【ホスラブ開示請求】特定方法・期間・費用相場・成功事例を解説!

ホスラブに、枕ホスト、本番デリ嬢、ブスなどの誹謗中傷の書き込みをされた。

ホスラブに家族の情報や恋人とのデートの写真を晒されるなど、個人情報を晒された。

ホスラブの被害者には、誹謗中傷やプライバシー権侵害、肖像権侵害、さらには、リベンジポルノなど被害にあい、苦しんでいる人がたくさんいます。

ホストラブ(ホスラブ)は、風俗、キャバクラ、ホストクラブなどの夜のお仕事に関する情報掲示板であり、匿名ゆえに忌憚のない有用な情報が手に入ることもありますが、一方で眉を潜めるような罵詈雑言が書かれることも多くあります。

精神的な被害のみならず、キャバクラ・ホスト・風俗などご自身の仕事・売上に影響が出てしまうことも多いです。

ホスラブで誹謗中傷等の被害にあった場合の対応策として、投稿を削除するという対策があります。

しかし、削除ができたとしても、再度書き込まれてしまうリスクは残ります。

また、誹謗中傷等の書き込みをした犯人を特定して、損害賠償請求したい、刑事告訴をして刑事罰を与えたいという思いもあるでしょう。

本記事では、ホスラブに誹謗中傷等をした犯人を特定するための発信者情報開示請求について、その方法、期間、費用相場、成功事例などを解説していきます。

ホスラブの投稿削除・スレッドごと削除については、以下の記事を参照ください。

リンク:ホスラブのコメントを最短半日・高確率で削除する唯一の手法とは!?

 

目次

ホストラブ(ホスラブ)とは

ホストクラブ

ホスラブとは

ホストラブ(ホスラブ)とは、夜のお仕事、すなわち風俗、キャバクラ、ホストクラブなどのお店の話題を中心としたインターネット掲示板です。

2001年に開設され、性や男女の色恋というアングラな話題・情報がモノを言う風俗等のサービスと匿名掲示板という相性の良さからか根強い人気を誇り、そのPV数は月間6億にも上ると言われています。

ホスラブの特徴

夜のお仕事というアングラ感や性という男女共にアツくなりやすい(?)話題なのも相まって、非常に激しい口調での評価がなされる傾向が強いです。

また、水商売はそのお店自体の評価も重要ですが、キャスト自身がどれくらい印象が良いか、サービスが良いかという属人的な評価が重視されます。したがって、罵詈雑言とでも言うべき評価もキャスト個人に対してなされることが多く、中にはプライベートに関わる情報も暴露されている場合もあり、所詮は匿名掲示板の書込みなどと一蹴できないほどの著しいキャストの権利侵害が生じていることも少なくありません。

ホスラブでよくあるトラブル

特定の風俗嬢、キャバ嬢、ホストの名前を挙げた個スレと呼ばれるスレッドが立ち上がり、そのスレッドに風俗嬢らの悪口を執拗に書かれたために嬢自身の売上が落ち込むだけでなく、お店の売上も落ちるケースがあります。

こうした場合、お店の売上低下はもちろんそのスレッドのみが原因ではないことが大多数でしょうが、お店からその点についてスレッド名にある嬢が責められ、お店を辞めることを迫られることもあります。キャバ嬢やホストでも同じようなケースがあります。

悪口は書かれずとも、以前どこどこのお店で働いていたなどの個人情報プライベートな写真が挙げられてしまうこともあります。悪質なものとしては、リベンジポルノのような性的な画像などが挙げられてしまったケースもあります。

いずれにしても、自分に強烈に悪意を持つ人物がいることやそうした人がどこにいるかも分からないことは心理的圧迫となり精神的な病に繋がることもあります。

ホスラブで発信者情報開示請求ができる書き込みの内容は?

