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【借地借家法】借主は立ち退き拒否or立退料増額できる理由を解説!

「急に立ち退きを請求された…借地借家法ってなんだろう?」

「借地借家法が、立ち退き請求にどのように影響するの?」

立ち退き請求をされている多くの方は、少しでもご自身が損しないために、さまざまなリサーチをして対処法を探していることかと思います。

その過程で、借地借家法の存在を知った方も少なくないでしょう。
しかし、わかりづらい法律の言葉に「結局のところ何が重要なの?」と感じているのではないでしょうか。

立ち退きトラブルにかかわる借地借家法を、簡単に説明すると以下のとおりです。

とくに、オーナー側からの立ち退き請求が正当であるかどうかを判断できるのが、借地借家法にある「正当事由」です。

オーナーから提示された立ち退きの条件が、正当事由に該当していない場合は、借主は立ち退き拒否や立退料の増額ができる可能性があります。

万が一、今の物件から立ち退くならば、もらえるだけの立退料をもらっておきたいですよね。

少しでも立退料を増額するためには、自分で直接立ち退き交渉をするのではなく、交渉力と法律の知識を持っている弁護士に相談しておくべきです。

そこでこの記事は、以下についてお話ししていきます。

この記事でわかること
・立ち退きにおける「借地借家法」を簡単解説
・借地借家法によって立ち退き請求を拒否できる可能性を説明
・借地借家法によって立退料を増額できる理由を解説
・立ち退き請求を任せられる弁護士の選び方を紹介

立ち退きを請求されている方に共通している不安が「とにかく損はしたくない!」だと思います。

あなたの損失を回避するためには、借地借家法への理解はもちろん必要です。しかしそれよりも、弁護士に立ち退き交渉代行を依頼するのが先決です。

まずはこの記事を読んで、判断基準が曖昧な借地借家法と、弁護士に依頼すべき理由について考えてみることからはじめてみましょう。

1. 立ち退き請求されても借主は借地借家法で原則拒否できる

たとえ物件のオーナーから立ち退き請求された場合でも、借地借家法があるため、原則その立ち退き請求は拒否できることをご存知でしょうか。

「すぐに立ち退いてほしい」という理不尽な要求に応えてしまったら、あなただけに大きな金銭的負担がかかってしまいますよね。

そのようなケースを避けるために「借地借家法」では、オーナー都合の立ち退き要求は「正当事由」がなければ認められないとされています。

第二十八条 建物の賃貸人による第二十六条第一項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。

引用:e-Gov法令検索「借地借家法|建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件

多くの立ち退き請求が、この二十八条にある「正当事由」をクリアしていない場合がほとんどです。
そのため、原則として、立ち退き請求を拒否できる可能性があります。

もっとも、以下の場合には例外的に、立ち退きを拒否できない可能性があります。

・そもそも更新ができない定期賃貸契約の物件である

・家賃滞納など、賃貸契約に違反してしまった

このように、立ち退き請求をされている借主も、そこまで弱気になる必要はないのです。

オーナー側も、自分の要望を貫いて裁判をしてまで立ち退かせたいわけではありません。
スムーズに立ち退いてもらえるのであれば、立退料を加味しても良いと考える場合がほとんどです。

まずはオーナーからの急な立ち退き請求を拒否したうえで、あなたも立退料をしっかりともらえるように立ち退き交渉をするのが一般的だと覚えておきましょう。

立ち退きの拒否についての詳細は、以下の記事もご参照ください。

2. たとえ立ち退く場合でも、正当な立退料を請求できる

オーナーの立ち退き請求に同意する場合でも、借地借家法でいう「正当事由」に当てはまらなければ、適切な立退料を請求できます。

立退料をしっかりもらえれば、引越し費用や新居の礼金などを補えますよね。

そうはいっても、いくらぐらいの立退料をもらえるのか知らない方がほとんどです。
立退料には明確な相場はありませんが、以下を目安にしてみてください。

住居の場合と店舗テナントの場合の立退料の目安

出典:立ち退き料100万円は安い?高い?住居と店舗での判断基準を徹底解説

借主がどれくらいの損害を受けるのかは、居住用・事業用(店舗・テナント)など、それぞれのケースによって大きく変わります。

たとえば、下記のようなさまざまな費用を考慮したうえで、立退料の金額を交渉していくのが一般的です。

・引越し費用
・新居の賃料との差額分
・新居の仲介手数料や礼金等
・新居の内装工事費用
・休業中に得られるはずだった事業利益分
・休業中に発生する従業員の給料などの固定費用
・事業移転したことで損失した顧客分の利益 など

出典:立退料の相場と増額ポイントは?

