雑談たぬき・V系たぬきのような匿名掲示板では、悪意のある誹謗中傷が書き込まれるケースが少なくありません。お困りの方は多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、雑談たぬきの投稿やスレッドを削除依頼の方法を解説します。
ただし、ご自身で雑談たぬきも対して削除依頼を申請したとしても、必ず削除されるわけではありません。
削除ができたとしても、再度、雑談たぬきや他の掲示板に拡散される可能性もあるでしょう。その場合は、法律の専門家によるサポートが必要です。
本記事では、「レスが削除されない」「投稿主を特定したい」という際の解決方法も紹介しています。ぜひ参考にしてください。
雑談たぬき掲示板とは
雑談たぬき掲示板は、V系(ヴィジュアル系)バンドのファンが集まる「V系初代たぬき」という匿名掲示板から派生したもので、V系以外の雑談をするための掲示板です。
「V系初代たぬき」はV系ファン中心の掲示板でしたが、雑談たぬきはV系以外のスレッドも多く、まさに雑談サイトとして利用されています。
V系たぬき掲示板に書き込まれたスレッドでも、v系に関連性のない話題がpart10以上続くような大規模な定期スレは移転されます。
雑談たぬき掲示板では、「YouTube」「ニコニコ動画」「ツイキャス」「ふわっち」など、動画媒体で活動している配信者の話題が多いのも特徴的です。
配信者は人気になりファンが増えるにつれてアンチの数も増加する傾向にあるので、雑談たぬき掲示板では、誹謗中傷被害が発生しやすい構造にあるといえます。。
加えて、雑談たぬきは匿名掲示板です。実名制でない分、利用者も普段より気持ちが大きくなっているでしょう。悪意のある投稿や心無い発言など、誹謗中傷を行う心理的ハードルが低い環境という側面があります。
しかし、雑談たぬきに投稿されたレスは削除依頼を申請できます。
すべての依頼に対応してくれるわけではありませんが、利用規約に違反している場合などは、削除してもらえる可能性があります。
雑談たぬき運営者が削除依頼に応じてくれるケース
雑談たぬきでの削除依頼に運営者が応じてくれるケースを紹介します。基本的には以下の2パターンです。
- 雑談たぬきの利用規約(掲示板利用のルール)違反
- 権利侵害に当たる場合
前者は、雑談たぬきの運営側が設定したルールに違反した場合の削除依頼です。
後者は、法律上認められる手段、人格権の侵害に基づく妨害排除請求権としての削除請求です。
それぞれ詳細をチェックしていきましょう。
雑談たぬきの利用規約(掲示板利用のルール)違反
最初に紹介するパターンは、雑談たぬきの利用規約に違反した場合です。具体的には以下のとおり。
【雑談たぬきの禁止事項】
- 出会いの募集・呼びかけ
- パンピの利用(たぬき共通ルール)
引用:雑談たぬき「利用規約」
【出会いの募集・呼びかけの禁止】
雑談たぬき掲示板は、V系初代たぬきの掲示板から派生したものです。
V系初代たぬきの掲示板は、V系(ヴィジュアル系)のバンギャのコミュニティサービスで、情報交換やファン同士の交流を目的としたものであって、異性との交際・出会いを目的とした利用を禁止しています。
雑談たぬき掲示板においても、同様に、異性との交際・出会いを目的とした利用を禁止し、出会いの募集や呼びかけが禁止事項になっています。
【パンピの利用(たぬき共通ルール)】
「パンピ」とは、一般ピープル(一般人)の略称です。
スレッドの趣旨と関係ないユーザーの利用は禁止されていると解釈し得るところです。
「たぬき共通ルール」は、「V系初代たぬき」の一般的な禁止事項のことであると考えられます。
具体的には以下のとおりです。
【V系初代たぬきの禁止事項】
- パンピ規制
- 出会い目的&未成年の利用
- 写メ晒し、他人に迷惑をかける行為
- 売春・買春行為
- 18歳未満の利用、18歳未満を勧誘する行為
- 埋め、荒らし行為
- 逆蜜、パパ募集
- URL複数スレに投稿
- アフィ、宣伝目的
- 下着、汚物の売買
- スレ乱立、無意味なスレ作成
- 他人のたぬピク晒し
- モロ、グロ写真の掲載
- V系に関連性のないスレ作成
(参考:V系初代たぬきの掲示板「掲示板利用のルール」)
「V系初代たぬき」の禁止事項は雑談たぬきにも適用される共通ルールと考えられます。
雑談たぬきで写メ晒しなどが行われた場合、利用規約違反になるので削除依頼を申請できます。
権利侵害に当たる場合
雑談たぬきの利用規約には記載されていませんが、投稿内容が権利侵害に該当する場合、スレッドやレスの削除依頼を申請することができます。
法律に基づく請求権だからです。
権利侵害の具体例は以下のとおりです。
- 名誉毀損:公然と事実を摘示して人の名誉を毀損する行為
- 侮辱・名誉感情侵害:事実を摘示せずに公然と人を侮辱する行為
- プライバシー侵害:知られたくない私生上の事実を公開する行為