では、ホスラブで発信者情報を開示請求できるケースにはどういったシーンが考えられるでしょうか。具体的に書き込みを種類別に区分しながらお伝えします。

名誉棄損にあたる書き込み

名誉毀損とは、公然の場、不特定多数の人々に伝わる可能性のある場で、特定人物の社会的評価を落とす事実を発言・発信する行為のこと。なお、「事実」というのは実際に起きたこと以外もふくみます。

第二百三十条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

(引用:e-Gov 法令検索 刑法

たとえばホスラブへの書き込みで考えると、「(特定の人物名)は犯罪者だ」「(特定の人物名)は顧客である既婚者と不倫をしている」といった誹謗中傷をされた場合、名誉毀損にあたり、発信者情報開示請求ができます。

どのような内容の書き込みが名誉毀損に該当するか、以下の記事でご確認ください。

【名誉毀損判例】ネット上での誹謗中傷が名誉毀損にあたるとされた裁判例まとめ

名誉感情侵害・侮辱にあたる書き込み

誹謗中傷には名誉毀損罪以外に侮辱罪にあたるケースも考えられます。侮辱とは、やはり公然の場で特定人物の評価を低下させる行為のこと。名誉毀損ととても似ていますが、違いは、それが事実かどうかという点です。

名誉毀損は「犯罪者である」「不倫をしている」など、それが虚偽であったとしても事実を摘示することで社会的評価を貶めます。一方、侮辱は「(特定の人物名)はバカ」「(特定の人物名)はキモイ」など、具体的事実を挙げずに相手の評価を低下させるのです。

第二百三十一条 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、一年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

(引用:e-Gov 法令検索 刑法

ホスラブにおいて侮辱と捉えられる可能性のある書き込み例は「(特定の人物名)はブスすぎてウケる」「(特定の人物名)みたいな根暗は早く辞めろ」といった感じでしょうか。基本的に侮辱罪よりも名誉毀損罪のほうが罪は重いですが、どちらにせよ書き込まれた被害者は精神的苦痛を感じることでしょう。

刑事事件においては「侮辱」といいますが、発信者情報開示請求の場面においては「名誉感情侵害」が問題となります。

名誉感情とは、人が自分自身の人格的価値について有する主観的な価値のことをいいます。

主観的名誉などと表現されることもあります。

簡単にいうと、自分の価値についての意識や感情、プライド、自尊心のことといえるでしょう。

名誉感情侵害の詳細は、以下の記事を参照ください。

ホスラブで名誉感情侵害を認めた判例まとめ

また、ホスラブで名誉感情侵害を認めた判例については、以下の記事をご参照ください。

ホスラブで名誉感情侵害を認めた判例まとめ

 

肖像権侵害にあたる書き込み

肖像権とは、無断で写真や動画を撮影されたり、不特定多数の人が見る可能性のある場にそれらを公開されたりすることを禁止する権利のこと。スマホの普及により盗撮事件が増えたことは社会的にも特に問題視されていますが、友人間で本人への掲載許可の確認を怠って、SNS上に他意なく相手の写真を投稿してしまったという経験のある人も少なくないかもしれません。

ホスラブにおいて考えてみると、「隠し撮りされた写真を公開された」「撮影許可はしたけれど、その写真を無断で公開された」といった例が考えられるでしょう。

家族や恋人と一緒にいるところを隠し撮りされた。

客にホテルや家での寝顔を隠し撮りされた。というケースも多いです。

この場合、先の名誉毀損や侮辱などと異なり、投稿者には悪意のない場合も考えられますが、目的はどうあれ正当な理由なく無断で公開されれば肖像権侵害にあたる可能性があることは間違いありません。

 

プライバシー侵害にあたる書き込み

プライバシーの侵害とは、その名のとおり、プライバシーに関する情報をみだりに公開されない権利(プライバシー権)を侵害する行為のこと。家族や親しい関係性の人にしか明かしていなかった個人的な情報を本人の許可なく言いふらされるようなことがあれば、該当する可能性は高いでしょう。

たとえば下記のような事柄が考えられます。

・住所

・私生活での行動

・病歴

・結婚・離婚歴

・犯罪歴

本人が公表するつもりもなかった事実が、第三者の手によって多くの人に知られてしまったとなれば、その人の今後の生活を脅かす事態に発展することも考えられ、著しく深刻です。弁護士に相談することで、慰謝料を請求できる可能性もあります。

顧客が離れてしまう、勤務先を解雇される、恋人や友人との関係性が悪くなる、といったトラブルが起きる前に早急に対応しましょう。

ホスラブへの書き込みにおいては、病歴や犯罪歴を無断で公表されたことで指名が減少してしまったり、普段源氏名で活動している方の本名や住所などが無断で公表されたことでストーキング行為されるようになってしまったり、といった事案が考えられます。

特に後者は二次災害が深刻ですが、当然ながらそういった事態に発展しなくても個人情報や私生活の情報は、正当な理由なく公表されることのないようしっかり守られるべきです。

プライバシー権侵害が認められた裁判例については、以下の記事を参照ください。

【ホスラブ開示請求】特定方法・期間・費用相場・成功事例を解説!

