コラム
COLUMN
2023.4.29
アパートの立ち退き料の相場と増額交渉で重要な4つのポイント

- 「人生で初めて立ち退きを求められたけど、立ち退き料っていくらが適正なんだろうか」
- 「アパートの立ち退き料なんて大した金額にならないんじゃないだろうか…」
本記事にたどり着いた方は以上のような悩みをお持ちではありませんか?
アパートの立ち退きの場面においては、立ち退きの経験が無い方がほとんどなので貸主の言われるがままに立ち退いてしまうケースが多いです。
しかし、もらえるべき立ち退き料をもらわず引っ越してしまうのは非常にもったいないと言えるでしょう。借主も慣れない状況でもきちんと知識をつけて交渉をしていくべきですし、実際に交渉も可能です。
上記の悩みの回答として、端的に答えると以下のようになります。
●アパートの立ち退き料の相場は60万円~100万円
●立ち退き料を高額にするには、相場と高額化するケースを理解し、貸主に正面から交渉するのが最善の方法
本記事では、以上の結論について詳しく解説するとともに、高額にするための意識すべき他ポイント、立ち退き料の相場が決まる仕組みや立ち退き料が高額化するケースなど解説していきたいと思います。
その中でも、立ち退き料の高額化を確実するためには弁護士への依頼が非常に効果的です。
交渉力や法的知識に優れた弁護士に依頼した結果、100万円→200万円になったケースなどがあります。

アパートの立ち退き料の相場は60万円~100万円
結論から言えば、アパートの立ち退き料の相場は60万円~100万円です。
どうしてこの金額になるのか、この後説明いたします。
立ち退き料の相場は、物件の使用目的と立ち退きで損する範囲で決まる

立ち退き料の相場は、「使用目的」と「損する範囲」で決まります。
なぜなら、立ち退き料の本質は貸主都合の退去に伴い、借主の損害を補償するお金だからです。
つまり、立ち退き料の実質的な中身である、どのような損害があるかが「使用目的」と「損する範囲」で決まる、ということです。
アパートの立ち退き料の内訳

アパートの立退きによって発生する損害項目は、主に以下のとおりです。
①引っ越し業者費用等
引っ越し業者費用等、すなわち引っ越し代、梱包、運送、保険、分解取付調整、住所変更届、移転通知費用が発生する損害となります。
時期によって変わりますが、1人暮らしの場合の引っ越し費用の相場は5万円~10万円弱となります。
②賃料の差額分
同程度のアパートを借りるにあたって高い賃料を払わなくてはならなくなった場合には、その賃料が高くなった分の差額分が損害となります。
一般的な賃貸契約期間である2年分×差額分賃料という計算です。
例えば、賃料5万円のアパートから立ち退いて賃料7万円のアパートに引っ越す場合、2万円×24か月で48万円が賃料の差額分となります。
③新居の仲介手数料・礼金等
新居のために不動産会社に支払う仲介手数料、新居の大家に払う礼金等も立ち退きのために発生する損害となります。
そのため、立ち退き料の一部として計算されます。
賃料5万円の場合には、10万円程度が相場となります。
以上より、アパートの場合の立ち退き料の相場はざっくり60万円~100万円となります。
アパートの立ち退き料の増額交渉で重要な4つのポイント
アパートの立ち退き料をより高額にするために絶対に意識すべき4つのポイントを解説します。