たとえば、「youtuberの〇〇は〜という犯罪行為をしている」というレスは名誉毀損、「〇〇って配信者、顔とか声がキモすぎて生理的に無理」というレスは侮辱、「△△ってファンがイタすぎるから顔写真晒す」というレスはプライバシー侵害に該当する可能性があります。
しかし、投稿内容が権利侵害に当たるかどうかは、自身で判断するのが難しい場合もあります。削除申請をして該当の投稿の削除に至らなかった場合は、弁護士に相談してみるとよいでしょう。
自分で雑談たぬき掲示板の削除依頼をする方法
ここでは、ご自身で、雑談たぬき掲示板の削除依頼をする方法を説明します。
雑談たぬきの削除依頼は、「掲示板利用のルール」にある「お問合わせフォーム」から行います。
まずは「削除依頼/一般」をクリックしてください。
対象のURLと投稿番号(レス番号)、受信用のメールアドレスを入力します。削除依頼の対象となるレスがどのような内容だったか「種別」を選び、「削除理由」もあわせて記述してください。
「私はロボットではありません」にチェックを入れ、「>確認」をクリックします。その後、メールアドレスあてに確認URLが送信されるので、それをクリックすれば削除依頼の完了です。
雑談たぬき掲示板の削除理由の記入例
雑談たぬきの削除依頼をスムーズに行うためには、削除理由にもこだわりましょう。
規約違反か権利侵害を記載するようにしましょう。
具体的な記入例は以下のとおりです。
【記入例1】
「〇〇は風俗で働いている」という投稿は事実ではありません。〇〇は私の氏名で、私のことを指しています。このレスはの私の社会的評価を低下させるもので名誉権を侵害します。そのため、削除対応をお願いいたします。
【記入例2】
私の名前や住んでいる場所、電話番号などが雑談たぬきで晒されています。これはプライバシー権の侵害に該当しますので、削除対応をお願いいたします。
ポイントは「どのようなルール・規約違反があるのか」「誰のどのような権利侵害が行われているか」が伝わるようにすることです。
また運営者も人間なので、失礼のないように丁寧な言葉づかいを心がけるようにしましょう。
雑談たぬきで削除依頼をする際の注意点
ここでは、雑談たぬきで削除申請する際の注意点を解説します。具体的には以下のとおりです。
• 削除完了までの日数の目安
• 必ず削除されるわけではない
それぞれ詳細を解説します。
削除完了までの日数の目安
雑談たぬきでの削除依頼は、スムーズにいけば3日程度で完了します。
しかし、なかには約2週間かかるケースもあるので、3~14日程度は待ちましょう。
また削除対応の完了報告はないのでご注意ください。本当に削除されたかどうかはご自身で確認する必要があります。
必ず削除されるわけではない
雑談たぬきに削除申請を依頼しても必ず対応してくれるわけではありません。
利用規約に違反していない場合は当然ですし、違反している場合も削除されない可能性があります。削除依頼に強制力を持たせるためには、裁判を行う必要があるでしょう。
自分で削除依頼しても雑談たぬき管理人が削除してくれない場合の対処法
前述したとおり、自分で雑談たぬきに削除依頼を申請しても応じてくれない場合があります。その際の対処法は以下のとおりです。
- 裁判所に削除の仮処分を申し立てる
- 弁護士に削除依頼する
それぞれ詳細を解説します。
裁判所に削除の仮処分を申し立てる
仮処分の申し立てとは、緊急性の高い事案について、裁判所に暫定的な決定(仮処分)を求める民事保全手続のことです。
通常、訴訟に関する審理は長期間かけて行われますが、仮処分申立の場合は数日~数週間程度で結果が出ます。
ただ、すべてのレスに対して仮処分の申し立てを行えるわけではありません。雑談たぬきの削除依頼のようなケースでは、以下の2要件を満たしている必要があります。
【要件】
- 申立人の権利が違法に侵害されていること
- 早急に解消することが必要であること
申立人、つまり削除依頼を申請する側は、関連資料を提出したうえで裁判官と面談します。そこで「本当に要件を満たしているかどうか」が判断される仕組みです。
申立書に関しては、裁判所のホームページにある「2. 保全事件の申立て」から書式ファイルをご利用ください。
ちなみに、裁判所の仮処分申立にかかる費用は以下のとおりです。
【費用】
- 申立手数料:2,000円(債権者1人につき)
- 予納郵便切手:数千円
- 担保金:請求債権の2~3割
弁護士に削除依頼する
裁判所への仮処分申立を自力で行うには、申立書の作成や、関連資料の用意、書類作成など、時間と手間もかかりますし、相応の専門知識がないと上手くいかない恐れもあります。基本的には法律の専門家に頼ったほうがよいでしょう。
こうしたインターネット上の誹謗中傷に対しては、インターネット上のトラブルに強く、実績のある弁護士事務所に相談するとスムーズに対応してくれます。
雑談たぬきへの削除依頼だけでは不十分な場合は犯人特定の開示請求を!
