コラム
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2024.2.19
立ち退き料がもらえない!実はもらえるケースと、支払いまでの手順を解説

「大家の都合で物件を出て行くように言われたのに、立ち退き料がもらえない…… どうして?」
いきなり物件を出て行くように言われたのに、立ち退き料ももらえないとなったら、引っ越し費用や新しい物件の契約費用をどうやって支払おうか困りますよね。
実は、大家が立ち退き料を支払おうとしないときでも、大家に対して立ち退き料を請求できる場合があるのです。引っ越しには多くのお金がかかるので、立ち退き料を請求できる場合であれば、大家に対して立ち退き料を請求するべきです。
大家に立ち退き料を請求できるはずなのに立ち退き料をもらえないのは、大家が立ち退き料を払いたくなくて、本当は立ち退き料を払わないといけないケースなのに、それを隠しているからです。
例えば、
- 大家が立ち退きを求めている理由だけでは、立ち退かせる「正当事由」がないとき
- 立ち退き料を請求しない特約が契約書に書かれているとき
などは、実は立ち退き料を請求することができます。
そして、立ち退き料を請求するときには、弁護士に交渉を依頼することを強くオススメします。
法律事務所だから弁護士に交渉を依頼することをオススメしているのではなく、実際に弁護士に交渉を依頼することで、自分で交渉をしたときより大幅に増額することができることがあるからです。

そこで、今回は、
・法的に立ち退き料を支払ってもらえないケースと、法的に立ち退き料を支払ってもらえるケースの解説
・法的に立ち退き料を支払ってもらえないときでも、なんとか良い条件で立ち退くための方法
・法的に立ち退き料を支払ってもらえるときの、立ち退き料の請求方法
・立ち退き料の交渉を有利に進めるための3つのポイント
を取り上げます。
この記事を読んで、あなたにとって一番良い条件で立ち退きをできるように目指していきましょう。
1 大家が立ち退き料を支払わない5つの理由
大家が立ち退き料を支払わない理由は、主に以下の5つに分類されます。
①借主が家賃の滞納など契約違反をしている
②立ち退きを求めることができる「正当事由」がある
③立ち退き料がなくても賃貸借契約が終了する
④立ち退き料を支払わなくてもいい特約をつけている
⑤借主が既に建物を立ち退いてしまっている
実は、この5つの理由の中には、
- 法的に立ち退き料を支払ってもらえない理由
- 法的に立ち退き料を支払ってもらえる理由
が含まれているのです。

この図のように、大家が立ち退き料を支払わないときでも、実は立ち退き料を支払ってもらうことができる場合があります。
以下では、法的に立ち退き料を支払ってもらえないケースと、法的に立ち退き料を支払ってもらえるケースを詳しく説明していきます。
2 法的に立ち退き料を支払ってもらえない4つのケース