求める立ち退き料を相場と高額化するケースに基づいて貸主にきちんと説明・交渉する

1つ目は、「相場と高額化するケースを理解し、これらに基づき求める立ち退き料を貸主にきちんと説明・交渉する」です。
アパートの高額な立ち退き料を求める場合には、きちんと根拠を示して貸主を納得させることが重要です。
貸主側に「裁判に持ち込んだ時に結局負けるリスク」を想像させ、ここで手を打っておいた方が裁判費用も時間もかからなくて済む、と妥協させましょう。
具体的には、アパートの立ち退きで立ち退き料50万円を貸主が提示してきたとします。
その際に、本記事などを参照しながら立ち退きにあたって相場がいくらになるかを実際に計算します。基本的には50万円以上にはなるはずです。
その計算結果と計算式を示しながら貸主に立ち退き料のアップを求めましょう。
「裁判で認められるのがこの相場なので最終的に裁判になっても負けないと思います」など、裁判やそれにかかる負担を想像してもらいましょう。
さらに、借主やその家族に障害や重病がある場合など高額化する事情がある場合には、貸主に本記事など根拠を示しながら同様の趣旨の交渉をしましょう。
また、その交渉の際に「裁判費用や強制執行費用を含めると200万円以上かかると書いてあります。」とプレッシャーをかけることも並行します。徹底的に「提示してきた立ち退き料を支払わなけれむしろ損だ」と貸主に想像させていきましょう。
【+α!】
立退き交渉の場面においては、基本借主有利です。
だからといって、法外な金額で無理やり立ち退き料を吊り上げたとしても貸主が払ってくれるわけではありません。貸主も面倒な借主とみて弁護士を立て、裁判に発展するリスクもあります。
それでは、借主も結局弁護士を立てなくてはならなくなりむしろ損してしまう可能性も出てきます。絶対に避けるべきです。
求める立ち退き料がなければ立ち退かない旨をはっきりと示す

2つ目は、「求める立ち退き料が支払わなければ立ち退かない旨を明確に示す」です。
貸主に、借主が求める立ち退き料を支払わなかった場合にかかる労力・時間を想像させることが重要です。
後ほど説明しますが、多くの借主が想像する以上に、貸主が借主を強制的に退去・立ち退きさせるのは時間も労力もお金もかかります。
その労力・時間より、提示している立ち退き料より増額分が安いと考えてくれれば、貸主も折れた結果、求める立ち退き料を支払うでしょう。
【+α!】
裁判所のデータを参考にすると、裁判定期から強制執行まで半年~1年程度は最低でも必要です。
費用は、依頼する法律事務所によりますが、裁判費用と強制執行費用合わせて200万円以上はかかってしまう場合も多いです。
立ち退きまでの家賃免除や原状回復不要など立ち退き料以外の点でも交渉する

3点目は、「立ち退きまでの家賃免除や原状回復不要など立ち退き料以外の点でも交渉する」です。
立ち退き料そのものの高額化ではありませんが、支払うべき費用を抑えることで実質的な経済的メリットを得るポイントです。
提示された立ち退き料について貸主が譲らない場合や増額してくれたけれども限界額だと言われてしまった場合に交渉できるポイントです。
特に、原状回復は撤去費用やクリーニング費用など想像以上に経済的負担が大きいことや自身で行う労力を考えると、積極的に交渉していくべきです。
立ち退き料では頑として譲らない貸主にも、立ち退き料は譲る姿勢を見せつつ他で妥協点を探っていくのは交渉の早期終了にも役立つでしょう。
【+α!】
3点目は、2点目(求める立ち退き料が支払われなければ立ち退かない旨を明確に示す)と矛盾するようにも思えるかもしれませんが、意識すべき段階が異なります。
2点目が交渉序盤から中盤までの基本的な姿勢で、3点目は終盤の詰めの段階で意識すべきポイントだと考えていただければと思います。
立ち退き料をもらう前に立ち退き・安い立ち退き料の書面での約束はしてはいけない!

最後4点目は、「立ち退き料をもらう前に立ち退いたり安い立ち退き料の書面での約束はしてはいけない!」です。
立ち退き料をもらう前に立ち退いてしまうと、貸主としては立ち退き料を払う動機がなくなってしまいます。このような状態では、高額な立ち退き料はおろか、提示されていた立ち退き料すら支払ってもらえるか危うい状況となってしまいます。
また、安い立ち退き料の書面での約束も絶対にしてはいけません。
その後の交渉が非常に難航してしまうだけでなく、その後の交渉で提示されていた額以上の立ち退き料を取り付けたとしても、書面での約束を理由に反故にされてしまうリスクが大きいからです。
この2つの行動については、交渉自体を成り立たせなくなってしまう危険度の高い行動のため、借主が高額な立ち退き料を求めるなら絶対にしないようにしましょう。
アパートの立ち退き料が相場より大幅にアップ・ダウンする代表的ケース4つ