前述したとおり、削除依頼をしても雑談たぬきの管理者が対応してくれない可能性があります。他にも、以下のようなケースが発生した場合、削除依頼だけでは不十分でしょう。
• 同じ投稿が繰り返されてしまう
• 雑談たぬき以外のサイトで拡散されている
• 投稿者を特定したい
それぞれ詳細を解説します。
削除に成功しても同じ投稿が繰り返されてしまう
雑談たぬきで該当レス・スレッドを削除しても、同じ内容の投稿が繰り返されるケースがあります。この場合、同一犯による可能性が否定できず、再び削除依頼を申請してもいたちごっこになってしまうでしょう。
誹謗中傷の被害を根本的な解決へと導くためには、投稿者の特定が必要となるケースも少なくありません。具体的には、後述する情報開示請求の手続きを行います。
すでに雑談たぬき以外のサイトにも拡散してしまっている
雑談たぬき以外のサイトにも誹謗中傷が飛び火している場合は要注意です。たとえば5ちゃんや爆サイなどの掲示板で拡散されたなら、それぞれ個別の削除依頼を申請する必要があります。
また、なかには「表現の自由」に重きを置いているサイトも存在し、自力で投稿内容の削除までこぎつけるのが難しいケースも多いです。雑談たぬき以外に誹謗中傷などが飛び火している場合、基本的にはIT・インターネットに強い弁護士事務所のサポートが必要となるでしょう。
投稿者を特定する必要がある、特定したい
同じ内容の誹謗中傷が繰り返されている場合、同一犯による可能性もあるので、投稿者の特定が根本的な解決をもたらす可能性があります。その際に行われる手続きが「発信者情報開示請求」です。
発信者情報開示請求の流れは以下の2ステップで構成されています。
【発信者情報開示請求の2ステップ】
1. コンテンツプロバイダへの情報開示請求
2. インターネットプロバイダへの情報開示請求
コンテンツプロバイダとは情報提供事業者のことです。今回の場合、雑談たぬきが該当します。要するにサービスの提供者のことです。
コンテンツプロバイダが保有する情報は多岐にわたりますが、基本的にはIPアドレスやタイムスタンプなどのログ情報が重要になります。しかし、ログ情報の保存期間は3ヶ月~6ヶ月程度の場合が多いので注意が必要です。保存期間を過ぎた後の情報開示請求は難しく、各種手続きに時間がかかることを考慮すれば、誹謗中傷に気づいたタイミングで行動に移す必要があります。
その後、コンテンツプロバイダから提供を受けた情報をもとに、インターネットプロバイダに対して開示請求を行います。
また、本請求で開示される情報は投稿主の「氏名」「住所」などです。損害賠償請求を行う場合は、別途手続きが必要となります。
雑談たぬき掲示板において、発信者情報開示請求で犯人を特定する方法の詳細は、以下の記事を参照ください。
雑談たぬきで投稿削除できなかった場合や投稿者を特定したい場合は弁護士に相談を
本記事では、雑談たぬきの削除依頼について解説しました。押さえておきたいポイントは以下のとおりです。
- 利用規約に違反しているレスが削除対象
- 利用規約に違反している場合でも削除されないケースがある
- 削除に強制力を持たせるためには法的手続きが必要
インターネット上における誹謗中傷の削除は、自力だと難しいケースがなかなか多いです。また削除に成功したとしても、同じ内容の投稿が繰り返されるケースがあります。
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