法的に立ち退き料を支払ってもらえない4つのケースは
- 借主が家賃の滞納など契約違反をしている
- 借主に立ち退きを求める正当事由がある
- 立ち退き料がなくても賃貸借契約が終了する
- 既に建物を立ち退いてしまっている
の4つです。
これらの1〜3のケースでは、大家が立ち退き料を支払わなくても借主に出ていってもらえるケースです。
4のケースは、立ち退いてしまっていて、もはや立ち退き料が不要というケースです。
ケース別に理由が異なるので、以下で詳しく解説します。
2−1 借主が家賃滞納など契約違反をしている
借主が契約違反をしているケースでは、大家は契約違反を理由に、賃貸借契約を解除して建物を立ち退くように求めることができます。
立ち退き料というのは、大家が自分の都合で借主に立ち退いてもらうために支払うお金となります。
契約が終了する理由が借主だけにある契約違反のケースでは、立ち退き料を支払ってもらうことができません。
2−2 貸主に対して立ち退きを求める正当な事由がある
正当事由とは、大家と借主が建物を使用する必要性、建物の利用状況、建物の現在の状態などから判断する、立ち退きが認められる条件のことです。
立ち退き料を支払わなくても、正当事由がある(=立ち退きが認められる条件を満たしている)ということになれば、大家は法的に立ち退き料を支払わなくても借主に出ていってもらえます。
具体的には、
- 借主が建物を使用しなくなっている一方で、大家が家族と住むために建物を使用する必要がある
- 建物が今にも崩壊しそうで、建て替えをする必要がある
などのときには、立ち退き料を支払わなくても正当事由があるということになって、借主は法的に立ち退き料を支払ってもらえない可能性が高くなります。
ただし、後で詳しく説明するとおり、実は正当事由があるとはいえず、立ち退き料をもらえるというケースもありますので、「4−3 正当事由に争いがある」もお読みください。
2−3 賃貸借契約が終了する条件が決まっている
賃貸借契約が終了する条件が決まっているときには、大家は、その条件のときに限って、立ち退き料を支払わなくても借主に立ち退いてもらうことができます。
この賃貸借契約が終了する条件というのは、3つしかありません。
- 契約の更新がないと約束した賃貸借契約の期間が終了したとき
- 取り壊し予定の建物として賃貸借契約を締結して、建物を取り壊すことになったとき
- 一時使用のために建物を賃貸するという契約を締結して、一時使用が終了したとき
2と3はレアケースですが、以下で簡単に説明します。
2−3−1 契約の更新がないと約束した賃貸借契約の期間が終了したとき
賃貸借契約を締結するときに、「期間が終了したときには契約の更新をしません」と約束をしていたときには、期間が終了すると同時に賃貸借契約が終了します。そのため、借主は、立ち退き料をもらうことができず、すぐに立ち退きをしなければいけません。
この契約の更新がないと約束した賃貸借契約を定期賃貸借契約といいます。
定期賃貸借契約かどうかは、
①賃貸借契約書に「本契約は、期間の満了により終了し、更新がない。」ことが記載されている
②賃貸借契約をするときに、契約期間が終了したときには賃貸借契約も終了することを説明する書類を渡された
かどうかで判断することができます。
賃貸借契約書を確認し、「本契約は、期間の満了により終了し、更新がない。」が記載されていて、その説明をする書類も渡されたときには、法的に立ち退き料を支払ってもらうことができません。
2−3−2 取り壊し予定の建物として賃貸借契約を締結していて、建物を取り壊すことになったとき
- 法律で建物を取り壊すことが決まっている
- 大家が第三者と結んだ契約によって建物を取り壊すことが決まっている
という場合には、建物を取り壊すときに、大家側から賃貸借契約を終了させることができます。
例えば、公共事業で建物を取り壊して道路にすることが決まっているようなときに、取り壊しまでは使用していいということで賃貸借契約を結ぶような場合です。
このような賃貸借契約を締結したときには、取り壊しをするときに賃貸借契約が終了してしまいます。そのため、大家は、法的に、賃貸借契約を終了させるために支払われる立ち退き料を支払う必要がありません。
2−3−3 一時使用のために建物を賃貸するという契約を締結して、一時使用が終了したとき
一時的に使用するために建物を賃貸するという賃貸借契約の場合には、その一時的な使用が終了したときに、賃貸借契約を終了させることができます。
例えば
・転勤して戻ってくる2年間の間だけ賃貸する
・イベントで利用する1か月間だけ賃貸する
というような場合があります。
一時使用のための賃貸借契約かどうかは
- 建物を貸す
- 借りる目的
- 建物を貸す
- 借りる動機
- 建物の利用用途
- 契約書の記載
などをもとに、客観的に見て一時的な使用のためにする賃貸借であることが明らかな場合かどうかで判断します。
一時使用のための賃貸借契約であれば、一時使用の目的が終了した場合には賃貸借契約が終了することとなるので、法的に立ち退き料を支払ってもらうことができません。
2−4 既に建物を立ち退いてしまっている
既に建物を立ち退いてしまっていたり、立ち退くことを約束しているときには、大家から立ち退き料を支払ってもらうことができません。
立ち退き料というものが、大家が立ち退いてくれない借主に支払うお金だからです。
一度立ち退いてしまうと、後から大家に立ち退き料を請求することは法的にできません。
もし「立ち退いてもいい」という話をしただけで、大家が作った書面などにサインをしていない状況であれば、まだ立ち退き料を請求できる可能性があります。
このような場合には、細かい状況を確認してアドバイスをする必要がありますので、グラディアトル法律事務所にご相談ください。
3 法的に立ち退き料を支払ってもらえないケースに該当するが、なんとか良い条件で退去したい場合の方法