もしも安い立退料で同意してしまった場合、上記のような費用を自分で補わなければならなくなってしまいます。
立ち退き交渉代行サービスを提供している経験上お伝えすると、オーナーが提案してくる立退料は、最初はとても安い金額になっている場合がほとんどです。

立ち退くことで高額な出費が生じるからこそ、本来もらえるはずの立退料のために交渉する機会を失わないようにしていきましょう。

立ち退き料の相場と増額交渉のポイントについての詳細は、以下の記事もご参照ください。

3. 【判例付き】実際に立ち退きしなくて良いか判断するための5つの判断基準

借地借家法で借主は守られることがわかったかと思いますが、実際のところは弁護士でもはっきりと判断するのが難しいのが現実です。

とくに、借地借家法に基づいた「正当事由」に対する判断基準は、それぞれのケースによって違うと覚えておきましょう。

借地借家法の第二十八条では、以下の5つの要素を判断基準としてみています。

借地借家法「正当事由」5つの判断基準

出典:立ち退きの正当事由とは?判例に照らして弁護士が分かりやすく解説!

主に上記の5つの要素が、オーナー側と借主側それぞれに該当するのかどうかで、立退料を増額できる可能性が高くなります。

もちろん個別のケースによって、条件や立退料の金額も大きく変わるため、簡単に判断ができないのです。

正当事由の5つの要素は、ひとつの要素だけで判断されるのではなく、すべての要素が判断材料となります。


わかりやすくいうと、下記の図のようにすべての要素を洗い出したうえでどちらが重要度や緊急度が高いのかで、判断されるのです。

借地借家法「正当事由」判断基準

参考までに、実際におきた2つの判例を紹介します。

3-1. 【判例1】オーナー側の立ち退き請求が認められなかったケース

【内容】
・遺産相続によって新しいオーナーに代替わり・新しいオーナーは「建物の老朽化のため修繕が必要」という理由で立ち退きを請求・立退料は60万円程度

参考:REITO「建築後約40年を経過した建物の所有者である賃貸人による明渡請求が否定された事例

築40年以上が経過した物件のオーナーが亡くなり、遺産相続によって新しいオーナーに代替わりした判例です。

このように、さまざまな要素を比較したうえで、下記のような判決が出されました。

▼立ち退き請求に対する判決

オーナーと借主の事情を比較したうえで検討すると、オーナー側が立ち退き請求で提示した理由は正当だとは認められない。
また、立退料を120万円に増額するという申し出もあるようだが、そもそも正当事由である「建物の必要性」において借主側の方に必要性があると判断できる。
そのため、たとえ120万円の立退料になったとしても、その金額は正当事由を補うほどの妥当額には達していない。
以上のことから、オーナー側からの立ち退き請求は正当ではないので認められない。

参考:REITO「建築後約40年を経過した建物の所有者である賃貸人による明渡請求が否定された事例

3-2. 【判例2】適正な立退料に増額したうえで立ち退きに同意したケース

【内容】
・複数事業所が入居していた物件が、周辺開発の目的で売買されオーナー代替え・新しいオーナーは「建物の老朽化・周辺地域の再開発・自己使用」などで立ち退き要求・該当物件の95%は立ち退きに同意済み・立退料は合計3,610万円(喫茶店2店舗:1,580万円+1,850万円・靴修理店:180万円)

参考:RETIO「築後40年以上経過の都心ビルの建替え・再開発の必要性を理由とした建物明渡し請求が立退料と引替えに認容された事例

複数の事業所が入居している物件が売買されたことで、新しいオーナーが入居事業所に立ち退きを要求した判例です。

借地借家法「正当事由」判例の事実関係

このように、事業主側の建物使用の必要性が大きかったことで、以下のような判決が出ました。

▼立ち退き請求に対する判決

オーナー側が主張している、新たな事業の計画性や具体的な主張は不十分であると判断された。

提示した立退料も不足しているため、不動産鑑定や借家権価格、そして移転実費および営業損失などを加味したうえで、立退料が以下のように計算し直された。
・喫茶店(2店舗):5,120万円 + 5,215万円・靴修理店:180万円