【アップ↑】更新直後でまた引っ越さなければならないなど借主の負担が大きい
賃貸借契約の締結直後で立ち退きを求められた場合には、これを理由に立ち退き料の増額を主張することができるでしょう。
この場合には、契約や引っ越しに至るまでの手間暇とそれを短期間に繰り返さなければならない借主の負担は通常の立ち退きよりも大きいです。
実際の経済的負担以上に損害が発生していることを理由に、立ち退き料増額を主張する材料になるでしょう。
【アップ↑】借主が高齢や病気で引っ越しする負担が大きい
借主が高齢や病気で引っ越しをする負担が大きい場合も、立ち退き料増額の材料にできるでしょう。
体力的な負担の大きさはもちろん、かかりつけの医者を変更しなければならない点は健康状態に直結しかねない重大な負担です。
高齢で介護が必要な方や病気の方であれば、引っ越し先でバリアフリー化の費用も発生するケースがあります。
これらも立ち退きによって発生した損害として請求し、立ち退き料増額を主張することが十分に考えられます。
【ダウン↓】建物の老朽化が著しいなど立ち退きに正当な理由がある
建物の老朽化が著しいなど貸主の立ち退き請求に正当な理由がある場合は、立ち退き料が減額しうるケースとなります。
これは、そもそも借主への立ち退き料の提供が、貸主の立ち退き請求の正当な理由の1要素として考えられているためです。
したがって、建物老朽化など貸主の立ち退き請求に正当な理由があればあるほど、立ち退き料の金額も下がっていきます。
【+α!】
立ち退き料は、正当な理由(正当事由)の判断においてサポート的な役割だと言われています。
つまり、他の事情だけからは正当事由は認められないが、一定の立ち退き料を支払いがあれば、総合的な判断として正当事由があると認めるといった判断ができます。
こうした役割を「立ち退き料の補完的機能」と言ったりします。この機能のため、正当事由となる事情があればあるほど、貸主が支払わなければならない立ち退き料が安くなります。
【ダウン↓】借主が部屋を酷い使い方をしているなど賃貸借契約違反のおそれがある
借主が部屋を酷い使い方をしているなど賃貸借契約違反のおそれがある場合も、立ち退き料が減額しうるケースとなります。
理由はおおよそ3-3と同様で、賃貸借契約違反をするような借主については、他の入居者との関係から、貸主から立ち退き請求をする正当な理由が1つできてしまうことになります。
その正当な理由がある分、借主に支払われるべき立ち退き料も減額されることになります。
したがって、借主が部屋を酷い使い方をしているなど賃貸借契約違反のおそれがあることも、立ち退き料が減額されるケースの1つです。
【+α!】
「正当事由(=正当な理由)」は、借地借家法に登場する法律用語です。
借地借家法上、正当事由とは以下のような事情を総合的に考慮したうえでその有無を判断すると定められています。
とは言ってもまだ具体的ではないので、「→」でどのようなことを言っているのか例を挙げてみます。
・貸主と借主の建物使用の必要性
→再開発(貸主)、居住・営業のための使用(借主)など
・これまでの賃貸借契約の経過
→契約締結時の経緯、賃料の支払い状況など
・建物の利用状況と現在の状況
→当該建物をどの程度利用しているか、建物の築年数など
・立ち退き料の有無
アパート等の住宅の立ち退き料が高額化した判例4選
賃料7万4000円のアパートで立ち退き料が200万円になった判例

賃料7万4000円のアパートで立ち退き料が200万円になったケースを紹介いたします。
本件では、築40年以上のアパートの建て替えを理由に立ち退きが求められた事案でした。
借主は夫婦と子供1人の3人家族で住んでいました。高額化した特殊事情としては、
- 20年以上住んでおり、住んでいる部屋及び周辺環境と生活が強く結びついていた
- 借主と妻がうつ病と診断され、精神障害認定3級を受けていた
ことが挙げられ、これらの事情から立ち退きにより借主が負う負担が多大なものとなることから、200万円という高額な立ち退き料になりました。
賃料7万3000円のマンションで立ち退き料について200万円になった判例

