婚活詐欺に注意!!騙されているかもしれないと思ったら弁護士に相談を。

1.事案の概要~弁護士との相談に至るまで~

相談者は女性。
婚活サイトで条件のいい相手方とマッチング。

メールのやり取りで意気投合して直接会うことになり、実際会ってみても好印象。
将来の結婚も視野に入れながら、はれて交際することになりました。

すると、相手方から交際の記念に高価な宝飾品をお互いにプレゼントしあおうとの提案が。
結婚を前提にした交際、お互いにプレゼントを渡し合う約束だったから、相談者は承諾。

しかし、約束どおり相談者は相手方にプレゼントしたものの、相手方はすぐにプレゼントを渡してくれません。
ただそれでも相手方に対する恋愛感情もあったことから、いずれ約束を果たしてくれるだろうと信頼して交際を継続。

ところが、相手方はいつになっても何かと理由をつけてプレゼントを渡してくれず。

逆に、さらなるプレゼントが欲しいと要求してきました。
また、当初聞いていた住所と異なる場所に住んでいるとの発言や、自営業であると聞いていたのに社員バッジをつけていたり、社用車で待ち合わせ場所に現れたりなど矛盾する言動が見え隠れするようになりました。

そこで、ふと相手方の氏名をネット検索したとき、ある詐欺被害の報告サイトに携帯番号とともに要注意人物との記載を発見。
婚活詐欺ではないかという不安になり、相談に来られました。

2.弁護士との相談~方針決定~

まず前提として、婚活サイトや婚活パーティーなど結婚を求める男女が出会う場には、その結婚願望や恋愛感情を巧みに利用し、詐欺を働く人間が少なからずいることを説明しました。

そして婚活詐欺を行う男の常套手段として、職業や年収・資産などの条件がハイスペックで登録していること、交際が始まる前後に高額なお金にまつわる話を持ち掛けてくること。
まさに今回のケースも同様の手口だったので、不安に思ったとおり婚活詐欺の可能性が高ことを告知しました。

相談者はショックを受けながらも、プレゼントした宝飾品の返却と、可能であれば慰謝料も請求したいとの要望で、ご依頼をいただくことに。

方針としては、幸い、婚活詐欺ではないかと勘繰っていることを相手方にはまだ気づかれていない状況だったので、まず依頼者には依頼後もいつもと変わらずメールなどやり取りを行ってもらうよう指示。

こちらは、詐欺被害の回収可能性を大きく左右する事情で、詐欺と疑っていることに気づかれると、まったく連絡がつかなくなったり、行方をくらましたりして回収が厳しくなることがままあるからです。

一方、相手方の情報が名前と携帯番号しかなかったため、相手方が気づいていない間に、できるかぎり調査を行い、回収につながる情報を取得した上で、交渉を行う方針ですすめることに。

なお、今までのメールなどのやり取りは、訴訟の可能性も踏まえて、すべて保存しておくことを依頼者に伝えました。

3.受任後の弁護士の活動~解決に至るまで~

まずは弁護士独自の弁護士会照会という調査方法で、携帯番号からその契約者の氏名や住所を割り出しました。
そして弁護士会照会で判明した結果をもとに、管轄の役所に相手方の住民票を請求すると、既婚者と判明

依頼者と検討の上、家族に知られる可能性のある内容証明を送るのではなく、携帯電話にかけて直接交渉をすることを選択しました。

既婚者であれば、通常、家族には知られたくないとの心理が働くため、その心理をついて交渉を優位にすすめられる場合があるからです。

早速、弁護士から相手方に電話。
宝飾品の返却と一定の慰謝料の支払いが依頼者の要求であることを伝えました。

すると相手方は、訴訟も辞さないとの返答を。

しかし、今回いきなり内容証明を送るのではなく電話での交渉を選択したのは、家族に知られる可能性に配慮したこと、一方で、電話での交渉に応じないのであれば、より家族に知られる可能性のある訴訟という手段も選択せざるを得ない
ことを伝えると、交渉に応じると回答を翻しました。

後日、相手方は事務所に訪れ、プレゼントした宝飾品の返却と慰謝料として50万円を支払い、無事解決に至りました。

4.弁護士からのコメント

婚活サイトや婚活パーティーなど婚活を行う場において、詐欺を働く人間が急増しています。

というのも婚活を行う場には、登録時に職業や年収等を一定程度開示するのがルールであったり、その他個人情報を聞き合うことが、結婚を目的とするためいわば当たり前という特性があるからです。

詐欺を働く人間は、その特性を逆手に取り、お金を持っているかどうか、また、騙し取りやすいタイプの人間かどうかを登録時の情報や聞き出した情報から判断します。

ですので、婚活詐欺に遭わないためには、い人だと思った場合でもしっかりと見極めることが大事です。
特に条件がよければよいほど、登録情報や発言が本当かどうか吟味すべきでしょう。

たとえば今回のケースでもあったように、氏名をネットで検索してみる、ほかには、大企業に勤めているなら名刺をもらう、経営者なら会社名や会社住所を調べてみるなどの方法があります。

また、付き合う前後の時期に、お金に関する話が出てきたときも要注意です。
よくある話としては、家族に病気や借金があること、会社の資金や投資する金銭が足りないことなどを、付き合えない、結婚できない理由にしてきます。

そしてお金を出させる常套句として、「個人としてはお金を持っているが、今事情があって動かせないだけで、動かせるようになったらすぐに返すから」「交際、そして将来結婚する相手だから信じてほしい」などをいう傾向にあります。
お金に関する話が出てきたときには、自分だけで判断せず、家族や友人に相談しましょう。

最後に、婚活詐欺に遭ったかもと思った場合には、遠慮なく当事務所にご相談ください。

Bio

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。
東京弁護士会所属(登録番号:50133)
男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。