 

ホスラブに源氏名で書き込まれた場合にも開示請求は可能!

発信者情報開示請求が認められるためには、同定可能性といわれる要件が必要です。

これは、誹謗中傷の書き込みが被害者自身について書かれているものだといえるということです。誹謗中傷の削除を請求したり、犯人を特定したりするためには、他人ではなく自分について書かれていることを主張・立証しなければなりません。

風俗嬢、キャバ嬢、ホストなどの場合、源氏名で誹謗中傷されることが多く、源氏名と本人との同定可能性という問題が出てきます。

裁判例では、源氏名の誹謗中傷について、同定可能性が認められているケースが多いです。

源氏名を使って社会活動を行なっており、社会に一定程度定着している場合には、源氏名に関連づけられた被害者の人格的利益等が侵害されたとして同定可能性が認められます。

源氏名に同定可能性を認めた裁判例(東京地判平成28年5月9日)

原告は,××(風俗店名)において,通算で約5年間にわたり,Aとの通称で業務に従事しており,同じ通称で同店に勤務する者は原告のほかにはいないと認められる。そして,上記認定事実によれば,上記通称は,原告の呼称として社会的に一定程度定着しているとみることができるから,前後の文脈も踏まえると,本件情報179は,原告についての投稿であると認めるのが相当である。
これに対し,被告は,上記通称と原告の本名とが全く異なっており,本件スレッドには,そのタイトルとは無関係な投稿がされることもあり得ることなどを考慮すると,本件各情報が原告を対象とするものとはいえない旨主張する。しかしながら,通称が本名と全く異なるものであったとしても,それが社会的に一定程度定着していれば,通称に関連づけられた投稿によって当該通称を用いる者の人格的利益等が侵害され得るとみるべきであるから,上記認定事実も考え併せると,被告の上記主張は採用できない。

 

ホスラブでの発信者情報開示請求を弁護士に依頼する前の準備

ホスラブで発信者情報開示請求をする場合、弁護士に依頼することが多いでしょう。

特に準備をせずに弁護士に相談してもよいのですが、以下の準備を済ませておくと、弁護士との相談がスムーズに進むでしょう。

自分に対するホスラブの投稿を確認する

誹謗中傷トラブルの対処なんて心が重くなる作業をそう何度も何度も繰り返したくないですよね。そこで、まず自分に関する誹謗中傷に当たりそうな書込みが他にもないか確認してみましょう。

また、ログの保存期間の関係で、発信者情報開示や慰謝料請求といった対処法を取るには期間に制限がある場合があります。ですので、書込みがあった日から現在までどれくらい経っているかを確認しましょう。

ホスラブで他に自分に関する書込みがないか調べる方法

グーグルを使った簡単な方法があります。

グーグルの検索窓で
「site:hostlove.com intitle:●●」

と打ち込み、検索してみてください。

  • ●には検索したいワード、ここでは自分の源氏名や自分の所属ないし経営しているお店の名前を入力することになります。
    「」内をコピペして使用するとより手軽にできますので、お試しください。

ホストラブ(ホスラブ)のような匿名掲示板では、名前を挙げられた書込みには誹謗中傷は無くとも、その後続けられた書込みの中に誹謗中傷にあたるような書込みがあることが少なくありません。ですので、検索でヒットした書込みの前後も注意深く見てみることをオススメします。

対象スレッド、レス番号をまとめる

まず、前提としてどの書込みを削除したいのか、なぜ削除したいのかを説明できるようにしておきましょう。対象スレッド、レス番号についてまとめておくと初回の法律相談がスムーズに進みます。