法的に立ち退き料を支払ってもらえないケースに該当すると思われるときでも、実は、大家から(立ち退き料ではないですが)お金を支払ってもらえるという場合もあります。
大家としても、借主と裁判で争うようなことになれば、裁判費用や時間がかかってしまいます。その裁判費用や時間がかかってしまうくらいであれば、立ち退き料ではないにしてもお金を支払ったり、良い条件で立ち退きを認めたりした方が得することになります。
例えば、
①契約違反がないことや正当事由があることを争う
②立ち退きの条件を良くしてもらうために交渉する
という方法があります。
以下で詳しく説明します。
3−1 契約違反がないことや正当事由があることを争う
契約違反がないことや正当事由があることを争うことで、最悪の場合、大家は裁判を起こして判決を獲得してから強制執行をしなければなりません。そうなりますと、少なくとも半年以上の期間が必要となり、その間、他の人に貸すこともできませんから、大家にとって赤字になりかねません。
契約違反があったとしても、裁判では大家と借主の「信頼関係が破たんした」と裁判所に認められなければ、大家の言い分が認められないこととなっています。これは、小さな契約違反しかなかったとしても、借主が住居を追い出されることになってしまえば、借主にとって不利益が大きすぎるためです。
例えば、
- 家賃の滞納をしているが、2か月分しか滞納していなくてその後は支払っている
- 第三者に又貸ししたが、貸したのは親戚相手で、短い期間しか貸していない
というときには「信頼関係が破たんした」とはいえないこともあるでしょう。
また、「4−3 正当事由に争いがある」で説明するとおり、正当事由があるかどうかは微妙な判断が必要なときもあります。このときには、大家が立ち退き料を払って、裁判をする前に立ち退いてもらおうとすることもあります。
3−2 立ち退きの条件を良くしてもらうために交渉する
どうしても立ち退かなくてはいけない場合であっても、大家と交渉をすることで立ち退きの条件を良くしてもらって、実質的には立ち退き料を支払ってもらうのと同じ状態にすることができる場合もあります。
例えば、家賃を滞納してしまっているときに、滞納している家賃を支払わなくていいのであれば、すぐに引っ越し費用を支払えて立ち退くことができる、というような状況もあるかもしれません。
このような状況では、大家としても、すぐに出ていってもらえれば滞納している家賃を支払わなくてもいい、という条件を出してくれることもあり得ます。
どうしても立ち退かなくてはいけない場合ですので、強く立場を主張することはできませんが、自分の状況を伝えて、大家から良い条件が引き出せないか交渉をしてみましょう。
4 法的に実は立ち退き料を支払ってもらえる3つのケース

