ニュース内容
警察官を名乗ってニセ電話詐欺の「だまされたふり作戦」に協力を依頼し、現金などを送らせる手口の詐欺事件が茨城県内で確認された。つくば市の無職女性(85)が、現金計約3250万円をだまし取られたという。
2019年12月5日10時26分 朝日新聞
県警つくば北署によると、9月19日午後4時ごろ、女性宅に警察官を名乗る男から「ニセ電話詐欺に注意して下さい」という電話があり、「相談窓口」の電話番号を伝えられた。「050」で始まる番号だった。
翌日、女性の親戚を名乗る男から「不倫相手を妊娠させた。示談金を工面してほしい」などと電話があった。「詐欺だ」と思った女性が前日伝えられた番号に電話したところ、警察官を名乗る男から「犯人を捕まえるため、だまされたふりをして送金してほしい」などと要求された。
信用した女性は、指定された都内の住所に現金250万円を宅配便で送金。その後も警察官を名乗る男から複数回指示があり、10月3日までに2回、現金計200万円とキャッシュカード2枚を宅配便で送った。
女性はその後も男と連絡を取り合っていたが、先月30日、電話がつながらなかったことで不審に思って警察に通報し、被害がわかった。カードの口座からは先月21日までに計約2800万円が引き出されていた。
県警は「だまされたふり作戦で送金を依頼することはないので、注意してほしい」と呼びかけている。(佐野楓)
弁護士からのコメント
「振り込め詐欺」をはじめとする「特殊詐欺」は、日に日に手口が巧妙化しています。
今回の事件では、まず警察などの公的団体を名乗り、『ニセ電話詐欺に注意してください』と伝えた上で、翌日、別の者にあえてニセ電話詐欺をかけさせることで、昨日話した警察を名乗る連絡先に電話をかけさせ、犯人逮捕に協力してほしいと虚偽を述べ、現金やキャッシュカードを騙し取るという相当手の込んだやり口となっています。
被害者としては、いちど警察官を名乗る者から『詐欺に注意』と言われ、翌日にニセ電話詐欺がかかってくれば、早速当該警察官に伝えようと思うことは、いわば仕方のないところともいえます。
このように用意周到にされる特殊詐欺に遭わない対策としては、どのような職業や団体を名乗る者が現われたとしても、できる限りその場で名乗る団体の連絡先に、相手方から聞いた情報ではなく、自ら調べたうえで電話して確認をとるようにしましょう。
相手方から聞いた連絡先は、今回の事件のように虚偽であり、結果として騙されることになるからです。
また、ニュースにあるとおり、騙されたふりと言えども、 一般人の方に送金や振込を警察が依頼することはないとのことですので、絶対に送金や振込はしないようにしましょう。
最後に「特殊詐欺」に遭ったかもと思った際には、遠慮なく当事務所にご相談ください。