また、弁護士はプロですが、匿名掲示板ではなぜその書込みが権利侵害に当たるのか一見して判断が難しい場合があります。書込みの流れや背景にある事情等を簡単にまとめておくと話がスムーズでしょう。

ログの保存期間に注意!迅速な対応が重要

書き込みを行った人物を特定するにあたって注意しておきたいのは、投稿時に利用されたプロバイダにはアクセスログの保存期間が設定されているということです。

この保存期間には法的な規定がなく各社それぞれ異なりますが、3か月程度の場合が多いため、それまでに対応するようにしましょう。もちろん削除されたあとも対処法がないわけではありませんが、プロバイダにデータを削除しないように請求することをなにより優先すべきだと考えられます。

ホスラブからIPアドレス等の提示がされるまでの期間を考えると、できれば投稿から1ヶ月以内くらいには対応を開始したいところです。

 

ホスラブでの発信者情報開示請求の方法(改正前からの手続き)

では、ホスラブに誹謗中傷の書き込みをされたときに行う、投稿者を特定するための発信者情報開示について、その方法・流れを解説します。

なお、発信者情報開示はプロバイダ責任制限法(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律)に基づいて行われるのですが、2022年10月1日より改正されたため、今までの方法と新しい方法の2種類から選べるようになりました。

従来の方法だと、ホスラブ管理者に対して発信者のIPアドレスの開示を求め、その情報をもとにプロバイダ事業者に対して発信者情報の開示を求めるという二段階の手続きが必要だったのが、新しい方法では、それをひとつの手続きのみで行えるようになったというのが大きな違いです。

まずは従来の方法を解説します。

ホスラブ管理者に投稿者のIPアドレスの開示請求を行う

さて、いよいよホスラブ管理者に対して、書き込み投稿者のIPアドレスなど発信者情報を開示請求していきます。先述のとおり、これはプロバイダ責任制限法に基づいて行われます。

まず開示請求には主に大きく、任意開示と裁判所での手続きによる開示の2種類の方法が存在します。

ホスラブへの任意開示請求

任意開示とは、被害者が発信者情報開示を求めたとおり、ホスラブ側が開示してくれるということ。

もちろん手続きはスムーズに進むため、かかる時間も少なくすみ、負担も最小限に抑えることができるでしょう。しかし、ご自身で対応する場合、任意で開示されることほとんどありません。

グラディアトル法律事務所では、最短2〜3日でホスラブへの任意開示に成功実績があります。もっとも、ホスラブ側の事情で開示までに期間がかかってしまう時期もありますので、注意が必要です。

裁判所の仮処分手続きによる開示請求

被害者が開示仮処分の申立てを行い、その主張が認められれば、情報開示を行う命令(仮処分命令)が下されます。仮処分には強制力があるため、ホスラブからIPアドレスなどの情報が開示されることになるでしょう。

一概にはいえませんが、このとき、申立てを行ってから実際に情報が開示されるまでの期間は1~2か月程度といわれています。

また、仮処分手続きの場合には、裁判所に担保金を納める必要があります。

IPアドレス等から発信者の接続プロバイダを特定する

次に、取得したIPアドレス・タイムスタンプなどの情報をもとに投稿者が利用したプロバイダを特定します。プロバイダとは通信回線事業者のこと。つまりどういったインターネット回線を利用して投稿したかを特定するということです。

これがわかることで、投稿者がプロバイダとの契約時に提出した個人情報を開示するよう求めることができるようになります。

プロバイダに情報開示請求とアクセスログの保存を求める

プロバイダを特定できたら、より詳細な発信者情報開示請求を行います。このとき注意しておきたいのは、併せてアクセスログの保存も請求するということ。

3か月程度(プロバイダにより異なる)経過してしまうとログの保存期間を過ぎ、当該書き込みに関する情報が削除されてしまう可能性があります。それを避けるためにも、なるべく早く行動し、保存請求も行うようにしましょう。

なお、このときわかるのは投稿者の氏名や住所、メールアドレスなど。ここでようやく、嫌がらせの書き込みを行った人物を特定することができるのです。

とはいえ、プロバイダもこの請求に応じてくれるとは限りません。プロバイダは投稿者本人に情報開示を認めるかどうかを問う書面を送付することになり、投稿者はこれを拒むケースが多いからです。この場合は、ホスラブへのIPアドレスの開示請求時と同様に、法的手段によって開示請求を行います。