大家が立ち退き料を支払わないと言っていても、実は法的に立ち退き料を支払ってもらえるケースがあります。
具体的には、
①建物が老朽化していて取り壊しの予定がある
②立ち退き料が請求できない請求禁止特約付き契約になっている
③正当事由に争いがある
というようなケースです。
以下では、法的に立ち退き料を支払ってもらえる理由を説明します。
4−1 建物が老朽化していて取り壊しの予定がある
建物が老朽化していて取り壊したい・建て替えたいというのは、大家が立ち退きを求める理由としてよくあるものです。
しかし、実は、立ち退き料の支払いがなく、正当事由が認められるほど老朽化している建物というのはほとんどありません。
例えば、築40年や50年ほどであれば、築年数だけで立ち退きを求める正当事由があるとはいえないという裁判例もあります。築40年や50年の建物だと、建築基準法で定められた耐震基準を満たしていることも多く、耐震補強工事をすることで建物を利用し続けられるという可能性があるからです。
もちろん、建物ごとの状況によるので一概にはいえませんが、建物が老朽化している場合には、法的に実は立ち退き料を支払ってもらえるケースが多いので、弁護士に相談することを強くオススメします。
4−2 立ち退き料が請求できない請求禁止特約付き契約になっている
賃貸借契約書に、
「借主は、貸主に対して、立ち退き料・移転料・損害賠償その他名目のいかんを問わず、一切の請求をしないものとする」(立ち退き料の請求禁止特約)
などの記載がされていることがあります。
契約書に書いてあるので、法的に立ち退き料を請求できないと思えるかもしれませんが、実は立ち退き料を請求することができます。
借主の立場は法律で保護されていて、借地借家法という法律で建物の借主に不利な契約は無効になるとされているからです(借地借家法30条)。
立ち退き料は、大家都合で退去しなければいけない借主の損失を補償するものです。そのため、立ち退き料を支払わなくていいという契約は、借主にとって不利なものになりますので、借地借家法により無効となります。
大家から「立ち退き料を請求できないと契約書に書いてある」と言われたとしても、「その規定は借地借家法30条により無効なので、立ち退き料を請求させていただきます。」
と回答し、請求することを断念しないようにしましょう。
4−3 正当事由に争いがある
正当事由に争いがあるときというのも、実は立ち退き料を支払ってもらうことができるという場合があります。
「2−2 借主に対して立ち退きを求める正当事由がある」でも説明しましたが、正当事由とは、大家と借主が建物を使用する必要性、建物の利用状況、建物の現在の状態などから判断する、立ち退きが認められる条件のことです。
立ち退き料というのは、
- 大家が建物を使用する必要性
- 借主が建物を使用する必要性
- 建物の現在の利用状況(借主が実際に建物を使用しているかなど)
- 建物の現在の状態(老朽化しているかなど)
などの事情だけでは、大家が借主に立ち退きをさせるのは不適切だといえるときに、大家から借主に支払うお金となります。
借主が立ち退き料をもらうことによって、大家が借主に立ち退きをさせても不適切ではないということになれば、大家のために立ち退きを認めてもいいのではないかということになります。
正当事由があるといえるか、もっといえば「立ち退き料がなくても立ち退かせていいといえるほどに正当事由があるか」どうかは、裁判所でも判断が分かれるほどに難しい争いとなります。
大家としては、立ち退いてほしいと思っていますので、立ち退き料を支払ってでも正当事由がある状態にしたいと考えます。
そこで、正当事由に争いがあるときには、借主から立ち退き料を請求することができることもあるのです。
どのような場合に正当事由があるかどうかは、以下の記事でも解説していますので、ご覧ください。
5 実は立ち退き料を支払ってもらえるケースに該当する場合の、支払いまでの手順
実は立ち退き料を支払ってもらえるケースの場合には、立ち退き料を請求しましょう。
ここでは、大家から立ち退きを求められてから立ち退き料を支払ってもらうまでの手順を説明していきます。

5−1大家に対して立ち退きを拒否する
大家から立ち退きを求められたときには、第一に、大家に対して立ち退きを拒否する必要があります。
なぜなら、立ち退き料というのは、大家が借主を立ち退かせるために支払ってもらうものなので、立ち退きを拒否している借主でなければ支払ってもらえません。
大家から立ち退きを求められたら、立ち退くことはできないということを伝えましょう。
自分で大家に立ち退くことは伝えることが不安だということであれば、弁護士に相談してアドバイスをもらうことや、弁護士が代理人として大家に伝えることができます。
グラディアトル法律事務所では、立ち退きを求められている方のご相談は原則として無料でお受けしております。
代理人として依頼する場合にも、原則として着手金0円〜で依頼することができます。
5−2 立ち退き料が必要であることを貸主に説得する
立ち退きを拒否したら、立ち退きをするためには立ち退き料を支払ってもらう必要があることを貸主に説明して、説得します。
貸主としては、立ち退き料を払いたくないし、払うとしてもできる限り少ない金額しか払いたくないと思っています。立ち退き料をもらうためには、借主が貸主を説得する必要があるのです。
「6 立ち退き料の支払い交渉を有利に進めるための3つのポイント」も解説しておりますので、こちらも参考にしてください。
5−3 立ち退き料の金額を合意する
立ち退き料を支払ってもらうことができそうであれば、立ち退き料の金額を合意します。合意をするときには、合意書などの書面に残して、貸主と借主がお互いに合意したという証拠を残すようにしましょう。
合意した証拠を残しておかないと、後から立ち退き料が支払われないなどの恐れもあるからです。

注意
立退きの条件や立ち退き料の金額を一度合意してしまうと、後から覆すことは原則としてできません。
弁護士に依頼することで、立ち退き料の金額を増額できる可能性もあります。
立ち退き料の交渉をする前には弁護士に相談することをお勧めします。
6 立ち退き料の支払い交渉を有利に進めるための3つのポイント