賃料7万3000円のアパートで立ち退き料が200万円になったケースを紹介いたします。
本件で高額化した特殊事情としては、
- 借主ががん治療中である
ことが挙げられ、これらの事情から立ち退きにより借主が負う負担が多大なものとなることから、200万円という高額な立ち退き料になりました。
賃料4万6750円の木造建物で立ち退き料について360万円になった判例

本件では、築75年以上の木造建物の建て替えを理由に立ち退きが求められた事案でした。
借主は夫婦と子供1人の3人家族で住んでいました。高額化した特殊事情としては、
- 長期間住んでいるうえ、低額の賃料を前提に生活していた
- 借主に重い持病、家族の障害等があり、周辺の病院へ通い続ける必要性があった
ことが挙げられ、これらの事情から立ち退きにより借主が負う負担が多大なものとなることから、200万円という高額な立ち退き料になりました。
賃料2万6500円のアパートで立ち退き料について347万になった判例

本件では、老朽化したアパートの建て替えを理由に立ち退きが求められた事案でした。
借主は夫婦と子供1人の3人家族で住んでいました。高額化した特殊事情としては、
- 借主に高齢者、病弱者がいた
ことが挙げられ、これらの事情から立ち退きにより借主が負う負担が多大なものとなることから、347万円という高額な立ち退き料になりました。
立ち退き料の交渉で折り合えなかった場合、その後はどうなる?

一度折り合えなかった場合でも、しばらくは交渉が続く

立ち退き交渉でいちど折り合えなかった後も、立ち退き条件の交渉が続きます。
拒否した瞬間にすぐ強制執行!とはなりません。
なぜなら、貸主が強制執行を行うためには、裁判で勝訴判決を取る必要があるからです。
また、すぐ裁判を始める貸主もほとんどいません。
なぜなら、裁判費用や強制執行には膨大な費用と時間が掛かるため、交渉で立ち退いてくれるのならこれに越したことはないのです。
費用や時間については、この後に説明していきます。
したがって、いちど折り合えなかった後も貸主としては譲歩する形で立ち退き条件の交渉が続く場合がほとんどです。
貸主の対応は何パターンか考えられます。
- 立ち退き期間を当初よりも長くしてくれる
- より高額な立ち退き料を提案してくれる
同じ条件やより良い条件の引っ越し先物件を探してくれる
交渉決裂の場合、立ち退きに向けて裁判が始まる

立ち退きの交渉決裂の場合、貸主が提訴する形で建物・土地明渡しの裁判が始まります。
この裁判では、主に以下のようなことが争われます。
- 定期賃貸借契約の期限が到来していないか
- (信頼関係を破壊するほどの)賃貸借契約違反がないか
- 立ち退き料を踏まえたうえで、正当事由がないかどうか
この訴訟にかかる期間に関して、令和2年の裁判所のデータによると、建物に関する訴訟は平均4.6カ月、土地に関する訴訟は平均9.7カ月かかります。
(出典:裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(第9回) https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/hokoku_09_hokokusyo/index.html)
費用は、依頼する法律事務所によりますが、100万円以上はかかってしまう場合も多いです。
弁護士費用の主な内訳は、着手金と成功報酬です。
【+α!】
定期賃貸借契約とは、更新ができない賃貸借契約のことです。
賃貸借契約の中には契約書上、「更新がなく、期間満了により契約が終了する」と定められているものがあります。これが「定期賃貸借契約」です。
更新をせず、期間が来たら契約を終了するという契約書上の約束に、オーナーだけでなく借主も拘束されます。
【+α!】
依頼時に前金として着手金を支払い、勝訴など依頼条件を達成した場合に成功報酬が支払われます。着手金・成功報酬それぞれ20万円~50万円程度はかかり、裁判期日ごとに日当の料金も毎回数万円発生しますので、100万円以上かかることもあります。
費用も期間ももちろんケースバイケースですが、大きな負担であることはお分かりいただけたかと思います。
【+α!】
なお、訴訟の中で判決ではなく和解で終わるケースも少なくないです。
この和解が、滞納賃料の不払が続いた場合など条件付きで明け渡しを認める内容であった場合、結局強制執行のおそれは消えていません。
判決文ではなく、裁判所が作成した和解調書でも、強制執行が可能だからです。
貸主勝訴なら強制的な立ち退きのおそれがある