その結果、立退料の合計額は1億515万円が妥当であるとされている。

参考:RETIO「築後40年以上経過の都心ビルの建替え・再開発の必要性を理由とした建物明渡し請求が立退料と引替えに認容された事例

このように、たとえ立ち退きを請求されていても、借地借家法を理解して適切に対処できれば被害を最小限にして、適切な立退料をもらえます。

もっと詳しく知りたい方は、「立ち退きの正当事由とは?判例に照らして弁護士が分かりやすく解説!」をご覧ください。

4. 借地借家法で立ち退き交渉を有利に進めたいなら弁護士に依頼すべき

借地借家法について理解を深めたところで「借地借家法について完璧に理解した!立ち退き交渉も自分でできる!」という、状態になっている方はほとんどいないかと思います。

結論からお伝えすると、立ち退き交渉を有利に進めたい方は、早い段階で弁護士に立ち退き交渉の代行を依頼すべきです。

弁護士に依頼すべき理由には、以下のようなものがあります。

立ち退き交渉を弁護士に依頼すべき理由

そもそも立ち退き交渉を自分で行おうとしてしまうと、物件のオーナーの高圧的な態度に言い負かされてしまい、借主にとって損でしかない条件で立ち退きに同意してしまうかもしれません。

あなたの損失リスクを回避するだけではなく、立退料をしっかりと確保していくためにも、弁護士に相談してみてください。

弁護士に依頼すべき理由については「立ち退き交渉 代行」の記事でさらに詳しく解説しているので、是非ご覧ください。

5. 立ち退き請求で損をしたくない!あなたを救う弁護士を選ぶポイント

立ち退き請求に適切に対応するためには、自分で直接交渉するのではなく、弁護士に代行してもらうべきだと理解できたかと思います。

ただし、弁護士による立ち退き交渉代行も、弁護士の力量次第で得られる結果が変わってくるので注意しなければいけません。

少しでもあなたが立ち退き請求で損しないために、弁護士を選ぶ時に意識すべきポイントをご紹介します。

立ち退き交で弁護士を選ぶポイント

せっかく弁護士に依頼したにも関わらず、立退料がそこまでもらえなかったというような損をしないためにも、本当に力になってくれる弁護士を選びましょう。

5-1. 過去実績や交渉力の力強さがあり、確実に立退料を増額してくれる

確実にあなたが損しない額の立退料を獲得するためには、過去実績があるだけではなく、交渉力がある弁護士を選びましょう。

立ち退きトラブルを解決した過去実績は、ホームページや口コミなどから調べられます。

法律事務所によっては、実際に獲得した立退料も公開している場合があるので、参考にしてみてください。

また、立退料を少しでも増額するためには、交渉力があるかどうかも重要になってきます。
たとえば初回相談などで感じたコミュニケーションスキルで、交渉力のある弁護士であるかどうかを判断でるでしょう。

まずは「本当に立退料を増額できる弁護士なのか」を、しっかりと見極めることが重要です。

5-2. 弁護士費用の内訳が明確で、費用倒れの可能性も教えてくれる

弁護士に立ち退き交渉代行を依頼すると、必ず弁護士費用が発生してしまいます。

ケースによっては、弁護士費用が高額になってしまうため、費用について事前に明確にしてくれる弁護士を選びましょう。

たとえば、以下のような項目が明確であるかどうかが重要になってきます。

▼弁護士費用のチェックポイント

・初回相談は無料なのか・着手金が必要かどうか・事務手数料の金額はいくらか・成功報酬の割合はどうか・実費や日当が必要かどうか

初回相談の段階で、費用を明確に教えてくれる弁護士であれば、より信頼して依頼できますよね。

また「難しいケースで費用倒れになってしまう可能性がある」などの費用リスクなどを、事前にしっかりと伝えてくれる弁護士を選ぶべきです。

5-3. 借主に寄り添い、常に親身になって話を聞いてくれる

立退料の増額や明瞭な費用内訳だけではなく、弁護士の人間性も重要です。

より、信頼できる弁護士を選ぶためには、あなたの不安や悩みを親身になって聞いてくれる弁護士を選びましょう。

弁護士が親身になってくれるかどうかは、初回相談の場でも見極められます。

あなたが置かれている状況をしっかりと理解し、否定ではなく認めたうえで、一緒に解決法を探してくれるような弁護士を選べるようにしてください。

立ち退き交渉では、借主に寄り添ってくれるだけではなく、オーナー側にも寄り添ってくれる弁護士の方が立ち退き交渉を成功に導いてくれますよ。

6. 借地借家法の理解が重要な立ち退きトラブルは、グラディアトル法律事務所にお任せ

少しでもあなたの金銭的・精神的負担を軽減するために立ち退き交渉代行を考えている方は、私たちグラディアトル法律事務所にお任せください。

グラディアトル法律事務所では、借主の方が損しないために、全力でサポートしていきます。

立ち退き料の弁護士はグラディアトル法律事務所がおすすめ

6-1. 立退料を2,200万円増額した成功実績あり!増額のために全力投球

立退料2400万増額事例図700→3100

グラディアトル法律事務所では、実際に事業所の立ち退き案件で2,400万円の立退料増額に成功した実績があります。

実際の事例の内容は、以下のとおりです。

▼立退料2,400万円増額の事例

ビルの一室で事業を営んでいる借主に対して「建物の老朽化により建て替えが必要」として、立ち退き請求が届く。
借主は、現在の物件と同様の条件で借りられる新居を探し、そこに事業所を移転しようと考えた。そこで、オーナーに対して立退料の交渉を行った。
オーナーから提示された立退料は当初700万円だった。その金額に同意できず、グラディアトル法律事務所が交渉に入り「立ち退く意思はあるが、立退料を正当な額に増額してほしい」と交渉をはじめた。
その結果、当初の700万円から3,100万円まで立退料を増額できた。

