をつけることができるようになっています。
また、相手方のわかる情報としてはSNSのアカウント名といわゆるトバシの口座などだけで、身分証を用いて氏名や住所の確認もせず、かつ実際にも会わないことから、騙し取られたとしても相手方を特定するのが難しいという問題もあります。
この問題は、相手方にとっては、素性がバレずに足がつきにくいということになりますので、増加している一因といえるでしょう。
さらに、口座情報のほか、氏名や住所・勤務先などの個人情報を教えてしまうと、個人情報自体を闇金業者や特殊詐欺グループに売られたり、個人情報をもとに恐喝されたり性的関係を強要されたりなどの二次被害の発生もあり得ます。
「個人間融資詐欺」や「SNS融資詐欺」に遭わない対策としては、たとえSNS上に甘い言葉で誘いがあり、現状お金に困っていたとしても、絶対に手を出さないようにしましょう。
結果として、お金はもちろんのこと、個人情報なども騙し取られたりしたとなれば元も子もありません。
最後に、「個人間融資詐欺」や「SNS融資詐欺」 に遭ったかもと思った際には、遠慮なく当事務所にご相談ください。