立ち退き料の支払い交渉には、有利に進めるためのポイントが3つあります。
これらのポイントを守ることで、提案されている立ち退き料を倍増させることなど、支払い交渉を有利に進めることが可能です。
6−1 弁護士に交渉を依頼する
弁護士に交渉を依頼することは、立ち退き料の支払い交渉を有利に進めるための一番の方法です。
立退きの交渉では、借地借家法という法律や裁判例の知識があった方が有利になります。弁護士は法律や裁判例に精通しているので、弁護士に交渉を依頼することで立ち退き料の支払い交渉が有利になります。
+α
立ち退き料の交渉を弁護士に依頼すると、弁護士費用が掛かってしまってかえって損をするのではないかと思うかもしれません。
しかし、立ち退き料の交渉では、弁護士に依頼するときに支払う着手金を安く設定している弁護士も多いです。
グラディアトル法律事務所では、立ち退き料の交渉は原則として着手金0円~となっております。支払ってもらえる立ち退き料に応じて後から弁護士費用がかかりますが、弁護士に交渉することで立ち退き料を増額できる可能性が高いので、最初に高い着手金を支払うよりも得をする可能性が高いです。
6−2 立ち退き料に含まれる費目を見直す
立ち退き料に含まれる費目を見直すことで、交渉を有利に進めることができます。
なぜなら、足りていない費目を立ち退き料に加えることができ、貸主に対して適正な金額を提示することができるからです。
立ち退き料は、
①引っ越し費用などの移転費用
②営業利益など移転することで失われる利益
③立ち退きにより失われる建物の利用権
などを補償するものとなっています。
例えば、以下のような費目が立ち退き料に含まれることがあります。確認して、足りないようであれば立ち退き料に含むように交渉をすることで有利に進められるでしょう。
- 想定される移転先の敷金
- 想定される移転先の礼金
- 引っ越しするときの仲介手数料
- 引っ越し業者に支払う引っ越し費用
- 移転先の店舗の内装費用
- 現在の家賃と移転先の家賃の差額(2年分程度)
- 営業を停止する期間の利益
- 移転することで失われる得意先から得られるはずだった利益
- 移転に伴う名刺やホームページの変更費用
6−3 正当事由がないことを強く主張する
正当事由がないことを強く主張することでも、立ち退き料の交渉を有利に進めることができます。
正当事由が全くなければ、貸主がいくら立ち退き料を支払うと申し出たとしても、借主は立ち退きをする必要がありません。それでも貸主が立ち退いてほしいと考えているときは、相場を大幅に超えるような立ち退き料を提示してくれる可能性が高まります。
どのような正当事由を主張するべきかは、貸主と借主ごとに異なります。ただし、主に以下のような2つの事情を正当事由として主張することになるでしょう。
①借主が物件を使用する必要があること(例:身体が悪くて引っ越しができない、立地が良くて他の場所では同じように営業できない、など)
②貸主が立ち退きを求める理由がないこと(例:物件が古いと言われているが、使用する分には問題がない、など)
正当事由の主張は、裁判例などを参考にしつつ、慎重に行う必要があります。
また、主張をするだけでなく、適切な証拠を集めて、それを貸主に示す必要があるときもあります。
このような交渉をするのは、弁護士が得意とするところなので、正当事由についての主張をするときには弁護士に依頼することを強くオススメします。
7 まとめ
今回の記事では、大家から立ち退き料がもらえないときに、その理由によっては、法的に立ち退き料がもらえるケースともらえないケースがあることを中心に解説をしました。
- 建物が老朽化していて取り壊しの予定がある
- 立ち退き料が請求できない請求禁止特約付き契約になっている
- 正当事由に争いがある
というケースでは、実は法的には立ち退き料を支払ってもらうことができるので、立ち退きを求められたときには、大家に立ち退き料を請求するべきです。
大家に立ち退き料を請求するときには、
立ち退き料に含まれる費目を見直し、正当事由がないことを強く主張することを意識しつつ、
1 大家に対して立ち退きを拒否する
2 立ち退き料が必要であることを大家に説得する
3 立ち退き料の金額を合意する
という手順で進めていきましょう。
しかしながら、立ち退き料の交渉は、法律や裁判例に精通している弁護士に依頼をした方が有利に進めることができます。
グラディアトル法律事務所では、立ち退き料の請求に関するご相談は原則無料で、ご依頼いただくときの着手金も0円〜となっておりますので、立ち退き料をもらえないときにはグラディアトル法律事務所にご相談下さい。