貸主が勝訴した場合には、強制執行のおそれがあります。
しかし、すぐには強制執行には至らず、立ち退きの交渉がなされる場合が多いです。
というのも、強制執行は貸主自らが行うものではなく裁判所が行うため、訴訟と同様に費用と時間がかかります。このコストを回避すべく、貸主は最後まで借主に任意の明渡しを求める交渉をします。
期間としては、判決から最終的に強制執行に至るまで2,3カ月程度かかります。
費用としても、訴訟とは別に100万円以上かかるケースが多いです。
【+α!】
強制執行費用の内訳は、裁判所に納める予納金、土地建物内の荷物を運び出す業者への費用、執行にかかる弁護士費用が主なものとなります。
交渉しても借主が出ていかない場合には、いよいよ強制執行です。
具体的には、土地建物内の荷物の外への運び出しや鍵の交換といった作業です。
借主が引っ越し先も確保できていない場合には、早急に住居や店舗を確保しなくてはなりません。
アパートの立ち退き料を交渉する場面での頻出Q&A

Q1 立ち退き交渉で問題が発生した時は誰に相談すればいいですか?
立ち退きに関して問題が発生した場合、まず相談すべき先は警察か弁護士です。
警察に相談すべき場合は、以下のような実際に危害を加えられている場合です。
- 貸主から暴行を受けた
- 家や敷地内の物を勝手に運び出された
- 鍵を勝手に変えられた
など
この場合は対処の緊急性が高く、また警察も犯罪として対応してくれるので、一番に警察に相談しましょう。
なお、警察は犯罪が起きていない限り民事不介入といって門前払いするのが通常ですので、相談の仕方には注意すべきです。
弁護士へ相談すべき場合は、本人達で解決もできないが、警察に相談できない場合です。
以下が主なケースです。
- いきなり立ち退き通知が来たが、まずどうすればいいか分からない
- 立ち退き通知をされているが一向に交渉がまとまらない
- 訴訟を提起されてしまっている
ご自身のケースが立ち退きを拒否できるのかできないのか、拒否し続けたら強制執行を受けるのか否かは、最終的に法律の根拠があるかどうかという専門的な判断に委ねられます。
この法律的な判断を本人に代わってできるのは弁護士だけです。
また、裁判などの争いになった時にはほとんどの人が弁護士に依頼することになりますから、その展開になった時に1から探すのではなく、以前から相談し事情をよく知っている弁護士に依頼できるように、できるだけ早く相談することがオススメです。
Q2 提示されたアパートの立ち退き料を拒否することにデメリットはありませんか?
法律上は、拒否できる場合(立ち退き通知に法的根拠がない)限りにおいて、デメリットはありません。
しかし、実際を考えると、貸主から訴えられて裁判をしなくてはならなかったり、貸主から嫌がらせを受けたりするリスクはあります。
法律上、立ち退き通知を拒否したところでデメリットはありません。
しかし、立ち退き通知に法的根拠がある(正当事由がある、債務不履行がある、定期賃貸借契約である)場合には、拒否し続けても裁判で敗訴してしまいますから、このような場合には拒否し続ける意味もありません。有利な条件で立ち退きをするのが得策でしょう。
立ち退き通知を拒否し続けると、貸主から訴えられる場合があります。慣れない裁判対応や弁護士費用の支払いは、拒否を続ける実際上のデメリットと言えるでしょう。
裁判は無視すると、貸主の言い分が全面的に認められ、強制執行まっしぐらとなってしまいますから、対応せざるを得ません。
また、貸主のほんの一部ですが、物理的に嫌がらせをしてくるパターンもあります。この場合は警察に相談するなどで対応も可能ですが、ケガや精神的な病になる前に話をまとめた方が良いでしょう。
Q3 交渉の中で貸主が賃料の受け取りを拒否してきたけど、強制退去になったりしませんか?
貸主が賃料の受け取りを拒否しても、借主が賃料支払いの準備をしていれば問題ありません。
通常、賃料不払いが続けば、債務不履行といって立ち退き通知の法的な根拠となりますが、借主が支払いの準備を完了しているのに貸主が受け取りを拒否する場合には、賃料不払いとはなりません。
【+α!】
もっとも、準備していたことが分かるような証拠作りは必要です。賃料支払日に銀行口座に家賃相当分の金額を準備することや、借主から貸主へ支払をしたいので受け取ってほしいといった書面の連絡をしておきましょう。
Q4 アパートで立ち退き料を交渉する場合と一軒家で交渉する場合に違いはありますか?
法律上は違いはありません。
マンション・アパートであろうと一軒家であろうと、法律上の貸家であることに違いはありません。したがって、正当事由の有無の判断など法律上の判断に大きな違いが出ることはありません。
もっとも、オーナーが交渉する人数に差があるため、1人対団体で交渉力の差が出てくる場合はあります。
【+α!】
マンションやアパートで、他にも立ち退きを求められている住人がいるかどうかは、借主にとっては重要です。
貸主からすれば、他の住人を全員退去させたのに一人だけ退去しない場合と、他の住人も全員退去しない場合では、その後の退去までにかかる費用や労力が大きく変わってきます。
つまり、マンション・アパートの場合は他の住人と一致団結することで立ち退き交渉を拒否し、貸主を諦めさせることができます。交渉力の差ですね。拒否せずとも、他の住人との交渉状況を聞き、自分の方が立ち退き料が安かったらそれをもとに立ち退き条件を有利に引き上げてもらうなど、やれることが増えるでしょう。
アパートの立ち退き料の問題に迷ったら…専門家である弁護士に相談・依頼すべき3つのメリット

