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「ご主人さま、いらっしゃいますか?」
2019/11/20 06:00 日刊ゲンダイDIGITAL
特殊詐欺グループはこう家族構成を確認してから、「仕事」に取り掛かっていた。高齢女性に電話をかけ、キャッシュカードをダマし取ったとして、大阪府警は14日、神戸山口組系宅見組傘下組織の組員で「かけ子」のリーダー、青木竜治容疑者(28)ら男3人を詐欺容疑で逮捕した。
グループは65~80歳の女性のみ約3万6000人分の名簿を所持。夫に先立たれた一人暮らしの高齢者を狙い、関東在住の10人から1386万5000円を詐取していた。
まずは大手家電量販店の店員を名乗り、「〇〇さまのカードを使用して高額な買い物をしているお客さんがいらっしゃいますが、心当たりはございませんか」と電話。女性が「店には行ってません」と答えると、「不正なカードなので警察に通報しておきます」と話す。
続いて警察官に扮した男が電話をしてきて「被害を防ぐためにカードを止めないといけないので、銀行協会に連絡しておきます」と告げる。
すると全国銀行協会を装った男から電話があり、「新しいキャッシュカードを作るので、暗証番号を教えてください」と畳みかける。
「最後の残高と暗証番号を聞き出すのが一番難しく、それを青木容疑者が担当しとった。店員や警察官になりすますセリフやポイントなどのマニュアルをこしらえ、いつ踏み込まれても証拠を処分できるように、水溶紙にビッシリ書いとった。青木容疑者いうんはファイナンシャルプランナーや簿記2級の資格を持っとるインテリやくざや」(捜査事情通)
マニュアルには対処法が細かく記されており、室内に掲げられたホワイトボードには、「探るのも大切だけど、まずは自分が店員だと思わせること」という訓示まであったという。
弁護士からのコメント
近年、振り込め詐欺を代表とする特殊詐欺の手口が巧妙化しています。
今回のニュース記事のように、詐欺集団はそれぞれ役割分担を行い、畳みかけるように別々の人間が連絡をとることで、緊急性を醸し出す一方で、詐欺ではないとの安心感を装います。
このような特殊詐欺に遭わない対策としては、まずは電話をかけてきた人間に対し、フルネーム、自ら名乗る団体の支店や管轄など所属部署、連絡先などできる限りの情報を聞き出すことです。
特殊詐欺を行う者は、基本的に実在しない人間に扮している以上、いかにマニュアルがあるといえども会話の中で口ごもったり、まともに回答できない等どこかでボロを出す傾向にあります。
そこで、少しでも不審点を感じた際には、それ以降別の人間が連絡してきたとしても、毅然と対応しないことを伝えましょう。
あわせて、聞き出した情報をもとに、別途インターネット等で自ら調べた当該団体の連絡先に確認し、虚偽であることが判明すれば警察にも通報しましょう。
なお、特殊詐欺の電話への対策は、下記ページにも記載しておりますのでご参照ください。
最後に特殊詐欺に遭ったかもと思った際には、遠慮なく当事務所にご相談ください。