架空開発詐欺…被害総額は5億1000万円 51歳男が6社だます

ニュース内容

架空の開発計画への参加を持ち掛けられ、本宮市の製造会社などが金銭をだまし取られた事件で、長野県立科町、会社役員、被告男(51)=詐欺罪で公判中=が複数の会社から同様の手口でだまし取った被害総額は約5億1000万円に上ることが11日、郡山北署の調べで分かった。同署は同日までに、本宮市や秋田県、神奈川県など全国各地の計6社をだました計9件の詐欺について、被告を同容疑で送検した。

同署によると被告は2012(平成24)年12月~18年7月ごろ、6社に対し、実在する外資系企業の社員を装い、多額の利益が得られるとうそを言って架空の開発計画への参加を持ち掛け、「情報漏えい防止のための保証金」を名目に、海外の口座に送金させる手口で詐欺を繰り返したとみられる。だまし取った金銭を「カーレースの活動費や生活費に充てた」と話しているという。地検郡山支部はこのうち8件分について5回にわたり被告を同罪で起訴した。地裁郡山支部で開かれている公判で被告は起訴内容を認めている。

2019年12月12日 08時35分 福島民友ニュース

弁護士からのコメント

今回のニュースの架空開発詐欺は、投資詐欺の一種であり、いわゆる『原野商法』という類型に該当するものと思われます。

『原野商法』とは、値上がりの見込みがほとんどないような山林や原野について、実際には建設計画等はないにもかかわらず「開発計画がある」「もうすぐ道路ができる」などと嘘の説明をしたり、「将来確実に値上がりする」などと勧誘を行ったりして販売をする商法です。

そして、企業をターゲットとする架空開発詐欺(原野商法)においては、今回の事件にもあったように、実在する外資系企業の社員を装い、保証金の名目で、海外の口座に送金させる手口がよく見受けられます。

というのも、実在する外資系企業を装えば、被害者としては信用しやすく、かつ、日本企業でないため確認も取りづらいので、詐欺師としては騙しやすいという特徴があるからです。

また、保証金の名目は、基本的には後に返ってくることが前提となりますので、被害者としては出資しやすい一方、詐欺師としては騙し取りやすいからです。

さらに、海外への口座の送金は、外資系企業であることの辻褄合わせにくわえ、詐欺師にとって足がつきにくいというメリットがあるからです。

このような企業をターゲットとする詐欺師はいかに信用させるかが重要になってきますので、 入念な計画と周到な準備を行っていることが通常です。

原野商法含め投資詐欺に遭わない対策としては、高利回りや好条件の話であればあるほど疑ってかかるべきです。

本当に高利回りや好条件の話であれば、他人に勧めず、金策に当たってでも自ら投資するであろうといえるからです。

ですので、今回の事件のように外資系企業を装われたなど聞きづらい状況や環境にあったとしても、少しでも何かおかしいと思うところがあれば、当事者にはもちろん、関係各所にも問い合わせるようにしましょう。
「聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥」の気持ちが、詐欺を未然に防止することにつながるからです。

最後に、原野商法含め投資詐欺にあったかもと思った際には、遠慮なく当事務所にご相談ください。
動くのが早ければ早いほど、相手方から金銭を取り戻せる可能性は高まります。

Bio

弁護士 刈谷龍太

グラディアトル法律事務所代表弁護士。
中央大学法科大学院修了。2012年弁護士登録。
離婚・労働・ネット・消費者被害など一般向けのトラブルから、企業法務や経営サポートなど幅広く担当。