1 交渉力アップによる立ち退き料の高額化
1つ目は、今後の貸主との交渉力が段違いにアップし、立ち退き料を高額化しやすくできる点です。
貸主と借主では、立ち退き料交渉は貸主が圧倒的に上手です。借主と違い、貸主側は立ち退きの経験が豊富なことが多く、また住居または仕事先という借主の生命線を握っており、一般的に優位な立場にいるからです。
しかし、弁護士は過去の経験・事例の情報や借主を強力に保護する借地借家法という武器をもっています。弁護士に相談すれば、これらを駆使することで、貸主と対等かそれ以上の立場で交渉を進めることができるようになります。
弁護士に依頼する前は家賃半年分など不明瞭な基準で100万円だった立ち退き料が、弁護士に依頼し、適格な算定根拠のもと交渉をした結果、200万円を超える立ち退き料の支払いを得たケースがありました。
2 立ち退き料の正確な相場観に基づく判断による、交渉期間の短縮
2つ目は、立ち退き料の正確な相場観に基づく判断による、交渉期間の短縮が可能となることです。
弁護士は自身の経験や判例分析を通じて、借主が提示されている立ち退き料が不当に安いものなのか、より高額かつ正当な金額をもらえるかどうかを判断できます。
そもそも、貸主側も借主の具体的な損害について適切に把握できていない場合も多いです。こうした知見のもと、立ち退き料について今後さらなる交渉を進めるべきかを客観的に判断できます。
この判断を的確に行うことにより、交渉の不要な長期化を避け無駄な時間を減らし、借主の残された貴重な時間を立ち退き後の未来のために最大限活用できます。
3 不慣れな法的対応を弁護士に丸投げし、借主の手間、時間、ストレスを最小限に
3つ目は、依頼した場合のメリットですが、不慣れな法的対応を弁護士に全て任せ、借主の手間、時間、ストレスを最小限にすることができます。
立ち退き交渉の場面では、いかにご自身が立ち退きたくなくても、現実的には移転先を探し、具体的にどう移転するか、事業であれば従業員をどうするか…など考えなければならないことが山積みです。その上、法的な対応を負担するのは想像以上に大変な状況です。
非常に重要な立ち退きの具体的な作業に集中するためにも、立ち退き料交渉は弁護士への依頼をおすすめします。
「アパートの立ち退き料」の相談で弁護士を選ぶチェックポイント