出典:立退料2400万円増額事例

上記のように、大幅な立退料増額ができたのは、私たちがあらゆる方向から徹底的に調査をしているからです。

たとえば、上記のような事業所の立ち退き交渉では、下記のように立ち退くことで生じるあらゆる損失を洗い出すことに注力します。

・新居の不動産仲介手数料
・動産移転費用
・内装工事費用
・内装工事中の新居の賃料や共益費
・事業所移転により生じる届出費用
・新居の賃料との差額数年分
・営業損失

このように、立退料に含まれる「損失」は幅広いにもかかわらず、多くのケースは立退料にはここまで含まれていないのです。

住居の場合はもちろんですが、とくにさまざまな損失が生じる事業所の場合は、弁護士がどこまで調査できるのかも重要になってきます。

グラディアトル法律事務所は、少額の立退料増額で満足するのではなく、あなたが本来もらえるはずの立退料をしっかりと獲得するための努力を惜しみません。

6-2. 着手金無料!立退料を受け取るまで費用の心配は不要

グラディアトル法律事務所では、着手金無料でほとんどの立ち退き請求トラブルに対応いたします。

実際に私たちにご依頼いただいた場合の、料金体系をご紹介しましょう。

立ち退き料についての弁護士費用

出典:立退料についての弁護士費用
※1:訴訟案件の場合には、事案の内容に応じて別途お見積もりいたします。
※2:内容により上記料金体系でお受けできない場合もあります。
 

着手金の相場は、法律事務所によってさまざまです。着手金無料の場合もあれば、なかには30万円〜60万以上の着手金支払いを先に求められるケースもあります。

そもそも着手金とは、交渉の結果に関係なく支払わなければいけない料金です。

そのため、万が一立ち退き交渉が上手くいかず、満足いく立退料をもらえなかった場合でも、お金が戻ってくることはありません。

立退料が確定していない状態で、高額な支払いをしたくない方は、着手金無料が大きなメリットになるはずです!

6‐3. LINE・電話・メール・Zoomなどを活用して、いつでも相談できる

弁護士 LINE相談

グラディアトル法律事務所では、さまざまなツールを活用しているので、いつでも都合が良い時にご相談いただけます。

気軽に相談できるLINEを使ってすぐに相談したい方は、上記バナーをクリックしてご利用も可能です。

もちろん、LINE以外にも下記の方法をお選びいただけますので、安心してください。

▼利用できる相談方法

・対面・電話・メール・LINE・Zoom など

立ち退き請求で悩んでいる借主の方の中には、なかなか相談する時間が確保できない方もいらっしゃいます。

そこでグラディアトル法律事務所では、遠方にいる方や夜間しか相談する時間が確保できない方でも、相談できるような体制を整えているのです。

オーナーからの立ち退き請求への返答を放置してしまうと、立ち退きタイミングや立退料、新居への入居タイミングなどに影響してしまいます。

少なからず、立ち退き請求されている借主には、良い影響はありません。

まずは、あなたが置かれている状況と相手の状況、そして借地借家法をもとにどのように対処するべきなのかを知るためにも、グラディアトル法律事務所の初回無料相談をご利用ください。

弁護士 LINEで無料相談

7. まとめ

この記事では、立ち退き請求された時に誰しもが一度は耳にする「借地借家法」について、わかりやすく解説してきました。

▼借地借家法のポイント

・借地借家法があることで、以前は弱い立場だった借主も守られるようになった・借地借家法の第二十八条にある「正当事由」が立ち退きの拒否・立退料を判断する・「正当事由」は弁護士でも判断が難しいのが実情

立ち退き請求に対して適切に対処するためには、借地借家法の知識が欠かせないのは事実です。

しかし実際は、個々のケースで借地借家法の判断基準も変わってくるため、一概にYesやNoという明確な答えが導き出せるわけではありません。

まずは適切な対処法と立退料の算出ができる、弁護士に立ち退き交渉代行を依頼することをおすすめします。

少しでも早い段階で弁護士に相談して、あなたが損をせずに立ち退き交渉に対処していけるようにしてくださいね。