プロバイダを相手に発信者情報開示請求訴訟を起こす

今回は仮処分とは異なる法的手続きを行います。プロバイダを相手に訴訟を起こすのです。このとき、訴訟提起から個人情報が開示されるまでの期間は3~6か月程度といわれています。仮処分の手続きも合わせると、半年から1年ほどの期間がかかってしまう可能性があるということです。

時間がかかるうえに、複雑な手続きも多く、ひとりでは途中で断念してしまうこと少なくありません。そうならないためにも、ネットトラブルに強い弁護士に相談し、手続きを任せてしまうという選択肢も検討するとよいでしょう。

 

プロバイダ責任制限法改正後のホスラブへの開示請求の方法・流れ

では次に、2022年10月1日施行されたプロバイダ責任制限法の改正に伴って選べるようになった、新しい発信者情報開示請求方法をお伝えします。先述のとおり、2段階必要だった裁判手続きが1回ですむようになるので、被害者の負担は軽減するでしょう。

発信者情報を開示されたあとも、それで終わりではなく、損害賠償請求などを行うことになると思われるので、今までは合計3回の裁判手続きが必要でした。しかも開示に時間がかかるため、ログが消去されるなど、発信者の特定が困難になることもあったでしょう。

それが改正によって、簡易かつ迅速に行うことができるようになったというわけです。

発信者情報開示請求の方法と流れ(改正法で新設された非訟手続き)

改正によって訴訟を起こす必要がなくなりました。訴訟以外の裁判手続きのことを非訟といいます。訴訟に比べて手続きが簡易であること、また迅速に進行されることのほか、原則非公開で行われること(訴訟は原則公開の法廷で行われる)が特徴として挙げられます。

プロバイダ責任制限法改正後の開示請求手続きの流れは以下のとおりです。

  • プロバイダ責任制限法に基づき、裁判所に、ホスラブに対する発信者情報開示命令の申立てを行う。
  • ①に伴い、「提供命令」の申立てを行う。提供命令とは、裁判所がホスラブに対して、プロバイダの名称を申立人に提供するよう命ずること。
  • プロバイダに対して発信者情報開示命令の申立てを行う。このときホスラブは保有している投稿者情報をプロバイダに提供する必要があるため、ホスラブに通知する。
  • ①③の申立てに伴い、消去禁止命令の申立ても行うことで、発信者情報の記録が消去されるのを禁ずる。

このとき、被害者は①②の発令を待たずに同時に③の開示命令を申し立てることが可能です。この段階がスピーディーに進められるようになったことで、ログが消去されてしまうリスクを回避し、早急に被害者の損害が回復されるようになると期待されています。

ホスラブの開示請求では任意請求と新制度の組み合わせが有効か!?

前述したとおり、グラディアトル法律事務所の実績では、現在のところ、ホスラブに対するIPアドレス等の開示請求については、任意請求による開示が一番早く開示がなされています。

そのため、IPアドレス等の開示請求は既存の手続きと同様にホスラブに対する任意請求を利用するのがよいのではないかと考えている。

その上で、プロバイダに対するログ保存の請求と契約者情報の開示請求については、従来の裁判による方法ではなく、改正後の新制度である非訟手続きを利用して、ログ保存を求める消去禁止命令と契約者情報の開示を求める開示命令を求めるのが良いと考えている。

 

ホスラブ開示請求の弁護士費用相場

ホスラブでの誹謗中傷等の犯人を特定するための発信者情報開示請求の弁護士費用相場は、30万円〜100万円程度です。

弁護士費用は、以下の数字に影響されます。

・開示請求をする対象となるレス数

・開示請求対象のプロバイダ数

まず、ホスラブに対するIPアドレス等の開示請求についての弁護士費用は、開示したい対象のレス数が影響してきます。

次に、ホスラブから開示されたIPアドレス等からプロバイダが判明した場合、判明したプロバイダの数が弁護士費用に影響していきます。複数のプロバイダに対して開示請求をする場合には、複数の裁判手続きが必要になるからです。