「アパートの立ち退き料」の相談で弁護士を選ぶべきチェックポイントは、ずばり弁護士とお客様の信頼関係が築けるかどうか、です。
立ち退き料を高額化させるためには、相場や高額化するケースを理解することが重要と述べました。こうした高額化する根拠を理解した上で、その根拠となる状況がお客様の状況に合っているかどうかの判断が必要です。
つまり、立ち退き料の相場の把握や今後の交渉において弁護士がベストな対応を取るには、お客様の状況をどれだけ緻密にくみ取り、これを交渉に反映させられるかにかかっています。
これには、弁護士とお客様の信頼関係が必須です。お客様の視点からすれば、弁護士に状況の全てを話したいと思えるか、そして、弁護士がお客様の状況を同じ目線できちんと聞き取ってくれるか、こうした視点から信頼できると感じた弁護士を選ぶべきです。
アパートの立ち退き料の相談はグラディアトル法律事務所へ!グラディアトル法律事務所の2つの強み
「高評価レビュー多数!信頼関係構築のための丁寧な相談対応」
「365日24時間問い合わせ可能、こまめな進捗報告」
が強みの法律事務所です。
立ち退き料交渉においても、お客様との信頼関係を重視し、ベストな紛争解決をお約束します。
強み1:高評価レビュー多数!信頼関係構築のための丁寧な相談対応


「とっても対応の良い弁護士事務所で親身に話を聞いてくださり頼りになります。」
「今回は、無料相談でしたが、弁護士の先生には丁寧に対応していただけました。」
ご相談では、上記のような「押さえておくべきポイント」など、ご依頼いただくかどうかにかかわらず、次に相談者様が何をできるか、どうすべきかといったポイントをご説明させていただいております。
豊富な弁護経験に裏づく丁寧な相談対応により、お客様との強固な信頼な関係を構築できています。
強み2:365日24時間問い合わせ可能、こまめな進捗報告

弊所では365日24時間お問い合わせが可能であり、一刻も早い解決を望まれる立ち退き料交渉案件において迅速な対応をさせていただいております。
数多くのご相談いただいておりますので、当日対応ができない場合がございます。
しかし、2日以内には相談設定等のご連絡をさせていただいておりますので、ご安心ください。
また、こまめな進捗報告をさせていただいております。
お客様を不安にさせないだけでなく、立ち退料高額化のための細かい情報収集、刻一刻と変わる交渉状況等への対応のため、お客様とのコミュニケーションを怠りません。
まとめ
本記事では、アパートの立ち退き料について、
●アパートの立ち退き料の相場は60万円~100万円
●立ち退き料を高額にするには、相場と高額化するケースを理解し、貸主に正面から交渉するのが最善の方法
以上の点をメインに、立ち退き料決定の仕組みや立ち退き交渉の流れ、アパートの立ち退き料をより高額化する方法を解説いたしました。
アパートの立ち退き料を高額にするために意識すべき重要ポイントは以下です。
●相場と高額化するケースを理解し、これらに基づき求める立ち退き料を貸主にきちんと説明・交渉する
●求める立ち退き料が支払われなければ立ち退かない旨を明確に示す
●立ち退きまでの家賃免除や原状回復不要など立ち退き料以外の点でも交渉する
●立ち退き料をもらう前に立ち退き・安い立ち退き料の書面での約束はしてはいけない!
本記事が読者様の理解を促し、立ち退き交渉のお役に立てたのであれば幸いです。
また、立ち退き料の相場についての詳細は、以下の記事もご参照ください。
ここまで読んでいただきありがとうございました。