なお、開示請求にかかった弁護士費用については、相手に対する損害賠償請求において、その分の加えて請求することができます。弁護士費用の全額を認めた裁判例もありますが、一定程度しか認めない裁判例もあるところです。

発信者情報開示請求の弁護士費用を相手に請求できるかについての詳細は、以下の記事を参照ください。

弁護士費用について

 

開示請求で犯人特定後の慰謝料請求・刑事告訴

無事、発信者情報開示請求が認められ、書き込んだ人間の氏名や住所等を特定できた場合、慰謝料請求や刑事告訴といった対応をとることが多いです。

民事事件として、お金を請求するのが慰謝料請求の手続きです。

他方で、刑事事件として、犯人の逮捕や刑事処罰を求めるのが刑事告訴です。

慰謝料請求について

民法709条による、不法行為に基づく損害賠償責任にしたがって、慰謝料を請求することになります。

民法

(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

(財産以外の損害の賠償)
第七百十条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。

請求の仕方については、通常の民事裁判となりますので、訴えを提起し、裁判所に対して主にどのような損害を被ったかを説明していくことになります。

また、その訴訟提起の前後に、和解交渉をしていくことも考えられるでしょう。

誹謗中傷の被害にあった場合の慰謝料額や損害賠償額はいくらとれるのでしょうか?相場はあるのでしょうか?

損害賠償としては、慰謝料のほかに、犯人特定・発信者情報開示をするためにかかった弁護士費用などの調査費用、損害賠償請求をするための弁護士費用などが認められる可能性があります。

総額で数10万円程度のこともあれば、100万円を超えてくるような事案もあります。

具体的な金額については、事案によっても異なってきます。詳細については、以下の記事をご参照ください。

【誹謗中傷と弁護士費用】誹謗中傷の損害賠償請求で発信者情報開示にかかった弁護士費用を相手に請求できるか!?

 

刑事告訴について

犯人を特定したのち、犯人に対して社会的な制裁を受けてほしい。

自分のおこなった犯行の罪を償ってほしいと考える人も多いです。

ホスラブでの誹謗中傷の被害の場合には、名誉毀損罪や侮辱罪に該当する可能性があります。

名誉毀損罪(刑法230条1項 3年以下、50万円以下)は、公然と事実を摘示して社会的評価を低下させる犯罪です。

(名誉毀き損)刑法230条
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀き損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

侮辱罪(刑法231条 拘留30日未満・科料1万円未満)は、公然と人を侮辱(軽蔑の表示)をする犯罪です。

(侮辱)刑法231条
事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。

これらの罪での刑事処罰を求めていくため被害届や刑事告訴をしていくということが考えられます。

これによって、ホスラブで誹謗中傷をした犯人側が逮捕や刑事処罰を恐れ、示談という形で慰謝料等の損害賠償請求の交渉が有利になることがあります。

もっとも、侮辱罪については、SNS上で度重なる誹謗中傷を受けたプロレスラーの木村花さんの事件において、犯人が侮辱罪で処罰されたものの、科料9000円という軽い罪に終わったことから、侮辱罪の法定刑を引き上げ、重くすべきだと議論がなされ、法改正により厳罰化されました。

侮辱罪の厳罰化で訴えやすくなる?弁護士が教える本気の誹謗中傷対策

ホスラブの発信者情報開示請求は弁護士に依頼をすべき!

ホスラブでは、名誉毀損や名誉感情侵害に該当するような誹謗中傷や、プライバシー権侵害に該当するような個人情報の晒しが横行しています。

その対応策として、犯人を特定して損害賠償請求や刑事告訴をするための発信者情報開示請求が有効です。

しかし、ここまで見てきたように、発信者情報開示請求は複雑な裁判手続きが必要になります。

また、ログの保存期間との関係で、短期間にその手続きを行う必要があります。

そのため、発信者情報開示請求の手続きに精通した弁護士に依頼をして対応をすべきでしょう。

グラディアトル法律事務所では、多数の発信者情報開示請求のご依頼を受けています。特に、ホスラブについてのご依頼が多く、実績も豊富です。

LINEでの相談も受け付けていますので、是非一度、ご相談ください。

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弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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